4.4.2 OpenTP1のサーバの機能との対応

TP1インバウンドアダプタは,「4.4.1 クライアントでサポートするOpenTP1の機能」で示した機能のうち,TP1インバウンドアダプタで使用できる機能を使用して送信されたRPCを受け付ける機能を備えています。ただし,OpenTP1のSPPおよびスケジュールサービスで提供されているすべての機能を同じように使用できるわけではありません。

TP1インバウンドアダプタを使用して実現できることの詳細については,「4.6 RPC通信機能」および「4.7 スケジュール機能」で説明します。

ここでは,TP1インバウンドアダプタとOpenTP1のサーバで動作するSPPの機能との対応を次の表に示します。また,機能差または代替機能がある場合にその概要についても説明します。なお,OpenTP1の機能の詳細については,マニュアル「OpenTP1 解説」およびマニュアル「OpenTP1 プログラム作成の手引」を参照してください。

表4-3 OpenTP1のサーバの機能との対応

機能の分類OpenTP1の機能使用可否機能差または代替機能の概要
受け付け可能なRPC形態同期応答型RPC機能差はありません。
非同期応答型RPC×使用できません。
非応答型RPC×
連鎖RPC×
トランザクショナルRPC機能差はありません。
RPC機能ネストを使用したコール×TP1インバウンドアダプタでは,別のOpenTP1のSPPへのネストコールは実行できません。
ただし,TP1/ClientなどのOpenTP1にOutboundでの接続をするための機能によって,ネストコールを実現できます。
また,リモートEJB呼び出しなど,アプリケーションサーバ間でネストの呼び出しは実現できます。
リカーシブコール×使用できません。
コールバック×
リモートAPI機能リモートAPIの受け付け×
サービスサービスリトライ機能×
サービス実行のタイマ監視アプリケーションサーバ独自の方式でのタイマ監視を実行できます。詳細は,「4.7.4 サービス実行のタイムアウト」を参照してください。
サービスの並列処理スレッドを使用してサービスを並列処理できます。
サービスグループ閉塞×使用できません。
サービス閉塞×
サービスの同時実行数制御アプリケーションサーバ独自の方式で同時実行数を制御できます。詳細は,「4.7.3 Message-driven Bean(サービス)の同時実行数の制御」を参照してください。
電文操作電文の圧縮×常に非圧縮の状態で応答します。TP1インバウンドアダプタが圧縮された電文を受け取った場合は,エラーを返却します。
スケジュールサービスサービス単位のスケジュールキュー×使用できません。
サービスグループ単位のスケジュールキュー機能差はありません。
スケジュール閉塞×使用できません。
スケジュールプライオリティ制御×
サービスのスケジュール方式サービスのスケジュールは常にFIFO方式で制御されます。
スケジュールキューの滞留の監視アプリケーションサーバ独自の方式でスケジュールキューの滞留を監視できます。
負荷バランスマルチサーバ負荷バランスアプリケーションサーバでは,プロセスではなくスレッドを使用します。
また,アプリケーションサーバ独自の機能を使用して,負荷に応じてスレッド数を調整できます。詳細は,「4.7.3 Message-driven Bean(サービス)の同時実行数の制御」を参照してください。
マルチスケジューラ×使用できません。
ただし,アプリケーションサーバではマルチスレッドでリクエストを処理するため,マルチスケジューラ機能を使用しなくても一つのスケジュールサービスで複数のリクエストを処理できます。
ノード間負荷バランス×使用できません。
アプリケーションサーバでは,負荷情報は管理しません。
ノード間の振り分けには,ユーザサービスネットワーク定義による,ランダムなサービス要求だけが使用できます。これは,ユーザサービスネットワーク定義に複数のホストを記載すると,OpenTP1の機能によってランダムに決定されたノードにサービス要求が転送される機能です。一度決定した転送先ノードは,基本的には固定されます。また,オプションの定義によって,ノード決定を定期間隔で再決定できるようにチューニングできます。
コネクションコネクション確立/通信制御データのタイマ監視アプリケーションサーバ独自の方式でのタイマ監視を実行できます。詳細は,「4.7.4 サービス実行のタイムアウト」を参照してください。
コネクション確立要求のキューアプリケーションサーバ独自の方式で管理するキューを使用できます。詳細は,「4.6 RPC通信機能」を参照してください。
一時クローズ処理機能機能差はありません。
応答用TCP/IPコネクションの接続リトライ使用できます。
詳細は,「4.6 RPC通信機能」を参照してください。
性能/障害調査同期型dc_rpc_call関数のタイムアウト時のサーバ負荷軽減機能×アプリケーションサーバでは,クライアント側のタイムアウトに関係なく,サービス応答を実行します。
性能トレース取得機能使用できます。
ただし,出力ファイルおよびファイルの内容は,アプリケーションサーバの性能解析トレースとしてのものになります。
OpenTP1デバッグ情報取得機能×OpenTP1独自のログは使用できません。
アプリケーションサーバでは,性能解析トレースまたはメッセージログを使用してデバッグを実行する必要があります。
RPCトレース×OpenTP1独自のログは使用できません。
アプリケーションサーバでは,通信トレースに相当するログは取得できません。ただし,クライアントのOpenTP1側のRPCトレースや,性能解析トレースを使用してリクエストの調査は実現できます。
統計情報取得×OpenTP1独自のログは使用できません。
ただし,アプリケーションサーバの稼働統計情報は取得できます。
監査ログ×OpenTP1独自の監査ログは使用できません。
ただし,アプリケーションサーバの監査ログは使用できます。
そのほかMCFサービス×使用できません。
XATMIインタフェース(X/Open準拠)を使った通信×
TXインタフェース(X/Open準拠)を使った通信×
TxRPCインタフェース(X/Open準拠) を使った通信×
OSI TPプロトコルを使った通信×
(凡例)
○:使用できる
×:使用できない
△:使用できるが機能差がある
注※
dc_rpc_call関数で呼び出されたSPP内で,呼び出し元のサービスに対してee_rpc_call関数を発行する機能です。