2.4.10 クラウド環境でジョブを実行する(フレキシブルジョブを使ったジョブネットの定義例)
クラウド上のホスト名やIPアドレスが固定されていない環境でジョブを実行させるジョブネットの定義には,フレキシブルジョブを使用します。フレキシブルジョブを使用すると,マネージャーホストで直接管理していないエージェントホストで処理を実行できます。そのため,次のようにオートスケール環境でジョブを実行する場合に有効です。
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ロードバランサーを利用して,ジョブの実行先エージェントを振り分ける場合
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同一のジョブを,オートスケール環境にあるすべての実行エージェントで一斉に実行する場合
ただし,フレキシブルジョブは次のような場合に利用することを推奨します。
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ホスト名やIPアドレスが固定されていない環境でジョブを実行する場合
ホスト名やIPアドレスが固定されている場合,PCジョブやUNIXジョブの使用を推奨します。
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実行に失敗してもエラーの要因分析が不要で,再実行すればよいジョブを実行する場合
クラウドのオートスケール環境でのスケールインおよびスケールアウトの動作は,クラウド側で管理しているため,オートスケール環境でのスケールアウトによる宛先エージェントの起動完了前や,スケールインによる宛先エージェントの削除は,JP1/AJS3では検知できず,そのタイミングでフレキシブルジョブを実行すると失敗することがあり,エラーの要因分析が困難です。したがって,オートスケール環境で実行する処理は,実行に失敗してもエラーの要因分析が不要で,再実行すればよい処理とすることを推奨します。
ロードバランサーを利用したフレキシブルジョブの定義例を次の図に示します。なお,フレキシブルジョブを実行する場合のシステム構成や検討事項などについては,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 設計ガイド(システム構築編) 2.9 クラウド環境でのジョブ実行について検討する」を参照してください。また,フレキシブルジョブを一斉実行する場合の定義例については,「2.4.11 一つのジョブを複数の実行エージェントで一斉に実行する(フレキシブルジョブを使ったジョブネットの定義例)」を参照してください。
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この図では,次のようなジョブネットを定義しています。
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中継エージェント(AGT1)でジョブの実行要求を中継する。
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ジョブをロードバランサー(LB1)で振り分け,宛先エージェントで実行する。
フレキシブルジョブ使用時の注意事項については,「7.8 フレキシブルジョブ使用時の注意事項」を参照してください。
フレキシブルジョブを実行する場合に必要な設定については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 構築ガイド 21.3 フレキシブルジョブを実行するための設定」を参照してください。