4.4.1 Webサービスの実行環境

Webサービスは,Webの標準技術を利用してネットワーク上でサービスを公開,実行できるアプリケーションです。

Webサービスでは,クライアントとサーバ間のメッセージ交換用のプロトコルにSOAPを利用しています。クライアントからサーバにメッセージを送信して,サーバ側で提供されるサービスを利用します。SOAPアプリケーションのクライアントとサーバ間でやり取りするメッセージをSOAPメッセージといいます。

Webサービスの実行環境は,Webサービスを呼び出すクライアントと,Webサービスを提供するサーバで構成されます。クライアントとサーバには,SOAPメッセージのマーシャル処理とアンマーシャル処理を実行するためのJAX-WSエンジンを配置します。

Webサービスの実行環境の例を次の図に示します。

図4-12 Webサービスの実行環境の例

[図データ]

この図の場合は,Webサービスのクライアントをアプリケーションサーバとして構築しています。Webクライアントからのリクエストを受け付けたアプリケーションサーバがWebサービスのクライアントになり,サーバに当たるアプリケーションサーバ上のWebサービスを呼び出します。Webサービスのクライアントでは,JAX-WSエンジンによって,JavaオブジェクトからSOAPメッセージ(XMLデータ)を生成します(マーシャル処理)。メッセージを受け取ったサーバでは,JAX-WSエンジンによってSOAPメッセージからJavaオブジェクトを生成して(アンマーシャル処理),Webサービスを実行します。

ポイント
Webサービスのクライアントとサーバに使用できる製品を次の表に示します。

表4-1 Webサービスのクライアントとサーバに使用できる製品

構築する実行環境使用できる製品
WebサービスのクライアントApplication Server Standard
Application Server Enterprise
Service Platform
Developer Professional
Service Architect
uCosminexus Client
WebサービスのサーバApplication Server Standard
Application Server Enterprise
Service Platform
Developer Professional
Service Architect

注※ 開発環境でのデバッグ環境として使用できます。


Webサービスで実現できることの詳細については,マニュアル「Cosminexus アプリケーションサーバ Webサービス開発の手引」を参照してください。

参考
07-60以前からアプリケーションサーバが提供していたSOAPアプリケーション開発支援機能を使用した実行環境も構築できます。
従来のSOAPアプリケーション開発支援機能を使用する場合,クライアントには,SOAPアプリケーションを呼び出すためのSOAPクライアントライブラリが必要です。サーバには,クライアントとSOAPサービスの送受信の仲介をするエンジンである,SOAPエンジンが必要です。SOAPアプリケーションのサーバは,アプリケーションサーバとして構築します。クライアントは,アプリケーションサーバ,またはコマンドラインで動作するJavaアプリケーションの実行環境として構築します。
既存のSOAPアプリケーション開発支援機能を使用して構築した実行環境の例を次の図に示します。

図4-13 SOAPアプリケーションの実行環境の例

[図データ]
この図の場合は,クライアントをアプリケーションサーバとして構築しています。Webクライアントからのリクエストを受け付けたアプリケーションサーバがSOAPアプリケーションのクライアントになり,サーバに当たるアプリケーションサーバ上のSOAPサービスを呼び出します。SOAPアプリケーションのクライアントでは,SOAPクライアントライブラリを使用して,サーバにメッセージを送信します。メッセージを受け取ったサーバでは,SOAPエンジンを介してSOAPサービスを実行し,レスポンスをメッセージとしてクライアントに返します。
SOAPアプリケーション開発支援機能については,マニュアル「Cosminexus アプリケーションサーバ SOAPアプリケーション開発の手引」を参照してください。