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 リモートレプリケーション クイックリファレンス 


2.8.19 DP-VOL容量拡張時のトラブルシューティング

DP-VOLの容量拡張中にトラブルが起きた場合の対処方法について説明します。

〈この項の構成〉

(1) Universal Replicatorペアの片方のボリュームが容量拡張に失敗した場合の回復手順

Universal Replicatorペアの片方のボリュームだけが容量拡張に成功し、もう片方のボリュームで容量拡張に失敗した場合、容量拡張後に実施するUniversal Replicatorペアの再同期操作が、容量不一致により失敗します。

また、Universal Replicatorペアをglobal-active deviceTrueCopyShadowImage、またはThin Imageと併用している場合に、どれか一つのプログラムプロダクトのプライマリボリュームとセカンダリボリュームの容量拡張が失敗した場合、ボリューム全体として容量拡張が完了していない状態となっています。

これらの状態となった場合の回復手順を次に示します。

回復手順

  1. Universal Replicatorペアのプライマリボリュームとセカンダリボリュームの両方について、「2.8.17 Universal Replicatorペアで使用しているDP-VOLの容量を拡張する」の前提条件を満たしているか確認します。

    また、Universal Replicatorペアをglobal-active deviceTrueCopyShadowImage、またはThin Imageと併用している場合、または3つのUniversal Replicatorサイトによる3DC構成の場合、併用しているすべてのプログラムプロダクトのプライマリボリュームとセカンダリボリュームの容量拡張操作が必要になります。

    対象のボリュームすべてについて、「(4) 各プログラムプロダクトの容量拡張の前提条件」に記載されている、容量拡張の前提条件を満たしているか確認します。

    容量拡張の条件を満たせない場合、 手順4 に進んでください。

  2. 容量拡張の条件を満たした状態で、再度容量拡張操作を実施し、プライマリボリュームとセカンダリボリュームの容量を一致させます。 例えば空き容量が不足している場合は、空き領域を確保してから、DP-VOLの容量を拡張します。

    また、Universal Replicatorペアをglobal-active deviceTrueCopyShadowImage、またはThin Imageと併用している場合、または3つのUniversal Replicatorサイトによる3DC構成の場合、再度、併用しているすべてのプログラムプロダクトのボリュームの容量を拡張し、各プロブラムプロダクトのペアのプライマリボリュームとセカンダリボリュームの容量を一致させます。

    • 上記の操作で容量拡張が成功した場合、 手順3に進んでください。

    • 上記の操作で容量拡張に失敗した場合、 手順4に進んでください。

  3. 各構成により、次の手順を実施します。

    • Universal Replicatorペアのみの場合

      Universal Replicatorペアを再同期します。

    • Universal ReplicatorTrueCopyペアのカスケード構成またはマルチターゲット構成の場合

      Universal ReplicatorペアとTrueCopyペアを再同期します。

    • Universal ReplicatorペアとTrueCopyのデルタリシンクに対応した3DCマルチターゲット構成の場合

      Universal ReplicatorペアとTrueCopyペアを再同期します。

    • 3つのUniversal Replicatorサイトによる3DC構成の場合

      Universal Replicatorペアを再同期します。

    • Universal Replicatorペアとglobal-active deviceの3DC構成の場合

      Universal ReplicatorペアとGADペアを再同期します。

    これで、回復が完了します。

  4. Universal Replicatorペアを削除し、SMPLの状態で容量拡張の操作をします。その後、Universal Replicatorペアを再作成します。

    容量の入力ミス等で容量拡張前の状態に戻したい場合は、Universal Replicatorペアを削除してから、正しい容量でLDEVを再作成します。その後、Universal Replicatorペアを再作成します。

    • Universal ReplicatorペアをTrueCopyまたはglobal-active deviceと併用している場合、 または3つのUniversal Replicatorサイトによる3DC構成の場合:

      すべてのペアを削除し、SMPLの状態で容量拡張の操作をします。その後、構築時の手順で構成を元に戻します。

      容量の入力ミス等で容量拡張前の状態に戻したい場合は、すべてのペアを削除してから、正しい容量でLDEVを再作成します。その後、構築時の手順で構成を元に戻します。

    • Universal Replicatorペアと、ShadowImageまたはThin Imageを併用していて、ShadowImageペアまたはThin ImageペアのP-VOLとS-VOLの容量が不一致の場合:

      ShadowImageペアまたはThin Imageペアに対しては、削除操作しかできません。容量拡張前のShadowImageペアまたはThin ImageペアのS-VOLのデータを読み出すことは可能なため、容量拡張前のデータを使いたい場合は、データ読み出し完了後にすべてのペアを削除してください。SMPLの状態で容量拡張の操作をします。その後、構築時の手順で構成を元に戻します。

      容量の入力ミス等で容量拡張前の状態に戻したい場合は、すべてのペアを削除してから、正しい容量でLDEVを再作成します。その後、構築時の手順で構成を元に戻します。

(2) Universal Replicatorペアの片方のボリュームが容量拡張済みで障害が発生した場合のリカバリ

Universal Replicatorペアの片方のボリュームだけが容量拡張に成功し、もう片方のボリュームの容量を拡張する前に障害が発生した場合の回復手順について説明します。

まず、2.10.1 災害リカバリの回復手順に従い、障害部位を回復させます。

ただし、回復手順時の操作によっては、次に示す対応をしてください。

回復手順時の操作

対応

回復手順中に次の操作がある場合

  • Universal Replicatorペアの再同期操作

Universal Replicatorペアのプライマリボリュームとセカンダリボリュームの容量が不一致状態になっているため再同期操作は失敗します。

そのため、Universal Replicatorペアの再同期操作の直前で、後述の「障害回復追加手順」を実施してください。

回復手順中に次の操作がある場合

  • Universal Replicatorペアの削除

  • ボリュームの障害回復

  • Universal Replicatorペアの再作成

Universal Replicatorペア再作成時、対象のプライマリボリュームとセカンダリボリュームの容量が不一致状態になっているためペア作成操作は失敗します。

そのため、Universal Replicatorペアの作成操作の直前で、後述の「障害回復追加手順」をしてください。

回復手順中に次の操作がある場合

  • Universal Replicatorペアの削除

  • ボリュームの削除

  • ボリュームの作成

  • Universal Replicatorペアの再作成

Universal Replicatorペア再作成時、対象のプライマリボリュームとセカンダリボリュームの容量が不一致状態になっているとペア作成操作は失敗します。

そのため、ボリュームの作成時、プライマリボリュームとセカンダリボリュームで容量を一致させてください。

障害回復追加手順

  1. 容量拡張をしていないボリュームの容量を拡張してから、Universal Replicatorのプライマリボリュームとセカンダリボリュームの容量を一致させます。

    また、Universal Replicatorペアと他のプログラムプロダクトと併用している場合、併用しているすべてのプログラムプロダクトのプライマリボリュームとセカンダリボリュームの容量を拡張します。ボリュームの拡張順序については、「(1) プログラムプロダクト連携時の容量拡張順序の考え方」を参照してください。

  2. 2.10.1 災害リカバリの回復手順に戻り、Universal Replicatorペアの再同期操作、Universal Replicatorペアの作成操作から再開します。