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 リモートレプリケーション クイックリファレンス 


2.1.2 形成コピーと更新コピー

形成コピーとは、プライマリボリュームに格納済みのデータから基底ジャーナルを作成し、作成した基底ジャーナルを副サイトのストレージシステムへ転送して、セカンダリボリュームにリストアする処理です。ホストからのI/O処理とは別に動作します。形成コピーは、次のタイミングで実施されます。

基底ジャーナルを取得する対象となる領域は、データボリューム全体の場合と、データボリュームの差分個所だけの場合があります。

データボリューム全体の基底ジャーナルは、そのデータボリュームをプライマリボリュームとするペアが作成されたときに取得されます。

差分個所だけの基底ジャーナルは、正サイトから副サイトへのデータのコピーを停止した後、ペアを再同期するときに取得されます。正サイトから副サイトへのデータのコピーが停止している間は、プライマリボリュームに対するデータ更新と、セカンダリボリュームに対するデータ更新の双方が差分ビットマップに記録されます。差分個所だけの基底ジャーナルを取得するとき(再同期するとき)は、プライマリボリュームとセカンダリボリュームの両方の差分ビットマップをマージして、マージした結果の示す領域を対象にデータが取得されます。

同じジャーナル内で複数のペアの作成または再同期をボリューム単位で指示した場合は、先に指示されたボリュームペアの基底ジャーナルがリモートストレージシステムのジャーナルボリュームに格納されてから、あとに指示されたボリュームペアの基底ジャーナルが、リモートストレージシステムのジャーナルボリュームに格納されます。このため、あとから指示された基底ジャーナルのリストアは遅れます(ジャーナル単位で指示する場合は影響ありません)。

メモ

形成コピーのオプションとして[形成コピータイプ]に[なし]RAID Managerの場合はpaircreate -nocopyを選択できます。[なし]を選択したときは、形成コピーが実行されません。[なし]は、すでにプライマリボリュームとセカンダリボリュームの内容が完全に同じであることが確実な場合にだけ選択してください。

メモ

形成コピー中にホストから正データボリュームへの書き込み要求(更新I/O)を受領すると、更新I/Oを優先するため、正ストレージシステムは形成コピーを抑制します。ただし、ミラーオプションのコピー速度が[高速]RAID Managerの場合はraidcom modify journal-copy_sizeオプションで4以上を指定)の場合、正ストレージシステムは形成コピーを抑制しません。コピー速度に[高速]を指定する場合は、形成コピー中に更新I/Oが発生しないようにしてください。更新I/Oが発生すると、データボリュームのペアが分割(サスペンド)されるおそれがあります。

メモ

Universal Replicatorペアのプライマリボリュームに対して発生するI/Oのデータ長が21MBを超えると、Universal Replicatorペアが分割(サスペンド)されることがあります。この場合、ホストのプラットフォームごとにI/Oのブロックサイズを調整してください。例えば、ホストのプラットフォームがLinux系の場合、max_sectors_kbのパラメータの値を512に設定してください。

形成コピーの完了後は、ホストがプライマリボリュームに書き込んだデータを基に、更新コピーが実行されます。Universal Replicatorは、プライマリボリュームに書き込まれるデータを更新ジャーナルとして取得します。取得した更新ジャーナルは副サイトにあるストレージシステムに転送され、セカンダリボリュームにリストアされます。

ヒント

VSP G150, G350, G370, G700, G900、VSP F350, F370, F700, F900およびVSP E990では、ジャーナルコピーによる負荷を減らし、最大限の効率でデータを転送するために、Universal Replicatorの形成コピーおよび更新コピーに特化した書き込みコマンドを使用します。この専用の書き込みコマンドを使用すると、トラック内で連続して更新されるデータの制御パラメータおよびFBA形式データを、1回の書き込み操作で転送できます。これによって、システムの負荷は軽減されて、FBAからCKD、またはCKDからFBAへの変換に必要な処理性能が確保されます。