3.7.1 ブートディスク環境へHDLMをインストールする場合の注意事項
ブートディスクにHDLMを適用した場合の注意事項を次に示します。
ブートディスクを作成できるストレージシステムとして,次の条件を満たしている必要があります。
HDLMを使用しない状態でも,ストレージシステムがブートディスクとしての機能をサポートしている
HBAが,ストレージシステムからの起動をサポートしている
OSをインストールする場合は,ルートディレクトリー「/」と/bootディレクトリーを別のパーティションに作成してください。
HDLMをブートディスクとして使用する場合は,カーネルパラメーターのresume,journalおよびdumpにHDLMデバイスを指定しないでください。
Red Hat Enterprise Linux,SUSE LINUX Enterprise Serverでは,ブートディスクにLVM2を使用している環境をサポートします。
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SUSE LINUX Enterprise Server 15 SP5では,以下のパッケージの適用が必要です。
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systemd-249.17-150400.8.40.1.x86_64.rpm以降
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SUSE LINUX Enterprise Server 15 SP5では,ブートディスクにLVM2 を使用している環境の場合,以下のパッケージの適用が必要です。
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lvm2-2.03.16-150500.7.3.1.x86_64.rpm以降
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起動中に構成を変更したり,/etc/fstabファイルの設定が正しくなかった場合は,システムが起動できなくなることがあります。
起動時にルートディレクトリー「/」がマウントされないと,障害ログ(/etc/opt/DynamicLinkManager/hdlmboot.log)を取得できません。その場合は,コンソールに出力されるログを参照して問題を解析してください。
起動時のdlmcfgmgrのログは,/etc/opt/DynamicLinkManager/hdlmboot.logファイルに出力されます。
ブートディスクをHDLMデバイスとする環境の場合は,/etc/opt/DynamicLinkManager/hdlm.confに定義されている「hdlm_dracut」の記述が「y」になっていることを確認してください。「hdlm_dracut=n」にする場合は,SCSI用の初期RAMディスクイメージファイルを作成する時です。
HDLMデバイスから起動する環境を構築したあとで,ブートディスクを変更することはできません。
ブートディスクに設定したSANRISEのディスクをHDLMデバイスとして使用しない場合には,HDLMをインストールする前に,次の手順に従って/etc/fstabファイルの記述をLABEL指定からsdデバイス指定に編集してください。
LABELで指定されているOSのインストール先ディレクトリーを確認します。
# cat /etc/fstab LABEL=/ / ext3 defaults 1 1 LABEL=/boot /boot ext3 defaults 1 2
ルートディレクトリーと/bootディレクトリーがLABEL指定であることが確認できます。
LABELとsdデバイスの関係を確認します。
# mount /dev/sda2 on / type ext3 (rw) none on /proc type proc (rw) none on /dev/pts type devpts (rw,gid=5,mode=620) usbdevfs on /proc/bus/usb type usbdevfs (rw) /dev/sda1 on /boot type ext3 (rw) none on /dev/shm type tmpfs (rw)
ルートディレクトリーが/dev/sda2,/bootディレクトリーが/dev/sda1であることが確認できます。
viなどのエディターを使用して,LABEL指定をsdデバイス指定に変更します。
(変更前)
LABEL=/ / ext3 defaults 1 1 LABEL=/boot /boot ext3 defaults 1 2
(変更後)
/dev/sda2 / ext3 defaults 1 1 /dev/sda1 /boot ext3 defaults 1 2
HDLMのインストールを行います。
HDLMデバイス構成後に,dlmcfgmgr -oコマンドを実行して,ブートディスクに対応するHDLMデバイスを管理対象外にしてください。
udev機能でSCSI デバイス名を変更している場合は,「3.7.3 マルチパス構成のブートディスク環境の設定」および「3.7.4 ブートディスク環境でのHDLMのアップグレードインストール」でSCSIデバイス名をudev機能で変更したSCSIデバイス名(udev名)に読み替えて操作してください。
HDLMがインストールされた環境ではHDLM構成定義ユーティリティー(dlmcfgmgr)でSCSIデバイスとudev名の対応関係を確認することができます。
dlmcfgmgrユーティリティーに-vパラメーターおよび-udevパラメーターを指定して実行する例を次に示します。
図3‒7 dlmcfgmgrユーティリティーに-vパラメーターおよび-udevパラメーターを指定した実行例 HDevName列はHDLMデバイス,Device列はSCSIデバイス,Udev列はudev名になります。
カーネルパッケージを更新する場合,使用しているOSによって次のように対応ください。
Red Hat Enterprise Linux 7,8,9を使用している場合
カーネルパッケージの更新手順は「4.2 カーネルパッケージの更新またはOSのアップデートパッケージの適用」を参照してください。
SUSE LINUX Enterprise Serverを使用している場合
カーネルパッケージを更新するときは,HDLMをいったんアンインストールしてからカーネルパッケージを更新し,再度HDLMをインストールしてください。なお,HDLMのインストールとアンインストールを実行するため,HDLMデバイスとSCSIデバイスの対応関係が,アンインストール前とインストール後で変わる場合があります。
カーネルパッケージを更新する場合で,次の条件をすべて満たすときは,Persistent Bindingの設定を変更する必要があります。
ホストがBladeSymphonyである
HDLMでブートディスクを管理している
Persistent Bindingの機能が有効である
Persistent Bindingの設定については,マニュアル「Hitachi Gigabit Fibre Channel アダプター ユーザーズガイド」を参照してください。
HDLMのアップグレードインストールを行っても,作成済みのLVM構成は変わりません。
HDLMデバイス上の論理ボリューム(LVM2)をブートディスク環境にする際に,dracutコマンドやvgscanコマンドを実行すると,次のようなメッセージが一時的に出力される場合がありますが,HDLMの動作上の問題はありません。
WARNING: Device mismatch detected for VG名 which is accessing SCSIデバイス名 instead of HDLMデバイス名.
または
WARNING: Device mismatch detected for VG名 which is accessing SCSIデバイス名 instead of (null).
HDLMデバイス上の論理ボリューム(LVM2)をブートディスクとしている場合,サーバー起動時に次のようなメッセージが出力される場合がありますが,HDLMの動作上の問題はありません。
MM DD hh:mm:ss ホスト名 kernel: dracut: Found duplicate PV pvid: using SCSIデバイス名 not SCSIデバイス名
Red Hat Enterprise Linux 7,8,9,Oracle Linux 7,8,SUSE LINUX Enterprise Server 12,15またはOracle Unbreakable Enterprise Kernel 7,8の場合,LVM2を使用しない場合でも,LVM2のパッケージをインストールしてください。