12.1.3 旧バージョンからの仕様変更の確認

旧バージョンからの仕様変更について説明します。

次に仕様変更の項目の詳細について説明します。なお,表の「仕様変更の項目」の項番は,説明の項番と対応しています。

<この項の構成>
(1) J2SEのバージョン
(2) TPBrokerの運用支援機能の非サポート
(3) snapshotログの収集タイミング
(4) 運用管理エージェント停止時の動作
(5) Management Server用のネーミングサービスの設定変更
(6) 旧バージョン互換用のWebサーバの扱い
(7) 動作モードの変更
(8) JavaVMのタイプ
(9) Management Serverとの連携
(10) JSPから生成されたサーブレット用コンパイラのバージョン
(11) デフォルトのエラーページの内容
(12) Enterprise Beanの命名規則
(13) コネクションの共有機能の有効範囲
(14) コネクションアソシエーションの有効化方法
(15) コネクションスイーパの動作オプションの設定方法
(16) コネクションプールのウォーミングアップ機能の設定方法
(17) コネクションの障害検知,ネットワーク障害のタイムアウトの設定方法
(18) コネクションの自動クローズのプロパティのデフォルト値
(19) リソースアダプタのログのサイズと面数
(20) リソースアダプタのプロパティのデフォルト値
(21) ログ出力ディレクトリの構成変更
(22) 1.4モードのデータソース廃止
(23) Naming Manager機能の削除
(24) カスタムタグのスクリプト変数定義の変更
(25) <jsp:useBean>タグのclass属性に対するエラーチェックの変更
(26) タグの属性値のExpressionチェックの変更
(27) タグの属性値に指定するExpressionに関する変更
(28) taglibディレクティブのprefix属性に関する変更
(29) JSPでの$の扱いの変更
(30) WebコンテナがサポートするServlet仕様のバージョン
(31) Cosminexus RM連携用のリソースアダプタのプロパティへの,CancelStatementプロパティの追加
(32) リソース枯渇機能でのメモリ枯渇監視情報の計算式の変更
(33) サーブレットのデフォルトマッピングのデフォルトでの無効化
(34) javax.servlet.GenericServletクラスでスローされる例外の変更
(35) javax.servlet.ServletRequestインタフェースのsetCharacterEncodingメソッド呼び出し時の動作変更
(36) javax.servlet.GenericServletクラスのinit(ServletConfig)メソッドとdestroy()メソッドでのログ出力
(37) javax.servlet.jsp.tagext.TagInfoクラスの定数の値の変更
(38) JSPのAPIでクラスのメソッドが総称を使用した定義へ変更
(39) javax.servlet.jsp.elパッケージのクラスの非推奨への変更
(40) ライブラリJAR内のTLDファイルの検索
(41) 半角英数字以外の文字が含まれている表示名のインポート時の動作変更
(42) 明示管理ヒープ機能によるメモリ使用量の増加とオブジェクトの最大年齢の制限
(43) HTTPセッションの無効化によるHTTP Cookie情報に対する動作変更
(44) -XX:SurvivorRatioのデフォルト値の変更
(45) SOAPアプリケーション開発支援機能/SOAP通信基盤のクラスパス
(46) インターセプタに関連するクラスのパッケージの変更
(47) インターセプタに関連するInvocationContextの変更
(48) アノテーションの指定方法の変更
(49) Session Bean属性ファイルおよびEJB-JAR属性ファイルの変更
(50) リロード機能適用範囲を指定するプロパティ値の変更
(51) 異なるJ2EEアプリケーションに含まれるリソースアダプタでの別名の重複指定
(52) cjjspcコマンドでのクラスパスに指定したJARファイル内のタグライブラリの使用
(53) アノテーション情報取得処理でのクラスロードの例外発生時の動作変更
(54) バッチサーバでのejbserver.ctm.enabledパラメタの扱い
(55) サーバ管理コマンドの同時実行制御
(56) J2EEサーバとの通信の時間監視
(57) リデプロイ機能で実施するJ2EEアプリケーション属性の引き継ぎの動作
(58) ログファイルの出力方法の変更
(59) 属性ファイルの<icon>タグの変更
(60) サーバマネジャ,ユーザマネジャの削除
(61) 属性ファイルのxml:lang属性の出力
(62) Connector属性ファイルでのユーザIDおよびパスワードの非表示
(63) メール属性ファイルの<reply-to>タグの削除
(64) Connector属性ファイルでのXA_OPEN文字列の非表示
(65) Connector属性ファイルの構造変更
(66) 属性ファイル中に指定されたメソッドのチェック
(67) Connector属性ファイルの<config-property>タグに指定できるプロパティの並び順の変更
(68) MessageDrivenBean属性ファイルでの指定必須要素の省略
(69) EJB-JAR属性ファイルの<interceptor-class>タグの出現パターンの変更
(70) RMI-IIOPスタブおよびRMI-IIOPインタフェースの取得方法
(71) cjclstartapコマンドの仕様変更
(72) ネーミングサービスの障害検知機能による閉塞のタイミングの変更
(73) JSPから生成されたサーブレット用コンパイラのバージョン
(74) 明示管理ヒープ機能での自動解放機能の追加
(75) POSTリクエストのフォームデータの最大サイズの制限
(76) TP1インバウンド連携機能でのコネクション保持のサポートと,最大同時接続数のデフォルト値,使用するスレッド数,ファイルディスクリプタ数,ポート番号の変更
(77) javax.servlet.http.HttpServletRequestインタフェースのgetSessionメソッドでスローされる例外の変更
(78) データベースセッションフェイルオーバ機能での完全性保障モードの変更

(1) J2SEのバージョン

07-00以降で使用されているJ2SE 5.0は,07-00より前のJ2SE 1.4.2と異なる部分があります。J2EEアプリケーションのコンパイル時に,今までコンパイルできたJava言語仕様に違反する構文がエラーになることがあります。詳細については,J2SEのドキュメントを参照してください。

(2) TPBrokerの運用支援機能の非サポート

07-00以降では,07-00より前まで提供していたTPBrokerの運用支援機能は使用できません。システムの各プロセスを一括起動,停止,および監視する場合には,Management Serverを使用してください。Management Serverを使用する場合には,Smart Composer機能や運用管理ポータルでシステムを構築してください。

(3) snapshotログの収集タイミング

06-50以降では,障害検知時のsnapshotログの収集タイミングが変更されます。06-50より前までは,障害を検知したJ2EEサーバを停止後,snapshotログを収集していました。06-50以降では,障害を検知したときに,障害検知時コマンドによってsnapshotログを収集し,その後論理サーバを停止します。これによって,障害発生時のタイムリーなログが取得できるようになります。

