2.3.4 メールシステム連携のための環境設定をする
JP1/AJS3での環境設定の手順と,Windowsホストでメールシステムと連携するために必要な設定内容を説明します。
- 〈この項の構成〉
(1) 環境設定の手順
環境設定の手順を次に示します。
-
Windowsにメールシステム連携機能を登録する。
メールシステム連携機能の登録方法については,「(2) メールシステム連携機能の登録」を参照してください。
-
メールシステム連携機能に必要な環境設定パラメーターを設定する。
メールシステム連携機能に必要な環境設定パラメーターの設定については,「(3) メールシステム連携機能に必要な環境設定パラメーターの設定」を参照してください。
メールシステム連携機能で使用する環境設定パラメーターについては,「(4) メールシステム連携機能に使用する環境設定パラメーター」を参照してください。
-
Windows自動ログオンを設定する。
メールシステム連携機能をデスクトップ上で使用する場合は,必要に応じてWindows自動ログオンを設定してください。Windows自動ログオンの設定時に指定したユーザーアカウントが,JP1/AJS3メール監視プロセスの実行アカウントになります。ここでは,使用するプロファイルの作成時にログオンしていたWindowsのユーザーアカウントを指定してください。プロファイルの作成時にログオンしていたユーザーアカウントと別のアカウントを指定すると,JP1/AJS3メール監視プロセス起動時にプロファイルを参照できないため,メールサーバに接続できなくなり,JP1/AJS3メール監視プロセスを起動できません。
Windows自動ログオンの設定方法については,Microsoftのドキュメントを参照してください。
-
JP1/AJS3サービス,およびJP1/AJS3メール監視プロセスもしくはJP1/AJS3 Mailサービスを再起動する。
JP1/AJS3サービスを再起動したあと,メールシステム連携機能をデスクトップ上で使用する場合はJP1/AJS3メール監視プロセスを,サービス上で使用する場合はJP1/AJS3 Mailサービスを再起動してください。定義した情報で環境設定されて,メールシステム連携機能を使用できるようになります。
なお,メールシステム連携機能を最初にセットアップするときだけでなく,メールシステム連携機能の環境設定パラメーターを変更した場合には,同様にこれらのサービスやプロセスを再起動してください。再起動することで,変更後の設定でメールシステム連携機能を使用できるようになります。
メールシステム連携をサービス上で使用する場合,「2.3.8(15) メールシステム連携をサービス上で使用する上での注意事項」を参照してください。
(2) メールシステム連携機能の登録
Windowsにメールシステム連携機能を登録する方法について説明します。
-
メールシステム連携機能をデスクトップ上で使用する場合
メールシステム連携機能をデスクトップ上で使用する場合の手順を次に示します。なお,メールシステム連携で使用するプロファイルを作成したユーザーごとにログオンして,次の手順を行ってください。
-
JP1/AJS3のインストール先フォルダ\bin\jpomldsk.exeのショートカットファイルを作成する。
-
作成したショートカットファイルの名称を「メール監視プロセス」に変更する。
-
ショートカットファイルを格納する。
次のフォルダに,作成したショートカットファイルを格納します。
%USERPROFILE%\AppData\Roaming\Microsoft\Windows\Start Menu\Programs\StartUp
「%USERPROFILE%」のデフォルトは「システムドライブ\Users\ユーザー名」です。
ログオン中にメール監視プロセスを終了させ,再度起動させることがある場合は,次の手順に従ってWindowsのスタートメニューから[メール監視プロセス]を起動できるようにしてください。
-
Windowsの[スタート]画面を表示する。
-
[スタート]画面にメール監視プロセスのショートカットがない場合は,作成したショートカットを[スタート]画面またはタスクバーにピン留めする。
- 補足事項
-
デスクトップ上でのメールシステム連携を解除する場合,またはJP1/AJS3をアンインストールする場合は,この手順で作成したフォルダやショートカットファイルを削除してください。
-
-
メールシステム連携機能をサービス上で使用する場合
次のコマンドを実行してJP1/AJS3 Mailサービスを登録します。
