7.6.7 引き継ぎ情報定義時の注意事項
イベントジョブの引き継ぎ情報定義時の注意事項について説明します。
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引き継ぎ情報は,イベントジョブを実行したホストと後続のジョブを実行するホストが異なっても引き継げます。このとき,ホスト間の文字コードが異なる場合は引き継ぎ情報を後続のホストの文字コードに変換します。ただし,引き継ぎ情報に含まれる文字がサポート範囲外の場合,JP1/AJS3が誤動作するおそれがあります。
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JP1/AJS3で使用できる文字の範囲については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 設計ガイド(システム構築編) 2.4.2 システムで使用する言語種別と文字コードについて検討する」を参照してください。なお,サポート範囲外の文字はスタンドアロン構成であっても使用できません。引き継ぎ情報の中に含めないようにしてください。
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複数のイベントジョブを,一つの後続ジョブに関連づけた場合,すべてイベントジョブで受信した情報を後続ジョブに引き継げます。ただし,複数のイベントジョブで,同じマクロ変数名を定義してある場合は,受信情報が上書きされます。
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一つのイベントジョブの引き継ぎ情報に,同じ名称のマクロ変数が複数定義された場合,最初に定義された情報が引き継がれます。
<JP1イベント受信監視イベントジョブでの例>
引き継ぎ情報に次の二つを定義します。
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?AJS2111?:EVID(マクロ変数「?AJS2111?」にイベントIDを引き継ぐように指定)
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?AJS2111?:EVMSG(マクロ変数「?AJS2111?」にメッセージ情報を引き継ぐように指定)
この場合,「?AJS2111?」で引き継がれる情報はイベントIDになります。
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コマンドラインには,エスケープシーケンスを含むデータを引き継がないでください。また,空白を含んだデータを引き継いだ場合,意図しない動作をすることがあるため,マクロ変数を「"(ダブルクォーテーションマーク)」で囲んで定義してください。
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マクロ変数を後続ジョブのコマンドラインに指定する場合には,引き継ぐ情報に空白または「'(シングルクォーテーションマーク)」が含まれていると,情報を正しく引き継げません。また,マクロ変数はイベントジョブの後続ジョブを実行するエージェントホスト上で,コマンドラインに引き継いだ情報を展開した形で実行されます。引き継ぎ情報を定義する場合には,実行時にコマンドの引数として扱える形の情報を引き継ぐ場合だけ定義してください。
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イベントジョブから引き継ぐ情報がない場合,またはイベントジョブが実行されなかった場合は,後続ジョブで定義したマクロ変数には情報が引き継がれません。この場合,ジョブ実行時にマクロ変数名を「?AJS2111?」と定義すると,文字列「?AJS2111?」が渡されます。
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イベントジョブの受信情報を引き継ぎ情報として,標準ジョブやアクションジョブのパラメーターに引き継ぐ場合で,引き継ぐ情報に「"(ダブルクォーテーションマーク)」が含まれるとき,「\」を前に付けて指定する必要があります。「\」を付けない場合,受信情報を引き継いでも「"(ダブルクォーテーションマーク)」が無視されるなどの現象が発生します。
これを防止するためには,「"(ダブルクォーテーションマーク)」を含むデータを指定したとおりに引き継ぎ情報として引き継がせるオプションを設定してください。
設定については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 構築ガイド 6.3.4 「"(ダブルクォーテーションマーク)」を含むデータをイベントジョブおよびカスタムイベントジョブの引き継ぎ情報に使用するための設定」(Windowsの場合)またはマニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 構築ガイド 15.3.4 「"(ダブルクォーテーションマーク)」を含むデータをイベントジョブおよびカスタムイベントジョブの引き継ぎ情報に使用するための設定」(UNIXの場合)を参照してください。
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引き継ぎ情報をジョブのコマンドラインで使う場合は,引き継ぐ情報に「"(ダブルクォーテーションマーク)」などの文字列が入っていても,変換などは実行されないでそのまま後続ジョブに引き継がれます。そのため,各OSのコマンドラインの制約でジョブが正しく実行されないことがあります。特殊な文字が入っている引き継ぎ情報を使う場合には,コマンドラインに直接展開しないで,環境変数に引き継ぐようにしてください。
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起動条件に定義したイベントジョブにマクロ変数を定義した場合は,起動条件の成立によって起動されたジョブネット全体に情報が引き継がれます。
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マクロ変数名と引き継ぎ情報のサイズの合計が4,096バイトを超えないようにしてください。特に,起動条件をAND条件で定義している場合は,起動条件内に定義したすべてのイベントジョブのマクロ変数名および引き継ぎ情報をマージします。このため,マクロ変数名と引き継ぎ情報のサイズの合計が4,096バイトを超えないように注意する必要があります。
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JP1/AJS3 09-50以降にマクロ変数を指定できるようになった定義項目に,マクロ変数を指定しているジョブがある場合,次の点に注意する必要があります。
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JP1/AJS3 - Managerのバージョンが09-50より前の環境にコピーして使用した場合,マクロ変数は展開されません。
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引き継ぎ情報設定ジョブを,JP1/AJS3 - Managerのバージョンが09-50より前の環境にコピーして使用した場合,引き継ぎ情報設定ジョブの実行時にエラーになります。
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