8.2.2 UNIX互換コマンドの一覧
UNIX互換コマンドには,実行ファイル形式で提供するコマンドとスクリプト形式で提供するコマンドがあります。
実行ファイル形式で提供するコマンド
WindowsおよびUNIXで共通のAdvanced Shellのコマンドが使用できます。
コマンドの指定方法については「8.4 UNIX互換コマンド」を参照してください。
スクリプト形式で提供するコマンド【Windows限定】
UNIXの機能に依存するコマンドをWindowsで実現するため,Windows提供の機能を使用してUNIXのOS標準のコマンドの一部機能を実現したスクリプト形式のコマンドを使用できます。
コマンドの指定方法については「8.5 UNIX互換コマンド(スクリプト形式)【Windows限定】」を参照してください。
(1) 実行ファイル形式で提供するコマンド
UNIX互換コマンドのうち,実行ファイル形式で提供するコマンドは,ジョブ定義スクリプト中で実行できます。また,WindowsのコマンドプロンプトおよびUNIXのシェルからも実行できます。
UNIX互換コマンドのうち,実行ファイル形式で提供するコマンドの格納場所は次のとおりです。
Windowsの実行環境の場合
インストール先フォルダ\JP1ASE\cmd
Windowsの開発環境の場合
インストール先フォルダ\JP1ASD\cmd
UNIXの場合
/opt/jp1as/cmd
UNIX互換コマンドのうち,実行ファイル形式で提供するコマンドには,ファイルシステムなどOS差異の大きい制御に関して制限事項があります。また,Windows限定でオーナーやグループ,アクセス権限などに制限事項があります。
使用できる実行ファイル形式のUNIX互換コマンドと制限事項を次の表に示します。
コマンド名 |
機能概要 |
制限事項※ |
---|---|---|
awk |
テキストの加工やパターン処理をします。 |
|
basename |
パス名からファイル名部分の文字列を取り出し標準出力に出力します。 |
制限事項はありません。 |
cat |
ファイルの内容を標準出力に出力します。 |
制限事項はありません。 |
cmp |
バイナリファイルの内容を比較します。 |
制限事項はありません。 |
cp |
ファイルまたはディレクトリをコピーします。 |
Windowsの場合,-pオプションで保持されるのはコピー元ファイルの更新日時およびファイルアクセス日時だけとなります。ディレクトリの情報は保持しません。 |
cut |
各行の選択範囲を標準出力に表示します。 |
制限事項はありません。 |
date |
システムの日付と時刻を表示します。設定はできません。 |
-aオプション(時刻設定)は使用できません。 |
diff |
2つのファイルを比較します。 |
制限事項はありません。 |
dirname |
ファイルパス名規則に従った文字列からファイル名を取り除いた残りのディレクトリパス名を取り出し,標準出力に出力します。 |
制限事項はありません。 |
egrep |
ファイル内の文字を検索します。指定されたパターンは拡張された正規表現として扱われます。 grepコマンドに-Eオプションを指定した場合と同じ動作です。 |
制限事項はありません。 |
expand |
タブストップでそろえられている行をタブ文字からスペース文字に置き換えて,標準出力に出力します。 |
制限事項はありません。 |
expr |
式を評価します。 |
制限事項はありません。 |
find |
ディレクトリ内のファイルを検索します。 |
制限事項はありません。 |
getopt |
シェルスクリプトで容易に構文解析できるよう,コマンドラインのオプションを分解します。 |
制限事項はありません。 |
grep |
ファイル内の文字を検索します。 |
制限事項はありません。 |
gunzip |
圧縮されたファイルを伸長します。 |
Windowsの場合,圧縮されたファイルの所有者,ACLおよびファイル属性は,伸長したファイルには引き継がれません。 |
gzip |
ファイルを圧縮,または圧縮されたファイルを伸長します。 |
|
head |
ファイルの最初の部分を表示します。 |
制限事項はありません。 |
hostname |
ホスト名を表示します。設定はできません。 |
制限事項はありません。 |
ln |
ファイル,またはディレクトリへのリンクファイルを作成します。 |
UNIXの場合,次に対するハードリンクは作成できません。
Windowsの場合,次に対するハードリンクは作成できません。
Windowsの場合,NTFS以外のファイルシステムにリンクファイルを作成できません。 Windowsの場合,引数ターゲット,またはターゲットディレクトリにはUNC形式を指定できません。 |
ls |
ファイルまたはディレクトリの内容を表示します。 |
|
mkdir |
ディレクトリを作成します。 |
Windowsの場合,-mオプションは無視されるため,モード設定はできません。 |
mv |
ファイルまたはディレクトリを移動します。ファイル名またはディレクトリ名も変更できます。 |
|
paste |
複数のファイルを行単位に連結して標準出力に出力します。 |
制限事項はありません。 |
printf |
値や文字列を書式に従って変換し,標準出力に出力します。 |
制限事項はありません。 |
rm |
ファイルまたはディレクトリを削除します。 |
Windowsの場合,オーバーライド時にオーナーのアクセス権以外は表示できません。 |
rmdir |
空のディレクトリを削除します。 |
制限事項はありません。 |
sed |
テキスト中の文字列を置換します。 |
