jcoevtreport
機能
統合監視DBに登録しているJP1イベントの情報をCSV形式にしてファイルに出力するコマンドです。このコマンドは,複数を同時に実行できません。
jcoevtreportコマンドは,統合監視DBを無効にしている場合またはセントラルコンソールが停止している場合でも,IMデータベースサービスが起動していれば,JP1イベントの情報をCSV形式にしてファイルに出力できます。
- 重要
-
jcoevtreportコマンドは統合監視DBのイベントを取得するため,JP1/IM - Viewからのイベント検索,対処状況変更,およびJP1/IM - Managerのイベント取得処理に影響します。このため,イベントが大量に発生している場合にjcoevtreportコマンドを実行したとき,JP1/IM - ViewやJP1/IM - Managerのほかの処理が遅延し,運用に影響を及ぼすことがあります。jcoevtreportコマンドを実行する場合は,運用に影響を及ぼさない時間帯に実行することをお勧めします。
CSVの出力形式については,マニュアル「JP1/Integrated Management 3 - Manager 導入・設計ガイド」の「4.15.2 統合監視DBのイベント情報を保管(イベントレポート出力)」を参照してください。
定義を誤った場合や,ファイルサイズの最大値を超えた場合などのエラー情報は,標準エラー出力に出力されます。
出力する機能の説明を次の表に示します。
機能 |
説明 |
---|---|
イベントレポート出力 |
統合監視DBに登録しているJP1イベントの情報をCSV形式にしてファイルに出力する機能 |
保守情報出力 |
統合監視DBで障害が発生した場合に出力対象始点日から出力対象終点日までに登録されたJP1イベントのすべての情報をイベントレポート出力する機能 |
保存出力 |
統合監視DBからJP1イベントの情報が削除される前に,イベントレポート出力を利用して保存する機能 |
保存出力状態表示 |
統合監視DB内の保存出力していないJP1イベントの割合(統合監視DBの最大件数との比率)と容量,および削除警告通知位置を表示する機能 |
形式
イベントレポート出力 jcoevtreport [-h 論理ホスト名] [-o 出力ファイル名] -s 出力対象始点日 -e 出力対象終点日 [-user] [-f イベントレポート出力のフィルターファイル名] [-k イベントレポート出力の項目ファイル名] [-t {ON|OFF}] [-a {EVTATTR|DISP}] 保守情報出力 jcoevtreport [-h 論理ホスト名] [-o 出力ファイル名] -s 出力対象始点日 -e 出力対象終点日 -sys 保存出力 jcoevtreport [-h 論理ホスト名] [-o 出力ファイル名] -save [-t {ON|OFF}] [-a {EVTATTR|DISP}] 保存出力状態表示 jcoevtreport [-h 論理ホスト名] -showsv
実行権限
Windowsの場合:Administrators権限(WindowsのUAC機能が有効な場合は管理者コンソールから実行)
UNIXの場合:スーパーユーザー権限
格納先ディレクトリ
- Windowsの場合
-
Consoleパス\bin\
- UNIXの場合
-
/opt/jp1cons/bin/
引数
- -h 論理ホスト名
-
クラスタシステムで運用している場合に,コマンドを実行するホストの論理ホスト名を指定します。指定された論理ホストで稼働している統合監視DBからJP1イベントの情報を取得し,イベントレポート出力,保守情報出力,保存出力,または保存出力状態表示をします。このオプションを省略した場合,環境変数JP1_HOSTNAMEに指定した論理ホスト名が仮定されます。環境変数JP1_HOSTNAMEを指定していない場合,物理ホスト名が仮定されます。クラスタシステムを使用していない場合には指定は不要です。
- -o 出力ファイル名
-
統合監視DBから取得したJP1イベントの情報をCSV形式にして出力するファイル名を,相対パスまたは絶対パス形式で指定します。
ファイル名が「-」で始まるファイルを指定する場合は,オプション指定との区別をするため,「-」で始まらないように,ディレクトリを含む相対パス(「./-hoge」など)や絶対パス形式で指定してください。指定できるファイル名は,パスを含めて250バイト以内です。
ただし,Windowsの場合,次に示す文字列はファイル名には指定できません。
-
「:」,「?」,「"」,「<」,「>」,「|」の文字。
-
CON,PRN,AUX,NUL,COM1,COM2,COM3,COM4,COM5,COM6,COM7,COM8,COM9,LPT1,LPT2,LPT3,LPT4,LPT5,LPT6,LPT7,LPT8,LPT9のどれかと完全一致する(小文字も含む)文字列。
指定した出力ファイル名と実際に作成されるファイル名の関係を次に示します。
統合監視DBのイベント情報がCSV形式で「出力ファイル名_通し番号.csv」が出力されます。通し番号は,000から999までの数字です。1ファイルに出力するイベントの情報は最大50,000件です。すでに同じファイル名が存在する場合は,上書きしないで,存在しない番号まで繰り上げて作成します。通し番号が999を超えた場合は,ファイルを出力しないで,終了します。オプションを省略した場合は,カレントディレクトリにjcoevtreport_通し番号.csvが出力されます。
カレントディレクトリ(「.」)やルートディレクトリ(「/」)をファイル名に指定した場合,次の対処となります。
-oの引数
Windows
UNIX
.
