3.15.5 SAPシステム監視機能
Script exporter,JP1/Baseのログトラップ機能,Fluentdのログ監視機能,およびJP1/IM - Agentが同梱するSAPシステムのログ抽出コマンド(jr3slget,jr3alget)を使用して,SAPシステムのシステムログ情報とCCMSアラート情報を監視できます。
なお,コンテナ内でJP1/IM - Agentを動作させて,SAPシステム監視機能を使用することはできません。
機能 |
説明 |
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スクリプト実行機能(Script exporter) |
定期的にSAPシステムのログ抽出コマンドを実行します。コマンドの実行可否や実行時間などをメトリックとして取得します。 |
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SAPシステムのログ抽出コマンド(jr3slget,jr3alget) |
SAPシステムからシステムログ情報とCCMS情報を抽出してテキストファイルへその内容を出力します。ユーザーはスクリプト実行機能(Script exporter)を使用して,SAPシステム用のコマンドを実行します。cron,ジョブなどからも実行できます。 |
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スクリプト実行結果監視機能 |
SAPシステムのログ抽出コマンドで出力したSAPシステムのログ情報を監視します。 Fluentd,JP1/Baseのどちらかのスクリプト実行結果監視機能で監視します。 |
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スクリプト実行結果監視機能(Fluentd) |
スクリプト実行機能(Script exporter)で実行したスクリプトが出力したシステムログ情報およびCCMSアラート情報を読み込んで解析し,JP1イベントを発行します。 |
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スクリプト実行結果監視機能(JP1/Base) |
スクリプト実行機能(Script exporter)で実行したスクリプトが出力したシステムログ情報およびCCMSアラート情報を読み込み,JP1イベントを発行します。 |
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メトリック送信機能 |
SAPシステムの監視に関するメトリックをJP1/IM - Managerに送信します。 |
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メトリック送信機能(Script exporter) |
スクリプト実行機能(Script exporter)に関するメトリックをJP1/IM - Managerに送信します。 |
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メトリック送信機能(Fluentd) |
スクリプト実行結果監視機能に関するメトリックをJP1/IM - Managerに送信します。 |
(1) 前提条件
SAPシステムのログ抽出コマンドは,JP1/IM - Agentのオプション機能としてセットアップする必要があります。
セットアップ手順については,マニュアル「JP1/Integrated Management 3 - Manager 構築ガイド」の「1.23.3 SAPシステム監視の設定」および「2.21.3 SAPシステム監視の設定」を参照してください。
SAPシステムのログ抽出コマンドを動作させるためのRFCライブラリ,およびサポートするSAPシステムのバージョンについては,JP1/PFM - Agent for EAPに準じます。詳細については,JP1/IM - Agentのリリースノートを参照してください。
(a) サービス
SAPシステム監視機能を使用するために起動が必要なサービスは,次の表に示すとおり,コマンド実行の方法(Script exporterまたはその他)とログ監視の方法(FluentdまたはJP1/Base)によって異なります。
ログ監視の方法 |
コマンド実行の方法 |
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Script exporter |
その他(cron,ジョブなど) |
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Fluentd |
■JP1/IM - Agentホスト JP1/IM - Agentの次のサービス
■JP1/IM - Managerホスト
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■JP1/IM - Agentホスト JP1/IM - Agentの次のサービス
■JP1/IM - Managerホスト
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JP1/Base |
■JP1/IM - Agentホスト JP1/IM - Agentの次のサービス
■JP1/IM - Managerホスト
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■JP1/IM - Agentホスト
■JP1/IM - Managerホスト
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(2) 機能詳細
Script exporter,JP1/Baseのログトラップ機能,Fluentdのログ監視機能,およびJP1/IM - Agentが同梱するSAPシステムのログ抽出コマンドを使用して,SAPシステムの情報を監視します。
Script exporterは,Prometheus serverからのスクレイプ要求を契機に,Script exporterの設定ファイルに指定したSAPシステムのログ抽出コマンドを実行します。このコマンドで抽出したSAPシステムのシステムログ情報とCCMSアラート情報を,それぞれテキストファイルに出力します。
SAPシステムのログ抽出コマンドには,システムログ情報を抽出するコマンドと,CCMSアラート情報を抽出するコマンドがあります。
