Hitachi Dynamic Link Manager ユーザーズガイド(Linux®用)
3.15 Oracleの設定
Oracle RACまたはOracle SEHAを使用する場合の注意事項を次に説明します。
- Oracle RAC環境でOracle Cluster file System 2を使用する場合は,/etc/sysconfig/o2cbfファイル中のパラメタ「O2CB_HEARTBEAT_THRESHOLD」を次の値に設定してください。
- Virtual Storage Platformシリーズ,VSP 5000シリーズ,VSP G1000シリーズ,VSP G1500,VSP F1500,VSP Eシリーズ,VSP Gx00モデル,VSP Fx00モデル,またはHUS VMを使用している場合
(Oracle Cluster file System 2へ接続するパス数×60秒÷2)+1
- HUS100シリーズを使用している場合
(Oracle Cluster file System 2へ接続するパス数×30秒÷2)+1
- ホストとOracle RACまたはOracle SEHAの投票ディスク(Voting Disk)を複数のパスで接続しているとき,それらのパスの一部でI/Oタイムアウトが発生すると,通常のパスと同様にHDLMはフェイルオーバ処理を実行します。
ただし,Oracleの設定状態によっては,HDLMのフェイルオーバ処理が完了する前にOracle側でノード障害が発生したと見なし,クラスタを再構成してしまうおそれがあります。
したがって,Oracle RACまたはOracle SEHAの投票ディスクの接続先をHDLMデバイスとする場合,ストレージシステムの種別や運用条件に応じて,Oracle RAC 11g,Oracle RAC 12c,Oracle RAC 18c,Oracle
RAC 19cまたはOracle SEHA 19cでは「MISSCOUNT」と「DISKTIMEOUT」の値を変更してください。
- ストレージに対する可用性を優先する場合
- 「MISSCOUNT」には,ハートビートが認識できないと判定されるまでの最大許容時間を指定します。また,「DISKTIMEOUT」には,投票ディスクへのディスクI/Oが実行できないと判定されるまでの最大許容時間を指定します。設定する値は,次に示す「表3-82 「MISSCOUNT」の計算式」および「表3-83 「DISKTIMEOUT」の計算式」に従って計算し,算出した値以上に変更してください。可用性を考慮した場合,パス数が多くなればなるほど「MISSCOUNT」および「DISKTIMEOUT」に指定する値が大きくなり,Oracle RACの再構成開始までの時間も長くなります。
- Oracle RACまたはOracle SEHAでの再構成開始までの時間を優先する場合
- Oracle RACまたはOracle SEHAの再構成開始までの時間を短くすることを優先する場合,再構成開始までの最大時間から「MISSCOUNT」および「DISKTIMEOUT」の値を決定してください。この場合「MISSCOUNT」および「DISKTIMEOUT」の値が計算式より小さくなることがありますが,HDLMの動作に影響はありません。ただし,タイムアウトなど検知に時間を必要とするエラーが発生すると,「MISSCOUNT」および「DISKTIMEOUT」の値がOnlineパスへフェイルオーバが完了するまでの時間よりも小さくなり,フェイルオーバが可能であるにもかかわらず,Oracle
RACまたはOracle SEHAの再構成が開始される可能性が高くなります。
なお,次の「MISSCOUNT」および「DISKTIMEOUT」の計算式で示すパス数は,「MISSCOUNT」および「DISKTIMEOUT」を設定するホストから投票ディスクに接続しているパスの数です。設定対象のホストから投票ディスクに2パス接続している場合,パス数は2となります。
表3-82 「MISSCOUNT」の計算式
ストレージシステム種別 |
「MISSCOUNT」に設定する値の計算式 |
- Virtual Storage Platformシリーズ
- VSP 5000シリーズ
- VSP G1000シリーズ
- VSP G1500
- VSP F1500
- VSP Eシリーズ
- VSP Gx00モデル
- VSP Fx00モデル
- HUS VM
|
投票ディスクへ接続するパスの数×60秒 |
|
投票ディスクへ接続するパスの数×30秒 |
表3-83 「DISKTIMEOUT」の計算式
ストレージシステム種別 |
投票ディスクへ接続するパスの数 |
「DISKTIMEOUT」に設定する値の計算式 |
- Virtual Storage Platformシリーズ
- VSP 5000シリーズ
- VSP G1000シリーズ
- VSP G1500
- VSP F1500
- VSP Eシリーズ
- VSP Gx00モデル
- VSP Fx00モデル
- HUS VM
|
3以下 |
「DISKTIMEOUT」の値を変更する必要はありません。 |
4以上 |
投票ディスクへ接続するパスの数×60秒 |
|
6以下 |
「DISKTIMEOUT」の値を変更する必要はありません。 |
7以上 |
投票ディスクへ接続するパスの数×30秒 |
- 注
- 「MISSCOUNT」と「DISKTIMEOUT」の関係が「MISSCOUNT」≧「DISKTIMEOUT」となる場合,Oracleの仕様によってエラーとなる場合があります。この場合,「MISSCOUNT」の値の変更に加え,「DISKTIMEOUT」の値を「MISSCOUNT」+1するなど「MISSCOUNT」よりも大きな値になるように設定してください。
- 詳細については,Oracleサポートサービスを契約した会社へお問い合わせください。
なお,上記の構成からHDLMをアンインストールする場合,変更した「MISSCOUNT」や「DISKTIMEOUT」の設定値を元の値に戻す必要があるため,変更する前のそれぞれの設定値を控えておいてください。
- OracleのoracleasmコマンドをHDLMデバイスに対して実行すると,KAPL05023-Eのメッセージをsyslogに出力する場合があります。
このエラーメッセージのあとに,次に示すoracleasmコマンド成功のメッセージを出力している場合は,HDLMの動作上の問題はありません。
oracleasm: succeeded
- Oracle RAC 12cとHDLMを組み合わせて使用する場合で,Oracle RAC 12cのASMLibを使用するときは,ASMLib構成ファイルの設定を変更する必要があります。
ASMLibをインストールしたあと,すべてのノードに対して次に示す操作を行ってください。
- 次に示すコマンドを実行し,ASMLib構成ファイルを作成します。
- Oracle RAC 12cまたはASMLibのバージョンが2.1.0以降の場合
# /usr/sbin/oracleasm configure -i
- ASMLibのバージョンが2.1.0より前の場合
# /etc/init.d/oracleasm configure
- ASMLib構成ファイル(/etc/sysconfig/oracleasm)を開きます。
- ORACLEASM_SCANORDERの行を,次のように変更します。
ORACLEASM_SCANORDER ="sddlm"
HDLMデバイスに定義済みのASMディスクがすでに存在する場合は,この手順を実行したあとすべてのノードを再起動します。
この操作は,設定を有効にするために行います。
- Red Hat Enterprise Linuxのバージョンによって次のように異なります。
Red Hat Enterprise Linux 6で,Oracle RAC 11g Release 2とHDLMを組み合わせて使用する場合,ADVM およびACFSで作成した共有ファイルシステムを,アーカイブREDOログの領域として使用できます。ただし,Red
Hat Enterprise Linux 6.0 / 6.1 / 6.2で,Oracle RAC 11g Release 2(11.2.0.3.0)とHDLMを組み合わせて使用する場合は,PSU 11.2.0.3.3以降が必要です。
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