Hitachi Dynamic Link Manager ユーザーズガイド(Solaris用)
SVMを使用してミラー化しているブートディスクをHDLM管理対象にすることができます。
サポートしている構成を次に示します。
- OS:Solaris 10
- RAIDレベル:ミラー(3面ミラーまで)
- クラスタ:なし
- この項の構成
- (1) 注意事項
- (2) HDLM管理対象のブートディスク環境を構築してSVMを使用してミラー化する
- (3) SVMを使用してブートディスクをミラー化している環境にHDLMをインストールしてブートディスクをHDLMの管理対象にする
- (4) HDLMをアンインストールする
- ブートディスクをHDLMの管理下に置いている環境では,-rパラメタを指定してdlmsetconfユティリティは実行できません。
- 「(3) SVMを使用してブートディスクをミラー化している環境にHDLMをインストールしてブートディスクをHDLMの管理対象にする」を実行した場合,移行前のブートディスク環境は使用できません。
- 「(4) HDLMをアンインストールする」を実行した場合,移行前のブートディスク環境は使用できません。
- Solarisが動作中にブートディスク環境のブートディスクに接続した機器の保守作業を行う場合は,次に示すことに注意してください。
Offline(C)状態にしないと,保守作業によるパスの断線状態を障害として検出するときにブートディスクのアクセスが一時的に滞ります。その間,システムの機能が低下するおそれがあります。作業が完了したら,すぐにdlnkmgrコマンドのonlineオペレーションを実行してOffline(C)状態にしたパスをOnline状態にしてください。
- 保守作業は,ブートディスクに接続したパスが1本以上Online状態のままで実施してください。
- 保守作業中に断線状態になることが予想されるパスは,作業を開始する前にdlnkmgrコマンドのofflineオペレーションを実行してOffline(C)状態にしてください。
- ブートディスク環境のパス障害の対処については,「5.4 ブートディスク環境のパス障害の対処」を参照してください。
- ブートディスク環境では,Solarisをバージョンアップすることはできません。Solaris をバージョンアップする必要がある場合は,次に示す手順を実行してください。
- 「3.18.3 HDLMのアンインストール」の「(2) ブートディスク環境からアンインストールする場合」に示す手順に従って,いったんローカルブートディスク環境に移行してからHDLMをアンインストールします。
- Solarisをバージョンアップします。
- 「(2) HDLM管理対象のブートディスク環境を構築してSVMを使用してミラー化する」に示す手順に従って,ブートディスク環境を再度構築します。
- HDLMがHDLMデバイスの論理デバイスファイル名を決定するために使用するパスを変更する場合は,次に示す手順を実行してください。この手順を実行しないと,HDLMの論理デバイスファイルと対応する物理デバイスファイル名が変化するので,ブートできなくなるおそれがあります。HDLMがHDLMデバイスの論理デバイスファイル名を決定するために使用するパスは,「4.5.1 HDLM運用環境を構成変更する場合の注意事項」の「(2) パスの構成を変更した場合について」に示す手順を実行すると取得できます。
- 「3.8 UFSブートディスク環境からローカルブートディスク環境への移行」に示す手順に従って,いったんローカルブートディスク環境に移行します。
- パスの構成を変更します。
- 「(2) HDLM管理対象のブートディスク環境を構築してSVMを使用してミラー化する」に示す手順に従って,ブートディスク環境を戻します。
(2) HDLM管理対象のブートディスク環境を構築してSVMを使用してミラー化する
ローカルブートディスク環境からHDLM管理対象のブートディスク環境を構築する
「3.6 UFSファイルシステム上のブートディスク環境の構築」を参照し,ローカルブートディスク環境からHDLM管理対象のブートディスク環境を構築します。ブートディスク環境の構築についての概念を次の図に示します。
図3-14 ローカルブートディスク環境からHDLM管理対象のブートディスク環境の構築
SVMを使用してHDLM管理対象のブートディスク環境をミラー化する
SVMを使用して作成したブートディスクをミラー化します。ブートディスク環境のミラー化についての概念を次の図に示します。
ブートディスクのLUのデバイス名は図のようにc8t50060E08000436D1d4とc8t50060E08000436D1d5であると仮定します。
また,以降のコマンドおよび設定の例では,それぞれのスライスが次のように割り当てられていると仮定します。
- スライス0:/(root)ファイルシステム
- スライス1:スワップデバイスおよびダンプデバイス
- スライス6:/usrファイルシステム
- スライス7:SVMの状態データベース
- 作成したブートディスクと同一の容量を持つLUをもう1つ用意し,スライスの構成および容量を同一にします。
- SVMの状態データベースを作成します。
# metadb -a -f c8t50060E08000436D1d4s7 # metadb -a c8t50060E08000436D1d5s7- メタデバイスの名称を決定します。
ここでは次のように設定します。
- /(root)ファイルシステム
d10(mirror) ---- d11(submirror),d12(submirror)- swap
d20(mirror) ---- d21(submirror),d22(submirror)- /usr
d30(mirror) ---- d31(submirror),d32(submirror)- メタデバイスを/(root),swap,/usrに作成し,それぞれをミラー化します(1面ミラー)。