注意
Management Server環境設定ファイル(mserver.properties)にcom.cosminexus.mngsvr.snapshot.collect.point=j2ee_restartを指定することで,06-50より前の動作に戻すことができますが,お勧めしません。
キーの詳細については,マニュアル「Cosminexus アプリケーションサーバ リファレンス 定義編(サーバ定義)」の「10.7 mserver.properties(Management Server環境設定ファイル)」を参照してください。

(4) 運用管理エージェント停止時の動作

06-50以降では,運用管理エージェント停止時の動作が変更されます。06-50より前までは,論理サーバを停止しないで運用管理エージェントを終了すると,稼働中の論理サーバを強制停止していました。06-50以降では,論理サーバを停止しないで運用管理エージェントを終了しても,稼働中の論理サーバはそのまま動作を続けます。運用管理エージェントを再起動することで,稼働中の論理サーバについての情報を引き継ぎ,論理サーバの管理を継続できます。運用管理エージェントを停止するときに論理サーバも停止させていた場合は,運用管理エージェントを停止する前に,その運用管理エージェントの稼働しているホスト上の論理サーバをすべて停止するように運用の手順を変更してください。

注意
運用管理エージェントのプロパティファイル(adminagent.properties)にadminagent.finalization.stop_servers=trueを指定することで,06-50より前の動作に戻すことができますが,お勧めしません。
キーの詳細については,マニュアル「Cosminexus アプリケーションサーバ リファレンス 定義編(サーバ定義)」の「10.2 adminagent.properties(運用管理エージェントプロパティファイル)」を参照してください。

(5) Management Server用のネーミングサービスの設定変更

06-71まではManagement Server用にネーミングサービスを起動していましたが,07-00以降は,J2EEサーバのプロセス内で起動するRMIレジストリを利用します。このため,Management Server用のネーミングサービスが起動不要になりました。Management Serverのほかに論理ネーミングサービスを使用しているプロセスがない場合には,その論理ネーミングサービスを削除してください。また,Management Server用のネーミングサービスが起動不要になることで,ネーミングサービスのホストとポート番号なども設定不要になります。設定の変更方法については,「12.1.10(3) Management Server用のネーミングサービスの設定変更」を参照してください。

(6) 旧バージョン互換用のWebサーバの扱い

06-71までは,Management Serverの運用管理ポータルで,論理サーバとして旧バージョン互換用のWebサーバを新規作成できました。07-00以降では,旧バージョン互換用のWebサーバは使用できますが,新規作成はできません。

なお,旧バージョン互換用のWebサーバを使用していた場合には,現バージョンのWebサーバへの移行をお勧めします。運用管理ポータルの「論理サーバの環境設定」のWebサーバ環境のセットアップで,現バージョンへ移行できます。Webサーバ環境のセットアップについては,マニュアル「Cosminexus アプリケーションサーバ 運用管理ポータル操作ガイド」の「10.10.5 Webサーバ環境のセットアップ」を参照してください。

(7) 動作モードの変更

J2EEサーバの動作モードが変更されて,06-71までの「アドバンスドモード」と「スタンダードモード」は,07-00以降は「1.4モード」となります。

06-71までの動作モード07-00以降の動作モード
アドバンスドモード(1.3advanced)
スタンダードモード(1.3standard)
1.4モード(1.4)
ベーシックモード(1.3basic)ベーシックモード(1.3basic)

括弧内の文字列は,usrconf.propertiesのejbserver.server.j2ee.featureキーの値です。

07-00より前から08-00以降へ移行する場合,07-00より前でejbserver.server.j2ee.feature=1.3standard,または,ejbserver.server.j2ee.feature=1.3advancedを指定していたときは,J2EEサーバの移行コマンドが自動的にejbserver.server.j2ee.feature=1.4に変更します。

(8) JavaVMのタイプ

06-50より前では,J2EEサーバは,Java HotSpot(TM) Client VM上で動作していました。06-50以降,J2EEサーバは,Java HotSpot(TM) Server VM上で動作します。ただし,AIXおよびSolarisではJava HotSpot(TM) Server VMは未サポートです。

Java HotSpot(TM) Server VMでは,Java HotSpot(TM) Client VMと比較して,J2EEアプリケーションまたはバッチアプリケーションの実行性能が向上する場合がありますが,J2EEサーバ,J2EEアプリケーション,バッチサーバ,またはバッチアプリケーションを開始するときの起動性能が劣化する場合もあります。

注意
usrconf.cfgに定義するjvm.typeキーの値をclientに変更することで,J2EEサーバの使用するJavaVMをJava HotSpot(TM) Client VMに変更できます。通常は,Java HotSpot(TM) Server VMを使用することをお勧めします。キーの詳細については,マニュアル「Cosminexus アプリケーションサーバ リファレンス 定義編(サーバ定義)」の「2.3 usrconf.cfg(J2EEサーバ用オプション定義ファイル)」を参照してください。また,Java HotSpot(TM) Server VM,およびJava HotSpot(TM) Client VMの詳細については,J2SEのドキュメントを参照してください。

(9) Management Serverとの連携

07-00以降では,Management Serverと連携するかどうかを設定するusrconf.propertiesのejbserver.instrumentation.enabledキーのデフォルト値がfalseからtrueに変更となります。

なお,ejbserver.instrumentation.enabledキーの指定がない場合,J2EEサーバの移行コマンドが自動的にejbserver.instrumentation.enabled=falseを追加します。

(10) JSPから生成されたサーブレット用コンパイラのバージョン

07-00以降では,J2EEサーバは,J2SE 5.0のJava言語仕様に従ってJSPから生成されたサーブレットのソースファイルをコンパイルします。

注意
07-00より前と同様に,J2SE 1.2またはJ2SE 1.3のJava言語仕様に従ってJSPから生成されたサーブレットのソースファイルをコンパイルする場合は,J2EEサーバのusrconf.propertiesのwebserver.jsp.compile.backcompatキーに,1.2または1.3を設定します。J2SE 5.0のJava言語仕様のコンパイルでエラーが発生する場合だけ,1.2または1.3と設定することをお勧めします。

(11) デフォルトのエラーページの内容

06-70より前までは,リクエスト処理時に発生したエラーをカスタマイズしない場合に出力されるデフォルトのエラーページに,製品名が出力されていましたが,06-70以降では製品名が出力されません。

(12) Enterprise Beanの命名規則

07-00以降では,デフォルトパッケージにEnterprise Beanクラスを作成する場合,次に示す文字列で終わるクラスを作成しないでください。

(13) コネクションの共有機能の有効範囲

06-50以降と06-50より前では,コネクションの共有機能の有効範囲が異なります。有効範囲がJ2EEコンポーネント内の場合は,サーブレット,JSP,Enterprise Beanなどの同一コンポーネントだけでコネクションが共有されます。有効範囲がJ2EEコンポーネントをわたる場合は,J2EEコンポーネント間でローカル呼び出しした場合,呼び出された複数のJ2EEコンポーネントにわたってコネクションが共有されます。