カレントに「._xxx.csv」が作成される。
カレントに「_xxx.csv」が作成される。
/
ルートに「_xxx.csv」が作成される。
ルートに「_xxx.csv」が作成される。
""(空文字)
カレントに「_xxx.csv」が作成される。
引数不足エラー。
-
- -s 出力対象始点日
-
出力するイベントの始点日をイベントの到着時刻で指定します。
指定形式はYYYYMMDDhhmmssで指定します。
指定可能な日時の範囲は,(GMT)1970/01/01 00:00:00 〜 2099/12/31 23:59:59です。コマンド実行ホストのタイムゾーンが日本時間の場合,(GMT+9:00)1970/01/01 09:00:00 〜 2099/12/31 23:59:59となります。
- -e 出力対象終点日
-
出力するイベントの終点日をイベントの到着時刻で指定します。
指定形式はYYYYMMDDhhmmssで指定します。
指定可能な日時の範囲は,-sオプションと同じです。
- -k イベントレポート出力の項目ファイル名
-
イベントレポート出力の項目ファイル名を,相対パスまたは絶対パス形式で指定します。
ファイル名が「-」で始まるファイルを指定する場合は,オプション指定との区別をするため,「-」で始まらないように,ディレクトリを含む相対パス(「./-hoge」など),または絶対パス形式で指定してください。
イベントレポート出力の項目ファイルの形式については,「イベントレポート出力の項目ファイル」(2. 定義ファイル)を参照してください。
- -f イベントレポート出力のフィルターファイル名
-
イベントレポート出力のフィルターファイル名を,相対パスまたは絶対パス形式で指定します。
ファイル名が「-」で始まるファイルを指定する場合は,オプション指定との区別をするため,「-」で始まらないように,ディレクトリを含む相対パス(「./-hoge」など),または絶対パス形式で指定してください。
イベントレポート出力のフィルターファイルの形式については,「イベントレポート出力のフィルターファイル」(2. 定義ファイル)を参照してください。
- -t {ON|OFF}
-
登録時刻,到着時刻,および拡張属性の共通情報のSTART_TIMEとEND_TIMEを通算秒でなくYYYYMMDDhhmmss形式で出力します。
-
ON:登録時刻,到着時刻,および拡張属性の共通情報のSTART_TIMEとEND_TIMEを1970年1月1日からの通算秒の表記からYYYYMMDDhhmmssの西暦表示に変換したい場合に指定します。
-
OFF:西暦表示に変換しない場合に指定します。
このオプションの指定は,項目ファイルの指定より優先されます。
ONまたはOFFは,大文字・小文字を区別しません。
-
- -a {EVTATTR|DISP}
-
ヘッダーの出力形式を指定します。-aオプションを省略した場合,ヘッダーは出力しません。
EVTATTRを指定すると表示形式が属性名(B.IDやE.SEVERITYなど)で出力し,DISPを指定すると項目(イベントIDや重大度など)で出力します。
EVTATTRまたはDISPは,大文字・小文字を区別しません。
-aオプションにDISPを指定した場合,環境変数LANGの設定値によって出力する文字列が異なります。なお,ヘッダーの文字列表示に使用される環境変数LANGは,Windowsの場合,ヘッダー文字列の言語はOSの言語になります。UNIXの場合,コマンドを実行するプロンプトの環境変数LANGになります。
また,イベント拡張属性定義ファイル(拡張ファイル)に固有の拡張属性と任意の項目名を指定すると,基本属性や共通の拡張属性と同じように,1件の属性に1つの列を割り当てて出力できます。ヘッダーについても,属性名や指定した項目名で出力できます。CSVの出力形式については,マニュアル「JP1/Integrated Management 3 - Manager 導入・設計ガイド」の「4.15.2 統合監視DBのイベント情報を保管(イベントレポート出力)」を参照してください。
1件の固有の拡張属性に1つの列を割り当てて出力する機能は,イベントレポート出力環境定義ファイル(evtreport.conf)で有効にするかどうかを指定します。詳細については,「イベントレポート出力環境定義ファイル(evtreport.conf)」(2. 定義ファイル)を参照してください。
jcoevtreportコマンドが出力するヘッダーの文字列を次の表に示します。
表1‒33 jcoevtreportコマンドが出力するヘッダー文字列 -a EVTATTRの場合
-a DISPの場合
LANGが日本語
LANGが英語
B.SEQNO
イベントDB内通し番号
