6.7.1 J2EEアプリケーション開発の流れ

アプリケーション開発環境での,開発環境の準備とJ2EEアプリケーション開発の流れについて説明します。次の図に,アプリケーションの開発の流れと,参照するマニュアルの対応を示します。

図6-3 J2EEアプリケーション開発の流れと参照マニュアルの対応

[図データ]

注 マニュアル名称の「Cosminexus アプリケーションサーバ」または「Cosminexus」は省略しています。
注※1 次の6冊が該当します。
  • Cosminexus アプリケーションサーバ 機能解説 基本・開発編(Webコンテナ)
  • Cosminexus アプリケーションサーバ 機能解説 基本・開発編(EJBコンテナ)
  • Cosminexus アプリケーションサーバ 機能解説 基本・開発編(コンテナ共通機能)
  • Cosminexus アプリケーションサーバ 機能解説 拡張編
  • Cosminexus アプリケーションサーバ 機能解説 運用/監視/連携編
  • Cosminexus アプリケーションサーバ 機能解説 保守/移行/互換編
注※2 アプリケーションの形式によっては不要です。
注※3 開発環境でcosminexus.xmlに定義済みの場合は不要です。

図中の(1)~(7)の作業の概要を説明します。なお,作成するアプリケーションによって固有の作業がある場合は,そのつど説明します。

<この項の構成>
(1) 開発環境のセットアップ
(2) アプリケーションの設計
(3) プログラミング/コンパイル/デバッグ
(4) アーカイブファイルの作成
(5) デバッグ環境の開始
(6) 実行/テスト/デバッグ
(7) アプリケーション/リソースの実行時属性の設定

(1) 開発環境のセットアップ

開発環境に必要な製品(Developer Standard,Developer ProfessionalまたはService Architect)をインストールして,開発環境およびデバッグ環境をセットアップします。開発環境およびデバッグ環境のセットアップには,インスタントセットアップ機能を使用できます。この機能によって,次の環境をセットアップできます。

ただし,インスタントセットアップ機能で構築できる環境は,アプリケーションを開発・デバッグするために必要な最小限の環境です。WebサーバやCTMなど,開発環境のインスタントセットアップ機能の対象に含まれない機能を使用したテストを実行したい場合には,Smart Composer機能を使用してシステムを構築してください。

インスタントセットアップ機能については,マニュアル「Cosminexus アプリケーションサーバ アプリケーション開発ガイド」の「2.4 MyEclipseセットアップ機能を使用したセットアップ」を参照してください。Smart Composer機能については,マニュアル「Cosminexus アプリケーションサーバ システム構築・運用ガイド」を参照してください。

(2) アプリケーションの設計

実現したい業務の内容に応じて適切なアプリケーションの形態を検討,設計します。また,フレームワークを使用する場合は,どのフレームワークを使用するかも検討します。Webアプリケーションを開発する場合は,画面のレイアウトや画面遷移についても設計しておきます。

なお,UMLを使用してアプリケーションを設計する場合は,MyEclipseの機能を利用することもできます。

(3) プログラミングコンパイルデバッグ

設計した内容に応じて,サーブレット,JSP,Enterprise Beanなどで処理を実装して,コンパイルします。実装やコンパイルには,Eclipseなどを使用します。

また,アプリケーションの内容に応じたDDも定義します。コンパイルで問題が発生した場合はデバッグを実施します。

アプリケーションサーバ独自の機能を実装する場合は,機能解説のマニュアルを参照します。実行環境でのシステムの仕様(機能)検討で選択した機能に応じて,必要な機能を実装してください。参照するマニュアルについては,「4.6 導入から運用までの流れ」を参照してください。