制限事項はありません。 |
sleep |
指定された時間だけ停止します。 |
制限事項はありません。 |
sort |
テキストファイルをソートします。 |
制限事項はありません。 |
split |
ファイルを分割します。 |
制限事項はありません。 |
stat |
ファイルまたはディレクトリの状態を標準出力に出力します。 |
|
tail |
ファイルの最後の部分を表示します。 |
制限事項はありません。 |
tar |
ファイルまたはディレクトリをアーカイブに格納,およびアーカイブから抽出,表示を行います。 |
|
touch |
ファイルの最終アクセス日時と最終修正日時を変更します。 |
|
tr |
標準入力から入力された文字列を,1バイトごとに置換または削除しながら標準出力に出力します。 |
制限事項はありません。 |
uname |
OSまたはハードウェアの情報を表示します。 |
制限事項はありません。 |
uniq |
ソートされたファイルから重複した行を削除します。 |
制限事項はありません。 |
wc |
ファイルのバイト,行,文字および単語をカウントします。 |
制限事項はありません。 |
which |
実行する外部コマンドのコマンドパスを環境変数PATHに設定されているコマンド検索パスから求めます。 |
Windowsの場合,whichコマンドの説明個所に記載されているパス検索規則に該当する外部コマンドだけがコマンドパスの出力対象となります。 |
xargs |
標準入力からコマンド引数を入力し,コマンドラインを生成して実行します。 |
制限事項はありません。 |
- 注※
UNIX互換コマンドのうち,実行ファイル形式で提供するすべてのコマンドに共通する制限事項を次に示します。
Windowsの場合,UNIX互換コマンドをコマンドプロンプトから実行するとき,ワイルドカードは展開されません。ジョブ定義スクリプトファイルに記述した場合は展開されます。
出力されるメッセージは,コマンドを実行するプラットフォームによって異なる場合があります。
Windowsの場合,コマンドプロンプトからコマンドを実行するときは,ダブルクォーテーションを使用する必要があります。
使用可能なファイルには制限があります。詳細は「2.2.3 Advanced Shellで使用するファイル」を参照してください。
コマンドで生成するパス名およびジョブ定義スクリプトファイルに記述したファイルには,パス変換機能は無効です。
次のプログラムを実行する機能でGUIを操作するアプリケーションを実行した場合,バッチジョブ実行時に処理が停止することがあります。
・awkコマンドのsystem関数
・awkコマンドの書式 コマンド名 | getline [変数名]
・awkコマンドの書式 print [式[, ... ]] | コマンド名
・findコマンドの-execプライマリおよび-okプライマリ
・xargsコマンド
また,adshexecコマンドを実行すると,新たにジョブが生成されます。
UNIX互換コマンドのうち,実行ファイル形式でハードリンク,シンボリックリンクを使用するときの制限事項を次に示します。
-
findコマンド,lsコマンド,statコマンドでディレクトリへのハードリンク数を出力すると,UNIX版とWindows版で値が異なることがあります。
-
Windows版では11-00でハードリンク,シンボリックリンクに対応したため,11-00より前と以降で一部のUNIX互換コマンドの出力形式が異なります。ハードリンク,シンボリックリンクを使用しないで,かつ出力形式を11-00より前に戻したい場合は環境変数ADSH_LINK_SUPPORTにL0を指定してください。環境変数ADSH_LINK_SUPPORTの詳細は「2.2.7 ハードリンク,シンボリックリンクを使用する」を参照してください。
-
環境変数ADSH_LINK_SUPPORTにL0,L1以外の値を指定してUNIX互換コマンドを実行するとコマンドは終了コード255以上でエラー終了します。
(2) スクリプト形式で提供するコマンド【Windows限定】
UNIX互換コマンドのうち,スクリプト形式で提供するコマンドは,ジョブ定義スクリプト中だけで実行できます。
UNIX互換コマンドのうち,スクリプト形式で提供するコマンドのサンプルスクリプトファイルの格納場所は次のとおりです。
Windowsの実行環境の場合
インストール先フォルダ\JP1ASE\sample
Windowsの開発環境の場合
インストール先フォルダ\JP1ASD\sample
UNIX互換コマンドのうち,スクリプト形式で提供するコマンドは,Advanced Shellが提供するサンプルスクリプトファイルを「(2) スクリプト形式のUNIX互換コマンドを使うための準備【Windows限定】」に示す事前準備をしてから使用してください。
使用できるスクリプト形式のUNIX互換コマンドを次の表に示します。なお,提供するサンプルスクリプトファイルはWindows限定です。UNIXでこれらのコマンドを使用する場合,OS提供のコマンドを使用してください。
コマンド名 |
機能概要 |
---|---|
chmod |
ファイルまたはフォルダのアクセス権を変更します。 |
su |
suコマンドに指定されたプログラムを実行します。 |
who |
現在ログインしているユーザーの情報を表示します。 |
UNIX互換コマンドのうち,スクリプト形式でハードリンク,シンボリックリンクを使用するときの制限事項を次に示します。
-
環境変数ADSH_LINK_SUPPORTにL0,L1以外の値を指定し,UNIX互換コマンドを実行するとコマンドは終了コード255以上でエラー終了します。