13.1.6 JP1/AJS3 - Managerの運用をジョブの実行だけに限定して使用するリソースを低減したい
JP1/AJS3 - Managerをジョブの実行にしか使用していなくても,使用していないJP1/AJS3 - Managerの機能分のリソースは使用されており,ホストのリソースに負荷を与えてしまいます。このような場合,JP1/AJS3 - Managerの機能をジョブ実行機能だけに制限することで,使用するリソースを低減できます。ここでは,JP1/AJS3が使用するリソースを低減する方法について説明します。
(1) 運用
1台のホストに論理ホストを構築し,物理ホストと論理ホストそれぞれにJP1/AJS3 - Managerをインストールします。物理ホストおよび論理ホストは,次のように使い分けています。
- 物理ホスト
-
ジョブの実行だけを行っていて,マネージャーホストの機能は使用していません。
- 論理ホスト
-
マネージャーホストとして使用しています。
このような運用でのホスト構成を,次の図に示します。
|
(2) 実現したいこと
JP1/AJS3が使用するリソースを低減したい。
(3) 解決方法
JP1/AJS3が起動する一部のプロセスの起動を抑止します。例えば,図13-14の場合,物理ホストの組み込みDBを自動起動させないようにして,物理ホストのJP1/AJS3 - Managerはジョブの実行に必要な機能だけに限定します。
これによって,JP1/AJS3が使用するメモリーの使用量が少なくなり,JP1/AJS3の起動時間を短縮できます。
(4) 適用契機
運用開始前に設定してください。
(5) 設定手順
WindowsまたはUNIXでの設定手順について,それぞれ説明します。なお,設定ファイルや定義ファイルを変更する場合は,必ずファイルをバックアップしてから実施してください。変更した設定を元に戻す場合は,バックアップしたファイルを元の場所に上書きして戻してください。リカバリー方法については,「2.3.4 JP1/AJS3 - Managerの設定情報のリカバリー」を参照してください。
(a) Windowsの場合
-
組み込みDBがバージョン10-00より前の方式の場合,システム共通定義ファイルの設定値を変更する。
次のファイルをメモ帳などのテキストエディターで開き,設定値を変更します。組み込みDBがバージョン10-00以降の方式の場合,この手順は不要です。
組み込みDB運用ディレクトリ\conf\pdsys
- 変更前
-
set pd_mode_conf = AUTO
- 変更後
-
set pd_mode_conf = MANUAL2
-
JP1/AJS3の起動プロセス定義ファイルの設定値を変更する。
起動プロセス定義ファイルをメモ帳などのテキストエディターで開き,「jajs_dbmd」,「jajs_hstd」,「jajs_schd」で始まる行を削除してください。
- 起動プロセス定義ファイルのパス
-
JP1/AJS3のインストール先フォルダ\conf\jp1ajs_spmd.conf
- 変更前
-
jajs_dbmd|jajs_dbmd.exe|||1800|
jajs_hstd|jajs_hstd.exe|||1800|
jajs_agtd|jajs_agtd.exe|||1800|
jajs_schd|jajs_schd.exe|||1800|
- 変更後
-
jajs_agtd|jajs_agtd.exe|||1800|
- 参考
-
論理ホストでジョブの実行を行っていて,論理ホストのプロセスの起動を抑止したい場合,起動プロセス定義ファイルのパスは次に示すパスに読み替えてください。
jajs_setup_clusterコマンドで指定した共有フォルダ\jp1ajs2\conf\jp1ajs_spmd.conf
-
JP1/AJS3の拡張起動プロセス定義ファイルの設定値を変更する。
拡張起動プロセス定義ファイルをメモ帳などのテキストエディターで開き,「jajs_dbmd」,「jajs_hstd」,「jajs_schd」で始まる行全体,および「jajs_agtd」で始まる行中の「jajs_hstd」の部分を削除してください。
拡張起動プロセス定義ファイルのパスと変更例を次に示します。
- 拡張起動プロセス定義ファイルのパス
-
JP1/AJS3のインストール先フォルダ\conf\jp1ajs_service_0700.conf
- 変更前
-
jajs_dbmd|jajs_dbmd.exe||0|3|3|21600|0|2||1|||||||
jajs_hstd|jajs_hstd.exe||1|3|20|21600|0|0|jajs_dbmd|1|||||||
jajs_agtd|jajs_agtd.exe|-HA|1|3|3|21600|0|0|jajs_hstd|1|||||||
jajs_schd|jajs_schd.exe|-HA|1|3|10|21600|0|1|jajs_agtd|1|||||||
- 変更後
-
jajs_agtd|jajs_agtd.exe|-HA|1|3|3|21600|0|0||1|||||||
- 参考
-
論理ホストでジョブの実行を行っていて,論理ホストのプロセスの起動を抑止したい場合,拡張起動プロセス定義ファイルのパスは次に示すパスに読み替えてください。
jajs_setup_clusterコマンドで指定した共有フォルダ\jp1ajs2\conf\jp1ajs_service_0700.conf
-
JP1/AJS3サービスを再起動する。
(b) UNIXの場合
-
組み込みDBがバージョン10-00より前の方式の場合,システム共通定義ファイルの設定値を変更する。
次のファイルをviなどのエディターで開き,設定値を変更します。組み込みDBがバージョン10-00以降の方式の場合,この手順は不要です。
組み込みDB運用ディレクトリ/conf/pdsys
- 変更前
-
set pd_mode_conf = AUTO
- 変更後
-
set pd_mode_conf = MANUAL2
-
JP1/AJS3の起動プロセス定義ファイルの設定値を変更する。
起動プロセス定義ファイルをviなどのエディターで開き,「jajs_dbmd」,「jajs_hstd」,「jajs_schd」で始まる行を削除してください。
起動プロセス定義ファイルのパスと変更例を次に示します。
- 起動プロセス定義ファイルのパス
-
/etc/opt/jp1ajs2/conf/jp1ajs_spmd.conf
