3.1 JP1/AOシステムのライフサイクル
JP1/AOシステムには,繰り返しの目的や頻度が異なる2つのライフサイクルがあります。1つは,IT運用の実行単位であるサービスのライフサイクル,もう1つは,そのサービスの動作を支えるJP1/AOシステム全体のライフサイクルです。
ライフサイクルは,必要な作業ごとに設計工程,構築工程,運用工程,見直し工程の4つの工程に分かれています。次にそれぞれの工程で必要な作業について説明します。
設計工程
- 1. サービス設計
自動化するIT運用を洗い出して,必要なサービスやサービスの運用方法(実行スケジュールやタグ情報など)を検討します。
- 2. 運用設計
自動化するIT運用に合わせて,ユーザーの役割やトラブル発生時の通知方法など,JP1/AOシステムの運用方法について検討します。
- 3. システム設計
サービス設計および運用設計の内容に基づいて,JP1/AOシステムの構成やネットワークの設定など,システム構築のための検討をします。
構築工程
- 4. システム構築
システム設計で検討した内容に基づいて,JP1/AOのインストールや各種設定などを実施します。
運用工程
- 5. 運用準備
サービス設計および運用設計で検討した内容に基づいて,サービスおよびJP1/AOシステムの運用に必要なサービスやユーザーを準備します。
サービスの運用準備
目的のIT運用処理に対応するサービスをJP1/AOシステム上に追加します。
JP1/AOシステムの運用準備
JP1/AOにログインするためのユーザーやサービスの実行時に必要なメールサーバやSMTPサーバなどを設定します。
これらの作業は,構築したJP1/AOシステム上で,操作画面やコマンドを利用して実施します。
- 6. 日常運用,保守・メンテナンス
サービスに関する運用
日常運用として,サービスの実行・管理(タスク管理を含む)を実施します。
JP1/AOシステムに関する運用
必要に応じてJP1/AOシステムの保守・メンテナンス作業(バックアップなど)を実施します。
見直し工程
- 7. サービスの見直し
ある程度運用を継続したあと,自動処理の効率をさらに向上させたり,自動処理の対象を拡大したりするには,運用状況の見直しを実施します。例えば,サービスの実行履歴を基にサービスの運用効率を分析したり,実行頻度が高いサービスの効率向上や,自動化できていないIT運用の自動化を検討したりします。
見直しの結果,追加・変更が必要な部分については,サービス設計から再び実施します。
- 8. システムの見直し
システム構成や規模の変更などに合わせて,JP1/AOシステムを随時見直します。見直しの結果,追加・変更が必要な部分については,運用設計から再び実施します。
この章では,設計工程について説明します。それ以外の工程については各マニュアルを参照してください。