# metainit -f d11 1 1 c8t50060E08000436D1d4s0 # metainit d10 -m d11 # metainit -f d21 1 1 c8t50060E08000436D1d4s1 # metainit d20 -m d21 # metainit -f d31 1 1 c8t50060E08000436D1d4s6 # metainit d30 -m d31- /etc/vfstabのswapの定義を,メタデバイス(/dev/md/dsk/d20)に変更し,/usrの定義もメタデバイス(/dev/md/dsk/d30)に変更します。
(変更前)/dev/dsk/c8t50060E08000436D1d4s1 - swap - no - /dev/dsk/c8t50060E08000436D1d4s6 /dev/rdsk/c8t50060E08000436D1d4s6 /usr ufs 1 no -(変更後)/dev/md/dsk/d20 - swap - no - /dev/md/dsk/d30 /dev/md/rdsk/d30 /usr ufs 1 no -- dumpデバイスを設定します。
# dumpadm -d /dev/md/dsk/d20- metarootコマンドを実行します。
# metaroot d10- ホストを再起動します。
- マシンが起動したら,スワップデバイスおよびダンプデバイスの確認とmountコマンドで/(root)および/usrの確認をします。
# swap -l swapfile dev swaplo blocks free /dev/md/dsk/d20 85,20 16 8409584 8409584 # dumpadm Dump content: kernel pages Dump device: /dev/md/dsk/d20 (swap) Savecore directory: /var/crash/host Savecore enabled: yes # mount / on /dev/md/dsk/d10 read/write/setuid/devices/intr/largefiles/logging/xattr/onerror=panic/dev=154000a on Mon Mar 9 11:00:25 2009 /usr on /dev/md/dsk/d30 read/write/setuid/devices/intr/largefiles/logging/xattr/onerror=panic/dev=154001e on Mon Mar 9 11:00:25 2009- /(root),swap,/usrを2面ミラー構成にします。
# metainit -f d12 1 1 c8t50060E08000436D1d5s0 # metattach d10 d12 # metainit -f d22 1 1 c8t50060E08000436D1d5s1 # metattach d20 d22 # metainit -f d32 1 1 c8t50060E08000436D1d5s6 # metattach d30 d32- metastatコマンドを実行して,2面ミラー構成になっていることを確認します。
# metastat d10: Mirror Submirror 0: d11 State: Okay Submirror 1: d12 State: Okay Pass: 1 Read option: roundrobin (default) Write option: parallel (default) Size: 25190400 blocks (12 GB) d11: Submirror of d10 State: Okay Size: 25190400 blocks (12 GB) Stripe 0: Device Start Block Dbase State Reloc Hot Spare /dev/dsk/c8t50060E08000436D1d4s0 0 No Okay Yes d12: Submirror of d10 State: Okay Size: 25190400 blocks (12 GB) Stripe 0: Device Start Block Dbase State Reloc Hot Spare /dev/dsk/c8t50060E08000436D1d5s0 0 No Okay Yes ...- HDLMコマンドのview -pathオペレーションを実行して,ブートディスクに設定したLUにIOが実行されることを確認します。
# /opt/DynamicLinkManager/bin/dlnkmgr view -path Paths:000032 OnlinePaths:000026 PathStatus IO-Count IO-Errors Reduced 791869 0 PathID PathName DskName iLU ChaPort Status Type IO-Count IO-Errors DNum HDevName 000000 0000.0000.0000000000653200.0006 HITACHI .DF600F .77010152 0034 0C Online Own 131762 0 - c8t50060E08000436D1d4 000001 0000.0000.0000000000653600.0006 HITACHI .DF600F .77010152 0034 1C Online Non 44 0 - c8t50060E08000436D1d4 000002 0001.0000.0000000000653200.0006 HITACHI .DF600F .77010152 0034 0C Online Own 