Hitachi

Hitachi Dynamic Link Manager ユーザーズガイド(Linux®用)


3.6.2 HDLMの新規インストール

HDLMを新規にインストールする手順を,次に説明します。なお,インストール前には前提となる準備が必要です。インストール前の準備については「3.6.1 HDLMを新規インストールする前の準備」を参照してください。

  1. Linuxに,root権限を持つユーザーでログインします。

  2. ライセンスキーの準備をします。

    次のどちらかの方法で,所定のディレクトリーにライセンスキーファイルを格納してください。

    • /var/tmpディレクトリーに,ライセンスキーファイル(「*.plk」)を「hdlm_license」という名称で格納する。

      /var/tmp/hdlm_license
    • 次に示すコマンドを実行して,/etc/opt/DynamicLinkManagerディレクトリーにライセンスキーファイル(dlm.lic_key)を作成する。

      # mkdir /etc/opt/DynamicLinkManager
      # echo " ライセンスキー " > /etc/opt/DynamicLinkManager/dlm.lic_key
  3. DVD-ROMをセットしてマウントします。

    DVD-ROMが自動的にマウントされなかったときは,mountコマンドを実行して決められたマウントポイントにDVD-ROMをマウントします。

    マウントポイントが,/media/cdromの場合のコマンドの実行例を次に示します。

    # mount /dev/cdrom /media/cdrom

    各ディストリビューションでの決められたマウントポイントを次の表に示します。

    表3‒52 各ディストリビューションのマウントポイント

    ディストリビューション

    マウントポイント

    Red Hat Enterprise Linux 7,8,9

    /media/cdrom

    SUSE LINUX Enterprise Server

    /media/cdrom

    DVD-ROMが自動的にマウントされた場合は

    /media/ メディアのボリュームID

    注1

    上記以外のマウントポイントにマウントした場合,HDLMをインストールできません。

    注2

    DVD-ROMの内容をコピーし,コピー先のディレクトリーからインストールする場合,上記に示すマウントポイントと同じ名称のディレクトリーに,DVD-ROMの内容をそのままコピーしてください。ファイルのパーミッションやディレクトリー構成が異なると,HDLMをインストールできません。

    注※

    ISO-9660ファイルシステムでフォーマットされたメディア(CD-ROMなど)のボリューム名のことです。メディアのボリュームIDは,volnameコマンドで確認してください。

    メディアのボリュームIDが「VOL01234」の場合の実行例を次に示します。

    # volname /dev/cdrom
    VOL01234
  4. HDLMのバージョンを確認します。

    HDLMのDVD-ROMに格納されているinstallux.shまたはHDLMインストールユーティリティー(installhdlm)を実行して,インストールするHDLMのバージョンを確認します。

    DVD-ROMのマウントポイントが,/media/cdromの場合のコマンドの実行例を次に示します。

    • installux.shを実行する場合

      # /media/cdrom/installux.sh -v
    • installhdlmユーティリティーを実行する場合

      # /media/cdrom/HDLM_Linux/installhdlm -v

    コマンドの実行結果を次に示します。「x.x.x-xx」の部分がHDLMのバージョンです。

    KAPL09177-I HDLM version: x.x.x-xx
  5. インストールを実行します。

    HDLMのDVD-ROMに格納されているinstallux.shまたはinstallhdlmユーティリティーを指定して,インストールを実行します。

    DVD-ROMのマウントポイントが,/media/cdromの場合のインストール実行例を次に示します。

    • installux.shを実行する場合

      # /media/cdrom/installux.sh
    • installhdlmユーティリティーを実行する場合

      # /media/cdrom/HDLM_Linux/installhdlm
  6. 新規インストールを確認するKAPL09093-Iメッセージが表示されるので,HDLMのバージョンを確認して,問題なければ「y」を入力します。

    インストールが完了すると,ライセンスキーファイルは消去されます。

  7. HDLMがインストールされていることを確認します。

    次に示すコマンドを実行して,インストールされたパッケージの詳細情報を表示します。

    # rpm -qi HDLM
    Name        : HDLM
    Version     : x.x.x.x.xxx
    Release     : xx  
         :

    Version」に「x.x.x.x.xxx」が表示されていれば,正しいバージョンがインストールされています。x.x.x.x.xxxにはインストールされたHDLMのバージョンが表示されます。

  8. ホストとストレージシステムとの接続にIP-SANを使用している場合は,/etc/opt/DynamicLinkManager/hdlm.confファイルに定義されている「iscsi_boot=n」の記述を,「iscsi_boot=y」に変更します。

    また,ホストとストレージシステムとの接続にQLogic 8400シリーズ(FCoE)を使用している場合は,/etc/opt/DynamicLinkManager/hdlm.confファイルに定義されている「fcoe_boot=n」の記述を,「fcoe_boot=y」に変更します。