- 変更前
-
jajs_dbmd|/opt/jp1ajs2/bin/jajs_dbmd|||1800|
jajs_hstd|/opt/jp1ajs2/bin/jajs_hstd|||1800|
jajs_agtd|/opt/jp1ajs2/bin/jajs_agtd|||1800|
jajs_schd|/opt/jp1ajs2/bin/jajs_schd|||1800|
- 変更後
-
jajs_agtd|/opt/jp1ajs2/bin/jajs_agtd|||1800|
- 参考
-
論理ホストでジョブの実行を行っていて,論理ホストのプロセスの起動を抑止したい場合,起動プロセス定義ファイルのパスは次に示すパスに読み替えてください。
jajs_setup_clusterコマンドで指定した共有ディレクトリ/jp1ajs2/conf/jp1ajs_spmd.conf
-
JP1/AJS3の拡張起動プロセス定義ファイルの設定値を変更する。
拡張起動プロセス定義ファイルをviなどのエディターで開き,「jajs_dbmd」,「jajs_hstd」,「jajs_schd」で始まる行全体,および「jajs_agtd」で始まる行中の「jajs_hstd」の部分を削除してください。
拡張起動プロセス定義ファイルのパスと変更例を次に示します。
- 拡張起動プロセス定義ファイルのパス
-
/etc/opt/jp1ajs2/conf/jp1ajs_service_0700.conf
- 変更前
-
jajs_dbmd|/opt/jp1ajs2/bin/jajs_dbmd||0|3|3|21600|0|2||1|||||||
jajs_hstd|/opt/jp1ajs2/bin/jajs_hstd||1|3|20|21600|0|0|jajs_dbmd|1|||||||
jajs_agtd|/opt/jp1ajs2/bin/jajs_agtd|-HA|1|3|3|21600|0|0|jajs_hstd|1|||||||
jajs_schd|/opt/jp1ajs2/bin/jajs_schd|-HA|1|3|10|21600|0|1|jajs_agtd|1|||||||
- 変更後
-
jajs_agtd|/opt/jp1ajs2/bin/jajs_agtd|-HA|1|3|3|21600|0|0||1|||||||
- 参考
-
論理ホストでジョブの実行を行っていて,論理ホストのプロセスの起動を抑止したい場合,拡張起動プロセス定義ファイルのパスは次に示すパスに読み替えてください。
jajs_setup_clusterコマンドで指定した共有ディレクトリ/jp1ajs2/conf/jp1ajs_service_0700.conf
-
JP1/AJS3サービスを再起動する。
(6) マニュアル記載個所
項目 |
詳細項目 |
参照個所 |
---|---|---|
概要 |
プロセス一覧 |
|
設定手順 |
マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 構築ガイド 23.1 組み込みDBを使用するための準備」 |
(7) 注意事項
-
この設定でJP1/AJS3が起動するプロセスを抑止すると,jajs_spmd_statusコマンドを実行したときに,出力される内容が変更されます。起動するプロセスを抑止した場合のjajs_spmd_statusコマンドの出力例を,次に示します。
Windowsの場合
KNAD3690-I JP1/AJS3 の状態通知処理を開始します 稼働中のプロセスを表示します プロセス名称 プロセスID jajs_agtd xxxx queuea xxxx evactiona xxxx KNAD3691-I プロセスは全て起動しています
UNIXの場合
KNAD3690-I JP1/AJS3 の状態通知処理を開始します 稼働中のプロセスを表示します プロセス名称 プロセスID jajs_agtd xxxx jpqmon xxxx jpoagent xxxx KNAD3691-I プロセスは全て起動しています
-
この設定でJP1/AJS3が起動するプロセスを抑止すると,使用できるコマンドが,JP1/AJS3 - Agentが提供しているコマンドだけになります。JP1/AJS3 - Agentが提供しているコマンドについては,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 コマンドリファレンス 1.5 コマンド一覧」を参照してください。
-
この設定を実行すると,キューレスジョブ使用時にWindowsの論理ホストを自動でアタッチ・デタッチするように設定できなくなります。
論理ホストを自動でアタッチ・デタッチする設定については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 構築ガイド 8.2.7 キューレスジョブ実行環境の設定」を参照してくだい。
-
物理ホストにこの設定をしたあとに論理ホストを作成する場合は,運用に応じて次の手順を実施してください。
-
論理ホストの運用をジョブの実行だけに限定する場合
論理ホストで,JP1/AJS3の起動プロセス定義ファイルと拡張起動プロセス定義ファイルが,ここで説明した設定手順の変更後の状態になっているか確認してください。変更後の状態になっていない場合は,設定手順を実施してください。
-
論理ホストの運用をジョブの実行だけに限定しない場合
論理ホストで,JP1/AJS3の起動プロセス定義ファイルと拡張起動プロセス定義ファイルを次のモデルファイルから回復してください。
Windowsの場合
jajs_setup_clusterコマンドで指定した共有フォルダ\jp1ajs2\conf\jp1ajs_spmd.conf.model
jajs_setup_clusterコマンドで指定した共有フォルダ\jp1ajs2\conf\jp1ajs_service_0700.conf.model
UNIXの場合
jajs_setup_clusterコマンドで指定した共有ディレクトリ/jp1ajs2/conf/jp1ajs_spmd.conf.model
jajs_setup_clusterコマンドで指定した共有ディレクトリ/jp1ajs2/conf/jp1ajs_service_0700.conf.cluster.model
-
-
この設定を実行すると,Web GUI(マネジメントポータル)でJP1/AJS3の稼働情報を確認できなくなります。