1.6.10 デルタリシンクを実行する
セカンダリボリュームを指定してGADペアを中断(スワップサスペンド)すると、GADペアのセカンダリボリュームのペア状態が、PAIRからSSWSに変わります。ペア状態がSSWSに変わると、デルタリシンク用URペアがURペアに変わり、GADのセカンダリボリュームからURのセカンダリボリュームへコピーが始まります。これをデルタリシンクデルタリシンクと呼びます。
前提条件
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ペア状態およびミラー状態が次のとおりであること。
ペアの種類
ペア状態
ミラー状態
P-VOL
S-VOL
マスタジャーナル
リストアジャーナル
GADペア
PAIR
PAIR
非該当
非該当
URペア
PAIR
PAIR
PJNN
SJNN
デルタリシンク用URペア
PSUS
SSUS
PJNS
SJNS
- (凡例)
P-VOL:プライマリボリューム
S-VOL:セカンダリボリューム
- メモ
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Storage Navigatorを使用する場合は、デルタリシンク用URペアの状態がHOLDであることを確認してください。
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URペアのすべての差分データが、正サイトのジャーナルに格納されていること。
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URペアのプライマリボリュームとセカンダリボリューム間でデータを転送できる状態であること。
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URペアとデルタリシンク用URペアのセカンダリボリュームの数が同じであること。
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GADの副サイトとURの副サイトの間のリモートパスに障害が発生していないこと。
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URペアを作成したあとで、サーバからGADペアのプライマリボリュームまたはセカンダリボリュームへ、2分程度I/Oを発行し続けていること。
コマンド例
pairsplit -g oraHA -RS -IH1
(1) デルタリシンクに関する注意事項
デルタリシンクに関する注意事項を次に示します。
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URペアがサスペンドされ長期にわたって再同期されないときなどに、ジャーナルデータがリストアジャーナルボリュームの容量の70%を超えることがあります。ジャーナルデータが容量の70%を超えると、古いジャーナルデータは自動的に削除されます。古いジャーナルデータが削除されると、リストアジャーナルボリュームにジャーナルデータをコピーするだけでは、プライマリボリュームとセカンダリボリュームのデータを完全に同一にできなくなり、デルタリシンクは失敗します。デルタリシンクが失敗した場合は、URペアを再同期してください。
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ジャーナルデータがジャーナルボリュームの70%を超えなくても、次のような場合にはジャーナルデータが破棄される、または破棄されるおそれがあります。
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GADペアを再同期してから、プライマリボリュームを更新した場合
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正サイトとUR副サイトのストレージシステム間のURペアを再同期してから、プライマリボリュームを更新した場合
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プライマリボリュームの更新が遅延して、リトライ処理が発生した場合
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GADペアのセカンダリボリュームの更新が遅延した場合
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デルタリシンクを実行したにも関わらず、デルタリシンク用URペアの状態が変わらない場合は、デルタリシンクの要件が満たされていないおそれがあります。GADペア、URペア、デルタリシンク用URペアのペア状態が前提条件を満たしていることを確認してください。
(2) デルタリシンクが失敗したときには
デルタリシンク失敗デルタリシンクが失敗すると、デルタリシンク用URペアがURペアに変わります。ただし各ペアのペア状態は、次の図のように変わります。
デルタリシンクが失敗した場合は、次の2点を確認してください。
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システム構成が、GADとURを併用するときの要件を満たしていること。
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システムに障害要因がないこと。
なお、デルタリシンクが失敗したあとで、URペアを再同期すると、GADペアのセカンダリボリュームのデータがURペアのセカンダリボリュームへ形成コピーされます。
- メモ
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GADとURを併用している場合、[ミラーオプション編集]画面の[デルタリシンク失敗]に[全てコピー]を設定していても、自動でデータはコピーされません。