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Advanced Shell 


7.2.3 条件パラメーターの一覧

〈この項の構成〉

(1) 条件パラメーターの定義

論理ホスト専用,または物理ホスト専用の環境設定パラメーターおよびexportパラメーターを定義する場合は,条件パラメーターで囲んで定義します。

条件パラメーター外に記述してあるパラメーターは,すべてのホストで有効になります。条件パラメーターによって有効になったパラメーターと,条件パラメーター外で有効となった同一のパラメーターは,重複指定と見なされ,指定可能数の上限を超えていた場合はエラーになります。

条件パラメーターを次のように定義した場合について説明します。

(パラメーター群A)
#-adsh_conf lhost_start HOST01
(パラメーター群B)
#-adsh_conf lhost_end
#-adsh_conf lhost_start HOST02
(パラメーター群C)
#-adsh_conf lhost_end
#-adsh_conf phost_start
(パラメーター群D)
#-adsh_conf phost_end
#-adsh_conf lhost_start HOST01
(パラメーター群E)
#-adsh_conf lhost_end
#-adsh_conf lhost_start HOST02
(パラメーター群F)
#-adsh_conf lhost_end
#-adsh_conf phost_start
(パラメーター群G)
#-adsh_conf phost_end
(パラメーター群H)

この定義の場合,各ホストで実行されるパラメーター群は次のとおりです。

論理ホストHOST01で実行されるパラメーター群
(パラメーター群A)
(パラメーター群B)
(パラメーター群E)
(パラメーター群H)
論理ホストHOST02で実行されるパラメーター群
(パラメーター群A)
(パラメーター群C)
(パラメーター群F)
(パラメーター群H)
物理ホストで実行されるパラメーター群
(パラメーター群A)
(パラメーター群D)
(パラメーター群G)
(パラメーター群H)

条件パラメーターはシステム環境ファイルおよびジョブ環境ファイルに定義します。これらのファイルについての説明は「2.6.1 環境ファイルを設定する」を参照してください。

システム環境ファイルとジョブ環境ファイルに指定できるパラメーターは同じですが,同じパラメーターを指定した場合の扱いは次のようになります。

<システム環境ファイル>
#-adsh_conf lhost_start host01
#-adsh_conf TEMP_FILE_DIR /jp1as/temp
#-adsh_conf PATH_CONV /jp1as/abc c:\\jp1as\\sys1
#-adsh_conf PATH_CONV /jp1as/def c:\\jp1as\\sys2
#-adsh_conf lhost_end
<ジョブ環境ファイル>
#-adsh_conf lhost_start host01
#-adsh_conf TEMP_FILE_DIR /home/temp
#-adsh_conf PATH_CONV /jp1as/abc c:\\jp1as\\job1
#-adsh_conf PATH_CONV /jp1as/def c:\\jp1as\\job2
#-adsh_conf PATH_CONV /jp1as/kkk c:\\jp1as\\job3
#-adsh_conf lhost_end
<論理ホストhost01でジョブを実行した場合の結果は次の内容と同等です>
#-adsh_conf TEMP_FILE_DIR /home/temp
#-adsh_conf PATH_CONV /jp1as/abc c:\\jp1as\\job1
#-adsh_conf PATH_CONV /jp1as/def c:\\jp1as\\job2
#-adsh_conf PATH_CONV /jp1as/kkk c:\\jp1as\\job3
#-adsh_conf PATH_CONV /jp1as/abc c:\\jp1as\\sys1
#-adsh_conf PATH_CONV /jp1as/def c:\\jp1as\\sys2

(2) 条件パラメーターの一覧

条件パラメーターを次の表に示します。これらのパラメーターの指定は任意です。

表7‒2 Advanced Shellの環境ファイルに設定する条件パラメーター

パラメーター名

定義内容

指定個数の上限値

lhost_start

特定の論理ホストだけに有効とする環境設定パラメーターおよびexportパラメーターを開始します。

対象となる論理ホスト名もあわせて定義します。

無制限

lhost_end

lhost_startによって開始された,論理ホスト用の環境設定パラメーターとexportパラメーターを終了します。このパラメーターは,lhost_startパラメーターと必ず対になるように定義します。

phost_start

物理ホストだけに有効とする環境設定パラメーターおよびexportパラメーターを開始します。

phost_end

phost_startによって開始された,物理ホスト用の環境設定パラメーターとexportパラメーターを終了します。このパラメーターは,phost_startパラメーターと必ず対になるように定義します。

