1.12.34 移行先の正サイトの障害から回復する手順例
「1.12.29 障害発生前の状態」に示した、それぞれの状態で、移行先のUR正サイトのストレージシステムに障害が発生した場合の回復手順を説明します。
- 〈この項の構成〉
(1) 「移行作業中」のデータ移行中状態で発生した、移行先のUR正サイト障害
障害発生前後のペアの状態の変化を、次に示します。
ペアの種類 |
障害発生前のペア状態 |
障害発生後のペア状態 |
||
---|---|---|---|---|
P-VOL |
S-VOL |
P-VOL |
S-VOL |
|
GADペア |
COPY(Local) |
COPY(Block) |
PSUE(Local) |
- (PSUE(Block)※) |
移行元のURペア |
PAIR |
PAIR |
PAIR |
PAIR |
- (凡例)
-
P-VOL:プライマリボリューム
S-VOL:セカンダリボリューム
- 注※
- 移行先の正サイトの電源をオンにした後での状態です。
この障害に対する回復では、障害発生後も移行元のURにて、サーバからのI/Oおよびリモートコピーが継続されるため、障害からの復旧まではペア操作は不要です。移行先のUR正サイトを回復させてから、GADペアを回復します。
障害回復の概要
障害回復の流れ
-
移行先のUR正サイトのストレージシステムの障害を取り除き回復します。
-
GADペアを再同期します。
(2) 「移行作業中」のデータ移行完了後状態で発生した、移行先のUR正サイト障害
障害発生前後のペアの状態の変化を、次に示します。
ペアの種類 |
障害発生前のペア状態 |
障害発生後のペア状態 |
||
---|---|---|---|---|
P-VOL |
S-VOL |
P-VOL |
S-VOL |
|
GADペア |
PAIR(Mirror(RL)) |
PAIR(Mirror(RL)) |
PSUE(Local) |
- (PSUE(Block)※2) |
移行元のURペア |
PAIR |
PAIR |
PAIR |
PAIR |
移行先のURペア※3 |
COPY/PAIR |
COPY/PAIR |
- (PSUE※2) |
COPY※1/PAIR※1/PSUE※1, 2 |
- (凡例)
-
P-VOL:プライマリボリューム
S-VOL:セカンダリボリューム
- 注※1
- システムオプションモード(448、449)の設定状態によってペア状態が異なります。 VSP 5000シリーズの場合は、システム詳細設定(15、16)の設定状態によってペア状態が異なります。
- 注※2
- 移行先の正サイトの電源をオンにした後での状態です。
- 注※3
- 移行先のURペアが形成されていた場合のペア状態です。
この障害に対する回復では、既存の移行元のUR環境をシステム復旧に利用します。障害発生後も移行元のURにて、サーバからのI/Oおよびリモートコピーが継続されるため、障害からの復旧まではペア操作は不要です。移行先のUR正サイトを回復後、GADペアを回復します。
障害回復の概要
障害回復の流れ
-
移行先のUR正サイトのストレージシステムの障害を取り除き回復します。
- GADペアを再同期します。
- GADのペア状態がPAIRに変わったことを確認します。
- 移行先のURペアを再同期します。
(3) 「移行完了後」の移行元URペア撤去前状態で発生した、移行先のUR正サイト障害
障害発生前後のペアの状態の変化を、次に示します。
ペアの種類 |
障害発生前のペア状態 |
障害発生後のペア状態 |
||
---|---|---|---|---|
P-VOL |
S-VOL |
P-VOL |
S-VOL |
|
GADペア |
PAIR(Mirror(RL)) |
PAIR(Mirror(RL)) |
PAIR(Mirror(RL))/PSUE(Local)※3 |
- (PSUE(Block)※2) |
移行元のURペア |
PAIR |
PAIR |
PAIR |
PAIR |
移行先のURペア |
PAIR |
PAIR |
- (PSUE※2) |
PAIR※1/PSUE※1, 2 |
- (凡例)
-
P-VOL:プライマリボリューム
S-VOL:セカンダリボリューム
- 注※1
- システムオプションモード(448、449)の設定状態によってペア状態が異なります。 VSP 5000シリーズの場合は、システム詳細設定(15、16)の設定状態によってペア状態が異なります。
- 注※2
- 移行先の正サイトの電源をオンにした後での状態です。
- 注※3
- 障害回復前に、サーバから正サイトへI/Oが発行された場合の状態です。
この障害に対する回復では、サーバからのI/Oを継続させるために、移行先のUR副サイトのセカンダリボリュームでI/O受け付け可能となるようにペア操作します。リモートコピーのシステム環境は移行が完了しているので、移行先のURの障害回復を実施してから、移行元のUR環境の撤去を実施します。
障害回復の概要
障害回復の流れ
-
サーバから移行先のUR正サイトのストレージシステムへのI/Oを停止します。
-
移行先のUR副サイトから、セカンダリボリュームを指定して、URペアを中断(スワップサスペンド)します。
コマンド例:pairsplit -g oraUR01 -RS -IH4
-
サーバから移行先のUR副サイトのストレージシステムへのI/Oを開始します。
-
移行先のUR正サイトのストレージシステムの障害を取り除き回復します。
-
セカンダリボリュームの仮想LDEV ID情報が残るように指定して、GADペアを強制削除します。
コマンド例:pairsplit -g oraHA00 -RFV -IH3
-
移行元のURペアを削除します。
コマンド例:pairsplit -g oraUR00 -S -IH1
-
プライマリボリュームに仮想LDEV IDが残らないように指定して、GADペアを強制削除します。
コマンド例:pairsplit -g oraHA00 -SF -IH1
-
移行先のURペアをセカンダリボリューム指定で再同期(スワップリシンク)します。
コマンド例:pairresync -g oraUR01 -swaps -IH4
移行先のURペアは、正サイトのボリュームがセカンダリボリュームに、副サイトのボリュームがプライマリボリュームに変わります。
-
URのペア状態がPAIRに変わったことを確認します。
-
サーバから移行先のUR副サイトのストレージシステムへのI/Oを停止します。
-
移行先のUR正サイトから、セカンダリボリュームを指定して、URペアを中断(スワップサスペンド)します。
コマンド例:pairsplit -g oraUR01 -RS -IH3
-
サーバから移行先のUR正サイトのストレージシステムへのI/Oを再開します。
-
移行先のUR正サイトから、セカンダリボリュームを指定して、URペアを再同期(スワップリシンク)します。
コマンド例:pairresync -g oraUR01 -swaps -IH3
移行先のURペアは、正サイトのボリュームがプライマリボリュームに、副サイトのボリュームがセカンダリボリュームに変わります。
-
URのペア状態がPAIRに変わったことを確認します。
以降は「1.12.17 移行元の環境を撤去する」に従って、移行元のURの環境を撤去します。