06-50以降,ローカルトランザクション内でのコネクションシェアリングが複数のJ2EEコンポーネントにわたって有効となります。06-50より前では,ローカルトランザクション内でのコネクションシェアリングは,J2EEコンポーネント内だけで有効で,J2EEコンポーネントをわたった場合はコネクションアソシエーションが有効でした。

また,06-50以降,グローバルトランザクション内でコネクションシェアリングが複数のJ2EEコンポーネントにわたって有効となります。06-50より前では,トランザクション内でのコネクションシェアリングはJ2EEコンポーネント内だけで有効で,J2EEコンポーネントをわたった場合はコネクションアソシエーションが有効でした。ただし,コネクションアソシエーションが有効になるのは,ejbserver.connectionpool.xatx.association=trueが指定された場合に限ります。

コネクションの共有機能については,マニュアル「Cosminexus アプリケーションサーバ 機能解説 基本・開発編(コンテナ共通機能)」の「3.14.3 コネクションシェアリング・アソシエーション」を参照してください。

(14) コネクションアソシエーションの有効化方法

06-50以降,コネクションアソシエーションを有効にするプロパティがローカルトランザクションとグローバルトランザクションで統一されたので,ユーザプロパティファイルにはejbserver.connectionpool.association.enabledキーを指定します。06-50より前では,コネクションアソシエーションはローカルトランザクションの場合は常に有効で,グローバルトランザクションの場合はejbserver.connectionpool.xatx.association.enabledキーで有効/無効の切り替えができました。

06-50より前で,ユーザプロパティファイルにejbserver.connectionpool.xatx.association.enabled=trueを指定していた場合は,J2EEサーバの移行コマンドがejbserver.connectionpool.association.enabled=trueに自動的に変換します。変換後に取得したConnector属性ファイルと旧バージョンでのプロパティの対応関係を次に示します。

旧バージョンでの条件変換後のユーザプロパティ
ejbserver.connectionpool.xatx.association.enabled=trueの指定がある場合ejbserver.connectionpool.association.enabled=true

コネクションの共有機能については,マニュアル「Cosminexus アプリケーションサーバ 機能解説 基本・開発編(コンテナ共通機能)」の「3.14.3 コネクションシェアリング・アソシエーション」を参照してください。

(15) コネクションスイーパの動作オプションの設定方法

06-50以降,J2EEサーバのコネクションプーリングでのコネクションスイーパの監視時間,および監視間隔をリソースアダプタ単位に設定できます。06-50より前では,ユーザプロパティファイルにejbserver.connectionpool.connection.timeout,およびejbserver.connectionpool.sweeper.intervalキーを指定することで,それぞれ監視時間,および監視間隔をJ2EEサーバ単位に設定していました。06-50以降,Connector属性ファイルの<property>タグで,ConnectionTimeout,またはSweeperIntervalに指定します。

06-50より前で,監視時間と監視間隔をそれぞれejbserver.connectionpool.connection.timeout,およびejbserver.connectionpool.sweeper.intervalキーに指定していた場合は,J2EEサーバの移行コマンドが自動的に変換します。旧バージョンでのプロパティと,変換後にcjgetrarpropコマンドで取得したConnector属性ファイルの値の対応関係は次のとおりです。

旧バージョンでの条件変換後のConnector属性ファイルの値
ejbserver.connectionpool.connection.timeoutに値が指定されている場合
タグ
<hitachi-connector-property>
<runtime>
<property>
<property-name>
ConnectionTimeout
タグ
<hitachi-connector-property>
<runtime>
<property>
<property-value>
[値]
ejbserver.connectionpool.sweeper.intervalに値が指定されている場合
タグ
<hitachi-connector-property>
<runtime>
<property>
<property-name>
SweeperInterval
タグ
<hitachi-connector-property>
<runtime>
<property>
<property-value>
[値]

コネクションスイーパについては,マニュアル「Cosminexus アプリケーションサーバ 機能解説 基本・開発編(コンテナ共通機能)」の「3.15.7 コネクションスイーパ」を参照してください。

(16) コネクションプールのウォーミングアップ機能の設定方法

07-00以降では,J2EEサーバのコネクションプールのウォーミングアップを有効にするかどうかをリソースアダプタ単位に設定します。

07-00より前では,usrconf.propertiesにejbserver.connectionpool.warmupキーを指定してJ2EEサーバ単位に設定していました。07-00以降は,Connector属性ファイルの<property>タグで,Warmupを設定します。

ejbserver.connectionpool.warmupキーからConnector属性ファイルの<property>タグへの設定変更は,J2EEサーバの移行コマンドが自動的に移行します。

(17) コネクションの障害検知,ネットワーク障害のタイムアウトの設定方法

07-00以降では,J2EEサーバのコネクションの障害検知のタイムアウト,およびネットワーク障害のタイムアウトをリソースアダプタ単位に設定します。

07-00より前では,usrconf.propertiesにejbserver.connectionpool.validation.timeout.enabledキー,およびejbserver.connectionpool.NetworkFailureTimeout.enabledキーを指定してJ2EEサーバ単位に設定していました。07-00以降は,Connector属性ファイルの<property>タグで,NetworkFailureTimeoutを設定します。

ejbserver.connectionpool.validation.timeout.enabledキー,およびejbserver.connectionpool.NetworkFailureTimeout.enabledキーからConnector属性ファイルの<property>タグへの設定変更は,J2EEサーバの移行コマンドが自動的に移行します。

(18) コネクションの自動クローズのプロパティのデフォルト値

07-00以降,Webコンテナによるコネクションの自動クローズ機能は,デフォルトで有効となり,usrconf.propertiesに次のキーが設定されます。

ejbserver.webj2ee.connectionAutoClose.enabled=true

J2EEサーバの移行コマンドを使用して移行する場合には,旧バージョンでの設定値が有効になります。

(19) リソースアダプタのログのサイズと面数

07-00以降では,usrconf.propertiesのキーで指定していたリソースアダプタのログのサイズと面数のデフォルト値が次のように変更されます。

アップグレードインストールの場合には,旧バージョンでの設定値が有効になります。

(20) リソースアダプタのプロパティのデフォルト値

07-00以降,リソースアダプタのプロパティを定義する,Connector属性ファイルのデフォルト値が変更されます。

(21) ログ出力ディレクトリの構成変更

07-00以降では,ログファイルの出力ディレクトリ構成が変更になり,保守用ログの出力先ディレクトリ構成が変更されました。

07-00より前から08-00以降へ移行する場合は,J2EEサーバの移行コマンドが自動的にejb.server.log.mode=6を設定するため,07-00より前のログファイルの出力ディレクトリ構成で保守用ログが出力されます。

(22) 1.4モードのデータソース廃止

06-50以降,1.4モード(06-71までのスタンダードモード,アドバンスドモード)のJ2EEサーバのデータソースが廃止になり,DB Connectorだけが利用できるようになりました。そのため,データソースを使用していた場合は,操作手順,運用手順が変更になります。なお,ベーシックモードでは引き続きデータソースだけが利用できます。

