はじめに

このマニュアルは,次に示すプログラムプロダクトの機能と使用方法について説明したものです。

対象読者

このマニュアルは,COBOL2002の機能を知りたい方,またはCOBOL2002の文法規則を機能から調べたい方を対象としています。また,COBOLの基本的な言語仕様と,UNIXの操作方法について理解していることを前提としています。

マニュアルの構成

このマニュアルは,次に示す編と付録から構成されています。

なお,Linux(x86) COBOL2002,Linux(x64) COBOL2002をご使用になる場合は,初めに「37. Linux(x86) COBOL2002,Linux(x64) COBOL2002でのUTF-8ロケールの対応」をお読みください。

第1編 COBOL2002の概要
COBOL2002の機能の概要と特長について説明しています。また,COBOL2002の主な新機能について説明しています。
第2編 COBOLプログラムの書き方
翻訳グループを構成する定義や,COBOLプログラムのデータ領域について説明しています。
第3編 手続き文
COBOLで使用する手続き文の仕様と使用例について説明しています。
第4編 入出力機能
COBOLプログラムからファイル,プリンタ,画面などにデータを入出力する方法について説明しています。
第5編 COBOL実行単位と連絡
プログラムの実行単位,プログラムの呼び出し方法,およびプログラム間での情報の受け渡し方法などについて説明しています。
第6編 オブジェクト指向機能
オブジェクト指向の紹介と,オブジェクト指向を使用したプログラムを作成する方法について説明しています。
第7編 例外処理
COBOLプログラムで例外処理する方法について説明しています。
第8編 DB/DC連携
オンラインコントロールプログラムを使ったデータコミュニケーション機能,およびDB/DCシミュレーション機能を使用するCOBOLプログラムを作成する方法について説明しています。
第9編 多様なCOBOLプログラムの作成
CGIプログラム作成支援機能などの拡張機能を使用した,多様なCOBOLプログラムを作成する方法について説明しています。
第10編 サービスルーチン
COBOL2002が提供しているサービスルーチンの使い方について説明しています。
第11編 プログラム作成上の留意点
処理速度が速く,移植性の良いプログラムを作成する上での留意点について説明しています。
第12編 コンパイルと実行
プログラムのコンパイルと実行の方法について説明しています。
第13編 デバッグ
異常終了時要約情報リストの出力,プログラム間の引数の整合性チェックなどのアプリケーションデバッグ機能について説明しています。
第14編 64bitアプリケーションの作成
UNIX64 COBOL2002について説明しています。また,UNIX64 COBOL2002で使用できる機能,および使用できない機能について説明しています。
第15編 Linux(x86) COBOL2002,Linux(x64) COBOL2002でのUTF-8ロケールの対応
Linux(x86) COBOL2002,Linux(x64) COBOL2002を使用する場合の注意事項について説明しています。
付録A COBOLで使用する文字集合
COBOLで使用する文字集合や,文字コードについて説明しています。
付録B 日立COBOL85からの古い仕様
日立COBOL85で作成したプログラムとの互換性のために残されている,古い仕様について説明しています。
付録C コンパイルリスト
コンパイラが出力するコンパイルリストの内容について説明しています。
付録D COBOLで使用するファイル
COBOL2002で使用するファイルや,COBOLプログラムの実行時に必要なファイルについて説明しています。
付録E コンパイラの制限値
COBOL2002コンパイラの制限値について説明しています。
付録F 入出力状態の値
プログラム実行時の入出力状態の値とその意味について説明しています。
付録G COBOL85とCOBOL2002のコンパイラオプションの対応
COBOL85のccblコマンドと,COBOL2002のccbl2002コマンドでの,コンパイラオプションの対応関係について説明しています。
付録H サービスルーチンのリソース一覧
サービスルーチンのリソースの内容や,指定値,標準値について説明しています。
付録I 各バージョンの変更内容
各バージョンの変更内容について説明しています。
付録J このマニュアルの参考情報
このマニュアルを読むに当たっての参考情報について説明しています。
付録K 用語解説
このマニュアルで使用する主な用語について説明しています。

用語の定義

このマニュアルでの用語の定義を,次に示します。

パス名とパスプレフィクス
パス名とパスプレフィクスは,次のとおりです。
[図データ]
絶対パス名
ルートディレクトリのシンボル「/」で始まるパス名。
 /ディレクトリ名称/ディレクトリ名称/ … /ファイル名称
相対パス名
カレントディレクトリからの相対のパス名。
カレントディレクトリより上位のディレクトリを経由する場合
 ../ディレクトリ名称/ディレクトリ名称/ … /ファイル名称
・カレントディレクトリ下のディレクトリを経由する場合
 ディレクトリ名称/ディレクトリ名称/ … /ファイル名称
絶対パスプレフィクス
ルートディレクトリのシンボル「/」で始まるパスプレフィクス。
相対パスプレフィクス
カレントディレクトリからの相対のパスプレフィクス。

