3.17.1 クラスタコネクションプールの概要

クラスタ化されたコネクションプールのことをクラスタコネクションプールといいます。ここでは,クラスタコネクションプールの構成,およびクラスタコネクションプールで使用できる機能について説明します。

<この項の構成>
(1) クラスタコネクションプールの構成
(2) 前提条件
(3) データベース接続で使用できるJ2EEコンポーネントおよび機能
(4) 使用できるリソース接続とトランザクション管理の機能

(1) クラスタコネクションプールの構成

クラスタコネクションプールは,各データベースノードと接続するメンバリソースアダプタと,それら複数のメンバリソースアダプタを束ねるルートリソースアダプタで構成されています。ルートリソースアダプタとメンバリソースアダプタについて説明します。

コネクションプールをクラスタ化しているときのコネクション取得時の処理の流れを次の図に示します。

図3-61 コネクション取得時の処理の流れ

[図データ]

  1. J2EEアプリケーションは,ルートリソースアダプタに対しコネクション取得要求をする。
  2. ルートリソースアダプタは,メンバコネクションプールを一つ選択し,コネクション取得要求を出す。
  3. メンバコネクションプールからコネクションが選択され,J2EEアプリケーションに返す。

(2) 前提条件

コネクションプールのクラスタ化機能を利用できるデータベースは,Oracle10gまたはOracle11gでRAC機能を使用している場合だけです。使用できるJDBCドライバは,Oracle JDBC Thin Driverです。

(3) データベース接続で使用できるJ2EEコンポーネントおよび機能

コネクションプールのクラスタ化機能を使用している場合に,データベース接続で使用できるJ2EEコンポーネントおよび機能を次の表に示します。

表3-76 データベース接続で使用できるJ2EEコンポーネントおよび機能(コネクションプールのクラスタ化機能)

項目Oracle10gまたはOracle11g(コネクションプールのクラスタ化機能を使用した場合)
J2EEコンポーネントServlet/JSP
Stateless Session Bean
Stateful Session Bean
Entity Bean(BMP)
Entity Bean(CMP1.1)×
Entity Bean(CMP2.0)×
Message-driven Bean×
使用できる機能コネクションプーリング
コネクションプールのウォーミングアップ
コネクションプールの情報表示(cjlistpoolコマンド)
コネクションプールのクリア
リソースへの接続テスト
コネクションの障害検知
ステートメントプーリング
ステートメントキャンセル ※1
ステートメントsetQueryTimeoutメソッド ※2
コネクションIDのPRFトレース出力
障害調査用SQLの出力

(凡例)○:使用できる ×:使用できない △:一部制限あり

注※1 接続形式がMTS接続のときに使用できます。専用接続では使用できません。

注※2 MTS接続は有効に働きますが,専用接続には制限があります。詳細はオラクルのサポートサービスにお問い合わせください。


注意
リソースアダプタを使用する場合,J2EEアプリケーションからリソースアダプタへのリファレンスを解決しておく必要があります。リソースアダプタを使用しているJ2EEアプリケーションをカスタマイズするときに,J2EEアプリケーションからリソースアダプタへのリファレンスを解決しておいてください。

(4) 使用できるリソース接続とトランザクション管理の機能

ルートリソースアダプタ,およびメンバリソースアダプタで使用できる機能については,「3.3.4 リソースアダプタの機能」を参照してください。