Serial number
B.ID
イベントID
Event ID
B.PROCESSID
発行元プロセスID
Source process ID
B.TIME
登録時刻
Registered time
B.ARRIVEDTIME
到着時刻
Arrived time
B.REASON
登録要因
Registered reason
B.USERID
発行元ユーザーID
Source user ID
B.GROUPID
発行元グループID
Source group ID
B.USERNAME
発行元ユーザー名
Source user name
B.GROUPNAME
発行元グループ名
Source group name
B.SOURCESERVER
登録ホスト名
Source event server name
B.DESTSERVER
送信先イベントサーバ名
Destination event server name
B.SOURCEIPADDR
発行元IPアドレス
Source IP address
B.DESTIPADDR
送信先IPアドレス
Destination IP address
B.SOURCESEQNO
発行元イベントDB内通し番号
Source serial number
B.CODESET
コードセット
Code set
B.MESSAGE
メッセージ
Message
E.SEVERITY
重大度
Event level
E.USER_NAME
ユーザー名
User name
E.PRODUCT_NAME
プロダクト名
Product name
E.OBJECT_TYPE
オブジェクトタイプ
Object type
E.OBJECT_NAME
オブジェクト名
Object name
E.ROOT_OBJECT_TYPE
登録名タイプ
Root object type
E.ROOT_OBJECT_NAME
登録名
Root object name
E.OBJECT_ID
オブジェクトID
Object ID
E.OCCURRENCE
事象種別
Occurrence
E.START_TIME
開始時刻
Start time
E.END_TIME
終了時刻
End time
E.RESULT_CODE
終了コード
Result code
E.JP1_SOURCEHOST
発生元ホスト名
Event source host
E.JP1_GENERATE_SOURCE_SEQNO
関連イベントDB内通し番号
Relation Event serial number
E.JP1_GENERATE_NAME
相関イベント発行条件名
Correlation event generation condition name
E.JP1_IMSUPPRESS_ID
監視抑止ID
Suppressed event ID
E.JP1_IMSUPPRESS_NAME
繰り返しイベント条件名
Repeated event condition name
E.JP1_TRAP_NAME
監視名
Monitoring target name
E.JP1_TRAP_ID
監視ID
Monitoring ID number
E.JP1_IMCOMEXCLUDE_ID
共通除外条件群ID
Common exclude conditions group ID
E.JP1_IMCOMEXCLUDE_NAME
共通除外条件群名
Common exclude conditions group name
E.JP1_IMCOMEXCLUDE_TARGET
共通除外条件群除外対象
Common exclude conditions group target-for-exclusion
E.@JP1IM_ACTTYPE
アクション種別
Action type
E.@JP1IM_ACTCONTROL
アクション
Action
E.@JP1IM_SEVERE
重要イベント
Severe Event
E.@JP1IM_CORRELATE
相関イベント
Correlation event
E.@JP1IM_RESPONSE
応答待ちイベント
Response-waiting event
E.@JP1IM_ORIGINAL_SEVERITY
重大度(変更前)
Original Severity Level
E.@JP1IM_CHANGE_SEVERITY
重大度変更
New Severity Level
E.@JP1IM_DEALT
対処状況
Event status
E.@JP1IM_RELEASE
重要イベント解除
Severe Event Released
E.@JP1IM_DISMISSED
重要イベント削除
Severe Event Deleted
