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JP1 Version 13 JP1/Automatic Job Management System 3 設計ガイド(システム構築編)


2.10 ジョブの一斉実行について検討する

一つのジョブを複数の実行エージェントで一斉に実行する場合,フレキシブルジョブの一斉実行を使用します。フレキシブルジョブの一斉実行を使用する場合のシステム構成および構成要素について説明します。なお,中継エージェントや宛先エージェントなど,フレキシブルジョブを実行する場合のシステム構成や検討事項などについては,「2.9 クラウド環境でのジョブ実行について検討する」を参照してください。

一斉実行機能を使用する場合,マネージャーホストで定義されたジョブは一斉配信エージェントに送信されます。一斉配信エージェントは複数の宛先エージェントを管理していて,管理対象のすべての宛先エージェントにジョブを配信します。管理できる最大宛先エージェント数は100です。

一斉配信エージェントが複数の宛先エージェントにジョブを配信する例を次に示します。

図2‒65 一斉配信エージェントで複数の宛先エージェントにジョブを配信する例

[図データ]

一斉配信エージェントは,ジョブを一斉に配信する宛先エージェントを次のようにして管理します。

  1. 宛先エージェントのセットアップ時に,管理元の一斉配信エージェントを指定する。

  2. 宛先エージェントは管理元の一斉配信エージェントに対して,定期的に生存通知(起動しているかどうかを示す通知)を送信する。

  3. 一斉配信エージェントは生存通知を受信すると,宛先エージェントに対して応答する。

  4. 一斉配信エージェントは,一斉配信先の宛先エージェントを管理する。

一斉配信エージェントが宛先エージェントを管理している例を次に示します。

図2‒66 一斉配信エージェントが宛先エージェントを管理している例

[図データ]

一斉配信エージェントを使用したシステム構成を次に示します。

図2‒67 一斉配信エージェントを使用したシステム構成例

[図データ]

なお,一斉配信エージェントは,次のようなホストである必要があります。

補足事項

(1) 構成要素について

一斉実行を使用するには,マネージャーホスト,中継エージェント,一斉配信エージェント,および宛先エージェントが必要です。

それぞれの構成要素について,次に説明します。

マネージャーホスト
  • 配置先

    オンプレミス環境とクラウドのオートスケールしない環境に配置できます。

  • クラスタ構成

    クラスタ構成に対応しています。

中継エージェント
  • 配置先

    オンプレミス環境とクラウドのオートスケールしない環境に配置できます。

  • クラスタ構成

    クラスタ構成に対応しています。

マネージャーホストのOSがWindowsまたはLinuxの場合は,マネージャーホストでajsatsetup -mコマンドを実行することで,マネージャーホストが中継エージェントを兼ねることもできます。

次の場合は,マネージャーホストや宛先エージェントとは別のホストに中継エージェントが必要です。

  • マネージャーホストのOSがWindowsでもLinuxでもない場合

    フレキシブルジョブが実行ホストとして指定できるマネージャーホストおよびエージェントホストのOSは,WindowsとLinuxだけです。

    このため,マネージャーホストがWindowsおよびLinux以外のOSの場合,中継エージェントが必要です。

  • マネージャーホストと宛先エージェントとの間で直接通信できない場合

    図2-67のように,マネージャーホストと宛先エージェントの間に中継エージェントを配置して,通信を仲介する必要があります。

一斉配信エージェント
  • 配置先

    オンプレミス環境とクラウドのオートスケールしない環境に配置できます。

  • クラスタ構成

    クラスタ構成に対応していません。

宛先エージェント
  • 配置先

    ロードバランサー配下でオートスケールする環境に配置してください。

    なお,一斉配信エージェントと宛先エージェント間の通信は,ロードバランサーを経由しないで,TCP/IP通信とUDP通信を使用して直接通信します。TCP/IP通信とUDP通信が可能であれば,宛先エージェントをロードバランサー配下に配置する場合,ロードバランサーの種類は問いません。

  • クラスタ構成

    クラスタ構成に対応していません。

(2) 通信環境について
(3) その他
  • 一斉実行を設定したフレキシブルジョブは,バージョン11-10以降のJP1/AJS3 - Manager,JP1/AJS3 - Agent,およびJP1/AJS3 - Viewで使用できます。

  • フレキシブルジョブの一斉実行使用時の注意事項については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 設計ガイド(業務設計編) 7.8 フレキシブルジョブ使用時の注意事項」を参照してください。