9.1.1 RAID Managerを使用してデータをバックアップする
RAID Managerを使用して、プライマリボリュームのデータを定期的にセカンダリボリュームへバックアップします。また、バックアップしたデータを磁気テープにコピーします。
条件
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前提とする構成は次のとおりです。
上記の前提環境に対して次のとおりバックアップサーバとセカンダリボリュームを追加します。
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前提とする環境は次のとおりです。
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RAID Managerが管理端末にインストール済みで使用できる状態になっています。RAID Managerのインストールや設定の詳細についてはRAID Managerインストール・設定ガイド、RAID Manager ユーザガイドを参照してください。
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管理端末とストレージシステムがLANで接続されています。
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管理端末のRAID Managerを使用してプライマリボリュームが作成済みになっています。
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ストレージシステムでは、次の資源が十分に確保されています。
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ストレージ容量
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ShadowImageのライセンス容量
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前提とする設定値は次のとおりです。
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ストレージシステムのシリアル番号
400001
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プライマリボリューム(業務サーバで使用中)
ボリュームID:100
サイズ:10GB
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セカンダリボリューム(バックアップ用)
ボリュームID:200
サイズ:10GB(バックアップ用)
プライマリボリュームと同じサイズを指定してください。
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ボリュームのグループ名
プライマリボリュームとセカンダリボリュームともに「ora」
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ペア論理ボリューム名
プライマリボリュームとセカンダリボリュームともに「oradb1」
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ストレージシステムのユーザ名とパスワード
ユーザ名:user00
パスワード:password00
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GUMのIPアドレスとUDPポート番号
IPアドレス:192.168.0.16、192.168.0.17
UDPポート番号:31001、31002
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- 〈この項の構成〉
(1) サンプルコード1-1:セカンダリボリュームの作成
バックアップサーバと接続するセカンダリボリュームを作成します。
操作手順
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業務サーバからストレージシステムにログインします。
コマンド例:
# raidcom -login user00 password00
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論理ボリュームを作成します。
コマンド例:
#raidcom add ldev -pool 1 -ldev_id 200 -capacity 10G
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論理ボリュームの情報を表示します。
コマンド例:
#raidcom get ldev -ldev_id 200
B_POOLIDの値が1、LDEVの値が200になっていれば正常に作成できています。
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セカンダリボリュームへのパスを設定します。
コマンド例:
#raidcom add lun -port CL1-B -ldev_id 200
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セカンダリボリュームへのパスが設定されたことを確認します。
コマンド例:
#raidcom get lun -port CL1-B
出力結果に、PORT項目がCL1-Bの行の中にLDEV項目が200になっている行があれば正常に完了しています。
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ストレージシステムからログアウトします。
コマンド例:
# raidcom -logout
(2) サンプルコード1-2:バックアップサーバの構築
バックアップサーバや磁気テープなど用意し、RAID Managerをインストールします。
操作手順
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バックアップサーバおよび磁気テープ装置を用意します。
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バックアップサーバを構築します。
バックアップサーバの構築についてはバックアップサーバのマニュアルを参照してください。
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磁気テープ装置をバックアップサーバに接続します。
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バックアップサーバにRAID Managerをインストールします。
インストール方法についてはRAID Managerインストール・設定ガイドを参照してください。
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RAID Managerの構成定義ファイルのhorcm0.confとhorcm1.confを作成します。
構成定義ファイルには、HORCM_CMD、HORCM_LDEV、およびHORCM_INSTを記載します。
HORCM_CMDには、RAID Managerがアクセスできるコマンドデバイスを指定します。
HORCM_LDEVには、ペア論理ボリュームのグループ名、グループ内のペア論理ボリューム名、ストレージシステムのシリアル番号およびストレージシステムのLDEV番号を指定します。
HORCM_INSTには、RAID Managerがインストールされているサーバのネットワークアドレスを指定します。
