jbsrt_distrib
機能
マネージャーホスト(JP1/IM - Managerインストールホスト)で実行するコマンドです。
構成定義ファイルに定義した情報を,コマンドを実行したホストの下位にあるホストに配布し,定義を有効にします。
構成定義情報の配布には,一括配布方式と差分配布方式があります。
このコマンドを実行するときには,構成定義を配布する全ホスト(差分配布方式の場合は,構成定義に変更があるホストとその上位ホスト)で,JP1/Baseが起動している必要があります。配布先のホストで,JP1/Baseが起動していなかった場合,そのホストへは構成定義が配布されません。この場合,コマンドの実行時に,構成情報を設定できないというメッセージが出力されます。そのまま処理を続行すると,残りのホストには定義が配布されます。定義を配布できなかったホストへ構成情報を配布するには,そのホストのJP1/Baseを起動してから,再度jbsrt_distribコマンドを実行して定義を配布します。なお,一括配布方式の場合は,構成情報を削除しますか,というメッセージが出力されるので「N」を入力してください。これで,システム全体への定義配布が完了します。
このコマンドが参照する構成定義ファイルは,次のファイルです。
- Windowsの場合
-
インストール先フォルダ\conf\route\jbs_route.conf
共有フォルダ\jp1base\conf\route\jbs_route.conf(-hオプション指定時)
- UNIXの場合
-
/etc/opt/jp1base/conf/route/jbs_route.conf
共有ディレクトリ/jp1base/conf/route/jbs_route.conf(-hオプション指定時)
構成定義ファイルの形式については,「16. 定義ファイル」の「構成定義ファイル」を参照してください。
形式
- 共通定義(JBSRT_DISTRIB_VERSION=0)の場合
jbsrt_distrib [{-D [-f] | -L}] [-h 論理ホスト名]
- 共通定義(JBSRT_DISTRIB_VERSION=1)の場合
jbsrt_distrib [{-D [-f] | -L | -f}] [-h 論理ホスト名]
実行権限
Windowsの場合:Administrators権限(WindowsのUAC機能が有効な場合は管理者コンソールから実行)
UNIXの場合:スーパーユーザー権限またはJP1/Base管理者権限
格納先ディレクトリ
- Windowsの場合
-
インストール先フォルダ\bin\
- UNIXの場合
-
/opt/jp1base/bin/
引数
-D
差分配布方式で構成定義情報を配布する場合に指定します。構成定義上で変更が生じたホストだけに構成定義情報の削除または配布を実施します。このオプションを省略した場合は,共通定義(JBSRT_DISTRIB_VERSION)の設定値に従います。
-L
一括配布方式で構成定義情報を配布する場合に指定します。構成定義上のすべてのホストに構成定義情報の削除または配布を実施します。このオプションを省略した場合は,共通定義(JBSRT_DISTRIB_VERSION)の設定値に従います。
-f
コマンドの実行確認(YまたはNの入力要求メッセージ)を省略する場合に指定します。このオプションを指定した場合は,コマンドの実行確認が省略され「Y」が入力されたと仮定して処理が継続します。このオプションを省略した場合は,コマンドの実行確認が表示されます。
-h 論理ホスト名
クラスタシステムで運用している場合に,コマンドを実行するホストの論理ホスト名を指定します。このオプションを省略した場合,環境変数JP1_HOSTNAMEに指定した論理ホスト名が仮定されます。環境変数JP1_HOSTNAMEを指定していない場合,物理ホスト名が仮定されます。クラスタシステムを使用していない場合には指定は不要です。
環境変数
JBSRT_CMDRCD_EXTEND
コマンドの戻り値を拡張する環境変数です。拡張後の戻り値を返す場合は,1を指定します。拡張前の戻り値を返す場合は,0を指定します。この環境変数を省略した場合は,拡張前の戻り値を返します。
注意事項
-
このコマンドで構成定義情報を削除する際,構成定義ファイル内に「*」の付いたホストがあると,そのホスト以下の構成定義情報は削除されません。既存の構成定義情報を削除する場合は,構成定義ファイルに「*」の記述がないことを確認してください。
-
IM構成管理を使用している場合,このコマンドを実行すると,IM構成管理が保持する構成定義情報とJP1/Baseが保持する構成定義情報が不一致となります。そのため,IM構成管理を使用している場合は,このコマンドを実行しないで,IM構成管理で構成を一元管理することを推奨します。詳細は,マニュアル「JP1/Integrated Management 3 - Manager 導入・設計ガイド」のIM構成管理によるシステムの階層構成の管理について説明している章を参照してください。
-
一括配布方式で構成定義情報を配布する場合,システムの運用中に構成情報を削除すると,削除してから配布完了するまでの間に,次の問題が発生するおそれがあります。
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イベントの転送に失敗する
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コマンドの実行に失敗する
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自動アクションの実行に失敗する
システムの運用中に管理対象ホストを追加する場合,削除するホストがないときは,次の手順で,構成情報を削除しないで構成定義を配布してください。既存の構成情報に影響を与えないで,システム構成を変更できます。
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構成情報を削除しますか,というメッセージが出力されたら,「N」を入力します。
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構成定義を配布してもよろしいですか,というメッセージが出力されたら,「Y」を入力します。
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JP1/IM - Managerのバージョンが11-01以前の場合,環境変数JBSRT_CMDRCD_EXTENDをシステム環境変数およびユーザー環境変数として設定しないでください。IM構成管理を使用したシステムの階層構成の設定ができなくなるおそれがあります。環境変数JBSRT_CMDRCD_EXTENDの設定は,コマンドプロンプトまたはバッチファイルでしてください。
-
一度に多くのホスト(目安として,約1,000台以上のホスト)に構成定義を配布すると,配布処理中にエラーが多発した場合にコマンドの実行完了まで時間が掛かる可能性があります。そのため,差分配布方式を使用して数百台から500台程度に分割して配布することを推奨します。
-
3階層以上のシステム階層構成で運用する場合,サブマネージャーの配下のホストの処理に時間が掛かり,応答が返らないことでjbsrt_distribコマンドがタイムアウトする場合があります。詳細については「2.6.3(5) 通信タイムアウト時間の見直し」を参照してください。
戻り値(拡張前)
0 |
正常終了 |
1 |
異常終了 |
戻り値(拡張後)
0 |
正常終了 |
1 |
構成配布または構成削除に失敗したホストが存在する |
2 |
構成管理サーバ処理中 |
3 |
コマンドがタイムアウトした |
10 |
引数エラー |
11 |
実行権限エラー |
13 |
構成定義情報へのアクセスエラーまたは構成定義情報が破損している |
14 |
定義ファイルアクセスエラー |
15 |
定義ファイル形式エラー |
16 |
構成管理サーバとの通信中のエラー |
20 |
メモリー不足 |
128 |
そのほかのエラー |
使用例
-fオプションを指定した場合と省略した場合の実行例を次に示します。
- -fオプションを指定した場合
# jbsrt_distrib -D -f 構成定義送信中です・・・ KAVB3109-I 定義配布コマンドが正常終了しました
- -fオプションを省略した場合
# jbsrt_distrib -D 構成定義を配布するホストが全て起動している必要があります 構成定義を配布してもよろしいですか?[Y/N] y 構成定義送信中です・・・ KAVB3109-I 定義配布コマンドが正常終了しました
コマンドの戻り値を拡張する場合の指定例を次に示します。
# set JBSRT_CMDRCD_EXTEND=1 # jbsrt_distrib