4.1.2 ジョブ管理マネージャー上でジョブを実行するための手順
次に,ジョブ管理マネージャー上でジョブを実行する場合に,必要となる手順について説明します。
(1) ジョブの実行先の設定
ジョブ管理マネージャー上でジョブを実行する場合に,どのジョブにおいても共通で必要となる手順について説明します。
サービスポータルを利用し,ジョブの実行先のエージェントとしてジョブ管理マネージャー自身を指定できるようにします。ジョブ管理マネージャー自身は,「@SYSTEM」という名称でジョブ実行エージェントとして登録されています。「JP1 Cloud Service ジョブ管理・システム管理 サービスポータル 利用ガイド」における「1.3.13 実行エージェントの操作」を参照し,ジョブを実行できるように@SYSTEMのジョブ実行多重度を設定してください。@SYSTEMの設定の変更にあたっては,以下の注意事項があります。
- 注意事項
-
-
@SYSTEMのジョブ実行多重度には,0〜120の範囲内の値を設定してください。この範囲を超えてジョブ実行多重度を設定した場合の動作は保証できません。
-
@SYSTEMのジョブの受付配信制限の状態を変更することはできません。
-
@SYSTEMの実行ホスト名を変更することはできません。
-
@SYSTEMを実行エージェントグループに関連付けることはできません。
-
@SYSTEMを削除することはできません。
-
(2) ジョブ管理マネージャー上でコマンドを実行するための手順
ジョブ管理マネージャー上でコマンドを実行するために必要な手順を以下に示します。
(a) ジョブの詳細定義
JP1/AJS3 - Viewを利用し,UNIXジョブの詳細定義に以下の項目を指定してください。
# |
分類 |
項目 |
指定内容 |
||
---|---|---|---|---|---|
1 |
共通 |
ユニット名 |
任意 |
||
2 |
コメント |
任意 |
|||
3 |
実行エージェント |
@SYSTEM |
|||
4 |
定義 |
コマンド文 |
任意のコマンド(OSコマンド,JP1のコマンド※,/usrfile配下のスクリプト) |
||
5 |
スクリプト名 |
任意 |
|||
6 |
パラメータ |
任意 |
|||
7 |
環境変数 |
任意 |
|||
8 |
環境変数ファイル名 |
指定なし または /usrfile配下のパス |
|||
9 |
ワークパス |
指定なし または /usrfile配下のパス |
|||
10 |
実行優先順位 |
任意 |
|||
11 |
標準入力ファイル名 |
指定なし または /usrfile配下のパス |
|||
12 |
標準出力ファイル名 |
指定なし または /usrfile配下のパス |
|||
13 |
標準エラー出力ファイル名 |
指定なし または /usrfile配下のパス |
|||
14 |
終了判定 |
任意 |
|||
15 |
警告しきい値 |
任意 |
|||
16 |
異常しきい値 |
任意 |
|||
17 |
異常終了時リトライ |
任意 |
|||
18 |
実行時のユーザー |
指定なし または 任意 |
|||
19 |
転送ファイル |
転送ファイル1 |
転送元ファイル名 |
指定なし または /usrfile配下のパス |
|
20 |
転送先ファイル名 |
指定なし または /usrfile配下のパス |
|||
21 |
ジョブ終了後 |
指定なし または /usrfile配下のパス |
|||
22 |
転送ファイル2 |
転送元ファイル名 |
指定なし または /usrfile配下のパス |
||
23 |
転送先ファイル名 |
指定なし または /usrfile配下のパス |
|||
24 |
ジョブ終了後 |
指定なし または /usrfile配下のパス |
|||
25 |
転送ファイル3 |
転送元ファイル名 |
指定なし または /usrfile配下のパス |
||
26 |
転送先ファイル名 |
指定なし または /usrfile配下のパス |
|||
27 |
ジョブ終了後 |
指定なし または /usrfile配下のパス |
|||
28 |
転送ファイル4 |
転送元ファイル名 |
指定なし または /usrfile配下のパス |
||
29 |
転送先ファイル名 |
指定なし または /usrfile配下のパス |
|||
30 |
ジョブ終了後 |
指定なし または /usrfile配下のパス |
|||
31 |
属性 |
保留 |
任意 |
||
32 |
種別 |
任意 |
|||
33 |
実行先サービス |
標準 |
|||
34 |
打ち切り時間指定 |
任意 |
|||
35 |
打ち切り時間 |
任意 |
|||
36 |
終了遅延監視 |
任意 |
|||
37 |
所有者 |
任意 |
|||
38 |
JP1資源グループ |
指定なし または 任意 |
|||
39 |
実行ユーザー種別 |
登録ユーザー または 所有ユーザー |
注※ JP1のコマンドは,JP1製品(JP1/AJS3,JP1/IM3,JP1/Base)のコマンドを指します。なお,スーパーユーザ権限が必要なコマンドは実行できません。
上記のUNIXジョブを実行することで,ジョブ管理マネージャー上でコマンドが実行されます。
コマンド実行方法について説明します。
REST APIを利用する場合のコマンド実行方法について説明します。UNIXジョブのコマンド文または,/usrfile配下に配置されたスクリプトからwget,curlコマンドを実行することで任意のユーザーアプリケーションに対してREST APIを発行することができます。wget,curlコマンドを実行する際,送信元アドレス情報にジョブ管理マネージャーの接続ホスト名を指定してください。
ジョブ管理マネージャーから任意のユーザーアプリケーションに通信する際のコマンド例を次に示します。
-
wget --bind-address=ジョブ管理マネージャーの接続ホスト名 その他オプションURL
-
curl --interface ジョブ管理マネージャーの接続ホスト名 その他オプションURL
次に,ジョブの保留・保留解除のコマンド実行方法について説明します。UNIXジョブのコマンド文を実行することによって,ジョブ管理マネージャーに登録されているジョブを一時的に保留状態にしたり,ジョブの保留状態を一時的に解除したりできます。ジョブの保留をする際のコマンド例を次に示します。
-
/opt/jp1ajs2/bin/ajsplan -F スケジューラサービス名 -h 保留対象ユニット名
また,ジョブ管理においてマネージャーミドルウェアは論理プロセスとして起動しているため,コマンド実行時には-hオプションの指定をしてください。ajsagtshowコマンドを実行する際のコマンド例を次に示します。
-
/opt/jp1ajs2/bin/ajsagtshow -h ジョブ管理マネージャーの論理ホスト名 -l
ジョブ管理マネージャー上でコマンドを実行するにあたって,以下の注意事項があります。
- 注意事項
-
-
スーパーユーザ権限を必要とするコマンドを実行できません。
-
/usrfile配下以外のディレクトリに対するファイルアクセス(OSやJP1の実行コマンド指定を除く)やrmコマンド,systemctlコマンドといったシステム稼働に影響を与えるコマンドを実行することによる環境破壊やサービス停止ついて保証できません。
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/usrfile配下以外のディレクトリへのファイル配置,コマンド実行により及ぼす影響について保証できません。
-
/usrfile配下に配置,生成したファイルはシステム内部でセキュリティチェックを行い,システムの安全性を脅かすファイルであると判断した場合は対象ファイルの隔離,削除します。
-
REST API実行時のルート証明書の認証は信頼できるサイトでの接続のみを認めます。curlコマンドの-kオプションによる認証スキップはできません。
-