付録B.2 ORB機能使用時の設定

ここでは,ORB機能を使用する場合の設定について説明します。

この設定は,HAモニタを起動するホスト上で次のプロセスを起動する場合に設定してください。

<この項の構成>
(1) スマートエージェントのlocaladdrファイルおよびhtc.clienthandleraddrファイルの設定
(2) スマートエージェントまたはスマートエージェントに接続するプロセスのagentaddrファイル,vbroker.agent.addrプロパティ,および環境変数「OSAGENT_ADDR」の設定
(3) CORBAネーミングサービスの設定
(4) J2EEサーバのvbroker.se.iiop_tp.hostキー,およびvbroker.se.iiop_tp.scm.iiop_tp.listener.portキーの設定
(5) 環境変数の設定
(6) 設定例

(1) スマートエージェントのlocaladdrファイルおよびhtc.clienthandleraddrファイルの設定

クラスタソフトウェア上でスマートエージェントを起動する場合,各ノードのlocaladdrファイルおよびhtc.clienthandleraddrファイルを設定してください。なお,設定内容は,マルチホームドホスト環境の場合とそれ以外の場合で異なります。

マルチホームドホスト環境,またはマルチホームドホストでないホスト環境上でクラスタ環境を構築する場合の,スマートエージェントのlocaladdrファイルの設定内容を次の表に示します。

表B-1 スマートエージェントのlocaladdrファイルの設定内容

クラスタサービスおよびスマートエージェントを起動するホスト環境スマートエージェントのlocaladdrファイルの設定内容
スマートエージェントを系切り替えの対象にする場合スマートエージェントを系切り替えの対象にしない場合
マルチホームドホスト環境
  • ステーショナリIPアドレス(プライマリIPアドレス)
  • スマートエージェントに明示的に指定したいIPアドレス
  • エイリアスIPアドレス
  • ステーショナリIPアドレス(プライマリIPアドレス)
  • スマートエージェントに明示的に指定したいIPアドレス
マルチホームドホストではないホスト環境
  • ステーショナリIPアドレス(プライマリIPアドレス)
  • エイリアスIPアドレス
  • ステーショナリIPアドレス(プライマリIPアドレス)

次に,環境ごとの設定内容の詳細について説明します。また,htc.clienthandleraddrファイルについても説明します。

(a) マルチホームドホスト環境
(b) マルチホームドホストではないホスト環境

(2) スマートエージェントまたはスマートエージェントに接続するプロセスのagentaddrファイル,vbroker.agent.addrプロパティ,および環境変数「OSAGENT_ADDR」の設定

異なるネットワークドメイン上にあるスマートエージェント間で通信をする場合,または異なるネットワークドメイン上にあるスマートエージェントとスマートエージェントに接続するプロセス間の通信をする場合は,スマートエージェントまたはスマートエージェントに接続するプロセスの設定が必要です。設定は,各ノードのagentaddrファイル,vbroker.agent.addrプロパティ,環境変数「OSAGENT_ADDR」に設定します。

(a) スマートエージェントへの設定

異なるネットワークドメイン上のスマートエージェント間通信で,スマートエージェントを系切り替えの対象とする場合,対象のスマートエージェントと通信をするスマートエージェントのagentaddrファイルに,エイリアスIPアドレスを必ず設定してください。

(b) スマートエージェントに接続するプロセスへの設定

スマートエージェントとスマートエージェントに接続するプロセスとを異なるネットワークドメイン上で起動し,かつスマートエージェントを系切り替えの対象とする場合,スマートエージェントに接続するプロセスのagentaddrファイル,vbroker.agent.addrプロパティ,環境変数「OSAGENT_ADDR」のどれかに,系切り替えの対象となるスマートエージェントのエイリアスIPアドレスを必ず設定してください。

