アプリケーションサーバの移行の概要について説明します。
旧バージョンからアプリケーションサーバ 08-70へ移行するためには,アップグレードインストールを行います。アップグレードインストールとは,インストール先のマシンに旧バージョンのアプリケーションサーバがインストール済みの場合のインストールです。
なお,アップグレードインストールの場合は,アプリケーションサーバのインストールディレクトリを旧バージョンのインストールディレクトリから変更できません。旧バージョンがインストールされているディレクトリに上書きインストールされます。
旧バージョンからアプリケーションサーバ 08-70へ移行する場合の,J2EEサーバの動作モードの対応を次の表に示します。
表12-1 移行時のJ2EEサーバの動作モードの対応
移行前の旧バージョンでのJ2EEサーバの動作モード | 移行後のJ2EEサーバの動作モード |
---|---|
アドバンスドモード スタンダードモード | 1.4モード |
ベーシックモード | ベーシックモード |
なお,ベーシックモードは,互換用のサーバの動作モードであり,1.4モードに比べて,使用できる機能に制限があります。J2EEサーバの動作モードとしては,1.4モードを使用することをお勧めします。
アプリケーションサーバを旧バージョンから08-70に移行する場合,旧バージョンで使用されていた,<Cosminexusのインストールディレクトリ>以下に配置される定義情報,DD情報,構成情報などのユーザ資産は,移行コマンドなどで必要に応じて自動変換され,08-70で引き続き使用されます(一部,手動での定義修正が必要な場合もあります)。また,移行コマンドを実行すると,移行元バージョンから移行先バージョン間のすべてのバージョンごとに移行処理が実施されます。例えば,08-00から08-70へ移行する場合,08-00から08-50への移行,08-50から08-53への移行,08-53から08-70への移行というように処理が実施されます。
Cosminexus Component Containerで引き継がれる定義情報,DD情報,構成情報などを次の表に示します。他構成ソフトウェアについては,それぞれのドキュメントを参照してください。
表12-2 Cosminexus Component Containerで移行時に引き継がれる情報
機能 | 引き継がれる情報 | ファイル名称,または格納場所 |
---|---|---|
J2EEサーバ | オプション定義ファイル | usrconf.cfg |
ユーザプロパティファイル | usrconf.properties | |
セキュリティポリシーファイル | server.policy | |
Webアプリケーションプロパティファイル | hitachi_web.properties | |
作業ディレクトリ
| オプション定義ファイルで指定されているejb.public.directoryの値。デフォルトは,次のとおり。
| |
バッチサーバ | オプション定義ファイル | usrconf.cfg |
ユーザプロパティファイル | usrconf.properties | |
セキュリティポリシーファイル | server.policy | |
作業ディレクトリ
| オプション定義ファイルで指定されているejb.public.directoryの値。デフォルトは,次のとおり。
| |
サーバ管理コマンド | オプション定義ファイル |
|
ユーザプロパティファイル | usrconf.properties | |
Webサーバ連携 | Hitachi Webサーバ用リダイレクタ動作定義ファイル | mod_jk.conf |
Microsoft IIS用リダイレクタ動作定義ファイル(Windowsだけのファイル) | isapi_redirect.conf※ | |
Microsoft IIS用マッピング定義ファイル(Windowsだけのファイル) | uriworkermap.properties | |
ワーカ定義ファイル | workers.properties | |
Management Server | 運用管理エージェントプロパティファイル | adminagent.properties |
運用管理エージェント設定ファイル | adminagent.xml 別のファイル名称でバックアップされたあと,新規のファイルで上書きされます。 Management Serverの「論理サーバの起動/停止」で使用する環境変数を指定する機能を利用している場合,手動による定義修正が必要となります。 | |
運用監視エージェント設定ファイル | mngagent.<実サーバ名>.properties | |
Management Server環境設定ファイル | mserver.properties | |
mngsvrutilコマンドのサーバ側定義ファイル | mngsvrutil.properties | |
構成情報定義 |
| |
Managementアクション実行用プロパティファイル | maction.properties | |
Management Server用メッセージマッピングファイル | mserver.jp1event.system.mapping.properties | |
J2EEサーバ共通用メッセージマッピングファイル | manager.jp1event.system.mapping.properties | |
J2EEサーバ個別用メッセージマッピングファイル | manager.<論理サーバ名>.jp1event.system.mapping.properties | |
J2EEアプリケーションの登録ディレクトリのデフォルトパス |
| |
統合ユーザ管理 | JAASのコンフィグレーションファイル | jaas.conf |
統合ユーザ管理のコンフィグレーションファイル | ua.conf | |
カスタムログインモジュール格納用ディレクトリ |
| |
Smart Composer機能 | サーバ設定プロパティファイル | cmxserver.properties |
負荷分散機定義プロパティファイル | lb.properties |
注※ Windows Server 2003の場合で,06-02以前のバージョンからアップグレードインストールしたときは,既存のMicrosoft IIS用リダイレクタ動作定義ファイルはisapi_redirect.conf.backという名称でバックアップされます。
アプリケーションサーバをアップグレードインストールする場合,または旧バージョンのJ2EEアプリケーションをインポートする場合には,次に示す処理で,自動的にJ2EEアプリケーションに含まれるEJBの再デプロイが実行されます。
J2EEアプリケーションにEJBが含まれている場合は,旧バージョンのアプリケーションサーバで同一の処理を実行したときと比べて性能が悪くなります。