1.12.35 移行先の正サイトのGADのセカンダリボリュームの障害(LDEV閉塞)から回復する手順例
「1.12.29 障害発生前の状態」に示した、それぞれの状態で、移行先の正サイトのストレージシステムのボリュームに障害(LDEV閉塞)が発生した場合の回復手順を説明します。
- 〈この項の構成〉
(1) 「移行作業中」のデータ移行中状態で発生した、移行先の正サイトのGADセカンダリボリューム障害(LDEV障害)
障害発生前後のペアの状態の変化を、次に示します。
ペアの種類 |
障害発生前のペア状態 |
障害発生後のペア状態 |
||
---|---|---|---|---|
P-VOL |
S-VOL |
P-VOL |
S-VOL |
|
GADペア |
COPY(Local) |
COPY(Block) |
PSUE(Local)※ | PSUE(Block)※ |
移行元のURペア |
PAIR |
PAIR |
PAIR |
PAIR |
- (凡例)
-
P-VOL:プライマリボリューム
S-VOL:セカンダリボリューム
- 注※
- 障害ボリュームを使用しているペアが、サーバからI/Oを受けたときの状態です。それ以外の場合は障害発生前のペア状態です。
この障害に対する回復では、障害発生後も移行元のURにて、サーバからのI/Oおよびリモートコピーが継続されるため、障害ボリュームに対する移行手順のやり直しのみとなります。移行先のUR正サイトを回復させてから、GADペアを再形成します。
障害回復の概要
障害回復の流れ
-
障害ボリュームを使用しているGADペアを削除します。
コマンド例:pairsplit -g oraHA00 -d dev10 -S -IH1
-
移行先のUR正サイトのGADのセカンダリボリュームの障害を取り除き回復します(フォーマットによる回復が必要な場合はフォーマットします)。
-
障害から回復したボリュームのGADペアを再形成します。
コマンド例:paircreate -g oraHA00 -f never -vl -jq 0 -d dev10 -IH1
(2) 「移行作業中」のデータ移行完了後状態で発生した、移行先のUR正サイトのGADセカンダリボリューム障害(LDEV障害)
障害発生前後のペアの状態の変化を、次に示します。
ペアの種類 |
障害発生前のペア状態 |
障害発生後のペア状態 |
||
---|---|---|---|---|
P-VOL |
S-VOL |
P-VOL |
S-VOL |
|
GADペア |
PAIR(Mirror(RL)) |
PAIR(Mirror(RL)) |
PSUE(Local)※1 |
PSUE(Block)※1 |
移行元のURペア |
PAIR |
PAIR |
PAIR |
PAIR |
移行先のURペア※2 |
COPY/PAIR |
COPY/PAIR |
PSUE※3 |
PSUE※3 |
- (凡例)
-
P-VOL:プライマリボリューム
S-VOL:セカンダリボリューム
- 注※1
- 障害ボリュームを使用しているペアが、サーバからI/Oを受けたときの状態です。それ以外の場合は障害発生前のペア状態です。
- 注※2
-
移行先のURペアが形成されていた場合のペア状態です。
- 注※3
- 障害が発生したボリュームを使用しているGADペアが、サーバからI/Oを受けたときのURペア状態です。このURペアのエラーレベルを「ミラー」に設定している場合は、ミラーに属するすべてのURペアが、このペア状態になります。
この障害に対する回復では、障害発生後も移行元のURにて、サーバからのI/Oおよびリモートコピーが継続されるため、障害ボリュームに対する移行手順のやり直しのみとなります。移行先のUR正サイトを回復させてから、GADペアおよび移行先のURペアを再形成します。
障害回復の概要
障害回復の流れ
-
障害ボリュームを使用している移行先のURペアを削除します。
コマンド例:pairsplit -g oraUR01 -d dev20 -S -IH3
-
障害ボリュームを使用しているGADペアを削除します。
コマンド例:pairsplit -g oraHA00 -d dev10 -S -IH1
-
移行先のUR正サイトのGADセカンダリボリュームの障害を取り除き回復します(フォーマットによる回復が必要な場合はフォーマットします)。
-
障害から回復したボリュームのGADペアを再形成します。
コマンド例:paircreate -g oraHA00 -d dev10 -f never -vl -jq 0 -IH1
-
GADのペア状態がPAIRに変わったことを確認します。
-