sc create JP1_AJS2_MAIL binPath= "\"JP1/AJS3のインストール先フォルダ\bin\jpomlsrv.exe\"" type= own start= demand error= normal obj= LocalSystem DisplayName= "JP1/AJS3 Mail"
- (例)JP1/AJS3をC:\Program Files(x86)\HITACHI\JP1AJS2にインストールしている場合
-
sc create JP1_AJS2_MAIL binPath= "\"C:\Program Files(x86)\HITACHI\JP1AJS2\bin\jpomlsrv.exe\"" type= own start= demand error= normal obj= LocalSystem DisplayName= "JP1/AJS3 Mail"
JP1/AJS3 Mailサービスは,ユーザーアカウント(使用するプロファイルの作成時にWindowsへログオンしたときのユーザーアカウント)に変更して使用する必要があるため,JP1/AJS3 Mailサービスのプロパティのアカウントでユーザーアカウントを設定してください。
scコマンドは,Microsoftが提供しているコマンドです。scコマンドの詳細については,Microsoftのドキュメントを参照してください。
また,scコマンドを実行する際,JP1/AJS3のインストール先フォルダ名以外は,上記の例のとおりに指定して実行してください。JP1/AJS3のインストール先フォルダ名以外の指定内容を変更すると,メールシステム連携機能を使用できないことがあります。
(3) メールシステム連携機能に必要な環境設定パラメーターの設定
次のコマンドを実行します。
jajs_config -k 定義キー名 "環境設定パラメーター名1"=定義内容1 ["環境設定パラメーター名2"=定義内容2] ["環境設定パラメーター名3"=定義内容3] ["環境設定パラメーター名4"=定義内容4] ["環境設定パラメーター名5"=定義内容5] ["環境設定パラメーター名6"=定義内容6] ["環境設定パラメーター名7"=定義内容7] ["環境設定パラメーター名8"=定義内容8] ["環境設定パラメーター名9"=定義内容9] ["環境設定パラメーター名10"=定義内容10] ["環境設定パラメーター名11"=定義内容11]
メールシステム連携機能の環境設定に必要な環境設定パラメーターの内容については,「(4) メールシステム連携機能に使用する環境設定パラメーター」を参照してください。
(4) メールシステム連携機能に使用する環境設定パラメーター
メールシステム連携機能に使用するイベント・アクション制御の環境設定パラメーターを次の表に示します。イベント・アクション制御全般に関する環境設定パラメーターは,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 構築ガイド 20.6 イベント・アクション制御の環境設定」を参照してください。
なお,マニュアルに記載されていないパラメーターは保守用のパラメーターです。値を変更しないでください。
項番 |
定義キー |
環境設定パラメーター |
定義内容 |
---|---|---|---|
1 |
[JP1_DEFAULT\JP1AOMAGENT\mail_link] |
"ExecMode"= |
メールシステム連携機能を使用するかどうか |
2 |
"ProfileName1"= |
メールシステムへのログインで使用するプロファイルの名称 |
|
3 |
"ProfileName2"= |
||
4 |
"ProfileName3"= |
||
5 |
"ProfileName4"= |
||
6 |
"AfterReceiveMail"= |
受信後の監視条件に合致したメールの扱い |
|
7 |
"NextAddress"= |
メール受信監視ジョブの引き継ぎ情報「MLRCVADDRESS」に設定する情報の種類 |
|
8 |
"ReceiveIntervalC"= |
メールの受信監視間隔 |
|
9 |
"ImmediateSendRecv"= |
メールの即時送受信をするかどうか |
|
10 |
"SendCutOffExcessiveData"= |
データのサイズが規定のバイト数を超過する場合に,メールを送信するかどうか |
|
11 |
"WrapTextWithOutlookOption"= |
送信するメールの本文をOutlookのオプションに従って折り返すかどうか |
環境設定パラメーターの定義内容の詳細を次に示します。
(a) ExecMode
メールシステム連携機能を使用するかどうかを指定します。
- 形式
-
"ExecMode"="{S|D|N}"