SAPシステムのログ抽出コマンドで抽出したシステムログ情報とCCMSアラート情報は,テキスト形式のログファイルに出力されます。Fluentdのログ監視機能を使用して,このログファイルを監視します。監視したログは,Fluentdのログに出力します。また,ログの解析結果に応じて,JP1イベントとして発行します。
また,コマンド実行に関する情報(コマンドの終了ステータス,実行時間,終了コード)をメトリクスとして収集します。スクリプト実行に関する情報は,統合オペレーション・ビューアーの[トレンド]タブで確認できます。同様に,Fluentdのログ監視の動作状況もメトリクスとして収集されます。送信されたメトリックの情報を基に,IM管理ノードを作成します。IM管理ノードについては,「3.15.5(2)(d)メトリック送信機能」を参照してください。
(a) スクリプト実行機能(Script exporter)
スクリプト実行機能は,Script exporterがPrometheusのスクレイプ要求を契機に,SAPシステムのログ抽出コマンドを使用してSAPシステムのシステムログ情報とCCMSアラート情報を出力する機能です。
Script exporterの機能については,「3.15.1(1)(j)Script exporter(UAP監視機能)」を参照してください。
Script exporter設定ファイル(jpc_script_exporter.yml)に,SAPシステムのシステムログ情報とCCMSアラート情報を抽出するコマンドを実行する設定を行うことで,SAPシステムのシステムログ情報とCCMSアラート情報を,テキスト形式のファイルに出力できます。
Script exporter設定ファイルの指定内容については,マニュアル「JP1/Integrated Management 3 - Manager コマンド・定義ファイル・APIリファレンス」の「SAPシステム監視のScript exporter設定ファイルのサンプルファイル(jpc_script_exporter_sap.yml)」(2. 定義ファイル)を参照してください。
- 注意事項
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SAPシステム監視機能では,Script exporter設定ファイル(jpc_script_exporter.yml)または環境パラメーター設定ファイルに,接続に使用するユーザーのパスワードを設定する場合は,これらのファイルをアクセス権のないユーザーから参照できないように,セキュリティの設定を実施してください。
なお,環境パラメーター設定ファイルは,下記のマネージャー機能を使用して操作できません。
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ファイルダウンロード機能による配布
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定義ファイル操作機能による編集
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(b) SAPシステムのログ抽出コマンド
SAPシステムのシステムログ情報とCCMSアラート情報を抽出するコマンドとして,次のコマンドを使用できます。
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SAPシステムのシステムログ情報を抽出するコマンド(jr3slget)
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SAPシステムのCCMSアラート情報を抽出するコマンド(jr3alget)
各コマンドの詳細については,マニュアル「JP1/Integrated Management 3 - Manager コマンド・定義ファイル・APIリファレンス」の「jr3slget」(1.コマンド)および「jr3alget」(1.コマンド)を参照してください。
■ ログ抽出可能なSAPシステム
SAPシステムのログ抽出コマンドは,RFCコネクションを介して,SAPシステムの外部インターフェースにアクセスします。RFC接続情報を,環境パラメーター設定ファイルまたはSAPシステムのログ抽出コマンドの引数で指定することで,リモートホストを含むホスト上のSAPシステムにアクセスできます。
■ コマンドのパラメーター定義
SAPシステムのログ抽出コマンドのパラメーターは,コマンドの引数または環境パラメーター設定ファイルで指定します。
コマンドの各種環境パラメーターを事前定義するためには,SAPシステムのログ抽出コマンドの入力ファイルとして,環境パラメーター設定ファイルを作成する必要があります。
JP1/IM - Agentが提供する環境パラメーター設定ファイルのサンプルを,任意のディレクトリにコピーし,カスタマイズして使用できます。環境パラメーター設定ファイルのサンプルについては,マニュアル「JP1/Integrated Management 3 - Manager コマンド・定義ファイル・APIリファレンス」(2. 定義ファイル)の「jr3slgetコマンドの環境パラメーター設定ファイルのサンプルファイル(jr3slget.ini.sample)」と「jr3algetコマンドの環境パラメーター設定ファイルのサンプルファイル(jr3alget.ini.sample)」を参照してください。
■ ログファイル出力
上記のコマンドで抽出したSAPシステムのシステムログ情報とCCMSアラート情報を,SAPシステムのログ抽出コマンドのログファイルに出力します。出力先は,環境パラメーター設定ファイルまたはSAPシステムのログ抽出コマンドの引数で,任意のパスを指定します。出力する文字コードはOSの言語設定に従います。
スクリプト実行結果監視機能(Fluentd)を使用して出力されたログファイルを監視する場合は,出力形式をWRAP2に指定する必要があります。
ログ監視機能(Fluentd)で監視可能なテキストファイルについては,「3.15.3(3)テキスト形式のログファイルの監視機能(tailプラグイン)」を参照してください。
また,JP1/Baseのログファイルトラップ機能を使用してログファイルを監視する場合も,WRAP1形式ではトラップ遅延などの問題があるため,WRAP2形式でログファイルを出力することを推奨します。
■ 保守情報の記録
SAPシステムのログ抽出コマンドの保守情報は,コマンドのトレースファイルに出力します。トレースファイルのパスは,環境パラメーター設定ファイルで任意のパスを指定します。指定しない場合,コマンドの作業ディレクトリに出力されます。出力する文字コードはOSの言語設定に従います。