このマニュアルで使用する記号

このマニュアルで使用する記号を次に示します。

記号意味
[ ]キー文字キーやF(ファンクション)キーを意味する。
[ ]+[ ]キー+の前のキーを押したまま,あとのキーを押すことを意味する。
{ }この記号で囲まれている複数の項目のうちから一つを選択することを意味する。項目が縦に複数行にわたって記述されている場合は,そのうちの1行分を選択する。
{ }+この記号で囲まれている複数の項目のうちから一つを選択することを意味する。同じ要素の繰り返し指定はできないが,異なる要素であれば,複数指定できる。例えば,{A|B|C}+と表記されている場合は,A・B・Cをすべて選択してもよい。
項目が縦に複数行にわたって記述されている場合は,そのうちの1行分を選択する。
〔 〕この記号で囲まれている項目は省略してもよいことを意味する。
複数の項目が縦または横に並べて記述されている場合には,すべてを省略するか,記号{ }と同じく,どれか一つを選択する。
記述が省略されていることを意味する。
この記号の直前に示された項目を繰り返して複数個指定できる。
下線括弧で囲まれた複数の項目のうち1項目に対して使用され,括弧内のすべてを省略したときにシステムがとる標準値を意味する。
横に並べられた複数の項目に対して項目間の区切りを示し,「または」を意味する。
[ ]ウィンドウのメニューバーから選択するメニュー,コマンド,またはボタンを意味する。

図中で使用する記号

このマニュアルの図中で使用する記号を次のように定義します。

[図データ]

プログラム構造表記法(PAD)と流れ図

このマニュアルでは,手続き的アルゴリズムの制御構造(主にプログラムの処理手続き)をPAD(Problem Analysis Diagram)または流れ図で示しています。

このマニュアルで使用するPADと流れ図の要素,およびそれぞれの要素の対応を,次のように定義します。

[図データ]

ウィンドウ図

マニュアル中のウィンドウ図は,説明に直接関係のない部分を省略して記述しています。したがって,実際に操作していて表示されるウィンドウとは一部異なります。

サポート機能一覧

規格

機能製品種別
FHABJKLS
基本機能
順編成ファイル
相対編成ファイル
索引編成ファイル
整列併合
プログラム間連絡
組み込み関数
オブジェクト指向
共通例外処理
再帰呼び出し
利用者定義関数
局所場所節(LOCAL-STORAGE SECTION)
原始文操作
自由形式正書法
TYPEDEF句とSAME AS句
翻訳指令
区分化
(凡例)
F:HP-UX(IPF) COBOL2002
H:HP-UX(IPF64) COBOL2002
A:AIX(32) COBOL2002
B:AIX(64) COBOL2002
J:Linux(x86) COBOL2002
K:Linux(x64) COBOL2002
L:Linux(IPF64) COBOL2002
S:Solaris(SPARC) COBOL2002
○:サポートしている
注※
覚え書きとしてサポートしている。

X/Open

機能製品種別
FHABJKLS
テキスト編成ファイル
ファイル共用
(ファイルシェア)
順編成ファイル
相対編成ファイル
ISAMによる索引編成ファイル
テキスト編成ファイル
CSV編成ファイル××××××××
HiRDBによる索引編成ファイル××××××××
Btrieveによる索引編成ファイル
コマンド行および環境変数へのアクセス
画面節(SCREEN SECTION)による画面操作×××
C言語インタフェース
インターナショナリゼーション
(凡例)
F:HP-UX(IPF) COBOL2002
H:HP-UX(IPF64) COBOL2002
A:AIX(32) COBOL2002
B:AIX(64) COBOL2002
J:Linux(x86) COBOL2002
K:Linux(x64) COBOL2002
L:Linux(IPF64) COBOL2002
S:Solaris(SPARC) COBOL2002
○:サポートしている
×:サポートしていない
-:該当しない