移行先のURペアがペア中断している場合は、再同期します。
コマンド例:pairesync -g oraUR01 -IH3
-
障害から回復したボリュームの移行先のURペアを再形成します。
コマンド例:paircreate -g oraUR01 -d dev20 -f async -vl -jp 0 -js 0 -IH3
(3) 「移行完了後」の移行元URペア撤去前状態で発生した、移行先のUR正サイトのGADセカンダリボリューム障害(LDEV障害)
障害発生前後のペアの状態の変化を、次に示します。
ペアの種類 |
障害発生前のペア状態 |
障害発生後のペア状態 |
||
---|---|---|---|---|
P-VOL |
S-VOL |
P-VOL |
S-VOL |
|
GADペア |
PAIR(Mirror(RL)) |
PAIR(Mirror(RL)) |
PSUE(Local)※1 |
PSUE(Block)※1 |
移行元のURペア |
PAIR |
PAIR |
PAIR |
PAIR |
移行先のURペア |
PAIR |
PAIR |
PSUE※2 |
PSUE※2 |
- (凡例)
-
P-VOL:プライマリボリューム
S-VOL:セカンダリボリューム
- 注※1
-
障害が発生したボリュームを使用しているペアが、サーバからI/Oを受けたときの状態です。それ以外の場合は、障害発生前のペア状態です。
- 注※2
-
障害が発生したボリュームを使用しているURペアが、サーバからI/Oを受けたときのペア状態です。このURペアのエラーレベルを「ミラー」に設定している場合は、ミラーに属するすべてのURペアが、このペア状態になります。
この障害に対する回復では、サーバからのI/Oを継続させるために、移行先のUR副サイトのセカンダリボリュームでI/O受け付け可能となるようにペア操作します。リモートコピーのシステム環境は移行が完了しているので、移行先のURの障害回復を実施してから、移行元のUR環境の撤去を実施します。
障害回復の概要
障害回復の流れ
- サーバから移行先のUR正サイトのストレージシステムへのI/Oを停止します。
-
移行先のURペアを、セカンダリボリューム指定でペア中断(スワップサスペンド)をします。
コマンド例:pairsplit -g oraUR01 -RS -IH4
-
サーバからの移行先のUR副サイトのストレージシステムへI/Oを開始します。
-
移行元のURペアをプライマリボリューム指定でペア削除します。
コマンド例:pairsplit -g oraUR00 -S -IH1
-
セカンダリボリュームの仮想LDEV IDが残るように指定して、GADペアを強制削除します。
コマンド例:pairsplit -g oraHA00 -RFV -IH3
-
プライマリボリュームの仮想LDEV IDが残らないように指定して、GADペアを強制削除します。
コマンド例:pairsplit -g oraHA00 -SF -IH1
-
障害ボリュームを使用している移行先のURペアを削除します。
コマンド例:pairsplit -g oraUR01 -d dev20 -S -IH3
-
移行先のUR正サイトのGADセカンダリボリュームの障害を取り除き回復します(フォーマットによる回復が必要な場合はフォーマットします)。
-
移行先のURペアをセカンダリボリューム指定で再同期します。
コマンド例:pairresync -g oraUR01 -swaps -IH4
移行先のURペアは、正サイトのボリュームがセカンダリボリュームに、副サイトのボリュームがプライマリボリュームに変わります。
-
移行先のUR副サイトから、障害から回復したボリュームの移行先URペアを形成します。
コマンド例:paircreate -g oraUR01 -d dev20 -f async -vl -jp 0 -js 0 -IH4
-
URのペア状態がPAIRに変わったことを確認します。
-
サーバからの移行先のUR副サイトのストレージシステムへのI/Oを停止します。
-
移行先URの正サイトから、セカンダリボリュームを指定して、URペアを中断(スワップサスペンド)します。
コマンド例:pairsplit -g oraUR01 -RS -IH3
-
サーバからの移行先のUR正サイトのストレージシステムへI/Oを再開します。
-
移行先のUR正サイトから、セカンダリボリュームを指定して、URペアを再同期(スワップリシンク)します。
コマンド例:pairresync -g oraUR01 -swaps -IH3
以降は「1.12.17 移行元の環境を撤去する」に従って、移行元のUR環境を撤去します。