■ 前回のレコード抽出時刻の管理
SAPシステムのログ抽出コマンドで,前回のコマンド実行以降に出力したSAPシステムのシステムログ情報とCCMSアラート情報を抽出する場合は,タイムスタンプファイルを作成する必要があります。この場合は,コマンド実行時に-lasttimeオプションでタイムスタンプファイルを指定します。
(c) スクリプト実行結果監視機能
■ スクリプト実行結果監視機能(Fluentd)
スクリプト実行結果監視機能(Fluentd)は,Fluentdのログ監視機能を使用して,テキストファイルに出力されたSAPシステムのシステムログ情報とCCMSアラート情報を監視する機能です。テキスト形式のログファイルの監視機能を使用してテキストファイルを監視し,JP1イベントに変換します。監視定義ファイルのサンプルとして,次に示す2つのテキスト形式のログファイル監視定義ファイルを提供します。サンプルファイルは,Fluentdのログ監視機能がサポートする範囲で編集できます。
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SAPシステムのシステムログ情報監視定義サンプル(fluentd_sap_syslog_tail.conf)
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SAPシステムのCCMSアラート情報監視定義サンプル(fluentd_sap_alertlog_tail.conf)
■ スクリプト実行結果監視機能(JP1/Base)
スクリプト実行結果監視機能(JP1/Base)は,JP1/Baseのログファイルトラップ機能を使用して,テキストファイルに出力されたSAPシステムのシステムログ情報とCCMSアラート情報を監視する機能です。テキストファイルに出力された情報は,JP1イベントに変換できます。
(d) メトリック送信機能
メトリック送信機能は,「3.15.5(2)(a)スクリプト実行機能(Script exporter)」と「3.15.5(2)(c)スクリプト実行結果監視機能」の動作状況を,JP1/IM - Managerに送信する機能です。jr3slgetコマンドとjr3algetコマンドのそれぞれに対して,スクリプト実行状況とスクリプト実行結果監視状況をメトリックの形式で送信します。送信されたメトリックの情報を基に,IM管理ノードを作成します。
■ メトリック送信機能(Script exporter)
スクリプト実行状況の情報取得には,Script exporterの機能を使用します。Script exporterの機能,およびScript exporterが取得するメトリックについては,「3.15.1(1)(j)Script exporter(UAP監視機能)」を参照してください。
Script exporterのメトリックは,統合オペレーション・ビューアーの[トレンド]タブや[ダッシュボード]タブで確認できます。Script exporterのIM管理ノードについては,「3.15.6(1)IM管理ノードの作成」を参照してください。
Script exporterを使用して作成するIM管理ノードのラベル名は,Script exporter設定ファイルに指定したscripts.nameの値です。SAPシステム監視のメトリック送信機能(Script exporter)のscripts.nameのデフォルト値は,マニュアル「JP1/Integrated Management 3 - Manager コマンド・定義ファイル・APIリファレンス」の「SAPシステム監視のScript exporter設定ファイルのサンプルファイル(jpc_script_exporter_sap.yml)」(2. 定義ファイル)を参照してください。
Script exporter設定ファイルに,SAPシステムのログ抽出コマンドを実行するスクリプトを定義する場合,script.nameにはSAPシステムのログ抽出コマンド名(jr3slgetまたはjr3alget)を含める必要があります。含めない場合,SAPシステム監視のメトリック送信機能のIM管理ノードがOther Applicationsカテゴリ配下に作成されます。
SAPシステム監視のメトリック送信機能(Script exporter)を使用して作成するIM管理ノードは,Enterpriseカテゴリ配下に作成されます。SAPシステム監視のメトリック送信機能(Script exporter)を使用する場合は,Prometheus設定ファイルを編集し,Script exporterが取得するメトリックのうち,SAPシステム監視に関するメトリックが,IM管理ノードのEnterpriseカテゴリに振り分けられるように設定してください。
設定内容については,マニュアル「JP1/Integrated Management 3 - Manager 構築ガイド」の「1.21.2(3)(h)SAPシステムのログ抽出コマンドをScript exporterを使用して実行する場合の設定(Windowsの場合)(オプション)」および「2.19.2(3)(h)SAPシステムのログ抽出コマンドをScript exporterを使用して実行する場合の設定(Linuxの場合)(オプション)」を参照してください。
上記の設定を行うと,Script exporter設定ファイル内のscript.nameにSAPシステムのログ抽出コマンド名(jr3slgetまたはjr3alget)が含まれている場合に,Enterpriseカテゴリ配下にSAPシステム監視のメトリック送信機能のIM管理ノードが作成されます。
■ メトリック送信機能(Fluentd)
スクリプト実行結果監視状況の情報取得には,Fluentdのログ監視機能のメトリック送信機能を使用します。メトリック送信機能については,「3.15.3(14)メトリック送信機能」を参照してください。
FluentdのIM管理ノードについては,「3.15.6(1)IM管理ノードの作成」を参照してください。jp1_pc_categoryで指定するカテゴリとjp1_pc_nodelabelの値については,マニュアル「JP1/Integrated Management 3 - Manager コマンド・定義ファイル・APIリファレンス」の「SAPシステムのシステムログ情報監視定義ファイルのサンプルファイル(fluentd_sap_syslog_tail.conf)」(2. 定義ファイル)および「SAPシステムのCCMSアラート情報監視定義ファイルのサンプルファイル(fluentd_sap_alertlog_tail.conf)」(2. 定義ファイル)を参照してください。