6.1 ジョブネット・ジョブ・ジョブネットコネクタの状態
ジョブネット,ジョブ,およびジョブネットコネクタが取得する状態を,次の表に示します。
状態名 |
状態の存在有無 |
状態の内容 |
|||
---|---|---|---|---|---|
ジョブネット |
ジョブ |
ジョブネットコネクタ |
|||
ルート |
ネスト |
||||
○ |
○ |
○ |
○ |
実行予定がない。 |
|
(time-wait) |
○ |
○ |
− |
− |
実行開始時刻に到達するのを待っている状態。※2 ジョブネットコネクタと同期する設定をしている場合,ジョブネットコネクタの実行開始を待っている状態。 |
(term-wait) |
− |
○ |
○ |
○ |
先行ジョブまたはジョブネットの終了を待っている状態。 先行ユニットがなくても次の条件に該当する場合は,先行終了待ちとなる。
|
(holding) |
○ |
○ |
○ |
− |
保留中の状態。 |
(exec-wait) |
− |
− |
○ |
− |
ジョブのサブミット処理が完了するのを待っている状態。 スケジューラー制御がジョブをサブミットし,ジョブ実行制御にキューイングされるまでの状態。 |
(unexec) |
− |
○※4,※5 |
○※4,※5 |
○ |
先行ユニットが異常終了※11したなどの理由でジョブまたはジョブネットが実行されなかったときの状態。 |
(unexec-W) |
− |
○ |
○ |
− |
警告終了後,再実行したがジョブまたはジョブネットが実行されなかった状態。 |
(bypass) |
− |
○ |
○ |
○ |
ネストジョブネットと上位ジョブネットのスケジュールが一致しなかったか,または実行中止したなどの理由で,ジョブもしくはジョブネットが実行されなかった状態。 |
(running) |
○ |
○ |
○ |
○ |
実行中の状態。 ジョブネットコネクタの場合は,接続先のジョブネットの終了を待っている状態。 |
(queuing) |
− |
− |
○ |
− |
開始条件が成立し,ジョブが実行されるのを待っている状態。 |
(AB-cont) |
○ |
○ |
− |
○ |
同じジョブネット内で同時に実行しているジョブまたはネストジョブネットが異常終了※11した状態。 ジョブネットコネクタの場合は,接続先のジョブネットで異常※12が発生している状態。 |
(WA-cont) |
○ |
○ |
− |
○ |
同じジョブネット内で同時に実行しているジョブまたはネストジョブネットが警告終了した状態。 ジョブネットコネクタの場合は,接続先のジョブネットが警告検出実行中になった状態。 |
(normal) |
○ |
○ |
○ |
○ |
すべてのジョブおよびジョブネットが正常に終了した状態。 ジョブネットコネクタの場合は,接続先のジョブネットが正常終了した状態。 |
(normal-false) |
− |
− |
○ |
− |
判定結果,先行ユニットの終了結果が判定条件に合致しないで判定ジョブが正常終了した状態。 |
(warning) |
○ |
○ |
○ |
○ |
ジョブの場合は警告終了した状態。 ジョブネットの場合はジョブネットに警告終了したジョブが含まれている状態。 ジョブネットコネクタの場合は,接続先のジョブネットが警告検出終了になった状態。 |
(abnormal) |
○ |
○ |
○ |
○ |
ジョブの場合は異常終了した状態。 ジョブネットの場合はジョブネットに異常終了※11したジョブまたはネストジョブネットが含まれている状態。 ジョブネットコネクタの場合は,定義不正または通信エラーによって接続先のジョブネットと接続できなかった状態。 |
(abnormal-WR) |
○ |
○ |
○ |
− |
警告終了後,再実行したが異常検出終了した状態。 |
(exec-deffer) |
○ |
○ |
− |
− |
実行予定日時にJP1/AJS3 - Managerサービスが起動されていない,ルートジョブネットが保留のまま基準時刻を過ぎたなどの理由でジョブネットが実行されなかった状態※4,※6。 ジョブネットが「繰り越し未実行」状態になる条件は,次のとおり。
|
(invalid-seq) |
○ |
○ |
− |
− |
実行順序がループしていて実行できないジョブまたはジョブネットがあったなどの状態。 |
(interrupt) |
○ |
○ |
− |
− |
ジョブネット中に異常終了※8したユニットはないが,まだ実行処理がされていないユニット(未実行終了状態のユニット)があり,ジョブネットの実行が中断した状態。 次に示すような場合,ユニットは先行に異常終了※8がない状態で未実行終了となる。
なお,スケジューラーサービスをウォームスタートやディザスターリカバリースタートしたとき,実行中,異常検出実行中,または警告検出実行中だったルートジョブネットは,配下の状態に関係なく中断状態となる。 |
(kill) |
○ |
○ |
○ |
○ |
次のどれかの理由で,ジョブまたはジョブネットを強制終了した状態。
ジョブネットコネクタの場合は,実行中にルートジョブネットを強制終了したときの状態。 |
(kill-WR) |
○ |
○ |
○ |
− |
警告終了後,再実行したが強制終了した状態。 |
(fail) |
− |
− |
○ |
− |
ジョブ起動時のプロセス生成や,プロセスの環境設定に失敗した状態。 |
(fail-WR) |
− |
− |
○ |
− |
警告終了後,再実行しようとしたがジョブの開始に失敗した状態。 |
(unknown) |
− |
− |
○ |
○ |
次のどれかの事象が発生したため,終了状態が不明である状態。
ジョブネットコネクタの場合は,実行中にウォームスタートまたはディザスターリカバリースタートしたときの状態。 |
(unknown-WR) |
− |
− |
○ |
− |
警告終了後,再実行したが終了状態が不明である状態。 |
(shutdown) |
○ |
○ |
○ |
○ |