131717 0 - c8t50060E08000436D1d4 000003 0001.0000.0000000000653600.0006 HITACHI .DF600F .77010152 0034 1C Online Non 44 0 - c8t50060E08000436D1d4 000004 0000.0000.0000000000653200.0007 HITACHI .DF600F .77010152 0043 0C Online Own 131670 0 - c8t50060E08000436D1d5 000005 0000.0000.0000000000653600.0007 HITACHI .DF600F .77010152 0043 1C Online Non 35 0 - c8t50060E08000436D1d5 000006 0001.0000.0000000000653200.0007 HITACHI .DF600F .77010152 0043 0C Online Own 131650 0 - c8t50060E08000436D1d5 000007 0001.0000.0000000000653600.0007 HITACHI .DF600F .77010152 0043 1C Online Non 35 0 - c8t50060E08000436D1d5
(3) SVMを使用してブートディスクをミラー化している環境にHDLMをインストールしてブートディスクをHDLMの管理対象にする
はじめに,ブートディスクと同一の容量でかつ同一のスライス構成のLUをブートディスクのミラーの数だけ用意します。これらは,移行後のブートディスクになります。
- 「3.5 HDLMのインストール」を参照し,HDLMをインストールします。
- HDLMドライバ構成定義ファイル作成ユティリティ(dlmsetconf)でHDLMデバイスの構成設定を行います。
- ミラー化されているブートディスクのLUをHDLMの管理対象外に設定します。
「3.5.6 HDLMの新規インストール時のHDLMデバイスの非構成機能」を参照してください。- 再構成リブートを実行します。
# reboot -- -rここでは次の図に示すデバイス名を使用して説明します。
既存のブートディスクのLUのデバイス名は,図のようにc6t50060E08000436D1d4とc6t50060E08000436D1d5であるとし,移行後のブートディスクのLUのデバイス名はc8t50060E08000436D1d6とc8t50060E08000436D1d7であるとします。
また,以降のコマンドおよび設定の例では,それぞれのスライスが次のように割り当てられていると仮定します。
- スライス0:/(root)ファイルシステム
- スライス1:スワップデバイスおよびダンプデバイス
- スライス6:/usrファイルシステム
- スライス7:SVMの状態データベース
- メタデバイスの名称を決定します。
既存のブートディスクのメタデバイス名と,移行後のブートディスクは次の表に示すように設定するものとします。
ブートディスク ファイルシステム ミラー サブミラー 既存 /(root) d10 d11 d12 swap d20 d21 d22 /usr d30 d31 d32 移行後 /(root) d100 d101 d102 swap d200 d201 d202 /usr d300 d301 d302 - HDLMデバイス上にメタデバイスを作成して,ミラー化します(1面ミラー)。
# metainit -f d101 1 1 c8t50060E08000436D1d6s0 # metainit d100 -m d101 # metainit -f d201 1 1 c8t50060E08000436D1d6s1 # metainit d200 -m d201 # metainit -f d301 1 1 c8t50060E08000436D1d6s6 # metainit d300 -m d301- 移行後のスライス0(/(root)ファイルシステム)を指定して,移行後の環境のブートブロックを設定します。
コマンドの実行例を次に示します。# installboot /usr/platform/`uname -i`/lib/fs/ufs/bootblk /dev/md/rdsk/d100- 移行後の環境のSolaris基本ファイルシステムを初期化します。
コマンドの実行例を次に示します。# newfs /dev/md/rdsk/d100 # newfs /dev/md/rdsk/d300- 移行後の環境のSolaris基本ファイルシステムをマウントします。
コマンドの実行例を次に示します。# mount /dev/md/dsk/d100 /mnt0 # mount /dev/md/dsk/d300 /mnt1- 既存のSolaris基本ファイルシステムを移行後の環境にコピーします。
コマンドの実行例を次に示します。# ufsdump 0f - / | (cd /mnt0; ufsrestore rf -) # ufsdump 0f - /usr | (cd /mnt1; ufsrestore rf -)- 移行後のブートディスクの/etc/vfstabファイル(/mnt0/etc/vfstab)を編集して,swapの定義を移行後のメタデバイス(/dev/md/dsk/d200)に変更し,/usrの定義を移行後のメタデバイス(/dev/md/dsk/d300)に変更します。
(変更前)/dev/md/dsk/d20 - swap - no - /dev/md/dsk/d30 /dev/md/rdsk/d30 /usr ufs 1 no -(変更後)/dev/md/dsk/d200 - swap - no - /dev/md/dsk/d300 /dev/md/rdsk/d300 /usr ufs 1 no -- 移行後のブートディスクの/etc/dumpadm.confファイル(/mnt0/etc/dumpadm.conf)を編集して,DUMPADM_DEVICEパラメタのダンプデバイスの定義を移行後の環境のブートディスクに変更します。