また,アプリケーション開発で使用する機能やアプリケーションの種類に応じて,次のマニュアルも参照してください。

J2EEアプリケーションを開発する場合
JSP,サーブレット,およびEnterprise Beanを作成します。
  • JSPおよびサーブレットの作成
    MyEclipseを使用すると,ひな型を利用してJSPおよびサーブレットを作成できます。また,MyEclipseのビジュアルJSPデザイナーを使用することで,グラフィカルにJSPを編集できます。
  • Enterprise Beanの作成
    Enterprise Beanの実装には,Eclipseの標準機能を使用できます。
J2EEアプリケーションを開発する場合は,マニュアル「Cosminexus アプリケーションサーバ アプリケーション開発ガイド」の「1.5 J2EEアプリケーション開発の流れ」を参照してください。
また,J2EEアプリケーション開発とあわせて,アプリケーションやリソースの実行時属性をcosminexus.xmlに定義します。cosminexus.xmlの定義方法については,マニュアル「Cosminexus アプリケーションサーバ 機能解説 基本・開発編(コンテナ共通機能)」の「10. アプリケーションの属性管理」を参照してください。cosminexus.xmlの詳細については,マニュアル「Cosminexus アプリケーションサーバ リファレンス 定義編(アプリケーション/リソース定義)」の「2. Cosminexusアプリケーション属性ファイル(cosminexus.xml)」を参照してください。
Webサービスを開発する場合
サーバ側とクライアント側のアプリケーションの実装が必要です。開発方法には,WSDLを起点にする方法と,SEIを起点にする方法があります。WSDLを起点にする方法の詳細については,マニュアル「Cosminexus アプリケーションサーバ Webサービス開発の手引」の「2.1.1 WSDLを起点とした開発の流れ」を参照してください。SEIを起点にする方法の詳細については,マニュアル「Cosminexus アプリケーションサーバ Webサービス開発の手引」の「2.1.2 SEIを起点とした開発の流れ」を参照してください。
なお,既存機能であるSOAPアプリケーション開発支援機能を使用する場合は,マニュアル「Cosminexus アプリケーションサーバ SOAPアプリケーション開発の手引」を参照してください。
また,Webサービスセキュリティの技術を使用する場合は,マニュアル「Cosminexus アプリケーションサーバ Webサービスセキュリティ 使用の手引」を参照してください。XML署名およびXML暗号を使用する場合は,マニュアル「Cosminexus XML Security - Core ユーザーズガイド」を参照してください。
メッセージを使用した非同期通信用のアプリケーションを開発する場合
JMSインタフェースを使用してメッセージを操作するアプリケーションを開発します。
Cosminexus JMSプロバイダを使用する場合のアプリケーションの開発方法や注意事項などについては,マニュアル「Cosminexus アプリケーションサーバ 機能解説 基本・開発編(コンテナ共通機能)」の「7. Cosminexus JMSプロバイダ」を参照してください。
Cosminexus RMを使用する場合のアプリケーションの開発方法,およびCosminexus RMが提供するインタフェースについては,マニュアル「Cosminexus Reliable Messaging」を参照してください。なお,Cosminexus RMを使用する場合は,転送データ相互接続用インタフェースも使用できます。

(4) アーカイブファイルの作成

実装したサーブレット,JSP,Enterprise Beanを,WARまたはEJB-JARの形式にアーカイブします。さらに,WARおよびEJB-JARをEARの形式にアーカイブします。アーカイブを作成するには,EclipseなどのIDEや,jarコマンドを使用します。

一度,J2EEサーバにデプロイしたアプリケーションは,サーバ管理コマンドというCUIを使用すると,EAR形式でアーカイブして,J2EEサーバから取り出すことができます。Eclipseの操作方法については,マニュアル「Cosminexus アプリケーションサーバ アプリケーション開発ガイド」を参照してください。サーバ管理コマンドの操作方法については,マニュアル「Cosminexus アプリケーションサーバ アプリケーション設定操作ガイド」を参照してください。

また,アプリケーションサーバでは,アーカイブファイルを作成しないで,ディレクトリに展開されたファイル群をアプリケーション(展開ディレクトリ形式のアプリケーション)としてJ2EEサーバにインポートすることもできます。この形式を利用する場合は,アーカイブファイルの作成は不要です。