  9. HDLMのドライバーオプションを設定する場合はHDLMドライバーオプション設定ユーティリティー(dlmsetopt)を実行します。

    詳細については「7.8 dlmsetopt HDLMドライバーオプション設定ユーティリティー」を参照してください。

    この手順を実行した場合は,手順12に進んでください。

  10. ホストを再起動しないでインストールをする場合は,手順11以降を行います。再起動する場合は,手順12に進んでください。

  11. HDLM起動ユーティリティー(dlmstart)を実行します。

    詳細については「7.9 dlmstart HDLM起動ユーティリティー」を参照してください。

  12. rootユーザーが使用するシェルの環境設定ファイルのPATH環境変数に,/opt/DynamicLinkManager/binを追加します。

    rootユーザーの環境設定ファイルのPATH環境変数に,次の記述を追加します。これによって,HDLMコマンドやHDLMユーティリティーを簡潔に実行できます。

    BourneAgainシェル,またはKornシェルを使用している場合
    PATH=$PATH:/opt/DynamicLinkManager/bin ; export PATH
    Cシェルを使用している場合
    set path= ( $path /opt/DynamicLinkManager/bin )

    PATH環境変数を設定しない場合は,絶対パスを指定してコマンドやユーティリティーを実行してください。

    手順11を行っている場合は,手順14に進んでください。

  13. ホストを再起動します。

    次に示すコマンドを実行してホストを再起動してください。

    # shutdown -r now

    HDLMデバイスにパスが設定されて,HDLMマネージャーが起動します。

  14. 3.6.1 HDLMを新規インストールする前の準備」の(1) HDLM管理対象予定のデバイスへの操作」で/etc/fstabファイルを編集した場合は,次に示す行を追加してSCSIデバイス指定からHDLMデバイス指定に変更します。

    なお,SCSIデバイスに対して「LABEL=」または「UUID=」を付けるLinuxの機能は,HDLMではサポートしていません。この機能は,使用しないでください。

    /etc/fstabファイルの編集例を次に示します。

    [図データ]

    図に示した網掛けの行を追加します。

  15. リューム管理ソフトウェアの使用に必要な設定をします。

    ボリューム管理ソフトウェアで作成された論理ボリュームを,すでに使用している場合,HDLMデバイスを物理ボリュームとする論理ボリュームに置き換えます。

    ボリューム管理ソフトウェアの設定については,「3.8 LVM2の設定」を参照してください。

  16. 仮想環境の使用に必要な設定をします。

    Xenを使用する場合は,domainUでHDLMデバイスを使用するように設定します。KVMを使用する場合は,HDLMデバイスをハードウェア設定ファイルに登録します。

    HDLMがサポートする仮想環境の動作環境は,「3.1.14 HDLMがサポートする仮想環境」を参照してください。仮想環境の設定については,「3.9 Xenの設定」または「3.10 KVMの設定」を参照してください。

  17. クラスター構成での運用に必要な設定をします。

    クラスター構成の場合,クラスターで指定されているSCSIデバイスの論理デバイスファイル名を,HDLMデバイスの論理デバイスファイル名に書き換えます。

    クラスターソフトウェアの設定については,3.11 CLUSTERPROの設定」,または3.12 Oracleの設定」を参照してください。

  18. HDLMコマンドのviewオペレーションを実行して,HDLMの設定および各プログラムの状態を表示します。

    コマンドの実行例を次に示します。

    # /opt/DynamicLinkManager/bin/dlnkmgr view -sys
    HDLM Version               : x.x.x-xx
    Service Pack Version       : 
    Load Balance               : on(extended lio)
    Support Cluster            :
    Elog Level                 : 3
    Elog File Size (KB)        : 9900
    Number Of Elog Files       : 2
    Trace Level                : 0
    Trace File Size(KB)        : 1000
    Number Of Trace Files      : 4
    Path Health Checking       : on(30)
    Auto Failback              : off
    Reservation Status         : 
    Intermittent Error Monitor : off
    HDLM Manager  Ver         WakeupTime
    Alive         x.x.x-xx    yyyy/mm/dd hh:mm:ss
    HDLM Alert Driver  Ver          WakeupTime          ElogMem Size
    Alive              x.x.x-xx     yyyy/mm/dd hh:mm:ss 1000
    HDLM Driver  Ver          WakeupTime
    Alive        x.x.x-xx     yyyy/mm/dd hh:mm:ss
    License Type     Expiration
    Permanent        -
    KAPL01001-I HDLMコマンドが正常終了しました。オペレーション名 = view, 終了時刻 = yyyy/mm/dd hh:mm:ss
    #

    クラスターソフトウェアを使用していても,「Support Cluster」には何も表示されません。しかし,クラスター機能は問題なく動作します。

  19. 正しいバージョンのHDLMがインストールされているか確認します。

    HDLM Version」に「x.x.x-xx」が表示されていれば,正しいバージョンがインストールされています。「x.x.x-xx」はインストールされたHDLMのバージョンです。

  20. プログラムが正常に動作しているか確認します。

    HDLM Manager」,「HDLM Alert Driver」,および「HDLM Driver」がすべて「Alive」であれば,プログラムが正常に動作しています。

    正常に動作していない場合の対処方法については,「5.4 プログラム障害時の対処」を参照してください。

インストールが完了したら,「3.14 パス構成の確認」に記述されている手順に従って,パス構成を確認してください。