3.12.1 MISSCOUNTとDISKTIMEOUTの設定
ホストとOracle RACの投票ディスク(Voting Disk)を複数のパスで接続しているとき,それらのパスの一部でI/Oタイムアウトが発生すると,通常のパスと同様にHDLMはフェイルオーバ処理を実行します。
ただし,Oracle RACの設定状態によっては,HDLMのフェイルオーバ処理が完了する前にOracle RAC側でノード障害が発生したと見なし,クラスタを再構成してしまうおそれがあります。
したがって,Oracle RACの投票ディスクの接続先をHDLMデバイスとする場合,ストレージシステムの種別や運用条件に応じて,「MISSCOUNT」と「DISKTIMEOUT」の値を変更してください。
- ストレージに対する可用性を優先する場合
「MISSCOUNT」には,ハートビートが認識できないと判定されるまでの最大許容時間を指定します。また,「DISKTIMEOUT」には,投票ディスクへのディスクI/Oが実行できないと判定されるまでの最大許容時間を指定します。設定する値は,次に示す「表3‒21 「MISSCOUNT」の計算式」および「表3‒22 「DISKTIMEOUT」の計算式」に従って計算し,算出した値以上に変更してください。可用性を考慮した場合,パス数が多くなればなるほど「MISSCOUNT」および「DISKTIMEOUT」に指定する値が大きくなり,Oracle RACの再構成開始までの時間も長くなります。
- Oracle RACでの再構成開始までの時間を優先する場合
Oracle RACの再構成開始までの時間を短くすることを優先する場合,再構成開始までの最大時間から「MISSCOUNT」および「DISKTIMEOUT」の値を決定してください。この場合「MISSCOUNT」および「DISKTIMEOUT」の値が計算式より小さくなることがありますが,HDLMの動作に影響はありません。ただし,タイムアウトなど検知に時間を必要とするエラーが発生すると,「MISSCOUNT」および「DISKTIMEOUT」の値がOnlineパスへフェイルオーバが完了するまでの時間よりも小さくなり,フェイルオーバが可能であるにもかかわらず,Oracle RACの再構成が開始される可能性が高くなります。
なお,次の「MISSCOUNT」および「DISKTIMEOUT」の計算式で示すパス数は,「MISSCOUNT」および「DISKTIMEOUT」を設定するホストから投票ディスクに接続しているパスの数です。設定対象のホストから投票ディスクに2パス接続している場合,パス数は2となります。
ストレージシステム種別 |
「MISSCOUNT」に設定する値の計算式 |
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投票ディスクへ接続するパスの数×30秒 |
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投票ディスクへ接続するパスの数×60秒 |
ストレージシステム種別 |
投票ディスクへ接続するパスの数 |
「DISKTIMEOUT」に設定する値の計算式 |
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6以下 |
「DISKTIMEOUT」の値を変更する必要はありません。 |
7以上 |
投票ディスクへ接続するパスの数×30秒 |
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3以下 |
「DISKTIMEOUT」の値を変更する必要はありません。 |
4以上 |
投票ディスクへ接続するパスの数×60秒 |
- 注
「MISSCOUNT」と「DISKTIMEOUT」の関係が「MISSCOUNT」≧「DISKTIMEOUT」となる場合,Oracleの仕様によってエラーとなる場合があります。この場合,「MISSCOUNT」の値の変更に加え,「DISKTIMEOUT」の値を「MISSCOUNT」+1するなど「MISSCOUNT」よりも大きな値になるように設定してください。
詳細については,Oracleサポートサービスを契約した会社へお問い合わせください。
なお,上記の構成からHDLMをアンインストールする場合,変更した「MISSCOUNT」や「DISKTIMEOUT」の設定値を元の値に戻す必要があるため,変更する前のそれぞれの設定値を控えておいてください。