06-50より前で,データソースを使用していた場合,J2EEサーバの移行コマンドがデータソースをDB Connectorへ変換します。変換後にコマンドで取得したConnector属性ファイルと旧バージョンでコマンドを使用して取得したデータソース属性ファイルの対応関係を表に示します。表12-6から表12-8は,変換後にcjgetrarpropコマンドで取得したConnector属性ファイルの値を示します。表12-6から表12-8の「値」の列の括弧付きの数字は,表12-9または表12-10の括弧付きの数字に指定されていた値が設定されることを意味します。「デフォルト」はデフォルト値が設定されることを意味します。

表12-6 変換後にcjgetrarpropコマンドを使用して取得したConnector属性ファイル

タグ名
<hitachi-connector-property>
 <description>表12-9の(1)
 <display-name>表12-9の(2)
 <icon>
  <small-icon>デフォルト
  <large-icon>デフォルト
 <vender-name>デフォルト
 <spec-version>デフォルト
 <eis-type>デフォルト
 <version>デフォルト
 <license>
  <license-required>デフォルト
 <resourceadapter>
  <managedconnectionfactory-class>デフォルト
  <connectionfactory-interface>デフォルト
  <connectionfactory-impl-class>デフォルト
  <connection-interface>デフォルト
  <connection-impl-class>デフォルト
  <transaction-support>デフォルト
  <config-property>
   <description>デフォルト
   <config-property-name>指定されるプロパティについては表12-7参照
   <config-property-type>デフォルト
   <config-property-value>指定される値については表12-7参照
  <reauthentication-support>
  <security-permission>
   <description>デフォルト
   <security-permission-spec>デフォルト
 <runtime>
  <property>
   <property-name>指定されるプロパティについては表12-8参照
   <property-type>デフォルト
   <property-value>指定される値については表12-8参照
   <property-default-value>デフォルト

(凡例)-:該当しない


表12-7 Connector属性ファイルの<config-property>タグに指定されるプロパティと値

<config-property-name>タグに指定されるプロパティ<config-property-value>タグに指定される値
loginTimeout表12-10の(12)
networkProtocol表12-10の(13)
serverName表12-10の(14)
portNumber表12-10の(15)
databaseName表12-10の(16)
description表12-10の(17)
DBHostName表12-10の(18)
DBEnv表12-10の(19)
encodLang表12-10の(20)
JDBC_IF_TRC表12-10の(21)
SV_EVENT_TRC表12-10の(22)
TRC_NO表12-10の(23)
uapName表12-10の(24)
bufSize表12-10の(25)
rowSize表12-10の(26)
OSAuthorize表12-10の(27)
HiRDBCursorMode表12-10の(28)
blockUpdate表12-10の(29)
executeDirectMode表12-10の(30)
SQLWarningIgnore表12-10の(31)
LONGVARBINARY_Access表12-10の(32)
XAOpenString表12-10の(33)
XACloseString表12-10の(34)
RMID表12-10の(35)
XAThreadMode表12-10の(36)
XALocalCommitMode表12-10の(37)
PreparedStatementPoolSize0
CallableStatementPoolSize0
CancelStatementfalse
logLevelデフォルト

表12-8 Connector属性ファイルの<property>タグに指定されるプロパティと値

<property-name>タグに指定されるプロパティ<property-value>タグに指定される値
MinPoolSize表12-9の(3)
MaxPoolSize表12-9の(4)
LogEnabledデフォルト
User表12-10の(38)
Password表12-10の(39)
ValidationTypeデフォルト
ValidationIntervalデフォルト
RetryCount表12-9の(10)
RetryInterval表12-9の(11)
ConnectionTimeoutejbserver.connectionpool.connection.timeoutに値が指定されている場合はその値。指定されていない場合はデフォルト。
SweeperIntervalejbserver.connectionpool.sweeper.intervalに値が指定されている場合はその値。指定されていない場合はデフォルト。
RequestQueueEnablefalse
RequestQueueTimeoutデフォルト
WatchEnabledデフォルト
WatchIntervalデフォルト
WatchThresholdデフォルト
WatchWriteFileEnabledデフォルト

表12-9 旧バージョンでcjgetrespropコマンドによって取得したデータソース属性ファイル

タグ名項目番号
<hitachi-datasource-property>
 <description>(1)
 <display-name>(2)
 <property>
  <name>指定されるプロパティについては表12-10参照
  <XADataSource>指定される値については表12-10参照
 <PoolConfiguration>
  <MinimumSize>(3)
  <MaximumSize>(4)
  <Threshold>(5)
  <GrowthIncrement>(6)
  <WaitTimeout>(7)
  <ConnectionTimeout>(8)
  <SweeperInterval>(9)
  <RetryCount>(10)
  <RetryInterval>(11)

(凡例)-:該当しない


表12-10 データソース属性ファイルの<property>タグに指定されるプロパティ

<name>タグに指定されるプロパティ<XADataSource>タグに指定される値
LoginTimeout(12)
NetworkProtocol(13)
ServerName(14)
PortNumber(15)
DatabaseName(16)
Description(17)
DBHostName(18)
DBEnv(19)
EncodLang(20)
JDBC_IF_TRC(21)
SV_EVENT_TRC(22)
TRC_NO(23)
UapName(24)
BufSize(25)
RowSize(26)
OSAuthorize(27)
HiRDBCursorMode(28)
BlockUpdate(29)
ExecuteDirectMode(30)
SQLWarningIgnore(31)
LONGVARBINARY_Access(32)
XAOpenString(33)
XACloseString(34)
RMID(35)
XAThreadMode(36)
XALocalCommitMode(37)
User(38)
Password(39)

なお,移行コマンドでデータソースからDB Connectorへ変換するときに,すでに同一表示名称(display-name)のDB Connector,またはリソースアダプタが存在した場合には,表示名称の最後に連番を付与し,表示名称を一意にします。DB Connectorによる接続については,マニュアル「Cosminexus アプリケーションサーバ 機能解説 基本・開発編(コンテナ共通機能)」の「3.6.1 DB Connectorによる接続の概要」を参照してください。

(23) Naming Manager機能の削除

07-00以降では,07-00より前まで提供していたNaming Manager機能(別名付与とクラスタ化)は使用できません。この機能を使用していた場合は,次に示す機能を使用するように変更してください。

(24) カスタムタグのスクリプト変数定義の変更

07-00以降と07-00より前では,複数のカスタムタグで,スクリプト変数名とスクリプト変数のスコープが重複した場合に,JSPファイルのコンパイル結果が異なります。

(25) <jsp:useBean>タグのclass属性に対するエラーチェックの変更

07-00以降と07-00より前では,<jsp:useBean>タグのclass属性に対して,インスタンス化できないクラス名を指定した場合に,JSPファイルのコンパイル結果が異なります。