- 指定できる値
-
- S
-
メールシステム連携機能をサービス上で使用します。
- D
-
メールシステム連携機能をデスクトップ上で使用します。
- N
-
メールシステム連携機能を使用しません。
- デフォルト値
-
N
- 推奨値
-
運用環境に応じて設定してください。
- 設定が有効になるタイミング
-
次回JP1/AJS3サービス起動時,および次回JP1/AJS3メール監視プロセスもしくはJP1/AJS3 Mailサービス起動時
(b) ProfileName1
メールシステムへのログインで使用するプロファイルの名称を指定します。
プロファイルはProfileName1〜4を使用することで,最大で4件指定できます。
環境設定パラメーターProfileName2〜4と重複しないプロファイル名を指定してください。プロファイル名が重複していると,メールシステム連携機能が使用できないことがあります。
- 形式
-
"ProfileName1"="プロファイルの名称"
- 指定できる値
-
256バイト以内の文字列
全角文字も使用できます。
- デフォルト値
-
空白
- 推奨値
-
運用環境に応じて設定してください。
- 設定が有効になるタイミング
-
次回JP1/AJS3サービス起動時,および次回JP1/AJS3メール監視プロセスもしくはJP1/AJS3 Mailサービス起動時
(c) ProfileName2
環境設定パラメーターProfileName1およびProfileName3〜4と重複しないプロファイル名を指定してください。プロファイル名が重複していると,メールシステム連携が使用できないことがあります。
- 形式
-
"ProfileName2"="プロファイルの名称"
(d) ProfileName3
環境設定パラメーターProfileName1〜2およびProfileName4と重複しないプロファイル名を指定してください。プロファイル名が重複していると,メールシステム連携が使用できないことがあります。
- 形式
-
"ProfileName3"="プロファイルの名称"
(e) ProfileName4
環境設定パラメーターProfileName1〜3と重複しないプロファイル名を指定してください。プロファイル名が重複していると,メールシステム連携が使用できないことがあります。
- 形式
-
"ProfileName4"="プロファイルの名称"
(f) AfterReceiveMail
メール受信監視ジョブが終了したあと,受信後の監視条件に合致したメールの扱いを選択します。
- 形式
-
"AfterReceiveMail"="{O|D}"
- 指定できる値
-
- O(英大文字のオー)
-
監視条件に合致したメールを開封済みにします。
- D
-
監視条件に合致したメールを削除します。
- デフォルト値
-
O
- 推奨値
-
運用環境に応じて設定してください。
- 設定が有効になるタイミング
-
次回JP1/AJS3サービス起動時,および次回JP1/AJS3メール監視プロセス起動時
(g) NextAddress
メール受信監視ジョブの引き継ぎ情報「MLRCVADDRESS」に設定する情報の種類を選択します。
-
「MLRCVADDRESS」は,メール受信監視ジョブに指定する差出人の情報です。
-
この設定は,設定したホスト上で動作する,すべてのメール受信監視ジョブに影響します。
「MLRCVADDRESS」の詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 設計ガイド(業務設計編) 付録B イベントジョブおよびカスタムイベントジョブで引き継ぐ情報」を参照してください。
- 形式
-
"NextAddress"="{Address|Nickname}"
- 指定できる値
-
- Address
-
メールアドレスが引き継ぎ情報として設定されます。
インターネットメールのプロファイルを使用している場合は,後続のメール送信ジョブの宛先として利用できます。
- Nickname
-
表示名(ニックネーム)が引き継ぎ情報として設定されます。
プロファイルでExchange Serverを接続先に指定している場合に,後続のメール送信ジョブの宛先として利用できます。
プロファイルでExchange Server以外を接続先に指定している場合は,空値を引き継ぎます。
- デフォルト値
-
Address
- 推奨値
-
運用環境に応じて設定してください。
- 設定が有効になるタイミング
-
次回JP1/AJS3サービス起動時,および次回JP1/AJS3メール監視プロセスもしくはJP1/AJS3 Mailサービス起動時
(h) ReceiveIntervalC
