2.4.7 ユーザトレースファイル出力時の実行性能を改善する設定
Messageコマンドを使用してユーザトレースファイルを出力する場合の,スクリプトの実行性能を改善する設定について説明します。
なお,ユーザトレースファイル出力時の実行性能を改善する設定は,JP1/Script 12-00-01以降で設定できます。
(1) 概要
ユーザトレースファイルは,Messageコマンドの第一引数にTarget_Fileを指定して出力されるファイルです。ユーザトレースファイルは,ファイル名,書き出し位置などの情報をトレース管理ファイルで管理しているため,次のような場合はスクリプトの実行性能が低下します。
-
ユニークなファイル名称のユーザトレースファイルを大量に作成する場合
トレース管理ファイルの容量が大きくなり,トレース管理ファイルの参照・更新に時間がかかります。
-
Messageコマンドを同時に多数実行する場合
トレース管理ファイルに対するアクセスが集中し,アクセス待ちが発生します。
ユーザトレースファイル出力時の実行性能を改善する設定を有効にすると,ユーザトレースファイルをトレース管理ファイルの管理対象外とし,ユーザトレースファイル出力時にトレース管理ファイルにアクセスしないようになります。この設定により,Messageコマンド(Target_Fileを指定)を多く使用する運用では,トレース管理ファイルの容量の増加を抑え,スクリプトの実行性能を改善することができます。
設定を有効にした場合の,ユーザトレースファイルに関する仕様差異を次の表に示します。
項目 |
設定が無効な場合 (デフォルト) |
設定が有効な場合 |
---|---|---|
ユーザトレースファイルの最大行数 |
最大行数を超えると,ログ出力がラップする(先頭の行から上書き出力する)。 |
最大行数を超えても,ログ出力がラップしない(最大行数の設定は無視する)。ユーザトレースファイルのサイズが単調増加する。 |
既存のユーザトレースファイルへの出力で,最大行数または最大列数を前回から変更した場合の動作 |
ファイルを新しく作成し直して,ファイルの先頭から,指定した最大行数および最大列数で出力する。 |
既存のファイルの最後から,指定した最大列数で出力する。 |
トレースビューアでのユーザトレースファイル参照 |
可能。 ただし,トレース管理ファイルを削除した後は,それ以前のトレースファイルの参照は不可。 |
不可。 |
(2) 設定手順
ユーザトレースファイル出力時の実行性能を改善する設定は,レジストリの値に設定します。
- 〔レジストリキー〕
-
HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\WOW6432Node\Hitachi\JP1/Script\SPTX
- 〔値名〕
-
UserTraceUnmanaged
- 〔値のデータタイプ〕
-
REG_DWORD
- 〔値〕
-
ユーザトレースファイルをトレース管理ファイルでの管理対象外にするかどうかを指定します。
- 0:無効(デフォルト)
-
ユーザトレースファイルをトレース管理ファイルでの管理対象とする(バージョン12-00-01より前と同じ動作)。
- 1:有効
-
ユーザトレースファイルをトレース管理ファイルでの管理対象外にする。Messageコマンドを実行してユーザトレースファイルを出力する際に,トレース管理ファイルにアクセスしません。そのため,トレース管理ファイルの容量の増加を抑え,スクリプトの実行性能を改善することができます。
値が設定されていない場合や上記以外の値が設定された場合は,デフォルトの0を仮定します。
トレースビューアでユーザトレースファイルを参照したい場合,同じユーザトレースファイルに繰り返し出力する運用の場合は,0を設定してください。
Messageコマンドを多く使用し,毎回異なるユーザトレースファイルに出力する運用の場合は1を設定してください。
- 〔設定が有効になるタイミング〕
-
スクリプトファイルの次回実行時
- 〔設定の有効範囲〕
-
レジストリに値を設定したコンピュータで実行するすべてのスクリプト。
なお,NetExecコマンドで他コンピュータのスクリプトを呼び出す場合は,呼び出し先の他コンピュータでの設定に従います。
(3) 注意事項
ユーザトレースファイル出力時の実行性能を改善する設定(以下では本設定と記載します)について,次の注意事項があります。
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本設定を無効から有効に変更する場合,トレース管理ファイルを一旦削除することを推奨します。トレース管理ファイル内の不要なユーザトレースファイルの情報を削除することで,解析トレースファイルおよび実行トレースファイルの出力に関するスクリプトの実行性能を改善するためです。トレース管理ファイルを削除する際には,事前にJP1/Scriptサービス,Scriptランチャ,Scriptランチャサービス,およびJP1/Scriptのプロセスを停止してください。
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本設定が正しく反映されているかを確認するには,新たなファイル名で出力したユーザトレースファイルがトレースビューアに表示されるかどうかを確認してください。
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本設定が有効な場合,トレースビューアでユーザトレースファイルを参照できません。ユーザトレースファイルを参照する場合は,直接テキストエディタで参照してください。
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本設定が有効な場合,ユーザトレースファイルのサイズは単調増加します。同じユーザトレースファイルに繰り返し出力する運用の場合は,定期的にユーザトレースファイルを別のフォルダに退避し,削除する運用を検討してください。
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本設定が有効時に出力したユーザトレースファイルに対して,本設定を有効から無効に変更した後に,追加で情報を出力した場合,出力結果は保証されません(書き出し位置を管理できないため,ファイルの内容が壊れることがあります)。そのため,本設定を有効から無効に変更した後も同じファイルパスのユーザトレースファイルに出力する場合は,事前に対象のユーザトレースファイルを削除または退避してから出力してください。