4.1.2 実行登録時のマクロ変数の指定
実行登録時にマクロ変数名と値(引き継ぎ情報)を指定できます。実行登録時に指定したマクロ変数名を配下のユニットで使用していた場合,指定した引き継ぎ情報に置き換えられて実行されます。この機能を使用すると,一部のパラメーターが異なるジョブネットを複数作成する必要がありません。例えば,要求ごとに環境変数を指定したい場合,ジョブネットのコピー(ajscopyコマンド),環境変数の変更(ajschangeコマンド),実行登録(ajsentryコマンド)をスクリプト内で繰り返す処理は必要なく,実行登録時に値を指定するだけで実現できます。実行登録時にマクロ変数を指定した場合の処理を,次の図に示します。
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実行登録時のマクロ変数の指定は,JP1/AJS3 - View,Web GUI(ジョブポータル),APIおよびajsentryコマンドで行います。指定方法については,次の個所を参照してください。
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マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 操作ガイド 7.2 実行登録時のマクロ変数の指定」
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マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 操作ガイド 15.2.20 [引き継ぎ情報の登録]ダイアログボックス」
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マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 コマンドリファレンス 7.1.5 計画実行登録API」
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マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 コマンドリファレンス 7.1.6 確定実行登録API」
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マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 コマンドリファレンス 7.1.7 即時実行登録API」
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マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 コマンドリファレンス 3. 通常の運用で使用するコマンド ajsentry」
マクロ変数の詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 設計ガイド(業務設計編) 2.2.6 マクロ変数の使用を検討する」を参照してください。
- 〈この項の構成〉
(1) 実行登録時のマクロ変数の有効範囲
実行登録時に指定したマクロ変数が有効となる範囲は,次のとおりです。
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実行登録方法別のマクロ変数
マクロ変数名と引き継ぎ情報は,計画実行,確定実行,および即時実行で指定できます。実行登録方法別のマクロ変数の扱いを,次の表に示します。
表4‒2 実行登録方法別のマクロ変数の扱い 実行登録方法(ajsentryコマンドのオプション)
マクロ変数の扱い
即時実行登録(-n)
指定したマクロ変数が有効になります。
計画実行登録(-s)
指定したマクロ変数が,すべてのスケジュールに対して有効になります。実行登録時に指定したマクロ変数を変更する場合は,実行登録解除し,マクロ変数を変更したあと,再度実行登録してください。
確定実行登録
確定期間指定(-p,または-bおよび-e)
指定したマクロ変数が,指定した確定期間のすべての世代に対して有効になります。期間内の実行予定日(世代)ごとに指定するマクロ変数を変更する場合は,期間を分けて複数回実行登録してください。実行登録時に指定したマクロ変数を変更する場合は,変更する期間を実行登録解除し,マクロ変数を変更したあと,再度実行登録してください。
未来世代数指定(-g)
指定したマクロ変数が,指定したすべての未来世代に対して有効になります。実行登録時に指定したマクロ変数を変更する場合は,実行登録解除し,マクロ変数を変更したあと,再度実行登録します。
追加(-d)
指定したマクロ変数が,指定した日時に対して有効になります。実行登録時に指定したマクロ変数を変更する場合は,実行登録解除し,マクロ変数を変更したあと,再度実行登録してください。
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再実行時のマクロ変数
実行登録時に指定したマクロ変数名と引き継ぎ情報は,再実行時にもそのまま適用されます。
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計画一時変更時のマクロ変数
実行登録時に指定したマクロ変数名と引き継ぎ情報は,計画一時変更時にもそのまま適用されます。
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同じ名称のマクロ変数
実行登録時に指定したマクロ変数名と同じ名称のマクロ変数が先行ジョブに指定されている場合は,先行ジョブの引き継ぎ範囲内では先行ジョブの引き継ぎ情報が有効になります。また,起動条件に同じ名称のマクロ変数が指定されている場合は,起動条件の引き継ぎ情報が有効になります。
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多重起動時のマクロ変数
実行登録時に指定したマクロ変数は表4-2のように有効になります。多重起動するかどうかには依存しません。
(2) 再起動
再起動時の動作について次に説明します。
(a) サービス起動モードでコールドスタートを指定している場合
再起動直前のジョブネットおよびジョブの定義情報だけを引き継ぎ,ジョブネットはすべて未登録状態に変更されるため,実行登録時に指定したマクロ変数名と値は解除されます。
(b) サービス起動モードでウォームスタートを指定している場合
ジョブネットの状態は「中断」になります。開始されていなかったジョブネットは予定どおり運用され,実行登録時に指定したマクロ変数名と値が適用されます。ウォームスタートによって異常終了したジョブネットは,状態の変更を確認したあと,手動で再実行してください。再実行した場合,実行登録時に指定したマクロ変数名と値が適用されます。
(c) サービス起動モードでホットスタートを指定している場合
再起動直前の状態を引き継ぎ動作します。ジョブの実際の状態が取得できた場合は,ジョブネットの定義内容に従って自動的に継続実行し,実行登録時に指定したマクロ変数名と値が適用されます。ジョブ実行先サーバから情報を求められなかった場合は,ジョブの状態は異常終了になります。この場合は,ジョブの状態を確認し,手動で再実行してください。再実行した場合,実行登録時に指定したマクロ変数名と値が適用されます。
(d) サービス起動モードでディザスターリカバリースタートを指定している場合
ジョブネットの状態は「中断」になります。開始されていなかったジョブネットは実行が抑止されます。実行抑止を解除したあとでジョブネットが実行されるとき,実行登録時に指定したマクロ変数名と値が適用されます。ディザスターリカバリースタートによって異常終了したジョブネットは,状態の変更を確認したあと,手動で再実行してください。再実行したときは,実行登録時に指定したマクロ変数名と値が適用されます。
(3) 注意事項
実行登録時にマクロ変数を指定する場合の注意を次に示します。
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実行登録時にマクロ変数を指定すると,ルートジョブネット単位,または世代単位にマクロ変数名と値の情報をファイルに保持します。登録解除時に,作成したファイルを削除するため,マクロ変数を指定しない場合に比べて,性能に影響があります。登録解除操作のターンアラウンドタイム短縮を図るために,スケジューラーサービスの登録解除処理の設定を非同期型(環境設定パラメーターBACKGROUNDLEAVEに「yes」を設定)にしてください。環境設定パラメーターの設定方法については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 構築ガイド 6.1.7 登録解除や保存世代数管理による世代削除処理方式の変更」(Windowsの場合)またはマニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 構築ガイド 15.1.7 登録解除や保存世代数管理による世代削除処理方式の変更」(UNIXの場合)を参照してください。
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リモートジョブネットがルートジョブネットの場合は,実行登録時にマクロ変数を指定できません。また,リモートジョブネットがネストジョブネットの場合は,その配下に,実行登録時にマクロ変数を指定できません。