(26) タグの属性値のExpressionチェックの変更

07-00以降と07-00より前では,Expressionが指定可能な属性以外にExpressionを指定したタグを含むJSPファイルの場合に,コンパイル結果が異なります。

(27) タグの属性値に指定するExpressionに関する変更

07-00以降と07-00より前では,タグの属性値が,「"<%=」または「'<%=」で開始して,「%>"」または「%>'」で終了していない場合(例えば,「%>」と「"」または「'」の間に,任意の文字列があるような場合)に,JSPファイルのコンパイル結果が異なります。

(28) taglibディレクティブのprefix属性に関する変更

07-00以降と07-00より前では,taglibディレクティブの前に,taglibディレクティブで指定したprefixを使用したカスタムタグを記述している場合に,JSPファイルのコンパイル結果が異なります。

(29) JSPでの$の扱いの変更

07-00以降,JSP仕様では"$"が予約語になっています。

JSPファイル内に"¥$"と記述した場合は,エスケープシーケンスによって"$"と出力されます。"¥$"と出力したい場合には,"¥¥$"と記述してください。

(30) WebコンテナがサポートするServlet仕様のバージョン

Servlet APIでは,WebコンテナがサポートするServlet仕様のバージョン情報を取得できます。バージョン情報を取得できるServlet APIを次に示します。

08-00以降では,WebアプリケーションのバージョンがServlet 2.4/JSP 2.0以前であっても,WebコンテナがサポートするServlet仕様のバージョンはServlet2.5/JSP2.1となります。このため,これらのServlet APIでは,Servlet仕様のバージョン情報としてServeServlet 2.5/JSP 2.1の情報を返します。

(31) Cosminexus RM連携用のリソースアダプタのプロパティへの,CancelStatementプロパティの追加

07-50以降では,Cosminexus RM連携用のリソースアダプタ(DB Connector for Cosminexus RM)で,ステートメントキャンセル機能がデフォルトで有効になります。次に示すRARファイルのConnector属性ファイルの<config-property>タグに,「CancelStatement=true」が追加されます。

なお,07-10以前から移行する場合は,「CancelStatement=false」が設定されます。

(32) リソース枯渇機能でのメモリ枯渇監視情報の計算式の変更

07-60以降,リソース枯渇監視機能のメモリ枯渇監視情報として出力されるRate2の値の計算式が変更になります。

(33) サーブレットのデフォルトマッピングのデフォルトでの無効化

サーブレットのデフォルトマッピングはデフォルトで無効になります。

usrconf.propertiesのwebserver.container.servlet.default_mapping.enabledキーで「true」を指定すると,サーブレットのデフォルトマッピングは有効になります。

アップグレードインストールをした場合,すでにセットアップされているJ2EEサーバには,サーブレットのデフォルトマッピングを有効にする設定(webserver.container.servlet.default_mapping.enabled=true)が自動的に設定されます。

(34) javax.servlet.GenericServletクラスでスローされる例外の変更

javax.servlet.GenericServletクラスがインスタンス変数として保持するServletConfigがnullの場合,次に示すメソッドによってスローされる例外がバージョンごとに異なります。

これらのメソッドによってスローされる例外をバージョンごとに次に示します。

07-60以前
java.lang.NullPointerException
08-00以降
java.lang.IllegalStateException

また,例外のメッセージとして「ServletConfig has not been initialized.」が出力されます。

これらの例外は,次の二つの条件を両方満たす場合にスローされます。

(35) javax.servlet.ServletRequestインタフェースのsetCharacterEncodingメソッド呼び出し時の動作変更

getReaderメソッドを呼び出したあとのsetCharacterEncodingメソッドの呼び出しは無視されるようになりました。次に示す値はgetReaderメソッドを呼び出しても変更されません。

(36) javax.servlet.GenericServletクラスのinit(ServletConfig)メソッドとdestroy()メソッドでのログ出力

javax.servlet.GenericServletクラスがインスタンス変数で持つServletConfigがnullの場合,次のメソッドでログが出力されなくなりました。

(37) javax.servlet.jsp.tagext.TagInfoクラスの定数の値の変更

javax.servlet.jsp.tagext.TagInfoクラスの次に示す定数の値が,すべて大文字から小文字へ変更になります。

(38) JSPのAPIでクラスのメソッドが総称を使用した定義へ変更

次に示すクラスのメソッドが総称を使用した定義になります。

これらのクラスに関連するクラスは,コンパイル時に警告メッセージが出力される場合があります。

なお,動作は08-00より前と変わらないため,クラスの再コンパイルは必要ありません。

(39) javax.servlet.jsp.elパッケージのクラスの非推奨への変更

javax.servlet.jsp.elパッケージの次に示すクラスが非推奨となります。

なお,これらのAPIを使用した場合の動作は08-00より前と変わりません。

(40) ライブラリJAR内のTLDファイルの検索

08-00以降では,ライブラリJARに含まれるTLDファイルを検索し,ライブラリJAR内のタグライブラリが使用できるようになります。ライブラリJARにTLDファイルが含まれる場合,07-60以前では使用できなかったTLDファイルが使用できるようになるため,次の現象が発生します。

(41) 半角英数字以外の文字が含まれている表示名のインポート時の動作変更

J2EEサーバでは,J2EEアプリケーションやリソースなどに設定された表示名(DDの<display-name>タグの値)を識別子として使用します。表示名に半角英数字(0~9,A~Z,a~z)以外の文字が含まれていた場合は,その文字をアンダースコア(_)に変換して識別子を生成します。設定値によっては,変換処理で生成された識別子が重複して操作に失敗することがあります。

(42) 明示管理ヒープ機能によるメモリ使用量の増加とオブジェクトの最大年齢の制限

08-00以降では,明示管理ヒープ機能がデフォルトで有効となります。明示管理ヒープ機能で使用するExplicitヒープの分,システム全体のメモリ使用量が増加します。Explicitヒープのメモリサイズを見積もって,チューニングを実施してください。

なお,07-60以前から08-00以降へ移行するサーバの場合,明示管理ヒープ機能は無効(add.jvm.arg=-XX:-HitachiUseExplicitMemory)となります。

また,明示管理ヒープ機能では,オブジェクトをExplicitメモリブロックにコピーガーベージコレクションのタイミングで移動する処理の中で,オブジェクトの最大年齢(-XX:MaxTenuringThreshold)の値を特殊な値として扱います。これに伴い,通常の年齢管理に利用できる値が1減り,オブジェクトが昇格するタイミングが早まるおそれがあります。

なお,この制限は,明示管理ヒープ機能を無効(add.jvm.arg=-XX:-HitachiUseExplicitMemory)にした場合にも該当します。

各バージョンのオブジェクトの最大年齢(-XX:MaxTenuringThreshold)を次の表に示します。

表12-11 各バージョンのオブジェクトの最大年齢(-XX:MaxTenuringThreshold)

