jr3slgetコマンドの環境パラメーター設定ファイル(jr3slget.ini)
jr3slgetコマンド実行時に,引数として環境パラメーター設定ファイルを指定すると,ファイルの設定内容を基に,SAPシステムのシステムログ情報が抽出されます。
この環境パラメーター設定ファイルは,テキストファイルとしてユーザーが作成します。
設定手順
環境パラメーター設定ファイルの設定手順を次に示します。
-
環境パラメーター設定ファイルを編集する前に,jr3slgetコマンドが実行されていないことを確認する。
-
環境パラメーター設定ファイルを新規に作成する場合は,環境パラメーター設定ファイルのサンプルファイルを「jr3slget.ini」の名前でコピーする。
この「jr3slget.ini」が,デフォルトの環境パラメーター設定ファイルとなります。環境パラメーター設定ファイルのサンプルファイルを次に示します。
■統合エージェントホスト
- Windowsの場合
-
・物理ホストのとき
Windows版のSAPシステム監視のアーカイブファイル※の展開先\sap_windows\command\agtm\evtrap\jr3slget.ini.sample
注※ Agentパス\options\sap_windows_VVRRSS.zip
- Linuxの場合
-
・物理ホストのとき
Linux版のSAPシステム監視のアーカイブファイル※の展開先/sap_linux/command/agtm/evtrap/jr3slget.ini.sample
注※ /opt/jp1ima/options/sap_linux_VVRRSS.tar.gz
-
jr3slget.iniを開く。
-
設定内容を編集する。
デフォルトの環境パラメーター設定ファイルの設定内容を次に示します。設定内容については,「設定内容」を参照してください。
コメント行を表す「;」が行頭にある項目は,デフォルトでは設定が有効になっていません。設定を有効にするには,コメント行を表す「;」を外してください。
-
環境パラメーター設定ファイルを保存する。
jr3slgetコマンド実行時に-cnfオプションを指定することで,環境パラメーター設定ファイルの内容を基にSAPシステムのシステムログ情報が抽出されます。
設定内容
環境パラメーター設定ファイルは,次の形式で記述します。
[セクション] ラベル=値 ラベル=値 : : [セクション] ラベル=値 ラベル=値
- 注意
-
-
行頭および「=」の前後に,空白文字などの余計な文字を設定しないでください。
-
セクションおよびラベルでは,指定した値の大文字・小文字は区別されません。
-
行の先頭に「;」を指定すると,その行はコメントとして扱われます。
-
次に,環境パラメーター設定ファイルの各セクションで設定する内容を表形式で説明します。表の「引数」列は,jr3slgetコマンドでも指定できる設定値の場合,コマンドで指定する際の引数を示します。「−」は,コマンドでは指定できない項目を示します。
CONNECTセクション
CONNECTセクションでは,コマンド実行時に,SAPシステムとのRFC接続を確立するための情報を指定します。
ラベル |
意味 |
指定できる値 |
デフォルト値 |
引数 |
---|---|---|---|---|
ASHOST |
接続先のアプリケーションサーバのホスト名(トランザクションコードSM51で確認できるホスト名)。 |
1〜100バイトの半角英数字。次の形式で指定できる。
|
localhost |
-h |
SYSNR |
接続先のアプリケーションサーバホストで識別するためのシステム番号。 |
0〜99 |
00 |
-s |
CLIENT |
接続に利用するユーザーのクライアント名。 |
0〜999 |
000 |
-c |
USER |
接続に利用するユーザー名。※1 |
1〜12バイトの半角英数字。 |
CPIC |
-u |
PASSWD |
接続に利用するユーザーのパスワード。※2 |
1〜8バイトの半角文字列。※3 |
ADMIN |
-p |
PASSWD2 |
接続に利用するユーザーの拡張パスワード。※2 |
1〜40バイトの半角文字列。※3 |
なし |
-p2 |
LANG |
接続に利用するユーザーの言語。 |
日本語と英語が使用できる。 次に示すSAPシステムで使用されている2バイトのISO IDまたは1バイトの言語キーを指定する。
|
なし |
-l |
CODEPAGE |