メールの受信を監視する時間間隔を16進数で指定します。
- 形式
-
"ReceiveIntervalC"=dword:時間間隔
- 指定できる値
-
16進数で1〜5A0(10進数で1〜1,440)(単位:分)
- デフォルト値
-
A(10進数で10分)(単位:分)
- 推奨値
-
運用環境に応じて設定してください。
- 設定が有効になるタイミング
-
次回JP1/AJS3サービス起動時,および次回JP1/AJS3メール監視プロセスもしくはJP1/AJS3 Mailサービス起動時
(i) ImmediateSendRecv
メールシステム連携機能をデスクトップ上で使用時,メールの即時送受信をするかどうかを指定します。
- 形式
-
"ImmediateSendRecv"="{Y|N}"
- 指定できる値
-
- Y
-
メール送信ジョブおよびメール受信監視ジョブの実行時,Outlookの[送受信]ボタンをJP1/AJS3から操作して,メールの即時送受信を行います。
- N
-
メール送信ジョブおよびメール受信監視ジョブの実行時,JP1/AJS3からOutlookを起動して,メールの送受信をOutlookに任せます。
メールはOutlookのオプションに定義されている送受信間隔で送受信されます。
Outlookのオプション設定については,Outlookのヘルプを参照してください。
ジョブの終了後はOutlookが起動された状態となり,Outlookのアイコンがタスクバーに残ります。
なお,ジョブの実行前にOutlookが起動されていた場合は,ジョブの実行によってOutlookが二重に起動されることはありません。
- デフォルト値
-
Y
- 推奨値
-
運用環境に応じて設定してください。
- 設定が有効になるタイミング
-
次回JP1/AJS3サービス起動時,および次回JP1/AJS3メール監視プロセス起動時
このパラメーターの詳細については,「2.3.5 Outlookを起動して運用する場合の設定」を参照してください。
(j) SendCutOffExcessiveData
本文および件名にマクロ変数が定義されたメール送信ジョブが実行されるとき,次の場合に超過する部分を切り捨ててメールを送信するかどうかを指定します。
-
次のデータの長さが512バイトを超える場合
本文に定義した文字列の長さ + 本文に定義したマクロ変数の,ジョブ実行時の文字列の長さ
-
次のデータの長さが256バイトを超える場合
件名に定義した文字列の長さ + 件名に定義したマクロ変数の,ジョブ実行時の文字列の長さ
- 形式
-
"SendCutOffExcessiveData"="{Y|N}"
- 指定できる値
-
- Y
-
超過する部分を切り捨てたデータを,送信するメールに使用します。
また,メッセージ「KAVT3207-W メールのデータのサイズ超過分を切り捨てました」を統合トレースログおよび実行結果詳細に出力します。
- N
-
メールを送信しないでジョブを「異常終了」状態にします。
また,メッセージ「KAVT4255-E データ長が不正です」を実行結果詳細に出力します。
- デフォルト値
-
N
- 推奨値
-
運用環境に応じて設定してください。
- 設定が有効になるタイミング
-
次回JP1/AJS3サービス起動時,および次回JP1/AJS3メール監視プロセスもしくはJP1/AJS3 Mailサービス起動時
(k) WrapTextWithOutlookOption
メールシステム連携機能をデスクトップ上で使用している場合,かつメールサーバにSMTP/POP3でインターネットメールとして接続している場合に,メール送信ジョブの本文を,Outlookのオプションの指定に従って折り返すかどうかを指定します。
- 形式
-
"WrapTextWithOutlookOption"="{Y|N}"
- 指定できる値
-
- Y
-
メール送信ジョブの本文を,Outlookのオプション[インターネットメール形式]−[テキスト形式オプション]−[自動的に文字列を折り返す]の文字数フィールドに指定されたバイト数で折り返します。
- N
-
メール送信ジョブの本文を,72バイトで折り返します。
- デフォルト値
-
N
- 推奨値
-
運用環境に応じて設定してください。
- 設定が有効になるタイミング
-
次回JP1/AJS3サービス起動時,および次回JP1/AJS3メール監視プロセス起動時
- 注意事項
-
-
折り返しが有効となるのはメールの受信時です。
-
次の場合は,このパラメーターが指定されてもメールの本文を折り返しません。
・メールシステム連携機能をサービス上で使用している場合
・メールサーバにExchange Serverとして接続している場合
-