OS06-71まで07-00~07-2007-50~07-6008-00~08-5008-53以降
Windows3131151414
Linux(x86)3131313014
Linux(AMD64 & Intel EM64T)3115151414
Linux(IPF)3115151414
HP-UX(IPF)3131313030
AIX3131313030
Solaris3131313030

(43) HTTPセッションの無効化によるHTTP Cookie情報に対する動作変更

Webアプリケーション内でHTTPセッションを無効化すると,Webクライアントが保持するセッションIDを示すHTTP Cookie情報に対する動作が異なります。

usrconf.propertiesのwebserver.session.delete_cookie.backcompatキーで「true」を指定すると,08-00より前と同じ動作になります。

アップグレードインストールをした場合,すでにセットアップされているJ2EEサーバには,Webクライアントの保持するHTTP Cookie情報を削除しない設定(webserver.session.delete_cookie.backcompat=true)が自動的に設定されます。

(44) -XX:SurvivorRatioのデフォルト値の変更

08-00以降では,すべてのプラットフォームに共通して,JavaVM起動オプションの「-XX:SurvivorRatio=<value>」の<value>のデフォルト値が8になります。

(45) SOAPアプリケーション開発支援機能/SOAP通信基盤のクラスパス

08-00以降では,SOAPアプリケーション開発支援機能/SOAP通信基盤を使用する場合は,J2EEサーバ用オプション定義ファイル(usrconf.cfg)に「add.class.path=<Cosminexusのインストールディレクトリ>¥c4web¥lib¥hitsaaj.jar」の設定が必要になります。

なお,08-00よりも前のバージョンから08-00以降のバージョンに移行する場合は,J2EEサーバの移行コマンドが自動的に設定します。

(46) インターセプタに関連するクラスのパッケージの変更

07-10以降では,インターセプタに関連する次のクラスのパッケージが,javax.ejbからjavax.interceptorに変更になります。

(47) インターセプタに関連するInvocationContextの変更

07-10以降では,インターセプタに関連するInvocationContextに変更があります。変更点を次に示します。

(48) アノテーションの指定方法の変更

07-10以降では,アノテーションの指定方法に変更があります。変更点を次に示します。

(49) Session Bean属性ファイルおよびEJB-JAR属性ファイルの変更

07-10以降,Session Bean属性ファイルおよびEJB-JAR属性ファイルの,次に示すタグ名に変更があります。変更点を次の表に示します。

表12-12 Session Bean属性ファイルおよびEJB-JAR属性ファイルのタグ名の変更

07-00でのタグ名07-10以降でのタグ名
<around-invoke-method>
<method-name>
<method-params>
<around-invoke>
<class>
<method-name>
<post-construct-method>
<method-name>
<method-params>
<post-construct>
<lifecycle-callback-class>
<lifecycle-callback-method>
<pre-destroy-method>
<method-name>
<method-params>
<pre-destroy>
<lifecycle-callback-class>
<lifecycle-callback-method>
<post-activate-method>
<method-name>
<method-params>
<post-activate>
<lifecycle-callback-class>
<lifecycle-callback-method>
<pre-passivate-method>
<method-name>
<method-params>
<pre-passivate>
<lifecycle-callback-class>
<lifecycle-callback-method>

(50) リロード機能適用範囲を指定するプロパティ値の変更

07-10以降,J2EEアプリケーションのリロード機能適用範囲を設定する,usrconf.propertiesのejbserver.deploy.context.reload_scopeキーのデフォルト値が変更になります。07-00では,デフォルト値は「none」でしたが,07-10以降は「app」に変更になります。

なお,移行コマンドを使用して07-00以前から移行する場合は,既定値が有効になります。

(51) 異なるJ2EEアプリケーションに含まれるリソースアダプタでの別名の重複指定

07-50以前では,異なるJ2EEアプリケーションに含まれるリソースアダプタであっても,すでに別のオブジェクトが使用している別名は指定できませんでした。

07-60以降では,異なるJ2EEアプリケーションに含まるリソースアダプタの場合に,すでに同じ名称が指定されている別名でも指定できます。

(52) cjjspcコマンドでのクラスパスに指定したJARファイル内のタグライブラリの使用

08-00以降では,cjjspcコマンドでのJSPコンパイル時,-classpathオプションでクラスパスに指定したJARファイル内のTLDファイルを検索し,JARファイル内のタグライブラリが使用できるようになります。クラスパスに指定したJARファイルにTLDファイルが含まれる場合,07-60以前では使用できなかったTLDファイルが使用できるため,次の現象が発生します。

(53) アノテーション情報取得処理でのクラスロードの例外発生時の動作変更

08-00より前では,次の操作でのアノテーション情報取得処理中に,クラスのロードで例外が発生した場合,エラーとなって処理を中断していました。

08-00以降では,クラスのロードで例外が発生しても例外ログを取得したあと,処理を続行します。

usrconf.propertiesのejbserver.deploy.annotations.load_check.enabledキーで「true」を指定すると,08-00より前と同じ動作となります。

(54) バッチサーバでのejbserver.ctm.enabledパラメタの扱い

08-00以降,バッチサーバでスケジューリング機能を使用するかどうかを選択できるようになりました。スケジューリング機能を使用する場合には,usrconf.propertiesのejbserver.ctm.enabledキーで「true」を指定してください。なお,バッチサーバの場合,ejbserver.ctm.enabledキーのデフォルト値は,CTMを使用できる製品のときでも「false」(スケジューリング機能を使用できない設定)となります。

(55) サーバ管理コマンドの同時実行制御

06-50以降では,排他制御によるサーバ管理コマンドの同時実行制御は,J2EEサーバごとに行います。また,サーバ管理コマンドを,処理内容に応じて「更新」,「参照」,「特権」と三つの系統に分別し,系統ごとに排他制御します。06-50より前では,排他制御によるサーバ管理コマンドの同時実行制御は,CORBAネーミングサービスごとに行っていました。

(a) サーバ管理コマンドの同時実行の制約

06-50より前では,サーバ管理コマンドは,CORBAネーミングサービスごとに同時に一つしか実行できなかったため,同じJ2EEサーバに対してサーバ管理コマンドを同時に実行すると一方のサーバ管理コマンドはエラー終了していました。また,複数のJ2EEサーバを同じCORBAネーミングサービスで管理し,異なるJ2EEサーバに対してサーバ管理コマンドを同時に実行する場合でも,一方のサーバ管理コマンドはエラー終了していました。06-50以降では,同じJ2EEサーバ上で系統が異なるサーバ管理コマンドを同時に実行できます。