次の構成定義ファイル中のパラメータは前提条件の構成に基づいています。
horcm0.conf
HORCM_CMD \\.\IPCMD-192.168.0.16-31001 \\.\IPCMD-192.168.0.17-31001 \\.\IPCMD-192.168.0.16-31002 \\.\IPCMD-192.168.0.17-31002 HORCM_LDEV #dev_group dev_name Serial# CU:LDEV(LDEV#) MU# ora oradb1 400001 100 0 HORCM_INST #dev_group ip_address service ora localhost 31002
horcm1.conf
HORCM_CMD \\.\IPCMD-192.168.0.16-31001 \\.\IPCMD-192.168.0.17-31001 \\.\IPCMD-192.168.0.16-31002 \\.\IPCMD-192.168.0.17-31002 HORCM_LDEV #dev_group dev_name Serial# CU:LDEV(LDEV#) MU# ora oradb1 400001 200 0 HORCM_INST #dev_group ip_address service ora localhost 31001
(3) サンプルコード1-3:ペアの作成
セカンダリボリュームとプライマリボリュームでペアを作成します。
操作手順
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バックアップサーバからストレージシステムにログインします。
コマンド例:
# raidcom -login user00 password00
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プライマリボリュームとセカンダリボリュームでペアを作成します。
コマンド例:# paircreate -IM0 -g ora -vl
ペアを作成すると、プライマリボリュームからセカンダリボリュームにデータがコピーされます。コピーの完了後、2つのボリュームは一時的に同期した状態になり、その後分割されます。
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ペアの作成が成功したことを確認します。
コマンド例:
# pairevtwait -IM0 -g ora -nowait pairevtwait : status is PAIR.
「pairevtwait : status is PAIR.」と表示されていれば正常に完了しています。
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定期的にバックアップを取得するための設定をします。
コマンド例:
# pairsplit -IM0 -g ora
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ペア分割が成功したことを確認します。
コマンド例:
# pairevtwait -IM0 -g ora -nowait pairevtwait : status is PSUS.
「pairevtwait : status is PSUS.」と表示されていれば正常に完了しています。
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ストレージシステムからログアウトします。
コマンド例:
# raidcom -logout
(4) サンプルコード1-4:データのバックアップ
バックアップ環境の作成後、任意のタイミングでプライマリボリュームのデータをセカンダリボリュームにバックアップできます。業務サーバ上で動作しているアプリケーションによってはバックアップ前に静止化が必要になります。必要な手順については各アプリケーションのドキュメントを参照してください。なお、この例では、プライマリボリュームとセカンダリボリュームのペアが分割されている状態から操作を開始しています。
操作手順
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バックアップサーバからストレージシステムにログインします。
コマンド例:
# raidcom -login user00 password00
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ペアを再同期して、プライマリボリュームのデータをセカンダリボリュームにコピーします。
コマンド例:
# pairresync -IM0 -g ora
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ペアの再同期が完了したことを確認します。
コマンド例:
# pairevtwait -IM0 -g ora -nowait pairevtwait : status is PAIR.
「pairevtwait : status is PAIR.」と表示されていれば正常に完了しています。
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ペアを分割して同期を解除します。
コマンド例:
# pairsplit -IM0 -g ora
同期を解除することで、ペアを分割した時点のプライマリボリュームのデータが、セカンダリボリュームにバックアップされた状態になります。
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ペアの分割が完了したことを確認します。
コマンド例:
# pairevtwait -IM0 -g ora -nowait pairevtwait : status is PSUS.
「pairevtwait : status is PSUS.」と表示されていれば正常に完了しています。
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ストレージシステムからログアウトします。
コマンド例:
# raidcom -logout
(5) サンプルコード1-5:バックアップデータの磁気テープへのコピー
セカンダリボリュームにコピーしたバックアップデータを、バックアップサーバを使って磁気テープにコピーします。
操作手順
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セカンダリボリュームのファイルシステムをチェックします。
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セカンダリボリュームをマウントします。
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セカンダリボリュームのマウントが完了したことを確認します。
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セカンダリボリュームのデータを磁気テープへバックアップします。
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ファイルシステムを同期します。
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セカンダリボリュームのマウントを解除します。
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セカンダリボリュームのマウントが解除されたことを確認します。
RAID Managerで実行するコマンドの詳細についてはRAID Managerコマンドリファレンスを参照してください。