(3) 条件パラメーターの定義例

環境ファイルで設定するパラメーターの定義例を示します。

(a) システム環境ファイルとジョブ環境ファイルの定義例

システム環境ファイルとジョブ環境ファイルの関係を定義例で説明します。

  • 単一ホストで運用する場合

    システムのデフォルトとしてシステム環境ファイルを定義します。ここでは次の内容を定義します。

    • JP1イベントの発行先としてホスト名「HostJp1IM」を定義する。

    • KNAX6110-I,KNAX6111-Iメッセージの出力を抑止する。

    この場合のシステム環境ファイルの定義例は次のとおりです。

    #-adsh_conf  JOBLOG_SUPPRESS_MSG  KNAX6110-I
    #-adsh_conf  JOBLOG_SUPPRESS_MSG  KNAX6111-I
    #-adsh_conf  HOSTNAME_JP1IM_MANAGER  HostJp1IM

    ジョブごとの設定変更をジョブ環境ファイルで定義します。特定のジョブでジョブ定義スクリプト中の引数を変換することや,スクリプト拡張コマンド失敗時の終了コードを定義することができます。

    ジョブ環境ファイルの定義例は次のとおりです。

    #-adsh_conf  ADSHCMD_RC_ERROR  8
    #-adsh_conf  COMMAND_CONV_ARG  /var/tmp  /home/user01/tmp
  • 論理ホストHOST01,HOST02を同時に運用する場合

    システムのデフォルトとしてシステム環境ファイルを定義します。ここでは次の内容を定義します。

    • KNAX6110-I,KNAX6111-Iメッセージの出力を抑止する。

    • SPOOL_DIR,LOG_DIR,TRACE_DIR,TEMP_FILE_DIR,HOSTNAME_JP1IM_MANAGERパラメーターを論理ホストごとに別々の定義にして実行環境を分ける。

    • 環境変数ABCの値を論理ホストごとに分ける。

    この場合のシステム環境ファイルの定義例は次のとおりです。

    #-adsh_conf  JOBLOG_SUPPRESS_MSG  KNAX6110-I
    #-adsh_conf  JOBLOG_SUPPRESS_MSG  KNAX6111-I
    #-adsh_conf  lhost_start HOST01
    #-adsh_conf  SPOOL_DIR  /jp1as/host01/spool
    #-adsh_conf  LOG_DIR    /jp1as/host01/log
    #-adsh_conf  TRACE_DIR  /jp1as/host01/trace
    #-adsh_conf  TEMP_FILE_DIR /jp1as/host01/temp
    #-adsh_conf  HOSTNAME_JP1IM_MANAGER  HostJp1IM01
    #-adsh_conf  lhost_end
    #-adsh_conf  lhost_start HOST02
    #-adsh_conf  SPOOL_DIR  /jp1as/host02/spool
    #-adsh_conf  LOG_DIR    /jp1as/host02/log
    #-adsh_conf  TRACE_DIR  /jp1as/host02/trace
    #-adsh_conf  TEMP_FILE_DIR /jp1as/host02/temp
    #-adsh_conf  HOSTNAME_JP1IM_MANAGER  HostJp1IM02
    #-adsh_conf  lhost_end
    #-adsh_conf  lhost_start HOST01
    export  ABC=/jp1as/host01/abc
    #-adsh_conf  lhost_end
    #-adsh_conf  lhost_start HOST02
    export  ABC=/jp1as/host02/abc
    #-adsh_conf  lhost_end

    ジョブごとの設定変更をジョブ環境ファイルで定義します。特定のジョブでジョブ定義スクリプト中の引数を論理ホストごとに異なる値に変換することや,スクリプト拡張コマンド失敗時の終了コードを定義することができます。

    ジョブ環境ファイルの定義例は次のとおりです。

    #-adsh_conf ADSHCMD_RC_ERROR  8
    #-adsh_conf lhost_start HOST01
    #-adsh_conf COMMAND_CONV_ARG  /var/tmp  /home/user01/tmp01
    #-adsh_conf lhost_end
    #-adsh_conf lhost_start HOST02
    #-adsh_conf COMMAND_CONV_ARG  /var/tmp  /home/user01/tmp02
    #-adsh_conf lhost_end
  • 通常は論理ホストHOST01で運用し,一時的に物理ホストで運用する場合