ポイント
  • MyEclipseでアプリケーションを開発する場合,アプリケーション開発中にアプリケーションの形式(アーカイブ形式または展開ディレクトリ形式)を意識する必要はありません。
  • MyEclipseでアプリケーションをデプロイするときに形式を指定すると,アプリケーションは,指定した形式でJ2EEサーバにデプロイされます。あらかじめ,アーカイブファイルを作成しておく必要はありません。

(5) デバッグ環境の開始

アプリケーションのテストを実行するための環境を準備します。J2EEサーバなど,アプリケーションサーバで必要なプロセスを起動します。また,必要に応じて,データベースなど連携するシステムも起動します。

デバッグ環境で必要なサーバプロセスの起動は,MyEclipseで実行できます。MyEclipseを使用したアプリケーション開発の延長でテストを実施する場合は,MyEclipseから起動すると便利です。

アプリケーションのデプロイ,実行,テストは,MyEclipseで実行できます。また,開発環境のインスタントセットアップ機能で構築したシステムの場合,テストに使用する組み込みデータベースの開始・停止などの操作は,スタートメニューから実行できます。それ以外の場合は,Developerで提供するコマンドを使用して,データベースを開始できます。

MyEclipseについては,マニュアル「Cosminexus アプリケーションサーバ アプリケーション開発ガイド」の「2.4 MyEclipseセットアップ機能を使用したセットアップ」を参照してください。なお,デバッグ環境でJSPデバッグ機能を使用する場合は,マニュアル「Cosminexus アプリケーションサーバ 機能解説 基本・開発編(Webコンテナ)」の「2.4 JSPデバッグ機能」を参照してください。

(6) 実行テストデバッグ

デバッグ環境にアプリケーションをデプロイ,実行して,テストを実施します。テストで問題があった場合はデバッグを実施します。

デバッグ環境でのアプリケーションの実行,テストについては,MyEclipseで実行します。MyEclipseでのアプリケーションの実行,テストについては,マニュアル「Cosminexus アプリケーションサーバ アプリケーション開発ガイド」の「2.4 MyEclipseセットアップ機能を使用したセットアップ」を参照してください。

ポイント
  • 展開ディレクトリ形式のアプリケーションの場合,一度デプロイしたアプリケーションをデバッグで修正したときには,リロードによってアプリケーションを再読み込みできます。リロードをする場合,デバッグ時のアプリケーションの停止,削除,インポート後の再開始などの作業が不要になります。アプリケーションのリロードの詳細については,マニュアル「Cosminexus アプリケーションサーバ 機能解説 基本・開発編(コンテナ共通機能)」の「12.8 J2EEアプリケーションの更新検知とリロード」を参照してください。
  • デバッグ環境のチューニングが必要な場合,運用管理ポータルを使用します。運用管理ポータルは,WebブラウザからJ2EEサーバやWebサーバなどの設定を変更する機能です。運用管理ポータルの使用方法については,マニュアル「Cosminexus アプリケーションサーバ 運用管理ポータル操作ガイド」を参照してください。

(7) アプリケーション/リソースの実行時属性の設定

アプリケーションやリソースの実行時属性の設定は,アプリケーション開発時にcosminexus.xmlに定義します。このため,開発環境でcosminexus.xmlに属性を設定済みの場合,この手順は不要です。ただし,J2EEアプリケーションを実行環境のJ2EEサーバにインポートしたあとで実行時属性を変更する場合には,cosminexus.xmlの定義を変更するほかに,サーバ管理コマンドを使用して変更することもできます。J2EEアプリケーションをEARの形式にアーカイブしている場合,cosminexus.xmlを編集するには,EARを解凍する必要があるため手間が掛かります。サーバ管理コマンドを使用するとEARを解凍することなく,アプリケーションやリソースの実行時属性を変更できます。なお,展開ディレクトリ形式のアプリケーションの場合は,cosminexus.xmlを直接編集できます。サーバ管理コマンドの操作方法については,マニュアル「Cosminexus アプリケーションサーバ アプリケーション設定操作ガイド」のサーバ管理コマンドによる操作の説明を参照してください。