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 パフォーマンス最適化 クイックリファレンス 


1.9.2 優先度が高いホストの性能低下の防止

一般に、ストレージエリアネットワーク(SAN)では、数多くのサーバホストがストレージシステムに接続されます。サーバホストの中には、常に高い処理能力が必要となるサーバホストもありますが、他のサーバホストにも同じレベルの処理能力が必要とは限りません。

高い処理能力が必要なサーバホストの例として、プロダクションサーバが挙げられます。プロダクションサーバプロダクションサーバは、実際の業務を処理するために利用されるサーバで、例えば業務用のデータベースサーバやアプリケーションサーバなどです。もしプロダクションサーバの処理能力が低下すると、業務の生産性が大きく損なわれるおそれがあるため、システム管理者はプロダクションサーバの処理能力を高い水準で維持しなくてはなりません。

多くの企業内システムには、プロダクションサーバのほか、開発用サーバと呼ばれるサーバホストがあります。開発用サーバ開発用サーバは、業務処理アプリケーションの開発やテストに利用されるサーバです。開発用サーバの処理能力が低下すると、アプリケーションの開発に支障が出ますが、プロダクションサーバの処理能力が低下するのに比べれば、企業内システム全体に与える悪影響は小さいといえます。したがって、企業内システムでは、開発用サーバの処理能力よりもプロダクションサーバの処理能力の方が優先度が高いといえます。

システム管理者はServer Priority Managerを利用すると、開発用サーバからストレージシステムへのアクセス回数や転送データ量に上限を設定できます。開発用サーバからのアクセス回数や転送データ量を低く抑えると、プロダクションサーバでは入出力待ち時間の減少が期待できるようになり、パフォーマンスが高水準で安定します。このように、優先度の低いサーバの処理能力に上限を設定して、優先度の高いサーバの処理能力を高水準で安定させることを、上限値制御と呼びます。上限値制御