1.11.2 ホストバスアダプタとポートが1対1で接続されている場合の手順の流れ
次の図のネットワーク(これより先、仮にネットワークAと呼びます)の場合、ホストバスアダプタとストレージシステムは、ハブやスイッチを介さずに直接接続されています。また、1つのホストバスアダプタにつき、接続先となるポートの数は1つだけになっています。
次の図で、SPM名SPM名はシステム管理者がホストバスアダプタに付けた名前を示しています。Server Priority Managerを利用すると、システム管理者はそれぞれのホストバスアダプタを識別しやすくするためにSPM名を割り当てられます。例えば、ホストのオペレーティングシステムや設置場所などにちなんだSPM名を付けられます。
ネットワークAのように、ホストバスアダプタとポートが1対1で接続されている場合は、次の順序に従って操作します。
手順1:ストレージシステムのポートに優先度を設定する
システム管理者は、[優先ポート制御]画面の[ポート]タブを利用して、ストレージシステムのポートに優先度を設定しなくてはなりません。
ネットワークAでは、ポート1Aと1Cは優先度の高いプロダクションサーバと接続しており、ポート2Aは優先度の低い開発用サーバと接続しています。したがって、ポートの優先度は1Aと1Cが高くなり、2Aが低くなります。
[優先ポート制御]画面上でポートの優先度を設定すると、次の図のようになります。[Prio.]は優先度が高いことを示し、[Non-Prio.]は優先度が低いことを表します。
このマニュアルでは優先度の高いポートを優先ポート優先ポートと呼び、優先度の低いポートを非優先ポート非優先ポートと呼びます。例えば1Aと1Cは優先ポートであり、2Aは非優先ポートです。
手順2:ポートのトラフィックを測定する
次に、ストレージシステムのポートごとのトラフィックを測定(モニタリング)します。トラフィックには、I/Oレートと転送レートの2種類があります。I/Oレート転送レートI/Oレートは、ストレージシステムへの1秒当たりの入出力アクセス回数です。転送レートは、ホストとストレージシステム間の1秒当たりのデータ転送量です。トラフィックの測定結果を確認するときは、I/Oレートまたは転送レートのどちらかを選んで、画面に表示します。Performance Monitorの[性能モニタ]画面では、過去のトラフィックの推移を画面上に折れ線グラフで表示できます。
次の図は、3つのポート(1A、1Cおよび2A)のI/Oレートの推移を表したグラフです。このグラフによると、ポート1Aと1Cでは、始めのうちはI/Oレートが400IO/s前後で安定していました。また、ポート2AではI/Oレートが100IO/s前後で安定していました。しかし、非優先ポート2AでI/Oレートが100IO/sから200IO/sへ上昇するにつれて、優先ポート(1Aと1C)ではI/Oレートが400IO/sから200IO/sへと低下しています。このことは、優先度の高いプロダクションサーバのパフォーマンスが低下していることを示しています。このネットワークの管理者は、優先ポート(1Aと1C)のI/Oレートを元どおり400IO/sのまま維持したいと考えるはずです。ポート1Aと1CのI/Oレートを400IO/s前後で安定させるためには、ポート2AのI/Oレートに上限値を設定しなくてはなりません。
手順3:非優先ポートのトラフィックに上限値を設定する
優先ポートのパフォーマンスの低下を防ぐには、Server Priority Managerの[優先ポート制御]画面を利用して、非優先ポートのトラフィックに上限値を設定します。
上限値を初めて設定するときは、ピーク時のトラフィックの90パーセント程度にしておくことをお勧めします。例えばネットワークAの場合は、非優先ポート(2A)のI/Oレートのピークが200IO/sなので、非優先ポート(2A)のI/Oレートの上限値は180IO/sにします。
手順4:上限値の適用結果を確認する
上限値をストレージシステムに適用したら、再びポートのトラフィックを測定します。トラフィックを測定したら、優先ポート(1Aと1C)のトラフィックを再び画面に表示して、望みどおりのサーバ性能が得られたかどうかを確認します。
ネットワークAで、システム管理者がポート1Aと1CのI/Oレートを400IO/sにしたいと考えていた場合は、1Aと1CのI/Oレートが400IO/sになっていれば、望みどおりのプロダクションサーバ性能が得られたことになります。
もし望みどおりのプロダクションサーバ性能が得られなかった場合は、上限値を現在よりも小さい値に変更して、ストレージシステムに適用します。例えばネットワークAの場合、上限値を180IO/sに設定しても優先ポート(1Aと1C)のI/Oレートが400IO/sに達しなかった場合は、I/Oレートが400IO/sに達するまで上限値の変更を繰り返します。
手順5:必要であれば、しきい値を設定する
しきい値を利用したい場合は、[優先ポート制御]画面の[ポート]タブでしきい値を設定します。
しきい値の設定方法は、次の2種類あります。
-
優先ポートごとに1つずつしきい値を設定する
例:ネットワークAでポート1Aのしきい値を200IO/sとし、ポート1Cのしきい値を100IO/sとした場合、次の条件の両方が満たされると非優先ポート(2A)では上限値が無効になります。
ポート1AのI/Oレート(1秒当たりの入出力アクセス回数)が200IO/s以下になったとき
ポート1CのI/Oレートが100IO/s以下になったとき
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ストレージシステム1台につき、しきい値を1つだけ設定する
例:ネットワークAでストレージシステムに500IO/sというしきい値を設定すると、2つの優先ポート(1Aと1C)のI/Oレート合計値が500IO/sを下回ったときに、非優先ポート(2A)では上限値が無効になります。
上限値を無効にするためにセルに0を入力すると、セルにはハイフン(-)が表示され、その優先ポートではしきい値が無効になります。すべての優先ポートでしきい値が無効な場合、しきい値制御は実行されなくなり、上限値制御だけが実行されます。また、複数の優先ポートにしきい値を設定した場合、すべての優先ポートでI/Oレートまたは転送レートがしきい値を下回ると、しきい値制御が実行され、非優先ポートの上限値が解除されます。しきい値と上限値の関係を次に示します。
しきい値の設定の有無 |
非優先ポートの上限値に0以外を設定 |
非優先ポートの上限値に0を設定 |
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優先ポートにしきい値の設定あり |
複数の優先ポートにしきい値を設定した場合、転送レートの値によって次の制御が実行されます
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優先ポートに対するしきい値制御は実行されません |
優先ポートにしきい値の設定なし |
常に上限値の設定が有効になります |