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 ボリューム管理 クイックリファレンス


2.6.1 プールのモニタリングに基づく性能改善

背景

複数階層プール]が[有効]なプールおよび仮想ボリュームの性能が不足している場合の問題の検出と性能を改善するための流れを次に示します。

[図データ]

1 プールおよび仮想ボリュームの性能を確認します。

Performance Monitorでプールおよび仮想ボリュームの性能を確認します。プールまたは仮想ボリュームの性能が不足している場合、手順2に進みます。

2 Dynamic Tieringの設定を確認します。

Storage NavigatorまたはRAID ManagerDynamic Tieringの設定を確認します。値が設計どおりに設定されていない場合、設定を変更します。値が設計どおりに設定されている場合、手順3に進みます。

3 プールの階層再配置の進捗率を確認します。

階層再配置ログファイルの[Completed Rate (%)]で、再配置進捗率を確認します。階層再配置の進捗率が低い場合、配置が最適化されていないページが多いことが考えられます。この場合、[モニタモード]または[実行周期]を変更します。推奨値を次に示します。

[モニタモード]:[周期モード]が設定されている場合、[継続モード]に変更します。

[実行周期]:実行周期の時間を長くします。

設定を変更しても再配置率が低い場合またはすでに推奨値が設定されている場合、手順4に進みます。

4 階層ごとの性能稼働率を確認します。

[階層プロパティ参照]画面、またはraidcom get dp_poolコマンドで、階層ごとの性能稼働率を確認します。なお、性能稼働率は、階層の性能ポテンシャルに対するI/O数の割合です。例えば、性能稼働率が90%以上の場合、その階層には、処理できるI/O負荷よりも多くの負荷がかかっていると見なすことができます。性能稼働率が高い場合、プール容量を拡張します。

1つ以上の階層の性能稼働率が90%以上と表示された場合、またはすべての階層の性能稼働率が60%以上と表示された場合、ドライブを増設してプール容量を拡張します。

操作手順

  1. 1つの階層の性能稼働率が90%以上の場合

    性能稼働率が90%以上の階層に対応するドライブを追加します。この時、容量の使用率も確認します。追加を推奨するドライブを次に示します。

    性能稼働率が90%以上の階層に対応するドライブ

    追加を推奨するプールボリューム

    SSD

    SSDのプールボリュームを追加する。

    SAS10K、SAS15K

    ビットコストよりも性能を優先する場合:SSDのプールボリュームを追加する。

    性能よりもビットコストを優先する場合:SAS10KまたはSAS15Kのプールボリュームを追加する。ただし、SAS(SAS10KまたはSAS15K)の階層の使用量が少ない場合、SSDのプールボリュームを追加する。

    SAS7.2K

    ビットコストよりも性能を優先する場合:SAS10KまたはSAS15Kのプールボリュームを追加する。

    性能よりもビットコストを優先する場合:SAS7.2Kのプールボリュームを追加する。ただし、SAS7.2Kの階層の使用量が少ない場合、SAS10KまたはSAS15Kのプールボリュームを追加する。

  2. 2つ以上の階層の性能稼働率が90%以上の場合

    1. [階層プロパティ参照]画面で度数分布を採取します。

    2. 度数分布と各階層の限界性能から、最適な階層容量の比率を求めます。

      階層2の限界性能は、階層2に対応するドライブが処理できる1ページ当たりの最大の平均IOPHです。階層3の限界性能は、階層3に対応するドライブが処理できる1ページ当たりの最大の平均IOPHです。この値を基に、階層1、階層2、および階層3の最適容量を算出します。

      階層1の最適容量:0GBから階層2の限界性能に対応する容量までの値

      階層2の最適容量:階層2の限界性能に対応する容量から階層3の限界性能に対応する容量までの値

      階層3の最適容量:階層3の限界性能に対応する容量から最大容量までの値

      各階層の最適容量を基に、次に示す最適な容量比率を算出します。

      階層1の最適容量:階層2の最適容量:階層3の最適容量

    3. 実際の階層容量の比率と最適な階層容量の比率を比較します。

      階層比率の比較結果

      追加を推奨するプールボリューム

      最適な階層比率と実際の階層比率が異なる場合

      比率上、不足している階層にプールボリュームを追加する。

      最適な階層比率と実際の階層比率が同じ場合

      ビットコストよりも性能を優先する場合:SSDまたはSAS(SAS10KまたはSAS15K)のプールボリュームを追加する。

      性能よりもビットコストを優先する場合:SAS10KまたはSAS15Kのプールボリュームを追加する。ただし、SAS(SAS10KまたはSAS15K)の階層の使用量が少ない場合、SSDのプールボリュームを追加する。

    4. ドライブを増設して、プール容量を拡張します。

  3. すべての階層の性能稼働率が60%以上の場合

    上位階層のドライブを追加して、プール容量を拡張します。