2.2.3 Universal ReplicatorとShadowImageの併用
Universal ReplicatorとShadowImageは、同じデータボリュームを共有でき、正サイトと副サイトの両方で、複数のコピーデータを提供できます。
- 〈この項の構成〉
(1) Universal ReplicatorとShadowImageの併用についての概要
Universal Replicatorの主要な機能は、遠隔地で業務ボリュームのコピーが保持されることです。Universal ReplicatorペアのプライマリボリュームおよびセカンダリボリュームをShadowImageを伴ってバックアップする、あるいはShadowImageボリュームをUniversal Replicatorを伴ってバックアップすることで、次の利点があります。
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Universal ReplicatorペアのプライマリボリュームをShadowImageペアと共有できます。
Universal Replicatorに障害が発生した場合、サイト上でデータをバックアップできます。
業務データの複数のコピーが、データの調査やテストなどの目的で正サイトに提供されます。
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ShadowImageペアのセカンダリボリュームをUniversal Replicatorペアのプライマリボリュームを伴って正サイトで共有すると、リモートコピーができます。
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副サイトでUniversal ReplicatorペアのセカンダリボリュームとShadowImageペアのプライマリボリュームを共有する場合、ShadowImageペアのセカンダリボリュームのデータは、Universal Replicatorシステムのテスト用と災害リカバリ用に使用できます。
ShadowImageペアのセカンダリボリュームは、テスト中でも継続的に複製が可能になります。
実際の回復作業中にUniversal Replicatorに問題が発生した場合、ShadowImageペアのセカンダリボリュームを、Universal Replicatorペアのセカンダリボリュームの回復に使用できます。
同じコンシステンシーグループ内にあるすべてのShadowImageペアの分割を要求した場合、その要求が受け付けられるのは、対応するすべてのUniversal ReplicatorペアがPAIR状態、PSUS状態、またはPSUE状態のときだけです。もし、Universal Replicatorペアがこれらの状態に該当しなければ、コンシステンシーグループ内のShadowImageペアの状態は変更されません。
(2) ShadowImageペアのプライマリボリュームとUniversal Replicatorペアのプライマリボリュームまたはセカンダリボリュームを共有する構成
ShadowImageペアのプライマリボリュームはUniversal Replicatorペアのプライマリボリュームまたはセカンダリボリュームと共有できます。
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次の図は、Universal Replicatorペアのプライマリボリュームと共有されたShadowImageペアのプライマリボリュームを示しています。この構成は、Universal Replicatorに障害が発生した場合に、オンサイトデータのバックアップ用にShadowImageを使用できるようになり、また、ShadowImageに障害が発生した場合は、Universal Replicatorを使用してShadowImageペアのプライマリボリュームのリモートバックアップを提供できます。
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次の図は、ShadowImageペアのプライマリボリュームとUniversal Replicatorペアのセカンダリボリュームを共有する例を示しています。この構成によって、ShadowImageを使用して1つのUniversal Replicatorペアのプライマリボリュームの複数のバックアップコピーを副サイトのストレージシステムに作成できます。
- 注意
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次の図のようにUniversal ReplicatorのセカンダリボリュームとShadowImageのプライマリボリュームを共有する場合、Universal Replicatorのセカンダリボリュームにリストアする処理に時間が掛かります。特にShadowImageペアがPSUS(SP)/PSUS状態のときは、ShadowImageペアのコピー処理の分だけ余計に時間が掛かることがあります。
なお、ジャーナルボリュームのサイズが小さいと、ジャーナルボリュームの容量が足りなくなり、Universal Replicatorペアが障害サスペンドになるおそれがあります。
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次の図は、Universal ReplicatorペアのプライマリボリュームとShadowImageペアのプライマリボリュームを共有しUniversal ReplicatorペアのセカンダリボリュームとShadowImageペアのプライマリボリュームを共有する例を示しています。この構成で、正サイトのストレージシステムと副サイトのストレージシステムでShadowImageペアのプライマリボリュームの複数のコピーを作成できるようになります。
ShadowImageペアのプライマリボリュームを共有するこれらの構成では、ShadowImageペアのプライマリボリュームの状態がRCPYのときは、Universal Replicatorペアを削除する操作しかできません。ShadowImageペアのプライマリボリュームの状態に応じたUniversal Replicatorペアの操作可否を次の表に示します。
ShadowImageペアのプライマリボリュームの状態 |
Universal Replicatorペアの操作 |
||||
---|---|---|---|---|---|
作成 |
分割 |
再同期 |
削除 |
正サイトと副サイト間での業務ボリュームの切り替え (horctakeover) |
|
COPY |
○※ |
○ |
○ |
○ |
○ |
PAIR |
○※ |
○ |
○ |
○ |
○ |
PSUS(SP) |
○※ |
○ |
○ |
○ |
○ |
PSUS PSUE |
○※ |
○ |
○ |
○ |
○ |
RCPY |
× |
× |
× |
○ |
× |
- 注※
-
Universal Replicatorペアを作成する対象のボリュームの、コピー元/コピー先のどちらもDP-VOL属性で、かつコピー先のボリュームがShadowImage/Volume Migrationのプライマリボリュームに設定されている場合、Universal Replicatorペアを作成できません。いったんShadowImage/Volume Migrationのペアを解除して、Universal Replicatorペアを作成してください。その後、ShadowImage/Volume Migrationのペアを再作成してください。
- (凡例)
-
○:Universal Replicatorペアを操作できる。
×:Universal Replicatorペアを操作できない。
(3) ShadowImageペアのセカンダリボリュームとUniversal Replicatorペアのプライマリボリュームを共有する構成
下記の図は、業務ボリュームとして使用するShadowImageペアのプライマリボリュームの例を示しています。Universal ReplicatorによってShadowImageペアのセカンダリボリュームのリモートバックアップコピーが作成されます。
この構成では、Universal Replicatorペアを作成する前に、ShadowImageペアをPAIR状態にしたあと分割して、PSUS状態にする必要があります。ShadowImageペアのセカンダリボリュームの状態に応じたUniversal Replicatorペアの操作可否を次の表に示します。
ShadowImageペアのセカンダリボリュームの状態 |
Universal Replicatorペアの操作 |
||||
---|---|---|---|---|---|
作成 |
分割 |
再同期 |
削除 |
正サイトと副サイト間での業務ボリュームの切り替え (horctakeover) |
|
COPY |
× |
× |
× |
○ |
× |
PAIR |
× |
× |
× |
○ |
× |
PSUS(SP) |
× |
× |
× |
○ |
× |
PSUS PSUE |
○ |
○ |
○ |
○ |
× |
RCPY |
× |
× |
× |
○ |
× |
- (凡例)
-
○:Universal Replicatorペアを操作できる。
×:Universal Replicatorペアを操作できない。