接続先のUnicode版SAPシステムで文字コードを変換する時に使用するコードページ。 |
LANGラベルの言語と組み合わせて指定する。※4 |
なし |
-codepage |
- 注※1
-
このラベルで指定するユーザーには,次の権限を付与しておく必要があります。
表2‒99 ユーザーが汎用モジュールにRFC接続するための権限(S_RFC) 権限項目
説明
値
RFC_TYPE
保護されるRFCオブジェクトのタイプ
FUGR(汎用グループ)
RFC_NAME
保護されるRFC名
*
ACTVT
アクティビティ
16(実行)
表2‒100 外部管理インターフェースを使用するための権限(S_XMI_PROD) 権限項目
説明
値
EXTCOMPANY
外部管理ツールの会社名
HITACHI
EXTPRODUCT
外部管理ツールのプログラム名
JP1
INTERFACE
インターフェースID
XAL
また,このラベルで指定するユーザーには,次のタイプのユーザーが使用できます。
-
ダイアログ(Dialog)
-
システム(System)
-
通信(Communication)
-
サービス(Service)
-
- 注※2
-
PASSWDラベルは,SAPシステム側で従来型のパスワードルールが適用されている場合に指定します。PASSWD2ラベルは,SAPシステム側で拡張パスワードルールが適用されている場合に指定します。PASSWDラベルとPASSWD2ラベルは同時に指定できません。
- 注※3
-
接続に利用するユーザーのパスワード,および拡張パスワードは,半角数字(0〜9),半角英字(a〜z,A〜Z),および次の半角記号で定義してください。
! @ $ % & / ( ) = ? ' ` * + ~ # - _ . : { [ ] } < > |
- 注※4
-
LANGラベルとCODEPAGEラベルは,次の組み合わせで設定してください。次の組み合わせ以外の言語とコードページを指定した場合,SAPシステムから取得した情報が文字化けする可能性があります。
表2‒101 言語とコードページの指定内容の組み合わせ 接続先SAPシステム
接続言語
言語(LANG)
コードページ(CODEPAGE)
Unicode版
日本語
JA
8000
英語
EN
指定する必要はありません。指定する場合は,1100を指定してください。
非Unicode版
日本語
JA
指定する必要はありません。指定する場合は,8000を指定してください。
英語
EN
指定する必要はありません。指定する場合は,1100を指定してください。
LANGラベルの指定を省略した場合,接続先システムで定義されているユーザーの言語が仮定されます。
CODEPAGEラベルの指定を省略した場合,接続先システムのデフォルトコードページが仮定されます。
COMMANDセクション
COMMANDセクションでは,jr3slgetコマンドの作業ディレクトリの情報を指定します。
ラベル |
意味 |
指定できる値 |
デフォルト値 |
引数 |
---|---|---|---|---|
WORKDIR |
コマンドの作業ディレクトリ。 |
1〜255バイトの半角英数字。相対パスを指定した場合,カレントディレクトリからの相対パスとなる。 |
カレントディレクトリ |
− |
TRACEセクション
TRACEセクションでは,jr3slgetコマンドの実行履歴が保存されるメッセージログおよびデータログの情報を指定します。
ラベル |
意味 |
指定できる値 |
デフォルト値 |
引数 |
---|---|---|---|---|
MSGLOG_LEVEL |
アプリケーションのトレース情報を保存するメッセージログの取得レベル。
|
0〜4 |
2 |
− |
MSGLOG_SIZE |
メッセージログを取得するファイル容量。
|
0〜65535 |
512 |
− |
MSGLOG_DIR |
メッセージログファイル(jr3slget.log)の取得先ディレクトリ。 |
1〜255バイトの半角英数字。ファイル名部分のjr3slget.logまでを含めて255バイト以内で指定する必要がある。相対パスを指定した場合,コマンドの作業ディレクトリからの相対パスとなる。 |
コマンドの作業ディレクトリ(COMMANDセクションのWORKDIRラベルで変更していないときは,カレントディレクトリ) |
− |
DATALOG_LEVEL |
アプリケーションの各種データ情報を保存するデータログの取得レベル。