ジョブネットを計画実行登録したあと,スケジュール情報の参照するカレンダー,または排他スケジュールに指定されているユニットがない場合の状態。 |
(condition-wait) |
○ |
○※9 |
− |
− |
起動条件の成立を待っている状態。ただし,多重起動が設定されていない場合,実行中のジョブネットがある間は起動条件が成立しても起動条件待ちのままとなる。 |
(monitoring) |
○ |
○※9 |
− |
− |
起動条件に定義した事象を監視している状態。 |
(unexec-monitor) |
○ |
○※9 |
− |
− |
起動条件が成立しないまま運用時間が終了した状態。 |
(monitor-close) |
○ |
○※9 |
− |
− |
監視中のジョブネットを中断または強制終了した状態。 |
(monitor-intrpt) |
○ |
○※9 |
○※9 |
− |
起動条件を定義したジョブネットが起動条件を監視しているときにスケジューラーサービスを制限停止(ジョブ制限,ジョブネット制限,スケジュール制限),またはジョブ強制終了停止した場合に,スケジューラーサービスを停止させるため監視を中断した状態。 この場合,次にホットスタートまたはウォームスタートでスケジューラーサービスを起動したときやディザスターリカバリースタート後にジョブの実行抑止を解除したときに,起動条件に指定されたイベントジョブまたはカスタムイベントジョブの最新の定義に従って監視し直す。 |
(monitor-normal) |
○ |
○※9 |
− |
− |
指定された回数または監視時間の範囲内に起動条件が成立した状態。 |
(end-delay) |
○ |
○ |
○ |
− |
終了遅延が発生している状態。 |
(start-delay) |
○ |
○ |
− |
− |
開始遅延が発生している状態。 |
(nest-end-delay) |
○ |
○ |
− |
− |
配下のユニットで終了遅延が発生している状態。 |
(nest-start-delay) |
○ |
○ |
− |
− |
ネストジョブネットで開始遅延が発生している状態。 |
- (凡例)
-
ルート:ルートジョブネット
ネスト:ネストジョブネット
○:表示する。
−:表示しない。
- 注※1
-
ajsshowコマンドを実行して状態表示した場合,次の条件に該当するユニットは,再実行を表す「-R」が付けられて表示されます。
-
再実行操作で再実行の対象となったユニット
-
再実行の対象となったユニットを含むジョブネット
-
再実行操作をしたユニットを含むルートジョブネット配下で再実行後に動作したユニット
再実行操作時,すでに「実行中」状態だったネストジョブネット,およびそのネストジョブネット配下にあるユニットに対しては「-R」は付与されません。また,「このユニットだけ」のオプションで特定のユニットだけ再実行した場合,その後続ユニットは実行されないため「-R」は付与されません。
ajsshowコマンドの詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 コマンドリファレンス 3. 通常の運用で使用するコマンド ajsshow」を参照してください。
-
- 注※2
-
多重起動が設定されていないジョブネットに実行中の世代がある場合,実行開始時刻に到達した世代や再実行した世代が,実行中の世代の終了を待っているときも含みます。また,実行抑止機能によってジョブネットの実行開始を抑止しているときも含みます。
- 注※3
-
「未実行終了」と「繰り越し未実行」は,状態表示色によって実行予定ありの場合と実行予定なしの場合を区別して表示できます。ただし,状態名(状態を表す文字列)の表示やコマンドの出力では,実行予定ありの場合と実行予定なしの場合の区別はありません。
ジョブネットの場合は,ジョブネットに実行予定(開始予定日時)が設定されていて実行されなかったときに実行予定ありになります。ジョブネットに実行予定がないときは,実行予定なしになります。
ジョブの場合は,上位ジョブネットに実行予定(開始予定日時)があり,ジョブの実行を中止していないときに実行予定ありになります。それ以外の場合は,実行予定なしになります。
JP1/AJS3 - Viewでは,実行予定ありの場合と実行予定なしの場合を表示する色を,[環境設定]ダイアログボックスの[全般]タブでそれぞれに設定できます。詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 操作ガイド 12.3.42 [環境設定]ダイアログボックス」およびマニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 操作ガイド 12.3.44 [表示色の選択]ダイアログボックス」を参照してください。
Web GUI(ジョブポータル)では,実行予定ありの場合と実行予定なしの場合を表示する色を,表示色設定ファイル(ajs3web_color.conf)でそれぞれに設定できます。詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 構築ガイド 3.4.7 表示色設定ファイル(ajs3web_color.conf)の設定項目の詳細」(Windowsの場合)またはマニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 構築ガイド 13.3.7 表示色設定ファイル(ajs3web_color.conf)の設定項目の詳細」(Linuxの場合)を参照してください。
- 注※4
-
「繰り越し未実行」となったジョブネット配下のネストジョブネットやリモートジョブネットは,スケジュールの有無に関係なく,すべて「繰り越し未実行」となります。ジョブは「未実行終了」となります。
ただし,起動条件を使用しない場合,ルートジョブネットが「繰り越し未実行」状態になると,起動条件に定義されているイベントジョブおよびカスタムイベントジョブは「計画未実行」状態になります。
- 注※5
-
上位ジョブネットが「繰り越し未実行」となった場合も,「未実行終了」となります。
- 注※6
-
