7.6.15 配布用の上位システムを自動で切り替えてファイルを配布する
コンピュータの配布用の上位システム(中継システム)に障害が発生しているなどの理由で接続できない場合、マルチポーリング環境を設定することで、別の中継システム、または、さらに上位の管理用中継サーバに接続先を切り替えられます。このとき、中継システムにID登録されているコンピュータの情報は、自動的に別の中継システム、または、管理用中継サーバにID登録されるように構築できます。
本来の配布用の上位システムである中継システムが復旧して接続できるようになると、接続先が中継システムに変更され、ID登録も中継システムに変更されます。
あらかじめ、エージェント設定の[通信設定]−[複数の上位システムへのポーリングの設定]で、配布用の上位システムを設定する必要があります。また、次の設定をする必要があります。
-
[複数の上位システムへのポーリング形態]で[ホットスタンバイ]を選択する
-
[システム起動時に、[優先順]に従ってポーリングする]を選択する
-
[一定時間ポーリングに失敗する場合は配布用の上位システムを切り替える]をチェックする
-
[n時間後に切り替える]に、配布用の上位システムを切り替えるまでの時間を指定する
-
元の配布用の上位システムからダウンロード中のファイルからダウンロードを続行する場合は[上位システムの切り替え時に、ダウンロード済みのパッケージを引き継ぐ]をチェックする
- 重要
-
配布用の上位システムを自動で切り替えてファイルを配布する場合の注意事項を次に示します。
-
中継システムの上位システム(管理用サーバ)を切り替えることはできません。
-
同じ管理用中継サーバの配下にある中継システムにだけ接続先を切り替えられます。別の管理用中継サーバの配下にある中継システムには接続先を切り替えられません。
-
接続先が自動で切り替えられた場合、接続先設定ファイル(itdmhost.conf)および上位接続先情報ファイル(dmhost.txt)の内容や、エージェント設定の[通信設定]−[複数の上位システムへのポーリングの設定]で指定する[ポーリング対象とする上位システム]の設定内容は変更されません。
-
インストールされているエージェントがJP1/IT Desktop Management 2 - Agent 12-00より前のバージョンの場合に配布用の上位システムを切り替える設定をしても、上位システムは切り替わりません。
-
IDジョブでファイルを配布中に配布用の上位システムが切り替わった場合、[上位システムの切り替え時に、ダウンロード済みのパッケージを引き継ぐ]にチェックがない場合は切り替わった上位システムから改めてファイルが配布されます。元の配布用の上位システムに切り替わった時、ダウンロードが中断されて残っているファイルは削除されます。
元の配布用の上位システムが故障やリプレースなどでエージェントにダウンロード中のファイルが残っている場合、元の配布用の上位システムと同じホスト名で中継システムを構築して、ダウンロード中のファイルを削除してください。
-
エージェント設定の変更が反映されるタイミングについて次に示します。
・[n時間後に切り替える]を変更した場合、配布用の上位システムが優先順位1の場合はポリシー反映時に時間の設定が有効となります。配布用の上位システムが優先順位2以降の場合、優先順位1の上位システムに戻った際に有効となります。
なお、切り替えまでの基準時刻は変更前から変更されません。
・[ポーリング対象とする上位システム]の優先順位を変更または上位システムを入れ替え・削除した場合、上位システムの設定はポリシー反映時に有効となりますが、変更前の配布用の上位システムは保持されます。このため、配布用の上位システムが優先順位1に戻るまでは[n時間後に切り替える]に指定した時間切り替えを待たない動作となります。
・[一定時間ポーリングに失敗する場合は配布用の上位システムを切り替える]のチェックを外した場合、優先順位1の配布用の上位システムと接続可能になった後、エージェントのコンピュータを再起動したタイミングでマネージャにシステム構成が反映されます。
-
- メモ
-
配布用の上位システムを自動で切り替えてファイルを配布する場合、次の機能を使用します。詳細はそれぞれの参照先を参照してください。
表7‒3 配布用の上位システムを自動で切り替えてファイルを配布する場合に使用する機能 機能名
参照先
エージェントのマルチポーリング環境
エージェントの接続先の自動変更
IDを使用する配布
システム構成情報とIDを連携させる運用
配布用の上位システムを自動で切り替えてファイルを配布する運用例を次の図に示します。
この例では、管理対象コンピュータ(Clt01)のマルチポーリング環境の設定として、次の優先順位でポーリング対象とする上位システムが設定されています。
-
中継システム(Sub01)
-
管理用中継サーバ(Man01)
図中の番号に従って説明します。
- (1)
-
管理対象コンピュータ(Clt01)の上位システムである中継システム(Sub01)が停止中のため、ポーリングに失敗します。
- (2)
-
一定時間※ポーリングに失敗すると、管理対象コンピュータ(Clt01)はさらに上位の管理用中継サーバ(Man01)にポーリングします。ポーリングに成功すると、上位システムを管理用中継サーバ(Man01)に切り替えます。
- 注※
-
エージェント設定の[通信設定]−[複数の上位システムへのポーリングの設定]で、[n時間後に切り替える]に指定した時間です。
- (3)
-
管理対象コンピュータ(Clt01)の上位システムが切り替えられたため、管理用中継サーバ(Man01)のシステム構成情報に管理対象コンピュータ(Clt01)が追加されます。これに連携して、IDの情報が変更されます。
これで、管理用中継サーバ(Man01)から管理対象コンピュータ(Clt01)に配布されるようになります。
- (4)
-
中継システム(Sub01)が再開すると、管理対象コンピュータ(Clt01)は上位システムを中継システム(Sub01)に切り替えます。
- (5)
-
管理対象コンピュータ(Clt01)の上位システムが切り替えられたため、中継システム(Sub01)のシステム構成情報に管理対象コンピュータ(Clt01)が追加されます。これに連携して、IDの情報が変更されます。
- (6)
-
中継システム(Sub01)からのシステム構成情報変更を検知した管理用中継サーバ(Man01)では、システム構成情報が変更されます。これに連携して、IDの情報が変更されます。
これで、中継システム(Sub01)経由で管理対象コンピュータ(Clt01)に配布されるようになります。