(変更前)DUMPADM_DEVICE=/dev/md/dsk/d20(変更後)DUMPADM_DEVICE=/dev/md/dsk/d200- metarootコマンドを実行します。-Rオプションで移行後の/(root)ファイルシステムのマウントポイントを指定してください。
# metaroot -R /mnt0 d100- 移行後の環境からブートするために,OBPで指定するブートデバイス名を求めます。
ブートディスクのパスのうち,HDLMがHDLMデバイスの論理デバイスファイル名を決定するために使用するパスだけブートデバイスに指定できます。そのパスは,「4.5.1 HDLM運用環境を構成変更する場合の注意事項」の「(2) パスの構成を変更した場合について」に示す手順で求められます。
求めたパスの文字列を次のように編集すると,OBPで指定するブートデバイス名になります。(例)
- ssdドライバのドライバ名(「ssd」)を「disk」に置き換えます。
- 末尾に/(root)ファイルシステムのスライス識別子(「:a」~「:h」のどれか)を付加します。
- 求めたパス
- /pci@8,600000/QLGC,qlc@1,1/fp@0,0/ssd@w50060e8010027a82,6
- OBPに指定するパス
- /pci@8,600000/QLGC,qlc@1,1/fp@0,0/disk@w50060e8010027a82,6:a
- 移行後の環境からブートします。
実際にブートするディスクを次の図に示します。
- マシンが起動したら,スワップデバイスおよびダンプデバイスの確認とmountコマンドで/(root)および/usrの確認をします。
# swap -l swapfile dev swaplo blocks free /dev/md/dsk/d200 85,200 16 8409584 8409584 # dumpadm Dump content: kernel pages Dump device: /dev/md/dsk/d200 (swap) Savecore directory: /var/crash/host Savecore enabled: yes # mount / on /dev/md/dsk/d100 read/write/setuid/devices/intr/largefiles/logging/xattr/onerror=panic/dev=1540064 on Mon Mar 9 11:00:25 2009 /usr on /dev/md/dsk/d300 read/write/setuid/devices/intr/largefiles/logging/xattr/onerror=panic/dev=154012c on Mon Mar 9 11:00:25 2009- /(root),swap,/usrを2面ミラー構成にします。
# metainit -f d102 1 1 c8t50060E08000436D1d7s0 # metattach d100 d102 # metainit -f d202 1 1 c8t50060E08000436D1d7s1 # metattach d200 d202 # metainit -f d302 1 1 c8t50060E08000436D1d7s6 # metattach d300 d302- SVMの状態データベースの複製を移行後のブートディスクに作成します。
# metadb -a c8t50060E08000436D1d6s7 # metadb -a c8t50060E08000436D1d7s7- 移行前のSVMの環境を削除します。
# metaclear d10 d11 d12 # metaclear d20 d21 d22 # metaclear d30 d31 d32 # metadb -d c6t50060E08000436D1d4s7 # metadb -d c6t50060E08000436D1d5s7- metastatコマンドを実行して,2面ミラー構成になっていることを確認します。
# metastat d100: Mirror Submirror 0: d101 State: Okay Submirror 1: d102 State: Okay Pass: 1 Read option: roundrobin (default) Write option: parallel (default) Size: 25190400 blocks (12 GB) d101: Submirror of d100 State: Okay Size: 25190400 blocks (12 GB) Stripe 0: Device Start Block Dbase State Reloc Hot Spare /dev/dsk/c8t50060E08000436D1d6s0 0 No Okay Yes d102: Submirror of d100 State: Okay Size: 25190400 blocks (12 GB) Stripe 0: Device Start Block Dbase State Reloc Hot Spare /dev/dsk/c8t50060E08000436D1d7s0 0 No Okay Yes ...- HDLMコマンドのview -pathオペレーションを実行して,移行後のブートディスクに設定したLUにIOが実行されることを確認します。
