24.3.1 外部DBへの移行の手順
外部DBへのデータ移行の流れを,次の図に示します。
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外部DBへデータを移行する手順を,次に示します。
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外部DBを準備する。
外部DBを利用するための準備については,「24.1 外部DBを利用するための準備」を参照してください。
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マネージャーホストの設定情報をバックアップする。
組み込みDBで使用していた次の情報をバックアップします。
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実行エージェント情報
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ルートジョブグループ以外のユニットの定義情報※
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ルートジョブグループの情報※
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ルートジョブグループのカレンダー情報※
- 注※
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マネージャーホストにスケジューラーサービスが複数セットアップされている場合は,スケジューラーサービスの数だけバックアップの手順を繰り返してください。
バックアップする手順の詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 運用ガイド 2.2.3 JP1/AJS3 - Managerの設定情報のバックアップ」を参照してください。
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ジョブネットの登録予定情報をバックアップする。
マネージャーホストにスケジューラーサービスが複数セットアップされている場合は,スケジューラーサービスの数だけバックアップの手順を繰り返してください。
バックアップする手順の詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 運用ガイド 3.4 ajsrgexport,ajsrgimportコマンドによるジョブネットの実行登録状態のバックアップ・リカバリー」を参照してください。
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必要に応じて,組み込みDBをバックアップする。
外部DBを利用するためのセットアップに失敗したなど,組み込みDBに戻す可能性がある場合は,組み込みDBをバックアップします。組み込みDBのバックアップとリカバリーの詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 設計ガイド(システム構築編) 付録F.1 データベースのバックアップの概要」を参照してください。
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ajsembdbidlistコマンドを実行して,物理ホストで使用している組み込みDBのセットアップ識別子(_JFn)とスケジューラーサービス名を確認する。
この手順で確認したセットアップ識別子(_JFn)およびスケジューラーサービス名を,以降の手順で使用します。
次のコマンドを実行します。
ajsembdbidlist -a
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組み込みDBを利用するスケジューラーサービスを削除する。
手順5で確認したスケジューラーサービスをすべて削除してください。スケジューラーサービスを削除する手順については,「6.1.1(2) 追加したスケジューラーサービスを削除する」(Windowsの場合)または「15.1.1(2) 追加したスケジューラーサービスを削除する」(UNIXの場合)を参照してください。
- 重要
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インストール時に作成されるスケジューラーサービスAJSROOT1の場合,スケジューラーサービスを追加したときに作成したフォルダ(ディレクトリ)は,次の表に示す環境設定パラメーターの値になります。スケジューラーサービスを追加したときに作成したフォルダを削除する手順では,これらのフォルダ(ディレクトリ)を削除してください。
表24‒2 削除するAJSROOT1のフォルダ(ディレクトリ) フォルダ(ディレクトリ)
環境設定パラメーター
-dオプションに指定したデータベースフォルダ
[JP1_DEFAULT\JP1AJSMANAGER\AJSROOT1]"AJSDBDIRECTORY"=
-tオプションに指定したテンポラリーフォルダ
[JP1_DEFAULT\JP1AJSMANAGER\AJSROOT1]"AJSTMPDIR"=
-jオプションに指定したジョブ情報フォルダ
[JP1_DEFAULT\JP1AJSMANAGER\AJSROOT1]"JOBINFDIR"=
-bオプションに指定した退避情報フォルダ
[JP1_DEFAULT\JP1AJSMANAGER\AJSROOT1]"AJSBKUROOT"=
- 重要
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スケジューラーサービスを削除する最後の手順のJP1/AJS3サービスの再起動は不要です。
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ajsembdbunsetコマンドを実行して,手順5で確認した組み込みDBを,すべてアンセットアップする。
次のコマンドを実行します。
ajsembdbunset -e -id 組み込みDBセットアップ識別子
ajsembdbunsetコマンドの詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 コマンドリファレンス 2. セットアップコマンド ajsembdbunset」を参照してください。
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ajsembdbuninstlコマンドを実行して,手順5で確認した組み込みDBを,すべてアンインストールする。
セットアップ識別子が「_JF0」の組み込みDBを含む,すべての組み込みDBをアンインストールしてください。
次のコマンドを実行します。
ajsembdbuninstl -id セットアップ識別子
ajsembdbuninstlコマンドの詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 コマンドリファレンス 2. セットアップコマンド ajsembdbuninstl」を参照してください。
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jajs_dbmdプロセスの起動を抑止する。
JP1/AJS3用起動プロセス定義ファイル(jp1ajs_spmd.conf)および拡張起動プロセス定義ファイル(jp1ajs_service_0700.conf)を編集し,jajs_dbmdプロセス,およびajsdbmgrdプロセス(jajs_dbmdプロセスの子プロセス)の起動を抑止します。この設定を実施しないと,ajsdbmgrdプロセスの起動がエラーになり,JP1/AJS3サービスが起動しません。
jajs_dbmdプロセスの起動を抑止する手順の詳細については,「24.2.2 jajs_dbmdプロセスの起動抑止の手順」を参照してください。
拡張起動プロセス定義ファイルの詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 運用ガイド 6.3 JP1/AJS3のプロセスが異常終了した場合のJP1/AJS3の動作を変更する」を参照してください。