同系統のサーバ管理コマンドを同時に実行した場合,あとに実行したサーバ管理コマンドは,最初に実行したサーバ管理コマンドの終了を待ちます。また,同じCORBAネーミングサービスが複数のJ2EEサーバを管理する場合,異なるJ2EEサーバに対してサーバ管理コマンドを同時に実行できます。コマンドの分類については,マニュアル「Cosminexus アプリケーションサーバ リファレンス コマンド編」の「1.1 コマンドの種類」を参照してください。また,サーバ管理コマンドの実行と排他制御については,マニュアル「Cosminexus アプリケーションサーバ アプリケーション設定操作ガイド」の「3.2 サーバ管理コマンドの排他制御」を参照してください。

(b) 時間監視によるロック強制解除

06-50より前では,サーバ管理コマンドがエラーなどによって不正終了し,排他制御のロックが解除されないで不正な状態になった場合,cjresetsvコマンドを実行してロックを強制解除する必要があります。06-50以降では,J2EEサーバとサーバ管理コマンド間の通信間隔の時間を監視し,排他制御のためのロックを強制解除します(J2EEサーバとサーバ管理コマンドは複数回通信します)。これによって,サーバ管理コマンドが処理の途中に不正終了した場合でも,時間監視によってロックが強制解除されます。ただし,時間監視によってロックが強制解除されたあと,サーバ管理コマンドがJ2EEサーバと通信した場合,コマンドはエラー終了します。このような場合には,時間監視によるロック強制解除のタイムアウト値を変更したあとに,サーバ管理コマンドを再実行してください。usrconf.propertiesのejbserver.deploy.exclusive.lockAliveIntervalキーに値を指定することで,タイムアウト値を変更できます。キーの詳細については,マニュアル「Cosminexus アプリケーションサーバ リファレンス 定義編(サーバ定義)」の「2.4 usrconf.properties(J2EEサーバ用ユーザプロパティファイル)」を参照してください。

(c) 排他制御のロック強制解除コマンド

06-50より前では,cjresetsvコマンドのオプションにCORBAネーミングサービスを指定し,排他制御のロックを強制解除していました。06-50以降では,cjresetsvコマンドのオプションにJ2EEサーバを指定し,排他制御のロックを強制解除します。コマンドの詳細については,マニュアル「Cosminexus アプリケーションサーバ リファレンス コマンド編」の「cjresetsv(サーバ管理コマンドの排他強制解除)」を参照してください。

(56) J2EEサーバとの通信の時間監視

06-50以降では,サーバ管理コマンドとJ2EEサーバ間の通信は時間監視され,デフォルトのタイムアウト値は,180(秒)です。06-50より前では,時間監視されません。

注意
06-50より前と同様にJ2EEサーバとの通信を時間監視しない場合には,サーバ管理コマンドのusrconf.propertiesのejbserver.rmi.request.timeoutキーに0を設定します。適切な値を設定して,時間監視機能を使用することをお勧めします。キーの詳細については,マニュアル「Cosminexus アプリケーションサーバ リファレンス 定義編(サーバ定義)」の「2.4 usrconf.properties(J2EEサーバ用ユーザプロパティファイル)」を参照してください。

(57) リデプロイ機能で実施するJ2EEアプリケーション属性の引き継ぎの動作

cjreplaceappコマンドを使用してリデプロイを実施する際に,入れ替え前のJ2EEアプリケーションの情報を,入れ替え後のJ2EEアプリケーションに引き継ぎますが,アプリケーションサーバのバージョンによって引き継ぐ情報が異なります。

06-70より前のバージョンでは,J2EEアプリケーションのランタイム属性だけを引き継ぎます。06-70以降のバージョンでは,デフォルトでは,J2EEアプリケーションのすべての属性情報を引き継ぎます。06-70より前のバージョンと同じように,ランタイム属性だけを引き継ぎたい場合は,オプションを指定してcjreplaceappコマンドを実行します。コマンドの詳細については,マニュアル「Cosminexus アプリケーションサーバ リファレンス コマンド編」の「cjreplaceapp(アプリケーションの入れ替え)」を参照してください。

注※
属性ファイルには,DD(application.xml,ejb-jar.xml,ra.xml,web.xml)の定義と属性ファイル独自の定義が設定できます。属性ファイル独自の定義のことをランタイム属性といいます。

(58) ログファイルの出力方法の変更

07-00以降,サーバ管理コマンドのログファイルの出力方法が変更されます。07-00より前までは,コマンドのプロセスごとにログファイルを生成してログを出力しましたが,07-00以降では,コマンドの複数プロセスで共通のログファイルにログを出力します。

07-00より前から08-00以降へ移行する場合,J2EEサーバの移行コマンドが自動的にejbserver.cui.logfile.compatible=trueを設定するため,07-00より前のログファイルの出力方法でログが出力されます。

(59) 属性ファイルの<icon>タグの変更

07-00以降,次の属性ファイルで,<icon>タグの下位に,<small-icon>タグと<large-icon>タグが出力されるようになりました。

(60) サーバマネジャ,ユーザマネジャの削除

07-00より前までJ2EEアプリケーションやリソースの設定で使用されていたサーバマネジャ(cjadminsvコマンド)とユーザマネジャ(cjadminusrコマンド)は,07-00以降は使用できません。

J2EEアプリケーションやリソースを設定する場合には,サーバ管理コマンドを使用してください。

(61) 属性ファイルのxml:lang属性の出力

07-00以降,次の属性ファイルで,<description>,<display-name>,および<icon>タグにxml:lang属性が出力されるようになりました。xml:lang属性のデフォルト値は「en」です。なお,バージョンによって,xml:lang属性が出力される属性ファイルが異なります。

(62) Connector属性ファイルでのユーザIDおよびパスワードの非表示

07-10以降では,cjgetrespropコマンドまたはcjgetrarpropコマンドでのConnector属性ファイル取得時に,Connector属性ファイルの<property-name>タグの値として「User」または「Password」が設定されている場合,これらのタグに対応する<property-value>タグの値は,セキュリティ上の理由で表示されなくなりました。<property-name>タグの値として「User」または「Password」が設定されているタグの,<property-value>タグの値を変更する場合は,<property-value>タグを追加して変更後の値を設定してください。

(63) メール属性ファイルの<reply-to>タグの削除

07-10以降,メール属性ファイルの<reply-to>タグは削除されました。<reply-to>タグは指定できません。

(64) Connector属性ファイルでのXA_OPEN文字列の非表示

07-50以降では,cjgetrespropコマンド,cjgetrarpropコマンド,またはcjgetapppropコマンドでConnector属性ファイル取得時に,Connector属性ファイルの<config-property-name>タグの値として「XAOpenString」が設定されている場合,このタグに対応する<config-property-value>タグの値は,セキュリティ上の理由で表示されなくなりました。<config-property-name>タグの値として「XAOpenString」が設定されているタグの,<config-property-value>タグの値を変更する場合は,<config-property-value>タグを追加して変更後の値を設定してください。

