2.4.5 Thin ImageとShadowImageの特性の違いおよび使い分け
Thin ImageとShadowImageの特性の違いおよび使い分けについて説明します。
(1) Thin ImageとShadowImageの特性の違い
Thin ImageとShadowImageの特性の違いを次の表に示します。
項目 |
Thin Image |
ShadowImage |
---|---|---|
プライマリボリュームの物理障害(ハードディスク障害など)に対する耐性 |
プライマリボリュームのデータは保証できない |
セカンダリボリュームを使用してプライマリボリュームを復旧できる |
プライマリボリュームの論理障害(データの更新誤りやウィルス感染など)に対する耐性 |
セカンダリボリュームを使用してプライマリボリュームを復旧できる |
セカンダリボリュームを使用してプライマリボリュームを復旧できる |
バックアップに必要な容量 |
プライマリボリュームとの差分だけを保持するため、バックアップに必要な容量が少ない※1 |
プライマリボリューム全体のデータを保持するため、バックアップに必要な容量が多い |
バックアップしたデータにアクセスするときの、プライマリボリュームの性能に対する影響 |
プライマリボリュームとデータを共有しているため、プライマリボリュームの性能に影響が出る※2 |
プライマリボリュームとセカンダリボリュームを切り離すことができるため、プライマリボリュームの性能に影響が出ない |
セカンダリボリュームまたはプールの物理障害 |
プールに物理障害が発生した場合※3は、該当するプールを使用するすべてのセカンダリボリュームのデータは保証できない |
セカンダリボリュームに物理障害が発生した場合は、該当するセカンダリボリュームのデータは保証できない |
- 注※1
-
スナップショット属性のペアの場合。クローン属性のペアを作成する場合は、プライマリボリューム全体のデータを保持するため、バックアップに必要な容量が多い
- 注※2
-
スナップショット属性のペアの場合。クローン属性のペアを作成する場合は、プライマリボリュームとセカンダリボリュームを切り離すことができるため、プライマリボリュームの性能に影響が出ない
- 注※3
-
プール満杯時(Thin Imageペア使用容量制限が有効なプールでの枯渇しきい値超過時)も、該当するプールを使用するすべてのセカンダリボリュームのデータは保証できません。
(2) Thin ImageとShadowImageの使い分け
バックアップしたデータの長期間保存が義務付けられている場合など、バックアップしたデータを物理障害によって消失させたくない場合は、磁気テープなどの媒体にデータをバックアップする必要があります。 磁気テープなどの媒体にデータをバックアップするまでの、一時的なバックアップとして、Thin ImageまたはShadowImageを使用してください。 磁気テープなどの媒体にバックアップするときに、プライマリボリュームの性能に影響を与えたくない場合はShadowImage、プライマリボリュームの性能に影響が出てもバックアップに必要な容量を少なくしたい場合はThin Imageを使用することをお勧めします。
プライマリボリュームの物理障害に対して備えたい場合は、ShadowImageを使用してください。そのとき、4世代以上のバックアップが必要な場合は、次の図のようにShadowImageとThin Imageを併用することをお勧めします。
プライマリボリュームの論理障害に対して備えたい場合は、Thin Imageを使用してください。ShadowImageでもセカンダリボリュームを使用してプライマリボリュームを復旧できますが、バックアップに必要な容量が少ないThin Imageを使用することをお勧めします。