4.2.4 マッピングに必要な外部ボリュームの属性
外部ボリュームを内部ボリュームとしてマッピングするときに、外部ボリュームの属性を設定します。外部ボリュームの属性は、マッピングのポリシーとしてマッピングする前に設定しておくか、マッピング時に設定できます。
設定する属性を次に説明します。
キャッシュモード([キャッシュモード]:[有効]または[無効])
キャッシュモードホストからの書き込みデータを、外部ストレージシステムに同期で反映させるか(無効)、非同期で反映させるか(有効)を設定します。ここで設定する有効/無効に関係なく、ローカルストレージシステムへの全I/Oは、常にキャッシュを使用します。また、書き込み処理は2つあるキャッシュに常にバックアップされます。
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キャッシュモードを[有効]に設定すると、ローカルストレージシステムは、ホストからの書き込みデータをすべてローカルストレージシステム自体のキャッシュに受け取った時点で、ホストに処理の終了を報告します。その後書き込みデータは、外部ストレージシステムに非同期で反映されます。
キャッシュモードを[無効]に設定すると、ローカルストレージシステムは、ホストからの書き込みデータをすべて外部ストレージシステムに反映させてから、ホストに処理の終了を報告します。
キャッシュモードの設定について、次の点に注意してください。
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ホストから直接書き込まれたデータ以外(ShadowImageなどによって書き込まれたデータ)は、キャッシュモードの設定に関係なく非同期で反映されます([有効]設定時と同じ動作です)。
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キャッシュモードを[有効]に設定する場合は、システムへの負荷を考慮して設定してください。
通常、キャッシュモードを[有効]に設定すると、ローカルストレージシステム自体のキャッシュを使用してホストからの書き込みデータを非同期で外部ストレージシステムに反映するので、ホストからの書き込みに対するレスポンスが速くなったり、ホストからの書き込み処理の性能が向上したりします。
ただし、キャッシュの使用率が60%を超えるような、システムへの負荷が高い環境では、負荷を下げるためにローカルストレージシステムがホストからの書き込みを抑止します。
このため、キャッシュモードを[有効]に設定しても、キャッシュモードを[無効]に設定したときと比べて、ホストからの書き込みに対するレスポンスが遅くなったり、ホストからの書き込み処理の性能が低下したりするおそれがあります。
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Dynamic Provisioning用のプールにプールボリュームとして登録されているLDEVがあり、かつ、そのプールから[圧縮]または[重複排除および圧縮]が有効な仮想ボリュームが作成されている場合、ホストからその仮想ボリュームへ直接書き込まれたデータは、キャッシュモードの設定に関係なく、非同期で反映されます。
キャッシュ流入制御([キャッシュ流入制御]:[有効]または[無効])
キャッシュ流入制御外部ボリュームへの書き込みができなくなった場合に、キャッシュメモリへの書き込みを制限するか(有効)、書き込みを続けるか(無効)を設定します。デフォルトでは、[無効](書き込みを続ける)が設定されています。
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キャッシュ流入制御を[有効]に設定すると、外部ボリュームへの書き込みができなくなった場合、キャッシュメモリへの書き込みを制限します。キャッシュメモリへの書き込みを制限することで、キャッシュメモリにデステージできないデータがたまることを防ぎます。
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キャッシュ流入制御を[無効]に設定すると、外部ボリュームへの書き込みができなくなったあとでも、リトライ中に発生した外部ボリュームへのI/Oはキャッシュメモリに書き込まれます。外部ボリュームへの書き込みができるようになると、キャッシュメモリの内容が外部ボリュームに書き込まれます(デステージされます)。
ALUAモードの使用([パスモードとしてALUAを使用]:[選択された外部ボリュームによる]、[有効]、または[無効])
ローカルストレージシステム側でパスモードにALUAを使用するかどうかを設定します。デフォルトでは、外部ストレージのプロファイル情報でALUAをサポートしている場合は[有効]、ALUAをサポートしていない場合は[無効]が設定されています。ただし、外部ストレージシステムの装置名称が(generic)と表示されるストレージシステムの場合は、デフォルトが[選択された外部ボリュームによる]になります。
ロードバランスモード([ロードバランスモード]:[選択された外部ボリュームによる]、[標準ラウンドロビン]、[拡張ラウンドロビン]、または[無効])
ロードバランスモード外部ストレージシステムへのI/Oの負荷分散方式(ロードバランスモード)を設定します。デフォルトでは、[標準ラウンドロビン](推奨値)が設定されています。ただし、外部ストレージシステムの装置名称が(generic)と表示されるストレージシステムの場合は、デフォルトが[選択された外部ボリュームによる]になります。
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ロードバランスモードを[選択された外部ボリュームによる]に設定すると、選択された外部ボリュームによってロードバランスモードが決まります。外部ボリュームの[ALUA設定可能]が[有効]の場合は[標準ラウンドロビン]、[無効]の場合は[無効]が設定されます。
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ロードバランスモードを[標準ラウンドロビン]に設定すると、外部ストレージシステムに対して、I/Oが可能な複数のパスにI/Oを振り分けます。連続性がないI/Oを多く発行する(シーケンシャルなI/Oが少ない)場合に有効です。
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ロードバランスモードを[拡張ラウンドロビン]に設定すると、外部ストレージシステムに対して、I/Oが可能な複数のパスにI/Oを振り分けます。ただし、シーケンシャルI/Oの場合は、外部ボリュームを一定の間隔で区切ったときに、同じ区間へのI/Oには同じパスを使用することで、I/Oを振り分ける頻度を少なくします。1つ前のI/Oと連続性のあるI/Oの場合、外部ストレージシステムのキャッシュ機能によって読み込み速度の向上が期待できます。連続性があるI/Oを多く発行する(シーケンシャルなI/Oが多い)場合に有効です。
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ロードバランスモードを[無効]に設定すると、Singleモードと同じく、外部ストレージシステムに対して、I/Oが可能なパスのうち優先順位が最も高いパスだけを使用してI/Oを実行します。ロードバランスモードを[無効]に設定すると負荷分散が実施されません。このため、ロードバランスモードを[無効]に設定しないことを推奨します。
- 注意
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外部ストレージシステムの種別やシステム構成によって[拡張ラウンドロビン]を設定しても性能が向上しない場合があります。その場合はデフォルトである[標準ラウンドロビン]を設定してください。
CLPR
CLPRVirtual Partition Managerを使ってキャッシュメモリを分割している場合に、マッピングしたボリュームにアクセスするときに使用するCLPRを設定します。CLPRの詳細については、Virtual Partition Managerユーザガイドを参照してください。