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 ボリュームミラーリング クイックリファレンス 


1.6.8 GADペアのI/Oモードを強制的に変更する

注意
障害によりホストアクセスができなくなったGADペアの、ホストアクセスを強制的に回復する操作です。
  • 誤って使用した場合、データ不整合など深刻な問題を引き起こす可能性があります。

  • 誤って使用した場合や、操作が異常終了した場合は、お問い合わせ先に連絡してください。

適用ケース

この操作を適用できる障害ケースを次に示します。

ケース

障害内容

(1) 適用ケース1

ストレージシステムの障害により、P-VOLとS-VOL両方ともペア状態がPSUE、I/OモードがBlockになり、業務が停止している。

(2) 適用ケース2

ストレージシステムの障害により、業務が停止している。

障害が発生しているサイトのP-VOL(またはS-VOL)は、ペア状態やI/Oモードが確認できず、障害復旧までに時間を要する。

S-VOL(またはP-VOL)は、I/OモードがBlockで中断されていて、業務が再開できない。

(3) 適用ケース3

ストレージシステムの障害により、業務が停止している。

障害が発生しているサイトのP-VOL(またはS-VOL)は、I/O モードがLocalで中断された状態であったが、障害によりアクセスできない状態となり、障害復旧までに時間を要する。

S-VOL(またはP-VOL)は、I/OモードがBlockで中断されていて、業務が再開できない。

操作インタフェースとバージョン要件

この操作は、以下のDKCMAINバージョンと、対応するRAID Managerバージョンからのみ実施可能です。Storage Navigatorからは実施できません。

  • DKCMAIN: 93-05-02-XX/XX

  • RAID Manager: 01-64-03/XX

操作の種類と各ペア状態およびI/Oモードでの操作可否

次の2種類の操作が可能です。

  1. I/OモードがBlockで中断されているGADペアに対して、I/OモードをBlockからLocalに強制的に切り替える

  2. I/OモードがLocalで中断されているGADペアに対して、I/OモードをLocalからBlockに強制的に切り替える

1.と2.の操作可否の仕様を下記に示します。

ペア状態

I/Oモード

操作可否

1. I/OモードをBlockからLocalに切り替える操作

2. I/OモードをLocalからBlockに切り替える操作

PAIR

不問

×

×

COPY

不問

×

×

PSUS

Local

Block

SSUS

Local

Block

SSWS

Local

Block

PSUE

Local

Block

SMPL

不問

×

×

(凡例)

○:操作可能

×:操作不可

-:状態変化なし(操作は正常終了)

GADペアをURペアと併用している環境での注意事項

〈この項の構成〉

(1) 適用ケース1

障害時の状態

[図データ]
ストレージシステムの障害により、プライマリボリューム(以下P-VOL)とセカンダリボリューム(以下S-VOL)両方ともペア状態がPSUE、I/OモードがBlockになり、業務が停止している。
メモ

障害発生時に、ホストからの書き込み要求に対して、チェック応答が返された場合は、書き込まれたデータは保証されません。

回復方法

  1. P-VOLのI/OモードをLocalに切り替えて、業務を再開します。

    コマンド例: P-VOLがインスタンス0の場合の例
    
    pairsplit -g oraHA -iomd local -IH0

    P-VOLのI/OモードがBlockからLocalに強制的に切り替わり、業務を再開できます。

    [図データ]
  2. その後、P-VOLを指定してGADペアを再同期することで、GADペアの状態が回復します。

    メモ

    障害時の状態によっては、ペアを再同期した際に、形成コピー(ペア形成時と同等の、全データコピー)が行われることがあります。

    [図データ]

(2) 適用ケース2

障害時の状態

[図データ]