# /opt/DynamicLinkManager/bin/dlnkmgr view -path Paths:000032 OnlinePaths:000026 PathStatus IO-Count IO-Errors Reduced 791869 0 PathID PathName DskName iLU ChaPort Status Type IO-Count IO-Errors DNum HDevName 000000 0000.0000.0000000000653200.0006 HITACHI .DF600F .77010152 0034 0C Online Own 131762 0 - c8t50060E08000436D1d6 000001 0000.0000.0000000000653600.0006 HITACHI .DF600F .77010152 0034 1C Online Non 44 0 - c8t50060E08000436D1d6 000002 0001.0000.0000000000653200.0006 HITACHI .DF600F .77010152 0034 0C Online Own 131717 0 - c8t50060E08000436D1d6 000003 0001.0000.0000000000653600.0006 HITACHI .DF600F .77010152 0034 1C Online Non 44 0 - c8t50060E08000436D1d6 000004 0000.0000.0000000000653200.0007 HITACHI .DF600F .77010152 0043 0C Online Own 131670 0 - c8t50060E08000436D1d7 000005 0000.0000.0000000000653600.0007 HITACHI .DF600F .77010152 0043 1C Online Non 35 0 - c8t50060E08000436D1d7 000006 0001.0000.0000000000653200.0007 HITACHI .DF600F .77010152 0043 0C Online Own 131650 0 - c8t50060E08000436D1d7 000007 0001.0000.0000000000653600.0007 HITACHI .DF600F .77010152 0043 1C Online Non 35 0 - c8t50060E08000436D1d7- 移行前の環境,および移行後の環境の内容をバックアップします。
バックアップは,次の場合に必要になります。
- 移行後の環境に異常が発生した場合
移行前の環境からブートして,移行後の環境の修復作業に使用します。また,移行後の環境のバックアップをリストアして修復することもできます。- ブートディスク環境からローカルブートディスク環境に移行して,ブートディスク環境を構築する前の状態に戻す場合
はじめに,ブートディスクと同一の容量でかつ同一のスライス構成のLUをブートディスクのミラーの数だけ用意します。これらは,移行後のブートディスクになります。
- dlmsetconfユティリティでHDLMデバイスの構成設定を行います。
- 新しく用意したLUをHDLMの管理対象外に設定します。
「3.5.6 HDLMの新規インストール時のHDLMデバイスの非構成機能」を参照してください。- 再構成リブートを実行します。
# reboot -- -rここでは次の図に示すデバイス名を使用して説明します。
既存のブートディスクのLUのデバイス名は,図のようにc8t50060E08000436D1d4とc8t50060E08000436D1d5であるとし,移行後のブートディスクのLUのデバイス名はc6t50060E08000436D1d6とc6t50060E08000436D1d7であるとします。
また,以降のコマンドおよび設定の例では,それぞれのスライスが次のように割り当てられていると仮定します。
- スライス0:/(root)ファイルシステム
- スライス1:スワップデバイスおよびダンプデバイス
- スライス6:/usrファイルシステム
- スライス7:SVMの状態データベース
- メタデバイスの名称を決定します。
既存のブートディスクのメタデバイス名と,移行後のブートディスクは「表3-22 メタデバイスの名称」に示すように設定するものとします。
ブートディスク ファイルシステム ミラー サブミラー 既存 /(root) d100 d101 d102 swap d200 d201 d202 /usr d300 d301 d302 移行後 /(root) d10 d11 d12 swap d20 d21 d22 /usr d30 d31 d32 - sd/ssdデバイス上にメタデバイスを作成して,ミラー化します(1面ミラー)。
# metainit -f d11 1 1 c6t50060E08000436D1d6s0 # metainit d10 -m d11 # metainit -f d21 1 1 c6t50060E08000436D1d6s1 # metainit d20 -m d21 # metainit -f d31 1 1 c6t50060E08000436D1d6s6 # metainit d30 -m d31- 移行後のスライス0(/(root)ファイルシステム)を指定して,移行後の環境のブートブロックを設定します。
コマンドの実行例を次に示します。# installboot /usr/platform/`uname -i`/lib/fs/ufs/bootblk /dev/md/rdsk/d10- 移行後の環境のSolaris基本ファイルシステムを初期化します。
コマンドの実行例を次に示します。# newfs /dev/md/rdsk/d10 # newfs /dev/md/rdsk/d30- 移行後の環境のSolaris基本ファイルシステムをマウントします。
