Replication Manager Application Agent CLI リファレンスガイド
EX_DRM_EXG_BACKUP オペレーションID -mode vss [ -transact_log_del | -noverify | -noverify_log_del ] [ -hostname 仮想サーバ名 ] [ -event_check ] [ -comment バックアップコメント ] [ -rc [ 世代識別名 ]] [ -pf コピーパラメーター定義ファイル ] [ -vf VSS定義ファイル名 ] [ -script ユーザースクリプトファイル名 ] [ -s バックアップサーバ名 [ -auto_import [ -auto_mount [ マウントポイントディレクトリ名 ]] ] [ -svol_check ] ]drmexgbackupコマンドを実行し,オペレーションIDで指定されたストレージグループまたはインフォメーションストアのExchangeデータベースを正ボリュームから副ボリュームにバックアップします。このとき,バックアップIDを生成します。
Exchange Serverでバックアップする単位を,次に示します。
- Exchange Server 2007の場合
- データベース全体またはストレージグループ単位
- Exchange Server 2010,Exchange Server 2013,またはExchange Server 2016の場合
- データベース全体またはインフォメーションストア単位
バックアップの対象となるのは,次の表に示すファイルです。
表1-15 Exchange Serverのバックアップの対象となるファイル
オプション 対象データベース 対象ファイル 対象ファイル種別は固定 Exchange Serverストレージグループ データファイル *.edb トランザクションログファイル *.log チェックポイントファイル *.chk 対象ファイル種別は固定 Exchange Serverインフォメーションストア データファイル *.edb トランザクションログファイル *.log チェックポイントファイル *.chk 次の前提条件があります。
- 指定したオペレーションIDに対応するオペレーション定義ファイルが用意されていること
オペレーションID
処理の対象となるリソースを表す固有の文字列を指定します。指定したオペレーションIDに対応したオペレーション定義ファイルの情報が,拡張コマンドの実行に使用されます。
-mode vss
VSSを使用してExchangeデータベースをバックアップするときに指定します。
このオプションを指定する場合は,バックアップサーバでProtection Managerサービスが稼働している必要があります。
-transact_log_del
コミット済みのトランザクションログファイルを削除する場合に指定します。トランザクションログファイルを削除することで,ドライブの空き容量を増やすことができます。
このオプションを指定してコマンドを実行すると,トランザクションログファイルが削除されるので,以前に取得したバックアップを基に,-recoveryオプションを指定してリストアできなくなります。このオプションは,最新のバックアップデータ以外のデータをリストアするときに-recoveryオプションを指定しない場合に指定してください。
-noverify
VSSを使用したバックアップで,データベースの整合性を検証しない場合に指定します。
-noverify_log_del
VSSを使用したバックアップで,データベースの整合性を検証しないでバックアップしたあと,トランザクションログファイルを削除する場合に指定します。
-hostname 仮想サーバ名
バックアップするExchange仮想サーバ名を指定します。Exchange仮想サーバ名は,オペレーション定義ファイルでも設定できます。オペレーション定義ファイルとオプションの両方でExchange仮想サーバ名を指定した場合,-hostnameオプションの指定が優先されます。このオプションはクラスタ環境の場合にだけ指定してください。このオプションの指定は,オペレーション定義ファイルの「SET_DRM_HOSTNAME」に1が設定されているときにだけ有効となります。0が設定されているときは,このオプションの指定は無効となります。
-event_check
データベースの破損を示すイベントが記録されていないかをチェックしたい場合に指定します。検索の対象となるのは,Exchangeデータベースの直前のバックアップの時間以後に記録されたWindowsイベントログです。ただし,前回のバックアップの結果がなければ,記録されているすべてのWindowsイベントログが検索の対象となります。
Windowsイベントログの検索は,ペアの再同期をする前に実行されます。データベースの破損を示すイベントが検出されたときは,コマンドがエラーメッセージを出力し,エラー終了します。
データベースが破損しているとApplication Agentが判断するのは,次のイベントです。
