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uCosminexus Application Runtime for Apache Tomcat ユーザーズガイド


2.1.1 uCARTによる性能影響を確認する

uCARTでは保守性を向上させるために,Tomcatサーバプロセスに対するトレース情報を拡充しています。また,Tomcatサーバプロセスに対する稼働監視を強化しています。

そのため,Tomcatの起動および停止性能や,アプリケーションに対するリクエスト処理性能に若干の影響を及ぼします。

uCARTを使用する場合は,次に示す性能影響があります。これらの性能影響を考慮して性能設計をしてください。

〈この項の構成〉

(1) リクエスト処理性能

uCARTのトレース機能では,リクエスト処理とは別スレッドでログ出力をします。これによって,リクエスト処理性能への影響を極小化しています。ただし,トレース情報として出力する値を取得するために,リクエスト処理スレッド上で実施する処理があるので,若干の性能影響が生じます。アプリケーションの内部留保時間に関係なく,リクエストごとに処理時間が一定であるため,内部留保時間が長い場合は無視できる範囲の影響です。ただし,内部留保時間が短い場合は無視できない性能影響となるおそれがあります。uCART適用後の環境で性能評価をすることを強く推奨します。

(2) 起動性能

Tomcatサーバプロセスを起動させる前にTomcatプロセスモニタの起動処理が割り込むことになります。そのため,アプリケーションの規模や個数に関係なく,起動に掛かる時間が数秒増加します。

この起動時間の増分は,スケールアウトを開始してからアプリケーションが稼働状態になるまでの時間に影響します。

(3) 停止性能

Tomcatサーバプロセスを停止させる前に,スナップショットログ収集機能でTomcat稼働中情報が必ず取得されます。停止処理に失敗する可能性を考慮し,結果的に正常停止であっても取得されます。そのため,Tomcat稼働中情報の取得処理によって停止時間が増加します。Tomcat稼働中情報の取得については,「11. スナップショットログ収集機能」を参照してください。

なお,異常停止だけでなく,正常停止でもスナップショットログを収集する設定にしている場合は,スナップショットログ収集処理時間の分,さらに停止時間が増加します。スナップショットログ収集に必要な処理時間は,収集対象のデータ量に比例して増加します。

この停止時間の増分は,システム全体の稼働時間には影響しませんが,リクエストを閉塞させてからスケールインが完了するまでの時間には影響します。