E.@JP1IM_MEMO
メモ
Memo
E.@JP1IM_DISPLAY_MESSAGE
メッセージ(変更後)
Display Message
E.@JP1IM_CHANGE_MESSAGE
表示メッセージ変更
New Message
E.@JP1IM_CHANGE_MESSAGE_NAME
表示メッセージ変更定義名
Message change definition name
E.xxxxxxx※1
項目名※2
項目名※3
Program-specific extended attributes count
固有の拡張属性数※4
Program-specific extended attributes count
Program-specific extended attributes
固有の拡張属性
Program-specific extended attribute
注※1 イベント拡張属性定義ファイル(拡張ファイル)に指定した属性名が出力されます。
注※2 日本語のイベント拡張属性定義ファイル(拡張ファイル)に指定した項目名が出力されます。
注※3 英語のイベント拡張属性定義ファイル(拡張ファイル)に指定した項目名が出力されます。
注※4 イベント拡張属性定義ファイル(拡張ファイル)に指定していない固有の拡張属性の合計数が出力されます。
- -user
-
統合監視DBに登録しているJP1イベントをイベントレポート出力します。
-userオプションは,省略できます。
-userオプションを指定しなくても,-sys,-save,-showsvを指定していなければイベントレポート出力を指定していることになります。
- -sys
-
統合監視DBに登録しているJP1イベントを保守情報出力します。
- -save
-
統合監視DB内の保存出力していないJP1イベントをすべて保存出力します。
- -showsv
-
次の項目を表示します。
表示項目
内容
未出力イベントの割合
統合監視DB内の保存出力していないJP1イベントの割合(統合監視DBの最大件数との比率)をパーセンテージで表示します。
未出力イベントのサイズ
統合監視DB内の保存出力していないJP1イベントの統合監視DB内でのデータサイズを,メガバイト単位で表示します。
表示するサイズは,統合監視DB内でのデータサイズです。CSV出力には,表示された未出力イベントのサイズ×1.2の容量が必要となります。
削除警告通知設定
削除警告通知位置の設定値を表示します。
削除警告通知がOFFの場合は「-」(半角ハイフン)を表示します。
戻り値
0 |
正常終了 |
1 |
オプション・引数不正 |
2 |
フィルター不正 |
3 |
項目ファイル不正 |
4 |
レポート出力処理エラー |
5 |
実行権限エラー(Windows限定) |
6 |
同時実行エラー |
7 |
出力ファイルの通し番号が上限値に達した |
101 |
統合監視DBがセットアップされていない |
102 |
IMデータベースサービスが起動していない |
103 |
IMデータベースサービスとの接続エラーが発生した |
254 |
メモリー不足が発生した |
255 |
システムエラー |
注意事項
Windowsの場合,Application Experienceサービスが存在する場合は,Application Experienceサービスのスタートアップの種類が無効になっていないことを確認してからコマンドを実行してください。
使用例1
2008/06/01 12:00:00 〜 2009/01/01/00:00:00の間にマネージャーに到着したイベントを対象にレポート出力する場合
jcoevtreport -s 20080601120000 -e 20090101000000 -user
使用例2
出力先を「report_xxx.csv」に指定して2009/07/08 08:45:00 〜 2009/07/14 17:15:00のJP1イベントをイベントレポート出力する場合
jcoevtreport -s 20090708084500 -e 20090714171500 -o report
使用例3
出力先を「report_xxx.csv」に指定して2009/07/08 08:45:00 〜 2009/07/14 17:15:00のJP1イベントを保守情報出力する場合
jcoevtreport -sys -s 20090708084500 -e 20090714171500 -o report
使用例4
出力先を「report_xxx.csv」に指定して保存出力する場合
jcoevtreport -save -o report
使用例5
保存出力状態を表示する場合
jcoevtreport -showsv