付録H.1 Fibre Channelホスト
Fibre Channelホストをストレージシステムに接続するときの参考情報です。
(1) 複数ホストでの構築
複数のホストを1台のストレージシステムに接続したとき、それぞれのホストに割り当てられた論理デバイスが同じパリティグループに存在すると、同じドライブへのアクセスが発生します。このときドライブへのアクセスが競合し、性能が劣化する可能性があります。
同一パリティグループの場合
この競合を回避するために、同時に稼働させるホストに割り当てる論理デバイスを別のパリティグループに分けて設定してください。作成できるパリティグループの数は、搭載するドライブ数と作成するパリティグループのRAIDレベルで決まります。
異なるパリティグループの場合
(2) ゾーニング
SAN環境のホストは、ゾーンごとにグループ化できます。ゾーンごとに構築したSAN環境では、ゾーン外のホストからゾーン内のホストを見ることができなくなります。また、各ゾーン内のSANトラフィックはほかのゾーンに影響しません。
複数のSAN環境を使う場合は、SANスイッチを用いてゾーニングします。ゾーニングごとに、必要なセキュリティとSAN環境のアクセス権を定義し構築します。
ゾーニングでは、サーバ間の共有デバイスが競合せずに論理デバイスにアクセスできるよう定義します。通常、ゾーンはストレージ論理デバイスの共有グループにアクセスするサーバグループごとに作成されます。
OSによるゾーニング
SAN環境で、Windows、VMware、Solaris、Red Hat LinuxのようなOSが稼働する異なるサーバからのアクセスが続く場合、サーバはOSごとにグループ化し、SAN環境ゾーンをサーバのグループごとに定義します。これにより、サーバのほかのグループまたはほかのクラスから、論理デバイスのアクセスを防御します。
バックアップ
ゾーンはバックアップ用の共通サーバにアクセスできます。SANは、バックアップ、回復処理用サーバも兼ねているので、これらのバックアップサーバにアクセスできるようにしなければいけません。バックアップサーバが特定のホストでバックアップ、回復処理できるようにSAN環境ゾーンを構築します。
セキュリティ
ゾーニングはセキュリティを提供します。試験用に定義されたゾーンは、SAN環境内で個別に管理でき、本稼働用ゾーン内で作動している作業に影響しません。
マルチストレージシステム
ゾーンは複数のストレージシステムを使いやすくします。個々のゾーンを使うことにより、各ストレージシステムは、サーバ間でアクセス競合せず、個別に管理できます。
(3) ホスト側に設定するコマンド多重数
ホスト側に設定するコマンド多重数については、ストレージシステムごとに適切な値を設定してください。また、コマンド多重数は、プラットフォームごとに対象単位、設定単位が異なりますので、OSやHBAなどのマニュアルで事前に確認してください。
設定に当たってのガイダンスは次のとおりです。
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コマンド多重数が小さい場合は、I/Oが多重で発行されず、I/O性能が低下する可能性があります(多重数が4以下の場合)。
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ストレージシステムは、コマンド多重限界数を超えた状態でコマンドを受領するとQueue Fullステータスを報告します。使用する論理デバイス数が多く、多重数に大きな値が設定されているときにQueue Fullが発生する可能性がありますので、ご使用の環境に合わせて適切な多重数を設定してください。下記の表を参照してください。
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新規導入時だけでなく、ドライブの増設時も、コマンド多重数の設定を忘れずに実施してください。
項目 |
仕様 |
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コマンド多重数 |
論理デバイス当り最大32です。 ポート当り最大1024です。 |
(4) デバイスタイムアウト値の推奨値
ストレージシステムの論理デバイスに対するデバイスタイムアウト値は、60秒以上に設定してください。
デバイスタイムアウト値が短いと、SCSIコマンドのタイムアウトが発生し、I/O性能が低下します。