- イベントカテゴリー: アプリケーション
- 種類: エラー
- ソース: ESE
- イベントID: 限定なし
- 含まれる文字列: "-1018","-1019",または"-1022"
-comment バックアップコメント
バックアップカタログにバックアップコメントを登録する場合に指定します。
バックアップコメントには,64バイトまでの任意の文字列(英数字,記号,半角スペースおよびマルチバイト文字)が指定できます。バックアップコメントは大文字と小文字を区別します。記号,半角スペースを指定する場合は,バックアップコメントを引用符(")で囲みます。記号を引用符(")で囲まない場合は,特殊記号と認識しバックアップコメントの文字列として正しく解釈できません。
バックアップコメントに使用できない記号は次のとおりです。
「\」,「/」,「`」,「|」,「<」,「>」,「"」,「*」,「?」,「&」,「;」,「(」,「)」,「$」
先頭文字には「-」は指定できません。-commentに「""」(引用符だけ)が指定された場合は,バックアップカタログにバックアップコメントは登録しません。
-rc 世代識別名
バックアップするコピーグループの世代識別名を指定します。drmexgdisplayコマンドに-cfオプションを付けて実行し,表示された「GEN-NAME」の値を指定してください。単体ボリュームの場合は,「-」が表示されます。この場合,-rcオプションは指定できません。
リモート側の副ボリュームへバックアップする場合,このオプションを必ず指定してください。このオプションを省略すると,ローカル側の副ボリュームにバックアップされます。
世代識別名を省略した場合は,リモート側の世代番号の中で,最小の値を持つ副ボリュームがバックアップ先となります。この場合,世代番号はremote_n(nは最小の世代番号)となります。
-pf コピーパラメーター定義ファイル
コピーパラメーター定義ファイルに定義したリトライ回数とリトライ間隔を使用する場合に指定します。指定する場合は,パスではなくファイル名だけを指定してください。
このオプションを省略した場合は,RAID Manager用連携定義ファイル(DEFAULT.dat)の値が使用されます。コピーパラメーター定義ファイルに記述がされていないパラメーターについても,DEFAULT.datの値が使用されます。
コピーパラメーター定義ファイルは,次の場所に任意の名前で作成します。ファイル名は,64バイト以内の半角英数字で指定してください。
<Application Agentのインストール先>\DRM\conf\raid-vf VSS定義ファイル名
VSSバックアップで使用する設定をバックアップごとに切り替える場合に指定します。このオプションは,VSSを使用してバックアップをするときにだけ使用できます。
VSS定義ファイル名には,ファイル名だけを指定します。フォルダ名は指定しないでください。このオプションで指定するVSS定義ファイルは,下記のフォルダに格納しておく必要があります。
<Application Agentのインストール先>\DRM\conf\vssこのオプションを省略した場合,下記のファイルがVSS定義ファイルとして使用されます。
<Application Agentのインストール先>\DRM\conf\vsscom.confVSS定義ファイルの詳細については,マニュアル「Hitachi Command Suite Replication Manager Application Agent CLI ユーザーズガイド」を参照してください。
-script ユーザースクリプトファイル名
ユーザースクリプトを実行する場合に指定します。ユーザースクリプトファイル名は絶対パスで指定します。ユーザースクリプトファイル名を指定するときの条件は次のとおりです。
- 最大バイト数:255
- 使用できる文字:Windowsでファイル名として使用できる文字。空白を含む場合は「""」で囲んで指定します。
ユーザースクリプトファイルの記述内容については,マニュアル「Hitachi Command Suite Replication Manager Application Agent CLI ユーザーズガイド」の,ユーザースクリプトを作成する方法についての記述を参照してください。
ユーザースクリプトファイルに「LOCATION=REMOTE」を指定した場合は,-sオプションをあわせて指定する必要があります。
-s バックアップサーバ名
リモートのバックアップサーバに接続してバックアップを実行する場合に指定します。バックアップサーバのホスト名またはIPアドレスを,255バイト以内の文字列で指定してください。IPアドレスはIPv4またはIPv6形式で指定できます。
-sオプションでバックアップサーバを指定した場合,VSS定義ファイル(vsscom.conf),および-vfオプションで指定したVSS定義ファイルのバックアップサーバ名は無効となり,-sオプションで指定したバックアップサーバ名が使用されます。
-auto_import
