2.11.1 外部DBの利用を検討する
マネージャーホストをクラウド環境で運用し,外部DBを利用する場合に,検討しておく内容について説明します。
外部DBを使用する場合のデータベース構成の例を,次の図に示します。
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- 〈この項の構成〉
(1) 外部DBのメリットとデメリット
運用の目的に合わせて,外部DBを利用した場合のメリット・デメリットを考慮した上で,外部DBを利用するかどうかを検討してください。
- 外部DBを利用するメリット
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外部DBを利用するメリットとして,次の点が考えられます。日々の運用の負担軽減を重視する場合は,外部DBの利用を検討してください。
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クラウドサービスとして提供される外部DBの機能を活用し,ジョブ定義や実行結果,実行状態などのデータを,運用中に自動でバックアップできます。
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外部DBで障害が発生した場合でも,外部DBの機能を活用し,障害発生前の任意の時点※にデータベースをリカバリーできます。このため,ジョブの実行結果や実行状態などを引き継いでJP1/AJS3でのジョブの運用を速やかに復旧できます。
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マネージャーホストで障害が発生した場合でも,バックアップしておいたマネージャーホスト環境をリカバリーすることで,ジョブの実行結果や実行状態などを引き継いでJP1/AJS3のジョブの運用を速やかに復旧できます。
- 注※
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詳細については,クラウドサービスのドキュメントを参照してください。
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- 外部DBを利用するデメリット
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外部DBを利用するデメリットとして,次の点が考えられます。ミッションクリティカルなシステムの場合は,組み込みDBの利用を検討してください。
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外部DBの構築および運用はユーザーが実施します。運用中に障害が発生した場合,クラウドサービスやDBMS製品の障害の原因調査は,ユーザー自身でクラウド側に問い合わせるなどの対応が必要です。
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ネットワーク経由で外部DBにアクセスするため,組み込みDBを利用する場合より,ジョブの実行やコマンド操作などの性能が低下します。
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JP1/AJS3の一部の機能を使用できなくなります。使用できない機能の詳細については,「(7) 外部DBを利用した環境で使用できない機能」を参照してください。
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(2) 利用できるDBMS製品の種類
外部DBとして利用できるDBMS製品の種類を次に示します。
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Microsoft SQL Server
なお,利用できるクラウドサービスの詳細については,リリースノートを参照してください。
また,外部DBとの接続には,ODBCを利用します。ODBCを利用した外部DBとの接続について,次の図に示します。
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- 注意事項
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ODBCを利用するには,マネージャーホストにODBCドライバーをインストールする必要があります。
(3) 外部DBの利用条件と基本構成
外部DBを利用する場合の利用条件と,マネージャーホストおよび外部DBの構成について説明します。
(a) 外部DBの利用条件
外部DBを利用するには,次の条件をすべて満たしている必要があります。
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外部DBと接続するマネージャーホストのOSが,WindowsまたはLinuxであること
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マネージャーホストをクラウド環境で運用すること
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マネージャーホストを物理ホストだけで運用すること
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データベース構成が標準構成(ISAMレス構成)であること
(b) 外部DBを利用する場合の制約
外部DBとして,一つのインスタンスに複数のデータベースを作成できるDBMS(SQL Serverなど)を利用する場合,インスタンスとデータベースについて,次の制約があります。
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JP1/AJS3で利用する外部DBのデータベースには,JP1/AJS3のデータだけを格納すること
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スケジューラーサービス一つにつき,一つのデータベースを用意すること
データベースと接続するスケジューラーサービスの構成について,次の図に示します。
図2‒70 データベースとスケジューラーサービスの構成 -
一つのマネージャーホスト内で複数のスケジューラーサービスを使用している場合は,すべてのスケジューラーサービスで外部DBを利用すること
スケジューラーサービスごとに,組み込みDBと外部DBを併用することはできません。外部DBと接続するマネージャーホストの構成の例を,次に示します。
図2‒71 外部DBと接続するマネージャーホストの構成の例
(c) 外部DBとマネージャーホストの基本構成
外部DBは,次のような構成で利用できます。
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一つのマネージャーホストから複数の外部DBのインスタンスを利用する。
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複数のマネージャーホストから一つの外部DBのインスタンスを利用する。
外部DBを利用する場合の,マネージャーホストと外部DBのインスタンスの構成を,次の図に示します。
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(d) 外部DBを利用するマネージャーホストと他製品のバージョン互換
データベースに外部DBを利用するJP1/AJS3 - Managerと他製品(JP1/AJS3の各製品,前提製品であるJP1/Base,およびオプション製品)とのバージョンの互換性は,一部を除いて組み込みDBを利用する場合と同様です。各製品とのバージョン互換は「8.1 バージョン互換」を参照してください。
(4) 外部DBとJP1/AJS3 - Managerの接続関係
外部DBとJP1/AJS3 - Managerは,次のような接続関係になります。
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外部DBにセットアップされたスケジューラーデータベースは,セットアップしたスケジューラーサービスからだけ接続できます。異なるスケジューラーサービスからは接続できません。
スケジューラーデータベースとスケジューラーサービスの接続関係を,次の図に示します。
図2‒75 外部DBのスケジューラーデータベースとスケジューラーサービスの接続関係 -
外部DBにセットアップされたエージェント管理データベースは,実行エージェント情報をセットアップしたマネージャーホストからだけ接続できます。異なるマネージャーホストからは接続できません。
エージェント管理データベースとマネージャーホストの接続関係を,次の図に示します。
図2‒76 外部DBのエージェント管理データベースとマネージャーホストの接続関係 -