(65) Connector属性ファイルの構造変更

07-50以降では,Connector属性ファイルの構造が変更され,<outbound-resourceadapter>タグ,および<outbound-resourceadapter>タグの<connection-definition>タグの下位に,次のタグが出力されるようになりました。

(66) 属性ファイル中に指定されたメソッドのチェック

07-50以降では,cjsetapppropコマンドまたはcjsetrespropコマンド実行時に,引数で指定された属性ファイル中の<container-transaction>,<ejb-method-observation-timeout>,または<ejb-transaction-timeout>タグで指定されたメソッドが,Enterprise Bean中にあるかどうかをチェックします。属性ファイル中のこれらのタグに指定されたメソッドが,Enterprise Bean中にない場合は,エラーとなります。

07-10より前から08-00以降へ移行する場合は,J2EEサーバの移行コマンドが自動的にejbserver.cui.checkmethod.compatible=trueを設定するため,07-10より前のメソッドのチェック方法でメソッドはチェックされます。

(67) Connector属性ファイルの<config-property>タグに指定できるプロパティの並び順の変更

07-50以降では,Connector属性ファイルの<config-property>タグに指定できるプロパティの並び順が,一部変更になります。移行コマンドで07-10以前から移行する場合,<config-property>タグに指定できるプロパティの並び順は,07-50以降の並び順に変更されます。

(68) MessageDrivenBean属性ファイルでの指定必須要素の省略

07-60以降で,Connector 1.5仕様に準拠したリソースアダプタの場合,MessageDrivenBean属性ファイルの次に示す要素が省略できます。

ただし,Cosminexus RMおよびTP1/Message Queue - Accessによるデータベース接続で,Message-driven Beanを使用する場合は,MessageDrivenBean属性ファイルでこれらの要素の指定は省略できません。この場合,MessageDrivenBean属性ファイルでこれらの要素の指定を省略しても,cjsetapppropコマンドでの属性設定時にはエラーになりませんが,Message-driven Beanを含むJ2EEアプリケーションの開始時にエラーとなります。

(69) EJB-JAR属性ファイルの<interceptor-class>タグの出現パターンの変更

EJB-JAR属性ファイルの<interceptor-binding>直下の<interceptor-class>タグの出現パターンが変更されます。07-10より前では,<interceptor-class>タグの出現パターンは1回以上でした。07-10以降では,<interceptor-class>タグの出現パターンは0回以上になります。

(70) RMI-IIOPスタブおよびRMI-IIOPインタフェースの取得方法

06-50以降,アプリケーションのRMI-IIOPスタブおよびRMI-IIOPインタフェースを一括で取得する機能をサポートします。06-50より前では,RMI-IIOPスタブ,およびRMI-IIOPインタフェースをJ2EEサーバからダウンロードしていましたが,06-50以降では,cjgetstubsjarコマンドを使用して該当のファイルを一括で取得できます。コマンドの詳細については,マニュアル「Cosminexus アプリケーションサーバ リファレンス コマンド編」の「cjgetstubsjar(アプリケーションのRMI-IIOPスタブおよびインタフェースの取得)」を参照してください。

(71) cjclstartapコマンドの仕様変更

07-10以降,cjclstartapコマンドの仕様が変更になります。変更点を次に示します。

(72) ネーミングサービスの障害検知機能による閉塞のタイミングの変更

ネーミングサービスの障害検知機能を使用している場合,08-00以降と08-00より前では,ネーミングサービスが閉塞されるタイミングが異なります。

(73) JSPから生成されたサーブレット用コンパイラのバージョン

製品のバージョンによって,インストールされるJDKが異なります。J2EEサーバでは,インストールされているjavacコンパイラのデフォルトバージョンのJava言語仕様に従ってJSPから生成されたサーブレットのソースファイルをコンパイルします。

コンパイルするJava言語仕様のバージョンを次の表に示します。

表12-13 コンパイルするJava言語仕様のバージョン

アプリケーションサーバのバージョンJDKのバージョンコンパイルJava言語仕様バージョン
Version 6JDK 1.4J2SE 1.3
Version 7JDK 5.0J2SE 5.0
Version 8JDK 6Java SE 6
JDK 5.0J2SE 5.0
注意
移行前と同様のJava言語仕様に従ってJSPから生成されたサーブレットのソースファイルをコンパイルする場合は,J2EEサーバ用のユーザプロパティファイル(usrconf.properties)のwebserver.jsp.compile.backcompatキーに「1.2」「1.3」「1.4」「1.5」または「5」を設定します。このプロパティは,インストールしているJDKのコンパイルでエラーが発生する場合だけ使用してください。

(74) 明示管理ヒープ機能での自動解放機能の追加

08-50以降では明示管理ヒープ機能で自動解放機能を使用できるようになります。08-50より前のバージョンから,08-50以降へ移行するサーバでは明示管理ヒープ機能での自動解放機能は無効になります。

(75) POSTリクエストのフォームデータの最大サイズの制限

POSTリクエストのフォームデータ(Content-Typeヘッダの値がapplication/x-www-form-urlencodedの場合のPOSTデータ)の最大サイズがデフォルトで2MBに制限されます。アップグレードインストールをした場合,すでにセットアップされているJ2EEサーバには,POSTリクエストのフォームデータの最大サイズを無制限にする設定(webserver.connector.limit.max_post_form_data=-1)が自動的に実施されます。

(76) TP1インバウンド連携機能でのコネクション保持のサポートと,最大同時接続数のデフォルト値,使用するスレッド数,ファイルディスクリプタ数,ポート番号の変更

(77) javax.servlet.http.HttpServletRequestインタフェースのgetSessionメソッドでスローされる例外の変更

web.xmlに指定したエラーページ内で,データベースセッションフェイルオーバ機能の抑止によってデータベースセッションフェイルオーバ機能が無効となったリクエストに対して,javax.servlet.http.HttpServletRequestインタフェースのgetSession()メソッド,またはgetSession(boolean create)メソッドを呼び出した時にスローされる例外は,バージョンごとに異なります。バージョンごとにスローされる例外を次に示します。

08-70以降で08-53以前と同じ例外をスローさせる場合は,簡易構築定義ファイルの論理J2EEサーバ(j2ee-server)の<configuration>タグ内に次のパラメタを設定する必要があります。

パラメタ名
webserver.dbsfo.exception_type_backcompat
true

(78) データベースセッションフェイルオーバ機能での完全性保障モードの変更

08-70以降のデータベースセッションフェイルオーバ機能では,完全性保障モードを無効にする機能をサポートしました。08-53以前は,完全性保障モードは常に有効でしたが,08-70以降ではデフォルトで無効になります。有効にする場合,簡易構築定義ファイルの論理J2EEサーバ(j2ee-server)の<configuration>タグ内に次のプロパティを設定する必要があります。

パラメタ名
webserver.dbsfo.integrity_mode.enabled
true