3.2.6 性能を監視する
背景
容量削減機能が有効な仮想ボリュームを運用する場合、監視する必要がある項目を次に示します。
監視項目 |
説明 |
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性能 |
容量削減機能が有効な仮想ボリュームのスループットを確認します。次に示すスループットを確認します。
プールおよびボリュームが性能要件を満たしていない場合、容量削減機能の設定を変更する、またはプール容量を拡張してください。 |
プール容量 |
プール使用量がしきい値を超えているかどうかを確認します。しきい値を超えている場合、ガベージデータ量の目安となるシステムデータ量を確認します。その結果、ガベージデータ量が少ない場合、プール容量を拡張してください。 |
- 注※
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DKCMAINファームウェアバージョンが93-03-22-XX/XX以降、または88-07-02-XX/XX以降で、容量削減モード設定が[重複排除および圧縮]かつ[インライン]のボリュームに対し、オンライン中にデータ移行などを実施する場合、システムオプションモード1191をONにすることで、重複排除処理によるI/O性能影響を低減することができます。
ただし、その一方で、データを一時領域へ格納したのちに非同期で重複排除処理を実施する頻度が増えるため、この一時領域の消費によりプール使用量が一時的に増大します。
そのため、次の条件式によりプール容量が十分確保されていることを確認し、条件式を満たす場合のみシステムオプションモード1191をONにしてください。
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データ移行時にシステムオプションモード1191をONにする場合
プール容量 × 枯渇しきい値[%]/100 > 現在のプール使用量+ (移行予定のデータ量 × (100 - 想定圧縮率[%]*)/100)
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通常運用時にシステムオプションモード1191をONにする場合
プール容量 × 枯渇しきい値[%]/100 > 現在のプール使用量 +(未ライト領域へ新規ライト予定のデータ量 × (100-想定圧縮率[%]*)/100)
* 想定圧縮率:想定される圧縮削減効果の比率です。N:1形式の圧縮率をパーセントに換算する場合、次の計算式を利用してください。
圧縮率[%] = (1-1÷N)×100
想定圧縮率が不明な場合は、0%として計算してください。
また、システムオプションモード1191をONに設定した場合、ストレージシステム全体に適用されます。
システムオプションモードの設定変更については、日立サポートサービスにお問い合わせください。
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性能不足の検出、原因の分析、改善までのワークフローを次に示します。
図中の項番1から5について、次に解説します。
操作手順
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性能が低下しているプールまたはボリュームを検出します。
プールまたはボリュームが、ユーザの性能要件を満たしているかどうかを確認してください。業務サイクルで、ホストからの平均書き込みのスループットが、次のどれかに該当する場合、設定内容に問題があります。2を実施してください。
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現在のスループットが、ユーザ要件のスループットよりも低い。
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ストレージシステム単位でのホストからの書き込みのスループットが、そのストレージシステムのガベージコレクションの性能を上回っている。
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MPユニット単位のホストからの書き込みのスループットが、そのMPユニットのガベージコレクションの性能を上回っている。
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容量削減機能が有効な仮想ボリューム単位のホストからの書き込みのスループットが、その仮想ボリュームのガベージコレクションの性能を上回っている。
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容量削減機能の設定内容を確認します。
設定内容の確認と対処を次に示します。
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意図せず容量削減設定を[圧縮]または[重複排除および圧縮]にしている場合、容量削減設定を[無効]に変更してください。
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意図せず容量削減モード設定を[インライン]にしている場合、[ポストプロセス]に変更してください。容量削減モードの変更については、RAID Managerコマンドリファレンスを参照してください。
設計通りに設定されている場合、3を実施してください。
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プールの使用率を確認します。
プールの使用率が、警告しきい値以上になっているかどうかを確認してください。プールの使用率が警告しきい値を超えている場合、SIMが出力されます。設計通りの設定にもかかわらず性能不足になっている場合、プールが満杯に近づいており、I/Oよりもガベージコレクションの優先度が高くなっている可能性があります。使用量が警告しきい値以上の場合、4を実施してください。使用量が警告しきい値未満の場合、5を実施してください。
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システムデータの比率を確認します。
[システムデータ量]を参照して、ほぼ同じサイズのガベージデータ量を確認してください。
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削減前使用量*に占めるシステムデータ量の比率が10%を超えている場合、ガベージデータの増加が一時的なものであることが分かっていて、性能回復までの時間が許容できる場合、性能回復まで待ってください。しかし、性能回復までの時間を許容できない場合、プール容量を拡張してください。削減前使用量*に占めるシステムデータ量の比率が10%を超える場合、ガベージコレクションによってガベージデータが回収されれば、プール使用率はしきい値未満になります。しきい値未満になると、ガベージコレクションの優先度は下がり、I/O性能は回復します。
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削減前使用量*に占めるシステムデータ量の比率が10%未満の場合、プール容量を拡張してください。この場合は、回収すべきガベージデータが少ないにもかかわらず、ガベージコレクションの優先度が高い状態です。
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容量削減機能の無効化を検討します。
ガベージコレクションの影響が無いにもかかわらず仮想ボリュームの性能が不足する場合、それらの仮想ボリュームへの容量削減機能の適用を推奨しません。仮想ボリュームの容量削減設定を、無効にしてください。なお、容量削減設定の無効にすることによってプール使用量が増えるため、プールに十分な空き容量があることを事前に確認してください。
性能不足の検出、原因の分析、改善までのワークフローを次に示します。
* 容量削減機能によって削減される前のデータ 量