拡張機能

機能製品種別
FHABJKLS
日本語
ブール演算
アドレス操作
1バイト2進およびCOMP-X項目
浮動小数点項目
ISAMによる索引編成ファイル機能の拡張(合成キー,逆順読み)
CSV編成ファイル
HiRDBによる索引編成ファイル××
Btrieveによる索引編成ファイル
リモートファイルアクセス××××××××
ラージファイル入出力順編成ファイル
相対編成ファイル××××××××
ISAMによる索引編成ファイル××××××××
テキスト編成ファイル
CSV編成ファイル
HiRDBによる索引編成ファイル××××××××
Btrieveによる索引編成ファイル
COBOL入出力サービスルーチン
バイトストリーム入出力サービスルーチン×××
ファイル入出力拡張機能ファイルサイズがレコード長の整数倍でない固定長形式の順ファイル入出力
ファイルバッファサイズ指定機能×××××
画面節(WINDOW SECTION)による画面操作画面節(WINDOW SECTION)×××
JCPOPUPサービスルーチン×××
通信節による画面操作(XMAP3)×××××
COPY文の接頭辞/接尾辞
プリンタへのアクセスXMAP3による印刷×××××
GDIモード印刷
ESC/Pモード印刷
ファイルのディスク書き込み保証
(書き込み時)
順編成ファイル
相対編成ファイル
ISAMによる索引編成ファイル
テキスト編成ファイル××××××××
CSV編成ファイル××××××××
HiRDBによる索引編成ファイル××××××××
Btrieveによる索引編成ファイル
ファイルのディスク書き込み保証
(クローズ時)
順編成ファイル
相対編成ファイル
ISAMによる索引編成ファイル××××××××
テキスト編成ファイル
CSV編成ファイル
HiRDBによる索引編成ファイル××××××××
Btrieveによる索引編成ファイル
報告書作成機能
MIOS7 COBOL85との互換機能××××××××
イベントログファイル/syslogファイル出力機能××××××××
データコミュニケーション機能×
データベース操作機能(ODBCインタフェース)
XDMによるデータベースシミュレーション機能構造型データベース(XDM/SD)
リレーショナルデータベース(XDM/RD)
OLE2オートメーション機能クライアント機能
サーバ機能
CGIプログラム作成支援機能×××××
マルチスレッド環境作成と実行
デバッグ×××××
MSMQアクセス機能
エンディアン切り替え×××××
Unicode機能×××
数字項目のけた拡張機能××××××
(凡例)
F:HP-UX(IPF) COBOL2002
H:HP-UX(IPF64) COBOL2002
A:AIX(32) COBOL2002
B:AIX(64) COBOL2002
J:Linux(x86) COBOL2002
K:Linux(x64) COBOL2002
L:Linux(IPF64) COBOL2002
S:Solaris(SPARC) COBOL2002
○:サポートしている
×:サポートしていない
△:サポートしている機能であるが,使える機能に一部制限がある
-:該当しない

デバッグ機能

機能製品種別
FHABJKLS
実行時デバッグ機能
テストデバッグ機能GUIモード××××××××
バッチモード
ラインモード
カバレージ機能GUIモード××××××××
バッチモード
(凡例)
F:HP-UX(IPF) COBOL2002
H:HP-UX(IPF64) COBOL2002
A:AIX(32) COBOL2002
B:AIX(64) COBOL2002
J:Linux(x86) COBOL2002
K:Linux(x64) COBOL2002
L:Linux(IPF64) COBOL2002
S:Solaris(SPARC) COBOL2002
○:サポートしている
×:サポートしていない

連携機能

機能製品種別
FHABJKLS
XML連携機能×××××
Cosminexus連携機能××
(凡例)
F:HP-UX(IPF) COBOL2002
H:HP-UX(IPF64) COBOL2002
A:AIX(32) COBOL2002
B:AIX(64) COBOL2002
J:Linux(x86) COBOL2002
K:Linux(x64) COBOL2002
L:Linux(IPF64) COBOL2002
S:Solaris(SPARC) COBOL2002
○:サポートしている
×:サポートしていない

ウィンドウに表示されるタイトル名の表記

HP-UX(IPF) COBOL2002,AIX(32) COBOL2002,およびSolaris(SPARC) COBOL2002と,HP-UX(IPF64) COBOL2002およびAIX(64) COBOL2002では,ウィンドウに表示されるタイトル名が異なります。このマニュアルでは,HP-UX(IPF) COBOL2002,AIX(32) COBOL2002,およびSolaris(SPARC) COBOL2002のタイトル名を使用します。HP-UX(IPF64) COBOL2002またはAIX(64) COBOL2002をご使用になる場合は,次のように読み替えてください。

ウィンドウに表示されるタイトル名HP-UX(IPF64) COBOL2002またはAIX(64) COBOL2002の場合の読み替え
cbl2002termcbl2002term 64bit

プログラム例について

このマニュアルのプログラム例は,断り書きがない場合はUNIX32 COBOL2002用です。プログラム例をUNIX64 COBOL2002で使用するには,プログラムの記述に変更が必要な場合がありますのでご注意ください。