(3) CORBAネーミングサービスの設定

CORBAネーミングサービスを系切り替えの対象とする場合は,CORBAネーミングサービスの起動プロパティを設定します。

nameservコマンドに次の起動プロパティを設定してCORBAネーミングサービスを起動してください。

-J-Dvbroker.se.iiop_tp.host=エイリアスIPアドレスまたはエイリアスホスト名

また,このプロパティに設定したエイリアスIPアドレスまたはエイリアスホスト名を,usrconf.properties(J2EEサーバ用ユーザプロパティファイル)の次のキーの設定内容に反映してください。

usrconf.propertiesの詳細については,マニュアル「Cosminexus アプリケーションサーバ リファレンス 定義編(サーバ定義)」の「2.4 usrconf.properties(J2EEサーバ用ユーザプロパティファイル)」を参照してください。nameservコマンドを使用したCORBAネーミングサービスの起動については,マニュアル「Cosminexus アプリケーションサーバ リファレンス コマンド編」の「付録D.2 システムの起動方法」を参照してください。

(4) J2EEサーバのvbroker.se.iiop_tp.hostキー,およびvbroker.se.iiop_tp.scm.iiop_tp.listener.portキーの設定

J2EEサーバをフェイルオーバの対象とする場合は,vbroker.se.iiop_tp.hostキーには,クラスタIPアドレスを指定してJ2EEサーバを起動してください。また,J2EEサーバが使用するポート番号は,すべての系で同じポート番号が使用できるように,usrconf.propertiesファイルのvbroker.se.iiop_tp.scm.iiop_tp.listener.portキーを使用して管理してください。

(5) 環境変数の設定

クラスタ環境でスマートエージェントを起動する場合,スマートエージェントに次の環境変数の設定が必要です。

なお,環境変数の設定方法については,マニュアル「Borland(R) Enterprise Server VisiBroker(R) デベロッパーズガイド」のVisiBroker ORBドメイン内の作業についての説明を参照してください。

(6) 設定例

IPアドレスの設定例を次に示します。

設定例1

図B-1 スマートエージェントを系切り替えの対象にする場合のIPアドレスの設定例

[図データ]
図中の1.~5.について説明します。
  1. hostAのlocaladdrファイルに「hostAのステーショナリIPアドレス(A.A.A.A) subnet broadcast」,「エイリアスIPアドレス(C.C.C.C) subnet broadcast」を記述します。
  2. hostBのlocaladdrファイルに「hostBのステーショナリIPアドレス(B.B.B.B) subnet broadcast」,「エイリアスIPアドレス(C.C.C.C) subnet broadcast」を記述します。
  3. hostA,hostBのhtc.clienthandleraddrファイルに「クライアントのステーショナリIPアドレス(F.F.F.F) subnet エイリアスIPアドレス(C.C.C.C)」を記述します。
  4. hostAおよびhostBで起動するスマートエージェントに環境変数「OSAGENT_CLIENT_HANDLER_PORT」を設定します。
  5. hostCのagentaddrファイルにエイリアスIPアドレス(C.C.C.C)を記述します。
設定例2

図B-2 スマートエージェントを系切り替えの対象にしない場合のIPアドレスの設定例

[図データ]
図中の1.~6.について説明します。
  1. hostAのlocaladdrファイルに「hostAのステーショナリIPアドレス(A.A.A.A) subnet broadcast」を記述します。
  2. hostBのlocaladdrファイルに「hostBのステーショナリIPアドレス(B.B.B.B) subnet broadcast」を記述します。
  3. hostAのhtc.clienthandleraddrファイルに「クライアントのステーショナリIPアドレス(F.F.F.F) subnet hostAのステーショナリIPアドレス(A.A.A.A)」を記述します。
  4. hostBのhtc.clienthandleraddrファイルに「クライアントのステーショナリIPアドレス(F.F.F.F) subnet hostBのステーショナリIPアドレス(B.B.B.B)」を記述します。
  5. hostCのagentaddrファイルにA.A.A.AおよびB.B.B.Bを記述します。
  6. hostAおよびhostBで起動するスマートエージェントに環境変数「OSAGENT_CLIENT_HANDLER_PORT」を設定します。