コマンドの実行例を次に示します。# mount /dev/md/dsk/d10 /mnt0 # mount /dev/md/dsk/d30 /mnt1- 既存のSolaris基本ファイルシステムを移行後の環境にコピーします。
コマンドの実行例を次に示します。# ufsdump 0f - / | (cd /mnt0; ufsrestore rf -) # ufsdump 0f - /usr | (cd /mnt1; ufsrestore rf -)- 移行後のブートディスクの/etc/vfstabファイル(/mnt0/etc/vfstab)を編集して,swapの定義を移行後のメタデバイス(/dev/md/dsk/d20)に変更し,/usrの定義を移行後のメタデバイス(/dev/md/dsk/d30)に変更します。
(変更前)/dev/md/dsk/d200 - swap - no - /dev/md/dsk/d300 /dev/md/rdsk/d300 /usr ufs 1 no -(変更後)/dev/md/dsk/d20 - swap - no - /dev/md/dsk/d30 /dev/md/rdsk/d30 /usr ufs 1 no -- 移行後のブートディスクの/etc/dumpadm.confファイル(/mnt0/etc/dumpadm.conf)を編集して,DUMPADM_DEVICEパラメタのダンプデバイスの定義を移行後の環境のブートディスクに変更します。
(変更前)DUMPADM_DEVICE=/dev/md/dsk/d200(変更後)DUMPADM_DEVICE=/dev/md/dsk/d20- metarootコマンドを実行します。
-Rオプションで移行後の/(root)ファイルシステムのマウントポイントを指定してください。
コマンドの実行例を次に示します。# metaroot -R /mnt0 d10- 移行後の環境からブートします。
実際にブートするディスクを次の図に示します。
- マシンが起動したら,スワップデバイスおよびダンプデバイスの確認とmountコマンドで/(root)および/usrの確認をします。
# swap -l swapfile dev swaplo blocks free /dev/md/dsk/d20 85,20 16 8409584 8409584 # dumpadm Dump content: kernel pages Dump device: /dev/md/dsk/d20 (swap) Savecore directory: /var/crash/host Savecore enabled: yes # mount / on /dev/md/dsk/d10 read/write/setuid/devices/intr/largefiles/logging/xattr/onerror=panic/dev=154000a on Mon Mar 9 11:00:25 2009 /usr on /dev/md/dsk/d30 read/write/setuid/devices/intr/largefiles/logging/xattr/onerror=panic/dev=154001e on Mon Mar 9 11:00:25 2009- /(root),swap,/usrを2面ミラー構成にします。
# metainit -f d12 1 1 c6t50060E08000436D1d7s0 # metattach d10 d12 # metainit -f d22 1 1 c6t50060E08000436D1d7s1 # metattach d20 d22 # metainit -f d32 1 1 c6t50060E08000436D1d7s6 # metainit d30 d32- SVMの状態データベースの複製を移行後のブートディスクに作成します。
# metadb -a c6t50060E08000436D1d6s7 # metadb -a c6t50060E08000436D1d7s7- 移行前のSVMの環境を削除します。
# metaclear d100 d101 d102 # metaclear d200 d201 d202 # metaclear d300 d301 d302 # metadb -d c8t50060E08000436D1d4s7 # metadb -d c8t50060E08000436D1d5s7- metastatコマンドを実行して,2面ミラー構成になっていることを確認します。
# metastat d10: Mirror Submirror 0: d11 State: Okay Submirror 1: d12 State: Okay Pass: 1 Read option: roundrobin (default) Write option: parallel (default) Size: 25190400 blocks (12 GB) d11: Submirror of d10 State: Okay Size: 25190400 blocks (12 GB) Stripe 0: Device Start Block Dbase State Reloc Hot Spare /dev/dsk/c6t50060E08000436D1d6s0 0 No Okay Yes d12: Submirror of d10 State: Okay Size: 25190400 blocks (12 GB) Stripe 0: Device Start Block Dbase State Reloc Hot Spare /dev/dsk/c6t50060E08000436D1d7s0 0 No Okay Yes ...- HDLMをアンインストールします。
「3.18 HDLMの設定解除」を参照し,HDLMをアンインストールします。
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