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 リモートレプリケーション クイックリファレンス 


1.3.2 往復応答時間とは

往復応答時間とは、プライマリボリュームからセカンダリボリュームへデータをコピーするときの制限時間です。この値は、形成コピーを実行するとき、形成コピーのコピー速度を自動調整し、更新I/Oに対するリモートI/Oの応答時間に影響を与えにくくするための基準値です。

往復応答時間のデフォルトは1ミリ秒です。正サイトと副サイトのストレージシステム間の距離が長かったり、回線機器による遅延があったりする場合は、往復応答時間に適切な値を設定してください。往復応答時間に適切な値を設定しないでデフォルトのままの形成コピーを実行した場合、形成コピーの完了に不当に時間が掛かるおそれがあります。

例えばリモートI/Oの応答時間と[往復応答時間]RAID Managerの場合はraidcom modify rcu -rcu_optionの値の差が大きい場合(例:リモートI/Oの応答時間が500ミリ秒、[往復応答時間]の値が1ミリ秒)、回線の帯域すべてを形成コピーで独占しないように、コピー速度を落としたり一時的に形成コピーを停止したりします。

逆に、リモートI/Oの応答時間と[往復応答時間]の値との差が小さい場合(例:リモートI/Oの応答時間が5ミリ秒、[往復応答時間]の値が1ミリ秒)、設定されたコピー速度で形成コピーを実施します。

[往復応答時間]には1ミリ秒から500ミリ秒まで設定できます。[往復応答時間]の値は下記の式で求められます。

[往復応答時間]の値(ミリ秒) = 正サイトと副サイトのストレージシステム間の往復遅延時間(Round Trip Time) ×[応答回数]+ 形成コピー応答時間(ミリ秒)

注※

正サイトと副サイトのストレージシステム間の物理パスをファイバチャネルで接続している場合、ホストモードオプション51(Round Trip Set Up Option)の設定によって応答回数が異なります。

ホストモードオプション51の設定

応答回数

OFF

2

ON

1

データ転送時には1コマンド当たり2回の応答シーケンスとなるため、応答回数は2です。ただし、ホストモードオプション51が有効の場合は、1コマンド当たり1回の応答シーケンスとなるため、応答回数は1です。

正サイトと副サイトのストレージシステム間の物理パスをiSCSIで接続している場合、データ転送時に64KB単位で分割して転送するため、形成コピー速度に比例して応答回数が決まります。

形成コピー速度

応答回数

1

6

2

10

3

14

4

18

正サイトと副サイトのストレージシステム間の往復遅延時間(Round Trip Time)については、回線業者にお問い合わせ頂くか、pingコマンドを使用して測定するなどの方法で、決定してください。なお、正サイトと副サイトのストレージシステム間で回線を使用せずに接続する場合は、1としてください。