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JP1/AJS3のデータベース構成を,標準構成から標準構成(ISAMレス構成)に変更する。
外部DBは,標準構成(ISAMレス構成)の場合だけ利用できます。標準構成から標準構成(ISAMレス構成)に変更する方法については,「6.9.2 JP1/AJS3のデータベース構成を標準構成(ISAMレス構成)にする設定」(Windowsの場合),または「15.10.2 JP1/AJS3のデータベース構成を標準構成(ISAMレス構成)にする設定」(UNIXの場合)を参照してください。
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jajs_setupコマンドを実行して,実行エージェント情報をセットアップする。
次のコマンドを実行します。
jajs_setup -G -a -k SQLSVR -of ODBCファイルデータソース名 -od データベース名
jajs_setupコマンドの詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 コマンドリファレンス 2. セットアップコマンド jajs_setup」を参照してください。
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エクスプローラーなどで,次に示すフォルダを作成する。
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データベースフォルダ
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一時ファイル用フォルダ
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ジョブ情報フォルダ
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退避情報フォルダ
なお,退避情報フォルダ以外は,自ホスト内に設定されている,ほかのスケジューラーサービスが使用するフォルダと重複しないようにしてください。また,ほかのスケジューラーサービスが使用するフォルダの配下にも作成しないでください。
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jajs_setupコマンドを実行して,外部DBを利用するスケジューラーサービスを追加する。
次のコマンドを実行します。
jajs_setup -a -k SQLSVR -F スケジューラーサービス名 -n スケジューラーサービスの識別番号 -p ジョブ状態通信ポートのサービス名 -d データベースディレクトリ名 -t テンポラリーディレクトリ名 -j ジョブ情報ディレクトリ名 -b 退避情報ディレクトリ名 -of ODBCファイルデータソース名 -od データベース名 [-E {byte | sjis}]
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環境設定パラメーターSTDFILEOUTDIRを設定する。
外部DBを利用した環境では,ajsshowコマンドで出力される標準出力ファイルおよび標準エラー出力ファイルを格納するディレクトリを,環境設定パラメーターSTDFILEOUTDIRで指定する必要があります。
次のコマンドを実行します。
jajs_config -k "[JP1_DEFAULT\JP1AJSMANAGER\スケジューラーサービス名]" "STDFILEOUTDIR"="任意のディレクトリ"
任意のディレクトリには,既存のスケジューラーサービスで使用しているディレクトリとは異なるディレクトリを指定してください。
なお,指定したディレクトリに出力されたファイルは,自動では削除されません。必要に応じて,定期的に手動で削除してください。
ajsshowコマンドの詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 コマンドリファレンス 3. 通常の運用で使用するコマンド ajsshow」を参照してください。
環境設定パラメーターSTDFILEOUTDIRの詳細については,「20.4.2(126) STDFILEOUTDIR」を参照してください。
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手順2と手順3でバックアップした情報をリカバリーする。
リカバリーする手順の詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 運用ガイド 2.3.4(8) 実行エージェント情報のリカバリー」,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 運用ガイド 2.3.4(9) ユニット定義のリカバリー」,およびマニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 運用ガイド 3.4 ajsrgexport,ajsrgimportコマンドによるジョブネットの実行登録状態のバックアップ・リカバリー」を参照してください。
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ジョブ状態通知ポートのサービス名に対するポート番号を設定する。
なお,インストール時に作成されているサービス名(jp1ajs2report)を手順13で指定した場合は,この手順は不要です。
次のファイルをメモ帳などのテキストエディターで開きます。
- Windowsの場合
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システムフォルダ\system32\drivers\etc\Services
- UNIXの場合
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/etc/services
手順13で指定した,ジョブ状態通知ポートのサービス名に対するポート番号を設定します。
(例)ポート番号を「20248」として設定する場合
jp1ajs2report2 20248/tcp
- 重要
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設定するポート番号は,既存の番号と重ならないようにしてください。また,Windowsファイアウォールを設定した環境で運用する場合は,設定したポート番号(上記の例では,サービス名:jp1ajs2report2,ポート番号:20248)を,Windowsファイアウォールの規則に登録し,ファイアウォールを透過できるようにしてください。
- 注意事項
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外部DBにはネットワーク経由でアクセスするため,通信障害などの一時的なエラーによって,次のような現象が発生するおそれがあります。
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JP1/AJS3の起動に失敗する。
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JP1/AJS3の運用が一時的に停止する。
一時的なエラーが発生したときは,JP1/AJS3を再起動して起動や運用を継続します。
再起動する間隔や回数の設定を変更したい場合は,拡張起動プロセス定義ファイルを変更します。拡張起動プロセス定義ファイルの詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 運用ガイド 6.3.1 異常終了したJP1/AJS3のプロセスを再起動する」を参照してください。なお,変更対象のサービス(プロセス)は,ホストサービス(jajs_hstdプロセス)とスケジューラーサービス(jajs_schdプロセス)です。
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