ストレージシステムの障害により、業務が停止している。

障害が発生しているサイトのP-VOL※1は、ペア状態やI/O モードが確認できず、障害復旧までに時間を要する。

S-VOL※2は、I/OモードがBlockで中断されていて、業務が再開できない。

注※1

P-VOL で説明しますが、S-VOL の場合も同様です。

注※2

S-VOLで説明しますが、P-VOLの場合も同様です。

ただし、P-VOLの場合、GADペアとURペアを併用している環境では、既にデルタリシンクが動作済の場合があります。

その場合、先にURペアとデルタリシンク用URペアを削除してから、下記の方法でGADペアを回復してください。

その後、URペアとデルタリシンク用URペアを再形成してください。

回復方法

  1. S-VOLのI/OモードをLocalに切り替えて、業務を再開します。

    コマンド例: S-VOLがインスタンス1の場合の例
    
    pairsplit -g oraHA -iomd local -IH1
    S-VOLのI/OモードがBlockからLocalに強制的に切り替わり、業務を再開できます。S-VOLのペア状態がPSUEからSSWSに変わります。
    メモ

    ただし、データはGADペアが中断された時点のデータであるため、最新のデータではない場合があります。

    [図データ]
  2. 障害が発生しているサイトの復旧作業を開始する前に、ホストからP-VOL へのホストパスをオフラインにします。
    注意

    必ずオフラインにしてください。障害発生前にP-VOLのI/OモードがLocalとなっていた場合に、ホストがスプリットブレインを起こすおそれがあるためです。

    [図データ]
  3. 障害回復後に、P-VOLのI/OモードがLocalで中断されていた場合は、ホストからP-VOLを認識させる前に、PVOLのI/OモードをLocalからBlockに強制的に切り替えます 。

    コマンド例: P-VOLがインスタンス0の場合の例
    
    pairsplit -g oraHA -iomd block -IH0
    [図データ]
  4. オフラインにしたホストパスを、オンラインに変更します。

    [図データ]
  5. その後、業務を再開したS-VOLを指定して再同期することで、GADペアの状態が回復できます。
    メモ

    障害時の状態によっては、ペアを再同期した際に、形成コピー(ペア形成時と同等の、全データコピー)が行われることがあります。

    [図データ]

(3) 適用ケース3

障害時の状態

[図データ]

ストレージシステムの障害により、業務が停止している。

障害が発生しているサイトのP-VOL※1は、I/O モードがLocal で中断された状態であったが、ストレージシステムの障害によりアクセスできない状態となり、障害復旧までに時間を要する。

S-VOL※2は、I/OモードがBlockで中断されていて、業務が再開できない。なお、図ではペア状態がPSUEとなっていますが、PSUS/SSUS/SSWS(オペレーションにより中断された状態)の場合も該当します。

注※1

P-VOL で説明しますが、S-VOL の場合も同様です。

注※2

S-VOLで説明しますが、P-VOLの場合も同様です。

ただし、P-VOLの場合、GADペアとURペアを併用している環境では、既にデルタリシンクが動作済の場合があります。

その場合、先にURペアとデルタリシンク用URペアを削除してから、下記の方法でGADペアを回復してください。

その後、URペアとデルタリシンク用URペアを再形成してください。

回復方法

  1. S-VOLのI/OモードをLocalに切り替えて、業務を再開します。

    コマンド例: S-VOLがインスタンス1の場合の例
    
    pairsplit -g oraHA -iomd local -IH1
    S-VOLのI/OモードがBlockからLocalに強制的に切り替わり、業務を再開できます。S-VOLのペア状態がPSUEからSSWSに変わります。
    メモ

    ただし、データはGADペアが中断された時点のデータであるため、最新のデータではない場合があります。

    [図データ]
  2. 障害が発生しているサイトの復旧作業を開始する前に、ホストからP-VOL へのホストパスをオフラインにします。
    注意

    必ずオフラインにしてください。ホストがスプリットブレインを起こすおそれがあるためです。

    [図データ]
  3. 障害回復後に、ホストからP-VOLを認識させる前に、P-VOLのI/O モードをLocalからBlockに強制的に切り替えます。

    コマンド例: P-VOLがインスタンス0の場合の例
    
    pairsplit -g oraHA -iomd block -IH0
    [図データ]
  4. オフラインにしたホストパスを、オンラインに変更します。

    [図データ]
  5. その後、業務を再開したS-VOLを指定して再同期することで、GADペアの状態が回復できます。
    メモ

    障害時の状態によっては、ペアを再同期した際に、形成コピー(ペア形成時と同等の、全データコピー)が行われることがあります。

    [図データ]