1.3.14 iSCSIを使用するときの注意事項
iSCSIを使用してシステムを構築するときには、次に示す注意が必要です。
iSCSIに関する説明は、システム構築ガイドを参照してください。
- 〈この項の構成〉
(1) リモートパスに関する注意事項(iSCSIを使用するとき)
1つのパスグループには、同一のプロトコルのリモートパスだけを追加してください。ファイバチャネルとiSCSIのリモートパスが、1つのパスグループ内に混在しないようにしてください。
リモートパスにiSCSIを使用する場合、[パス閉塞監視]はデフォルトの40(秒)のままにしてください。[パス閉塞監視]を短くした場合、スイッチのスパニングツリーなどネットワーク上の遅延要因によって、パスが閉塞するおそれがあります。
(2) 物理パスに関する注意事項(iSCSIを使用するとき)
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ファイバチャネルまたはiSCSIの物理パスを交換するときには、交換する物理パスを使用しているGADペアおよびリモートパスを事前に削除してください。
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ホストとストレージシステム間の物理パス、およびストレージシステム間の物理パスでは、同一プロトコルを使用することを推奨します。
次の例のように、使用するプロトコルが混在する場合、ホストとストレージシステム間のコマンドのタイムアウト時間には、ストレージシステム間のコマンドのタイムアウト時間以上の値を設定してください。
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ホストとストレージシステム間の物理パス:ファイバチャネル
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ストレージシステム間の物理パス:iSCSI
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(3) ポートに関する注意事項(iSCSIを使用するとき)
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iSCSIポートのパラメータの設定を変更するときは、一時的にiSCSIの接続が切断され、その後再接続されます。システムへ影響がないように、I/O負荷の低い時間帯にパラメータの設定を変更してください。
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ホストと接続しているiSCSIポートの設定を変更すると、ホストでログが出力されることがありますが、問題ありません。システムログを監視しているシステムでは、アラートが出力されるおそれがあります。アラートが出力された場合は、iSCSIポートの設定を変更したあと、ホストが再接続されているかどうかを確認してください。
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ストレージシステム間の接続にiSCSIを使用している場合、同一のポートを使用してホストと接続しているときでも、[ポート編集]画面で[遅延ACK]を[無効]にしてください。
ポートの[遅延ACK]が[有効]の場合、ホストからGADペアで使用しているボリュームの認識に時間が掛かることがあります。ボリュームが2,048個のときは、8分掛かります。なお、[遅延ACK]のデフォルトは[有効]です。
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ポートの[選択型ACK]は[有効](デフォルト)のままにしてください。
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長距離での接続など、ストレージシステム間の回線で遅延が発生する環境では、正サイトと副サイトのストレージシステムの両方で、iSCSIポートのウィンドウサイズを1,024KBまで変更できます。なお、iSCSIポートのウィンドウサイズのデフォルトは64KBです。
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iSCSIポートはフラグメント処理(パケットの分割処理)をサポートしていません。スイッチの最大送信単位(MTU)の値が、iSCSIポートのMTUの値より小さい場合、パケットが消失し、正常に通信できないおそれがあります。スイッチのMTUの値はiSCSIポートのMTU値以上の値を設定してください。MTUの設定および値に関しては、スイッチのマニュアルを参照してください。
なお、iSCSIポートのMTUの値は1500以下に設定できません。MTUの値が1500未満のWAN環境では、フラグメント処理によって分割されたデータを送受信できません。この場合、WAN環境に合わせてWANルータの最大セグメントサイズ(MSS)を小さくしてから、iSCSIポートに接続してください。または、MTUの値が1500以上のWAN環境で使用してください。
- 仮想ポートモードを有効にしたiSCSIポートでリモートパスを使用する場合、iSCSIポートの仮想ポートID(0)のポート情報を使用してください。0以外の仮想ポートIDを仮想ポートとして使用できません。
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1つのポートを、ホストとの接続(Target属性)とストレージシステムとの接続(Initiator属性)の両方に使用できます。ただし、ホストとストレージシステムのどちらかで障害が発生したときに、システムへの影響の範囲を軽減するには、ホストと接続するポートとストレージシステムと接続するポートを、別々のCHBに接続することを推奨します。
(4) ネットワークの設定に関する注意事項(iSCSIを使用するとき)
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iSCSIポートに接続しているスイッチのポートでは、スパニングツリーの設定を無効にしてください。スイッチでスパニングツリー機能を有効にすると、リンクがアップまたはダウンするときに、ネットワーク上でパケットがループしなくなります。このときに、パケットが約30秒間遮断されるおそれがあります。スパニングツリーの設定を有効にする必要がある場合は、スイッチのPort Fast機能を有効にしてください。
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ストレージシステム間のネットワーク経路で、iSCSIポートの転送速度よりも転送速度が低い回線を使用した場合、パケットが消失し、回線品質が低下します。iSCSIポートの転送速度と回線が、同一の転送速度となるシステム環境を構築してください。
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ストレージシステム間の回線の遅延はシステム環境によって異なるため、事前にシステムを検証して、最適なiSCSIポートのウィンドウサイズの設定を確認してください。回線の遅延の影響が大きいと判断した場合は、WAN最適化・高速化の装置の適用を検討してください。
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iSCSIを使用する場合、TCP/IPでパケットを送受信します。このため、パケットの量が通信回線の許容量を超えてしまったり、パケットの再送が発生することがあり、性能に大きく影響を与えるおそれがあります。性能を重視する重要なシステムの場合は、ファイバチャネルを使用してください。