    システムのデフォルトとしてシステム環境ファイルを定義します。ここでは次の内容を定義します。

    • KNAX6110-I,KNAX6111-Iメッセージの出力を抑止する。

    • SPOOL_DIR,LOG_DIR,TRACE_DIR,TEMP_FILE_DIR,HOSTNAME_JP1IM_MANAGERパラメーターを論理ホストと物理ホストで別々の定義にして実行環境を分ける。

    • 物理ホストのSPOOL_DIR,LOG_DIR,TRACE_DIR,TEMP_FILE_DIRパラメーターはデフォルトのディレクトリを使用する。

    • 環境変数ABCの値を論理ホストと物理ホストで分ける。

    この場合のシステム環境ファイルの定義例は次のとおりです。

    #-adsh_conf  JOBLOG_SUPPRESS_MSG  KNAX6110-I
    #-adsh_conf  JOBLOG_SUPPRESS_MSG  KNAX6111-I
    #-adsh_conf  lhost_start HOST01
    #-adsh_conf  SPOOL_DIR  /jp1as/host01/spool
    #-adsh_conf  LOG_DIR    /jp1as/host01/log
    #-adsh_conf  TRACE_DIR  /jp1as/host01/trace
    #-adsh_conf  TEMP_FILE_DIR /jp1as/host01/temp
    #-adsh_conf  HOSTNAME_JP1IM_MANAGER  HostJp1IM01
    #-adsh_conf  lhost_end
    #-adsh_conf  phost_start
    #-adsh_conf  HOSTNAME_JP1IM_MANAGER  HostJp1IM01
    #-adsh_conf  phost_end
    #-adsh_conf  lhost_start HOST01
    export  ABC=/jp1as/host01/abc
    #-adsh_conf  lhost_end
    #-adsh_conf  phost_start
    export  ABC=/jp1as/abc
    #-adsh_conf  phost_end

    ジョブごとの設定変更をジョブ環境ファイルで定義します。特定のジョブでジョブ定義スクリプト中の引数を論理ホストと物理ホストで異なる値に変換することや,スクリプト拡張コマンド失敗時の終了コードを定義することができます。

    ジョブ環境ファイルの定義例は次のとおりです。

    #-adsh_conf ADSHCMD_RC_ERROR  8
    #-adsh_conf lhost_start HOST01
    #-adsh_conf COMMAND_CONV_ARG  /var/tmp  /home/user01/tmp01
    #-adsh_conf lhost_end
    #-adsh_conf phost_start
    #-adsh_conf COMMAND_CONV_ARG  /var/tmp  /home/user01/tmp00
    #-adsh_conf phost_end

(b) 条件パラメーターの定義例

条件パラメーターの定義内容と,各ホストに適用されるパラメーターについて定義例で説明します。

例えば,条件パラメーターを次のように定義した場合について説明します。

(パラメーター群A)
#-adsh_conf lhost_start HOST01
(パラメーター群B)
#-adsh_conf lhost_end
#-adsh_conf lhost_start HOST02
(パラメーター群C)
#-adsh_conf lhost_end
#-adsh_conf phost_start
(パラメーター群D)
#-adsh_conf phost_end
#-adsh_conf lhost_start HOST01
(パラメーター群E)
#-adsh_conf lhost_end
#-adsh_conf lhost_start HOST02
(パラメーター群F)
#-adsh_conf lhost_end
#-adsh_conf phost_start
(パラメーター群G)
#-adsh_conf phost_end
(パラメーター群H)

この定義の場合,各ホストで実行されるパラメーター群は次のとおりです。

論理ホストHOST01で実行されるパラメーター群
(パラメーター群A)
(パラメーター群B)
(パラメーター群E)
(パラメーター群H)
論理ホストHOST02で実行されるパラメーター群
(パラメーター群A)
(パラメーター群C)
(パラメーター群F)
(パラメーター群H)
物理ホストで実行されるパラメーター群
(パラメーター群A)
(パラメーター群D)
(パラメーター群G)
(パラメーター群H)