外部DBまたはクラウド環境で運用するマネージャーホストをリカバリーした場合,それぞれ接続関係を再設定する必要があります。外部DBまたはクラウド環境で運用するマネージャーホストをリカバリーした場合の接続関係の再設定について,次の図に示します。
図2‒77 マネージャーホストをリカバリーした場合 図2‒78 外部DBをリカバリーした場合
接続関係は,jajs_extdbコマンドで再設定します。jajs_extdbコマンドの詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 コマンドリファレンス 3. 通常の運用で使用するコマンド jajs_extdb」を参照してください。
また,クラウド環境上のマネージャーホストおよび外部DBをリカバリーする手順の詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 運用ガイド 12.2 外部DBを利用する場合の障害からの復旧」を参照してください。
(5) 外部DBと接続するマネージャーホストのセットアップ方法
JP1/AJS3を新規インストールする場合,スケジューラーサービスと組み込みDBを自動でセットアップするかどうかを指定できます。外部DBを利用する場合は,新規インストール時に,スケジューラーサービスと組み込みDBをセットアップしないでください。新規インストールが完了したあと,外部DBをセットアップしてください。セットアップの詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 構築ガイド 24.2 外部DBを利用するためのJP1/AJS3のセットアップ」を参照してください。
また,すでに組み込みDBを使用して運用している場合,外部DBへデータを移行して運用できます。移行できるデータは次のとおりです。
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ユニット定義
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カレンダー定義
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スケジュール定義
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実行エージェント情報
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計画実行または確定実行されているルートジョブネットの登録予定
組み込みDBから外部DBへデータを移行する手順の詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 構築ガイド 24.3 運用中の組み込みDBから外部DBへの移行」を参照してください。
(6) 外部DBを利用した運用
外部DBを利用してJP1/AJS3を運用する場合,ジョブやジョブネットの情報など,業務の継続に必要な情報は,外部DBに格納されます。このため,外部DBの情報をバックアップしておくことで,外部DBに障害が発生した場合でも速やかに業務を復旧できます。
また,マネージャーホストに障害が発生した場合でも,障害が発生する前と同一の環境を用意しておくことで,速やかに業務を復旧できます。
外部DBを利用する場合の業務の復旧方法の詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 運用ガイド 12.2 外部DBを利用する場合の障害からの復旧」を参照してください。
外部DBを利用した環境で業務を復旧すると,JP1/AJS3サービスおよびスケジューラーサービスはディザスターリカバリースタートします。このとき,ディザスターリカバリースタートによって,ジョブおよびジョブネットの状態が変更されます。このため,安全確認してからジョブおよびジョブネットを再実行してください。
ディザスターリカバリースタート時のジョブおよびジョブネットの状態の詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 運用ガイド 6.2.1 JP1/AJS3起動時の動作を一時的に変更する」を参照してください。
(7) 外部DBを利用した環境で使用できない機能
外部DBを利用した環境で使用できない機能を,次に示します。
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論理ホストを使用した運用
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標準構成(ISAMレス構成)で使用できない機能
標準構成(ISAMレス構成)で使用できない機能の詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 導入ガイド 付録A 標準構成(ISAMレス構成)で使用できない機能」を参照してください。
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キューレスジョブの実行,およびキューレスエージェント機能
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リモートジョブネットの転送元ホストおよび転送先ホストとしての実行
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JP1/AJS3 Consoleを使用した業務の監視
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組み込みDB関連機能のコマンド(ajsembdbで始まるコマンド)の実行
(8) 外部DBの利用に関する注意事項
外部DBを利用してJP1/AJS3を運用する場合は,次の点に注意してください。
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JP1/AJS3 - Managerは,外部DBの起動および停止は制御しません。このため,JP1/AJS3 - Managerの運用を開始する前に,外部DBのインスタンスを起動しておく必要があります。
外部DBのインスタンスが起動していない場合,JP1/AJS3サービスおよびスケジューラーサービスが起動しません。
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次のファイルのファイルサイズが,外部DBを利用するマネージャーホストの文字コードで,最大15メガバイトに制限されます。
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標準ジョブおよびHTTP接続ジョブの,マネージャーホスト上に格納する,ジョブエラー情報ディレクトリ配下(内部ログであるため,対処は不要です)の標準出力ファイルおよび標準エラー出力ファイル
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標準ジョブ,アクションジョブ,イベントジョブ,カスタムイベントジョブおよびHTTP接続ジョブの実行結果詳細
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通信障害などのエラーによって,JP1/AJS3の運用が停止するおそれがあります。エラーが発生した場合は,スケジューラーサービスをホットスタートで再起動し,業務の運用を継続します。このため,数分から数十分程度,ジョブの実行が停止します。
再起動後はスケジューラーサービス終了前の状態を引き継ぎます。また,「実行中」になっているジョブの情報を,自動的にジョブ実行先サーバから求めて,できる限り実際の状態に変更します。ジョブの実際の状態が取得できたときは,ジョブネットの定義内容に従って,自動的に継続実行します。ジョブの実際の状態を取得できなかったときは,ジョブの状態を「異常終了」にします。異常終了したジョブの状態を確認し,手動で再実行してください。
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一時変更の操作管理機能を使用する場合,一つのルートジョブネットで保存できる一時変更情報のサイズが最大15メガバイトに制限されます。次の計算式で見積もったサイズが15メガバイトを超えないように運用してください。
- 0.002*A + 0.003*B(単位:メガバイト)
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A:ルートジョブネットとその配下のユニットに,一時変更情報として保存される操作をする回数
B:Aのうち,引き継ぎ情報を指定して実行予定を追加する回数
一時変更情報として保存される操作,および一時変更情報の保存期限については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 導入ガイド 4.5.16(1) 一時変更情報の確認」を参照してください。