ボリュームのバックアップが完了したあと,バックアップカタログをバックアップサーバに自動転送する場合に指定します。このオプションは,-sオプションと同時に指定する必要があります。
-auto_mount マウントポイントディレクトリ名
ボリュームのバックアップが完了したあと,バックアップサーバで副ボリュームを自動マウントする場合に指定します。このオプションは,-sオプションおよび-auto_importオプションと同時に指定する必要があります。このオプションを指定すると,バックアップ対象となる副ボリュームをすべてマウントします。
マウントポイントディレクトリ名は,ドライブ文字またはドライブ文字から始まる絶対パスで指定します。ディレクトリ名は,Windowsのディレクトリ名に指定できる文字で,パスの末尾の「\」を含めて64バイト以内で指定してください。ただし,半角スペース,マルチバイト文字,および半角カタカナは使用できません。
ドライブ文字から始まる絶対パスを指定する場合,空のディレクトリを指定してください。
パスの末尾に「\」がない場合でも,「\」が指定されているものと見なされます。例えば,「D:」と「D:\」は同じドライブと見なされます。また,「D:\MOUNTDIR」と「D:\MOUNTDIR\」は同じディレクトリと見なされます。
マウント先は次のようになります。
- マウントポイントディレクトリ名としてドライブ文字だけを指定した場合
- マウントポイントディレクトリ名に指定したドライブ,および指定したドライブからアルファベット順に検索した未使用のドライブ
- マウントポイントディレクトリ名として絶対パスを指定した場合
- <マウントポイントディレクトリ名に指定した絶対パス>\<正ボリュームのドライブ文字>\<正ボリュームでのマウントポイント>
- 例えば,正ボリュームが「C:\p_mnt\」にマウントされていて,-auto_mountオプションに指定したマウントポイントディレクトリ名が「D:\s_mnt\」の場合,副ボリュームでのマウント先は「D:\s_mnt\C\p_mnt\」となります。
マウントポイントディレクトリ名を省略した場合は,使用されていないドライブにマウントします。
マウントした副ボリュームは,drmumountコマンドを使用してアンマウントしてください。drmumountコマンドの引数には,バックアップIDを指定してください。
-svol_check
バックアップサーバでの副ボリュームの状態をチェックしたい場合に指定します。このオプションは,-sオプションと同時に指定する必要があります。副ボリュームの状態をチェックすることで,バックアップの失敗,またはリストアの失敗を防ぐことができます。チェック内容(項目,対象,条件)は次のとおりです。
チェック項目 チェック対象のボリューム チェックの条件 副ボリュームがバックアップサーバから隠ぺいされていること バックアップ対象の正ボリュームに対して定義されたすべての副ボリューム 正ボリュームが複数世代の副ボリュームとペア定義されている場合で,かつ,次のどちらかに該当する場合にチェックされる。
- 正ボリュームがクラスタリソースである。
- VSSでのバックアップが実行される。
副ボリュームがバックアップサーバにマウントされていないこと 今回,バックアップ先となる副ボリューム 常にチェックされる。 バックアップカタログの個々のバックアップ情報は,コピーグループをキーに管理されています。バックアップの取り方によっては,副ボリュームにバックアップデータがあっても,リストアできなくなる場合があります。詳細については,マニュアル「Hitachi Command Suite Replication Manager Application Agent CLI ユーザーズガイド」の,Application Agentを実行するための注意事項についての記述を参照してください。
0:正常終了した場合
0以外:エラーが発生した場合
次の場合には,この拡張コマンドはエラーとなります。
- 不正なオプションが指定された場合
- オペレーションIDに対応する定義ファイルの情報取得に失敗した場合
- この拡張コマンドのオプションとして指定できないApplication Agentのコマンドオプションが指定された場合
- バックアップID記録ファイルへのバックアップIDの記録に失敗した場合
- 内部で実行するコマンドにエラーが発生した場合
- ディクショナリマップファイル格納ディレクトリ名の取得に失敗した場合
- オペレーション定義ファイル「operation01」の設定に基づき,トランザクションログファイルを削除して,データベースを副ボリュームにVSSバックアップする。
EX_DRM_EXG_BACKUP operation01 -mode vss -transact_log_del- オペレーション定義ファイル「operation01」の設定に基づき,トランザクションログファイルを削除して,データベースを副ボリュームにバックアップする。
EX_DRM_EXG_BACKUP operation01 -transact_log_del
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