1.1 JP1/Baseの機能概要
JP1/Baseは,JP1/IMを使用した統合管理システムやJP1/AJSを使用したジョブ管理システムの基盤となる製品です。システム内のイベントやJP1ユーザーを管理したり,サービスの起動を制御したりできます。
次に,JP1/Baseが提供する機能を示します。
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JP1/Baseでは,JP1製品の専用アカウントであるJP1ユーザーを管理しています。OSのアカウントとは別に,独立して管理され,ユーザーごとに他ホストに対する操作権限を詳細に管理できるため,セキュリティを強化できます。
JP1/Baseのユーザー管理には,次に示す二つの機能があります。
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サービスの起動順序や終了順序を制御します。なお,終了順序を制御する場合,JP1/Power Monitorが必要です。
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システムで何らかの事象が発生したときにJP1/Baseに通知されるJP1イベントを管理したり,ほかのホストとJP1イベントを送受信したりします。イベントフィルターを使って,重要なイベントだけをマネージャーへ転送することもできます。
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ログメッセージやイベントログをJP1イベントに変換します。変換されたJP1イベントは,イベントサービスが提供しているイベントDBに格納され,JP1シリーズのプログラムが発行するJP1イベントと同様に管理できます。イベント変換機能には,次に示す三つの機能があります。
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JP1/BaseやJP1製品で定義した情報を,JP1/IMで収集・配布できます。この機能を利用すると次のことが行えます。
- IM構成管理による定義情報の管理
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IM構成管理を使用している場合は,IM構成管理・ビューアーを操作して,JP1/Baseの定義情報を管理できます。IM構成管理はJP1/IM - Manager 09-00で追加された機能です。
各ホストのJP1/Baseで定義した情報をマネージャーホストで一括収集して確認できるため,効率良く定義情報を管理できます。また,マネージャーホストで定義情報を編集し,各ホストのJP1/Baseに配布し,定義情報を更新することもできます。
- IM構成管理によるサービスの稼働情報の確認
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IM構成管理を使用している場合は,IM構成管理・ビューアーを操作して,JP1/Baseのサービスの稼働情報を確認できます。
- コマンドによるイベントサービスの定義情報の収集と配布
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JP1/Baseが提供するコマンドを実行して,イベントサービスとイベント変換で使用する定義ファイルの定義情報を収集・配布できます。
- JP1製品の定義情報の収集
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JP1/AJSのジョブネット定義やJP1/SSO定義など,JP1製品が管理する定義情報を収集できます。収集された定義情報はJP1/IMの監視対象としてJP1/IMで管理されます。詳細については,マニュアル「JP1/Integrated Management 3 - Manager 運用ガイド」を参照してください。
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JP1/Baseの起動,停止などの動作を制御します。以下の機能を制御します。
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ユーザー管理
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定義情報収集・配布
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ヘルスチェック
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ローカルアクション
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構成管理
JP1/IMのシステム構成を管理します。
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コマンド実行
JP1/IMから要求されたコマンドを実行します。
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サービス管理制御
JP1/IMの構成管理のエージェント機能を制御します。
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プロセス間通信
JP1/IMの構成管理とサービス管理制御との通信などで使用する通信基盤です。
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ヘルスチェック
JP1/Baseの各プロセスを監視し,プロセスにハングアップなどの異常が生じた場合にメッセージやJP1イベントで通知します。この機能を使用すると,プロセスの異常を早期に検知できます。また,異常が発生したプロセスを容易に特定できるため,異常時の影響を最小限に抑えた対処ができます。
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ローカルアクション
特定のJP1イベントを契機に,自動的にコマンドを実行します。障害発生時などに,メール送信や電話連絡などのコマンドを実行してシステム管理者に通知したり,再起動などの処置を実行したりできます。
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ISAMファイル関連のユーティリティコマンド
JP1/Baseでは,ISAMを利用する場合に役立つユーティリティコマンドを提供しています。このコマンドの詳細については,「15. コマンド」を参照してください。
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JP1/Baseを前提とする製品(JP1/IMやJP1/AJS)を含めた動作処理の流れをトレースします。トレースした結果は,ログ情報として保管され,障害が発生した場合などの原因究明に役立ちます。