|
0〜4 |
2 |
− |
DATALOG_SIZE |
データログを取得するファイル容量。
|
0〜65535 |
512 |
− |
DATALOG_DIR |
データログファイル(jr3slget.dat)の取得先ディレクトリ。 |
1〜255バイトの半角英数字。ファイル名部分のjr3slget.datまでを含めて255バイト以内で指定する必要がある。相対パスを指定した場合,コマンドの作業ディレクトリからの相対パスとなる。 |
コマンドの作業ディレクトリ(COMMANDセクションのWORKDIRラベルで変更していないときは,カレントディレクトリ) |
− |
TARGETセクション
TARGETセクションでは,抽出対象のシステムログ情報を特定するための情報を指定します。
ラベル |
意味 |
指定できる値 |
デフォルト値 |
引数 |
---|---|---|---|---|
SERVER |
SAPインスタンス名(トランザクションコードSM51で確認できる,ダイアログサービスを持つSAPインスタンス名)。 |
1〜20バイトの半角英数字。 |
なし |
-server |
FORMATセクション
FORMATセクションでは,出力されるシステムログ情報の出力形式を指定します。
ラベル |
意味 |
指定できる値 |
デフォルト値 |
引数 |
---|---|---|---|---|
COLUMN |
出力されるシステムログ情報の出力形式。 |
列1:<TIME> 列2:<INSTANCE> 列3:<USER> 列4:<PROGRAM> 列5:<MSGNO> 列6:<MSGTEXT> |
− |
EXTRACTFILEセクション
EXTRACTFILEセクションでは,システムログ情報の出力ファイルの情報を指定します。
ラベル |
意味 |
指定できる値 |
デフォルト値 |
---|---|---|---|
TYPE |
システムログ情報を格納するファイルの形式。
JP1/IM - Agentの環境を新規で構築する場合は,WRAP2を指定することを推奨します。 運用の開始後,格納ファイルの形式を変更する場合は,事前に格納ファイルを監視している製品を停止し,格納ファイルとその管理ファイル※1を削除してください。 |
WRAP1またはWRAP2 |
WRAP2 |
SIZE |
1ファイル当たりの格納ファイル容量。
|
0〜65535 |
10240 |
X2PATH |
|
|
SYSLOG |
NUM |
WRAP2形式で格納するときのファイル数。 TYPEラベルでWRAP2を設定している場合だけ有効です。 |
2〜9 |
5 |
- 注※1
-
WRAP1形式の場合,格納ファイルと同じディレクトリに,格納ファイル名.ofsという名称で管理ファイルが作成されます。
例:
格納ファイル名としてSYSLOGを指定したときSYSLOGファイルとは別にSYSLOG.ofsファイルが管理ファイルとして作成されます。
格納ファイルを削除する場合は,この管理ファイルも合わせて削除してください。
- 注※2
-
デフォルトの格納先から変更した場合,格納ファイルと管理ファイルをjpcrasコマンドで採取することができません。このため,トラブルが発生した場合,手動で格納ファイルと管理ファイルを採取していただく必要があります。
- 注※3
-
この値にNUMラベルに指定した範囲(デフォルトは1〜5)の値が付与されたファイル名が格納されます。
- 注※4
-
相対パスを指定した場合,コマンドの作業ディレクトリ(COMMANDセクションのWORKDIRラベルに指定したディレクトリ)が相対パスのカレントディレクトリとなります。なお,作業ディレクトリが指定されていない場合,次のディレクトリからの相対パスのカレントディレクトリとなります。
Optionセクション
Optionセクションでは,システムログの抽出の基点を決めるための情報を指定します。
SAPシステムのタイムゾーンは,システムログ情報抽出機能で参照する環境パラメーター設定ファイルのOptionセクションのSAPTIMEZONEOFFSETに設定します。SAPTIMEZONEOFFSETを設定することで,JP1/IM - Agentの稼働ホストとSAPシステムでタイムゾーンが異なる環境でも,システムログ情報を正しく抽出できます。ラベルが未設定の場合,デフォルト値を使用します。
