ここでは,Microsoft Cluster Serviceと連携する場合の,システムの構成例とシステムの設定手順について説明します。
相互系切り替えシステムの構成例を次の図に示します。なお,以降の項では,このシステムの構成例を使用したシステムの構築例を示します。
図20-5 相互系切り替えシステムの構成例(Windowsの場合)
この例では,2種類のアプリケーションサーバ(アプリケーションサーバ1,アプリケーションサーバ2とします)を使用しています。アプリケーションサーバ1の実行系(現用系1)と待機系(予備系2),アプリケーションサーバ2の実行系(現用系2)と待機系(予備系1)をそれぞれ1:1で配置しています。それぞれ別の運用管理ドメインを持つManagement Serverを配置し,両方のマシンでManagement Serverを起動させています。
相互系切り替えシステムでは,一つの運用管理ドメイン内に二つの仮想ホストを定義し,それぞれを現用系アプリケーションサーバのホスト,予備系アプリケーションサーバのホストとして構築します。この例では,次のような組み合わせになります。
仮想ホストでは,一つの運用管理エージェントによってアプリケーションサーバの起動,停止を制御しますが,運用で使用するIPアドレスには異なるIPアドレスを割り当てて,見かけ上は異なるホストであるように定義しています。
アプリケーションサーバをクラスタ構成に配置するためには,エイリアスIPアドレスを設けて,稼働中のノードがエイリアスIPアドレスを引き継ぐことで,クライアントがクラスタ内のノードを意識しないようにします。相互系切り替えシステムの場合,エイリアスIPアドレスは,クラスタソフトウェアによって動的に割り当てられるアドレス(クラスタIPアドレス)となります。アプリケーションサーバの運用に使用するIPアドレスには,クラスタIPアドレスを使用し,Management Serverから運用管理エージェントに対するリクエストの送信には,系切り替えによって他系に移動しないIPアドレス(ステーショナリIPアドレス)を使用します。
Microsoft Cluster Serviceと連携する場合には,Management Serverやクラスタアドミニストレータの設定などが必要になります。相互系切り替えシステムの設定手順を次の図に示します。
図20-6 相互系切り替えシステムの設定手順(Windowsの場合)
図中の1.~7.について説明します。