次回実行予定も「繰り越し未実行」となります。「繰り越し未実行」の世代が連続する場合は,「繰り越し未実行」となった世代のうち,開始時刻が現在時刻に最も近い世代だけが残ります。ただし,起動条件を使用するジョブネットの実行世代が,連続で「繰り越し未実行」となる場合は除きます。
- 注※7
-
打ち切り時間が1日のジョブネットを,基準時刻の直前に実行登録し,ジョブネットが実行開始する前に打ち切り時間に到達した場合も「繰り越し未実行」となります。
- 注※8
-
実行されなかったことを示す「未実行終了」状態を除いた次の異常終了の状態を示します。
-
異常検出終了
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中断
-
順序不正
-
強制終了
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起動失敗
-
終了状態不明
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繰り越し未実行
-
- 注※9
-
起動条件(.CONDITION)と,起動条件が定義されているジョブネットだけこの状態が表示されることがあります。起動条件に定義されているイベントジョブおよびカスタムイベントジョブにも「監視中断」状態が表示されることがあります。
- 注※10
-
ルートジョブネット配下のユニットの状態は,「未実行終了」となります。
- 注※11
-
次の状態を示します。
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異常検出終了
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未実行終了
-
中断
-
順序不正
-
強制終了
-
起動失敗
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終了状態不明
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繰り越し未実行
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- 注※12
-
詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 設計ガイド(業務設計編) 2.2.4(4) ジョブネットコネクタおよび接続先のジョブネットの状態遷移」を参照してください。
- 補足事項
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「開始時刻待ち」「先行終了待ち」「実行待ち」「起動条件待ち」のような待ち状態のユニットのうち,保留属性の設定がある(ユニットの実行を保留する予定がある)ものについては保留予定を示す表示色(デフォルトは黄色)でアイコンを表示する機能があります。
JP1/AJS3 - Viewで保留予定を表示する機能を利用する場合は,[環境設定]ダイアログボックスで設定します。詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 操作ガイド 12.3.42 [環境設定]ダイアログボックス」の[全般]タブの説明を参照してください。なお,この機能はお使いのJP1/AJS2 - ManagerおよびJP1/AJS2 - Viewのバージョンが06-71以前の場合は,使用できません。
Web GUI(ジョブポータル)で保留予定を表示する機能を利用する場合は,表示色設定ファイル(ajs3web_color.conf)で設定します。詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 構築ガイド 3.4.7 表示色設定ファイル(ajs3web_color.conf)の設定項目の詳細」(Windowsの場合)またはマニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 構築ガイド 13.3.7 表示色設定ファイル(ajs3web_color.conf)の設定項目の詳細」(Linuxの場合)を参照してください。
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保留が設定されている「先行終了待ち」状態のジョブネットの先行ユニットが終了した場合,後続ジョブネットは「先行終了待ち」状態から「開始時刻待ち」状態を経て「保留中」状態に遷移します。
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JP1/AJS3 - Viewの場合,またはJP1/AJS2 - View 08-50以降の場合,保留属性が設定された実行待ちのユニットを[デイリースケジュール]および[マンスリースケジュール]ウィンドウで,「保留中」状態のユニットに含めて表示させるようにフィルタを設定できます。保留属性が設定された実行待ちのユニットを「保留中」状態のユニットに含めて表示させたい場合は,[フィルタの設定]ダイアログボックスで[保留中に保留予定を含める]をチェックしてください。[フィルタの設定]ダイアログボックスについては,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 操作ガイド 12.7.11 [フィルタの設定]ダイアログボックス」を参照してください。
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実行状況の表示では,ジョブネットやジョブの終了予定時刻が表示されます。終了予定時刻は,過去の平均実行時間(正常終了時の処理時間の平均値)を基に算出しています。詳細については,「4.4.2(2) 実行シミュレーション」を参照してください。なお,ジョブネットやジョブの実行時間は,CPUの使用率などによって異なるため,開始予定時刻や終了予定時刻は目安としてください。
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