なお,リモート監視における収集基点時間の推奨値については,「収集基点時間の注意事項」を参照してください。また,SAPシステムのタイムゾーンを設定する場合は,「SAPシステムのタイムゾーンの注意事項」を参照してください。
ラベル |
意味 |
指定できる値 |
デフォルト値 |
---|---|---|---|
SHIFTEXTRACTTIME※1 |
システムログ情報の抽出の基点を決める収集基点時間(単位:秒)。 収集時刻に対して,抽出対象のシステムログ情報の時刻の範囲をずらす時間を指定してください。 |
0〜600 |
5 |
SAPTIMEZONEOFFSET※2 |
JP1/IM - Agentの稼働ホストとSAPシステムでタイムゾーン(夏時間の適用有無を含む)が異なる場合に,SAPシステムのタイムゾーンをUTCとの時刻差(単位:分)で設定してください。 |
-1440〜+1440※3 |
JP1/IM - Agentの稼働ホストのタイムゾーン 例えば,JP1/IM - Agentの稼働ホストのタイムゾーンがJST(UTC+9)である場合,+540となります。 |
- 注※1
-
0以上の数値を指定する場合,符号(+)を省略できます。
- 注※2
-
SAPシステムの処理遅延によって,発生時刻通りにシステムログ情報が保存されない場合,このラベルの設定値をデフォルトよりも大きな値に変更してください。
- 注※3
-
リモート監視機能を使用する環境でJP1/IM - Agentが稼働するホストと監視対象のSAPシステムが稼働するホストのタイムゾーンが異なる場合だけ設定してください。
収集基点時間およびタイムゾーンの設定例を次に示します。
-
収集基点時間を10秒とする場合
[Option] SHIFTEXTRACTTIME=10
-
SAPシステムのタイムゾーンがUTC(UTC+0),かつ標準時間である場合
[Option] SAPTIMEZONEOFFSET=0
-
SAPシステムのタイムゾーンがEST(UTC-5),かつ夏時間(+1時間)である場合
[Option] SAPTIMEZONEOFFSET=-240
注意事項
SAPシステムのタイムゾーンの設定を変更した場合(標準時間と夏時間の切り替えに伴う変更を除く),設定変更前のタイムゾーンに基づくタイムスタンプが記録された,タイムスタンプファイルは削除する必要があります。jr3slgetコマンドの-lasttimeオプションに指定したタイムスタンプファイルが存在する場合には,コマンド実行を再開する前にタイムスタンプファイルを削除してください。
収集基点時間の注意事項
収集基点時間を設定する場合は,次の点に注意してください。
-
環境パラメーター設定ファイルを作成するまたは更新するときにOptionセクションとSHIFTEXTRACTTIMEラベルを追加してください。
-
リモート監視における収集基点時間の推奨値は,次の考え方に沿って変更してください。
- 収集基点時間の考え方
-
SAPシステムの処理遅延によって,発生時刻通りにシステムログ情報/CCMSアラート情報が保存されていない場合があります。この場合,監視対象がローカルホストであったとしても,SAPシステムの時刻遅延(ホスト間の時刻差)が収集基点時間を超えた場合と同様に,システムログ/CCMSアラート情報の抽出漏れが発生します。この問題を回避するために,収集基点時間のデフォルト値は5秒としています。リモートホストを監視対象とする場合には,さらにSAPシステムの時刻遅延の影響が加わるため,前提条件のホスト間の時刻ずれが1秒未満の環境に対して余裕を持たせた値(5秒)を加えた10秒を推奨設定値としています。
SAPシステムのタイムゾーンの注意事項
SAPシステムのタイムゾーンを設定する場合は,次の点に注意してください。
-
環境パラメーター設定ファイルのサンプルファイルには,OptionセクションやSAPTIMEZONEOFFSETラベルはありません。環境パラメーター設定ファイルを作成するときに追加してください。
-
SAPシステム上で発生したシステムログ情報/CCMSアラート情報は,SHIFTEXTRACTTIMEに設定した時間経過した以降の収集により,初めてJP1側で参照できるようになります。SHIFTEXTRACTTIMEの設定値を推奨値から変更する場合は,収集タイミングが遅れることを考慮のうえ変更してください。SHIFTEXTRACTTIMEの設定値が,システムログ情報/CCMSアラート情報の抽出に与える影響を次の図に示します。
図2‒12 SHIFTEXTRACTTIMEの情報抽出範囲への影響