Hitachi Dynamic Link Manager EX ユーザーズガイド(AIX用)
自動的にパスを切り替える機能である,自動フェイルオーバと自動フェイルバックについて説明します。
使用中のパスで障害を検知した場合,そのパスを閉塞状態にして,ほかの稼働状態のパスを使用してシステムの運用を続けることができます。これを,自動フェイルオーバと呼びます。自動フェイルオーバの対象となる障害は,パスに発生した次のレベルの障害です。
障害レベルについては,「2.11.2 障害情報のフィルタリング」を参照してください。
切り替え先のパスは,同じLUにアクセスするオーナパス,ノンオーナパスの順で選択されます。
HDLMがサポートするストレージシステムは,通常すべてのパスがオーナパスになるため,同じLUにアクセスするすべてのパスが同時に切り替え先の候補になります。例えば,「図2-8 パスの切り替え」で(A)のパスだけでLUにアクセスしている場合,使用中のパスが閉塞状態になったあとは,(B),(C),(D)のパスのどれかが切り替え先になります。
ノンオーナパスがある場合,切り替え先のパスは同じLUにアクセスするオーナパス,ノンオーナパスの順で選択されます。例えば,「図2-8 パスの切り替え」でLUのオーナコントローラがCHA0であるとします。(A)のパスだけでLUにアクセスしている場合,使用中のパスが閉塞状態になったあとは,(B)のパスが第1候補,(C)または(D)のパスが第2候補の切り替え先になります。
同じLUにアクセスするパスの間での,切り替え先のパスの優先順位については,「(2) 切り替え先のパスの優先順位」を参照してください。
パスの優先順位は,ホストのマシンのアーキテクチャによって異なります。
マシンのアーキテクチャがCHRPの場合は,同じLUにアクセスするパスの間では,パスごとの優先順位を第1キー,スロット番号を第2キー,CHAポートを第3キー,パス管理PATH_IDを第4キーにして,値が小さい順に切り替え先のパスが選択されます。
マシンのアーキテクチャがCHRP以外の場合は,パスごとの優先順位を第1キー,第2キーをCHAポート番号,第3キーをパス管理PATH_IDにして,値が小さい順に切り替え先のパスが選択されます。
キーとなる各項目について説明します。
# lspath -l hdisk4 -F"name parent path_id connection path_status status" hdisk4 fscsi0 0 50060e8005271720,31000000000000 使用可能 使用可能 hdisk4 fscsi1 1 50060e8005271730,31000000000000 使用可能 使用可能 hdisk4 fscsi2 2 50060e8005271740,31000000000000 使用可能 使用可能 hdisk4 fscsi3 3 50060e8005271750,31000000000000 使用可能 使用可能
# lspath -l hdisk4 -p fscsi0 -w 50060e8005271720,31000000000000 -E scsi_id 0x651400 SCSI ID 偽 node_name 0x50060e8005271720 FC Node Name 偽 state Enabled N/A 真 priority 1 N/A 真
# chpath -l hdisk4 -p fscsi0 -w 50060e8005271720,31000000000000 -a priority=5 パスは変更済みです
# lspath -l hdisk4 -p fscsi0 -w 50060e8005271720,31000000000000 -E scsi_id 0x651400 SCSI ID 偽 node_name 0x50060e8005271720 FC Node Name 偽 state Enabled N/A 真 priority 5 N/A 真
# /usr/DynamicLinkManager/bin/dlnkmgr view -drv PathID HDevName OSPathID LDEV 000000 hdisk6 00000 VSP_Ex00.621020.0000AA 000001 hdisk6 00001 VSP_Ex00.621020.0000AA 000002 hdisk7 00000 VSP_Ex00.621020.0000AB 000003 hdisk7 00001 VSP_Ex00.621020.0000AB 000004 hdisk8 00000 VSP_Ex00.621020.0000AC 000005 hdisk8 00001 VSP_Ex00.621020.0000AC
# lsdev -C -l hdisk2 -F 'parent' fscsi0
# lscfg -vp -l fscsi0
使用中のパスが障害で閉塞状態になった場合,障害回復後に自動的に稼働状態にできます。これを,自動フェイルバックと呼びます。この機能を使用した場合,HDLMは定期的に障害回復を監視します。
ノンオーナパスがある場合,使用するパスは,稼働状態のオーナパス,ノンオーナパスの順で選択されます。すべてのオーナパスが閉塞状態でノンオーナパスを使用しているときに,オーナパスの障害が回復して,自動的に稼働状態になると,使用するパスがオーナパスに切り替わります。
なお,パスに間欠障害※が発生している場合,自動フェイルバックの設定をしていると,閉塞状態と稼働状態を繰り返すため,I/Oの性能が低下することがあります。その場合は,間欠障害監視を設定して,間欠障害と見なされたパスを自動フェイルバックの対象外にすることをお勧めします。
自動フェイルバック機能,および間欠障害監視は,HDLMコマンドのsetオペレーションで指定します。setオペレーションについては,「6.6 set 動作環境を設定する」を参照してください。
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